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強面騎士団長の憂鬱⑬
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「本当にすまなかった!」
王室の間で王のゼリュスが深々と頭を下げた。
「国王様、顔をお上げ下さい。フィリス様を守れなかったのは私の責任です。ですから罰を受けるのも当然の事だと思います。」
頭を下げたまま動かなくなってしまったゼリュスを前にジャスは困ったような顔をした。
「恥ずかしながら、私は息子を愛している。だから、フィリスが怪我をして帰ってきた時には頭に血が昇って正しい判断が出来なかった。後からフィリスに事情を聞いて血の気が引いたよ。謝って済む話ではないかもしれないがどうか許してほしい。」
「そんな•••私には勿体無いお言葉です。最高の治療を受けさせてもらい、今ここにこうして居られるだけでも幸せです。ですからどうか顔を上げてください。」
王に頭を下げさせたままなのがジャスにとってはとても居心地が悪く居た堪れないので再度顔を上げるよう懇願する。
「いや、しかしこのままでは私の気が済まない。」
ゼリュスは顔を上げるとジャスの顔を真剣な顔で見つめた。
「お前の望みをなんでも一つ叶えてやろう。どうだ?何が望みだ?金か?出世か?」
「いえ、私は•••」
「断ってくれるなよ。私の気持ちを無下にはしないよな?」
ジャスの気持ちを読んだようにゼリュスが釘を刺す。
しかし、ジャスは困ってしまった。
私には本当に望むものなど何もないのに•••
私が望むことと言えば、フィリス様の幸せくらいで•••フィリス様の幸せ•••
ジャスは暫く考えた後、ハッとしたようにゼリュスを見た。
「では、お言葉に甘えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、何でも申せ。」
ゼリュス得意げに胸を張る。一国の王である。例えジャスの願いが少々無茶なものでも叶えてやれるだけの力はある。しかしー、
「では騎士を辞めさせて頂きたい。」
「•••えっ?」
予想外のジャスの申し出にゼリュスは一瞬で固まった。
「私のこの腕はリハビリを続けても最早治ることはありません。しかしこの腕では十分な護衛も難しい。私の望みはフィリス様の安全とご多幸。この私が側にいてはそれが危ぶまれるかもしれません。」
「いや、ジャスよ。ちょっと待ちなさい。」
「私のせいでフィリス様が再び怪我をされるなど耐えられないのです。私の望みを叶えていただけるというのならどうか辞めさせてください。」
「しかし、フィリスがそれを許さんじゃろう。」
「フィリス様はお優しいから、私のこの傷に罪悪感をもっておられます。だから私を突き放す事が出来ないのです。フィリス様が元々私の事を快く思っていないことは知っています。私が上手く立ち回れないが為によくお叱りも受けていました。これはフィリス様の為でもあります。」
フィリスよ。お前の気持ちはこの男には全然伝わっておらんぞ。
ゼリュスは思わず頭を抱えた。
ジャスは相変わらず、フィリスに嫌われていると思い込んでいる。
体の関係もジャスにとっては叱責の一つと捉えているようだ
純粋なのか、無知なのか•••折檻が目的で好きでもない男を抱けるわけもなかろうがっ
ゼリュスは頭の硬いジャスを前に息子を不憫に思わずには居られなかった。
「お前の気持ちはよく分かった。しかし、騎士団はどうするつもりだ?」
「騎士団はこのままリースに引き継ぎます。彼なら実力も申し分なく、フィリス様の信頼も私より厚いでしょうから。」
そう言ったジャスの顔は酷く傷ついて見えた。
「分かった。検討してみよう。その後行く当てはあるのか?」
「はい。実家に帰って家業を手伝おうと思います。家族にも随分心配を掛けましたから。」
「そうか•••」
ジャスが去った王室の間でゼリュスは椅子にもたれかかった。
「何でも叶えてやるつもりだったのに、ジャスの願いがまさか退団とはな。私が許しても、フィリスは絶対納得しないだろうな。」
この事を話した後、フィリスがどうなるのかを想像してゼリュスは小さくため息を吐いた。
王室の間で王のゼリュスが深々と頭を下げた。
「国王様、顔をお上げ下さい。フィリス様を守れなかったのは私の責任です。ですから罰を受けるのも当然の事だと思います。」
頭を下げたまま動かなくなってしまったゼリュスを前にジャスは困ったような顔をした。
「恥ずかしながら、私は息子を愛している。だから、フィリスが怪我をして帰ってきた時には頭に血が昇って正しい判断が出来なかった。後からフィリスに事情を聞いて血の気が引いたよ。謝って済む話ではないかもしれないがどうか許してほしい。」
「そんな•••私には勿体無いお言葉です。最高の治療を受けさせてもらい、今ここにこうして居られるだけでも幸せです。ですからどうか顔を上げてください。」
王に頭を下げさせたままなのがジャスにとってはとても居心地が悪く居た堪れないので再度顔を上げるよう懇願する。
「いや、しかしこのままでは私の気が済まない。」
ゼリュスは顔を上げるとジャスの顔を真剣な顔で見つめた。
「お前の望みをなんでも一つ叶えてやろう。どうだ?何が望みだ?金か?出世か?」
「いえ、私は•••」
「断ってくれるなよ。私の気持ちを無下にはしないよな?」
ジャスの気持ちを読んだようにゼリュスが釘を刺す。
しかし、ジャスは困ってしまった。
私には本当に望むものなど何もないのに•••
私が望むことと言えば、フィリス様の幸せくらいで•••フィリス様の幸せ•••
ジャスは暫く考えた後、ハッとしたようにゼリュスを見た。
「では、お言葉に甘えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、何でも申せ。」
ゼリュス得意げに胸を張る。一国の王である。例えジャスの願いが少々無茶なものでも叶えてやれるだけの力はある。しかしー、
「では騎士を辞めさせて頂きたい。」
「•••えっ?」
予想外のジャスの申し出にゼリュスは一瞬で固まった。
「私のこの腕はリハビリを続けても最早治ることはありません。しかしこの腕では十分な護衛も難しい。私の望みはフィリス様の安全とご多幸。この私が側にいてはそれが危ぶまれるかもしれません。」
「いや、ジャスよ。ちょっと待ちなさい。」
「私のせいでフィリス様が再び怪我をされるなど耐えられないのです。私の望みを叶えていただけるというのならどうか辞めさせてください。」
「しかし、フィリスがそれを許さんじゃろう。」
「フィリス様はお優しいから、私のこの傷に罪悪感をもっておられます。だから私を突き放す事が出来ないのです。フィリス様が元々私の事を快く思っていないことは知っています。私が上手く立ち回れないが為によくお叱りも受けていました。これはフィリス様の為でもあります。」
フィリスよ。お前の気持ちはこの男には全然伝わっておらんぞ。
ゼリュスは思わず頭を抱えた。
ジャスは相変わらず、フィリスに嫌われていると思い込んでいる。
体の関係もジャスにとっては叱責の一つと捉えているようだ
純粋なのか、無知なのか•••折檻が目的で好きでもない男を抱けるわけもなかろうがっ
ゼリュスは頭の硬いジャスを前に息子を不憫に思わずには居られなかった。
「お前の気持ちはよく分かった。しかし、騎士団はどうするつもりだ?」
「騎士団はこのままリースに引き継ぎます。彼なら実力も申し分なく、フィリス様の信頼も私より厚いでしょうから。」
そう言ったジャスの顔は酷く傷ついて見えた。
「分かった。検討してみよう。その後行く当てはあるのか?」
「はい。実家に帰って家業を手伝おうと思います。家族にも随分心配を掛けましたから。」
「そうか•••」
ジャスが去った王室の間でゼリュスは椅子にもたれかかった。
「何でも叶えてやるつもりだったのに、ジャスの願いがまさか退団とはな。私が許しても、フィリスは絶対納得しないだろうな。」
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