翠眼の魔道士

桜乃華

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第十七話 水の精霊ーアンディーン 2/2

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 話し終えたアンディーンは深く頭を下げた。

 「ティルラ様、セシリヤ様、ピー助様、助けて下さりありがとうございました」

 (……ピー助呼び)

 ティルラはツッコミを入れそうになる衝動に駆られたが、唇を引き結んで耐えた。今の雰囲気を壊すことはさすがに出来なかった。

 「汚染の原因を作った女は魔族だったのね?」

 セシリヤの問いにアンディーンは頷いた。

 「それは間違いありません。それも、下級魔族ではなく幹部クラスの上位魔族とみて間違いないと思います。私の力不足でこのようなことになり、人間の貴女を巻き込んでしまい申し訳ありませんでした」

 「無事に解決出来たんだからもういいわよ。それに、女神さまの力も分かったことだし」

 「もしかして信じてなかったの?」

 低い声音でティルラが言うが、セシリヤはキョトン、としている。

 「え……。だって出会ってからは魔力を吸収したのと、見張りしかしてないのに信じるも何も出来ないじゃない?」

 ねー、とピー助に同意を求めれば、ピー助は肯定するかのようにピィー、と鳴いた。

 (こいつら……)

 「まあ、でも」

 セシリヤがピー助を撫でながら続ける。

 「浄化している姿は本物の女神様みたいで綺麗だった……かも」

 小さく零しながら言うセシリヤにティルラは一瞬、目を丸くして遅れてやってきた相手の褒め言葉に頬を染めた。
 「きゅ、急に素直にならないでよ。照れるじゃない!」

 「う、うるさいな!」

 ぎゃーぎゃー騒ぐ二人にピー助も鳴きながら加わる。それを見ていたアンディーンはふっ、と笑い出した。静かだった洞窟の中は騒がしくなった。長い時の中でこんなことは初めてだった。そして、笑ったのも初めてかもしれない。

 「ふふっ」

 「え……」

 「は……」

 笑い声を聞いてセシリヤとティルラが同時にアンディーンを見た。

 「笑うところある?」

 「なかった……」

 今度は互いを見て首を傾ける。アンディーンは笑い終えると「すみません」と謝罪の言葉を述べた。

 「こんなに賑やかなのは初めてで、嬉しくてつい、笑ってしまいました」

 そう言って微笑むアンディーンにセシリヤとティルラは目をしばたたかせて、ふっ、と笑い合った。
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