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2学期までの1週間
夏休み番外編 姫川の恋愛相談編①
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これは、まだ姫川が実家で過ごしていた夏休みのある1日の出来事である。
希一と沙羅が付き合っていると聞かされて数日後。
姫川は中学時代の親友、その希一とファストフード店に来ていた。
紹介してもらった日は突然正木が乱入してきたこともあり、殆ど落ち着いて話が出来なかったので、こうして日を改めて会うことにしたのだ。
適当にポテトやバーガーを買い、2人で席につく。
「しかし、驚いたよ。まさかお前達が付き合うことになるなんてな。」
買ったものをつまみながら、姫川が希一に話しかける。
「あぁ、諦めなくてよかった。正直な話、沙羅は歩の事が好きなのかと思っていたから中学時代は嫉妬したりもしてたよ。」
初めて聞く希一の話に姫川は軽く目を見開く。
「そんな筈ないだろ。俺たちは良くも悪くもお互いを知りすぎてる。とても恋愛感情なんか芽生えない。兄弟みたいなもんだな。」
「そうは言うけどめちゃくちゃ仲が良かったじゃん。俺たちの周りは皆、お前達が付き合ってるって思ってたくらいだからな。」
もう沙羅と付き合っているというのに、いつまでも噛み付いてくる希一に姫川は呆れる。
「今はお前が付き合ってんだから、別にいいだろ。」
「うん。沙羅は本当に凄く可愛いよ。付き合って一層好きになったし。この前もさぁ・・・」
さっきまで愚痴モードだった希一が一気に惚気モードになり、だらしなく顔を綻ばせる。
そんな希一の惚気を軽く聞き流していると、
「で、お前はどうなんだよ?」
といきなり希一が聞いてきた。
「何が?」
突然話題を自分に振られた事で姫川はドキッとした。
「惚けるなよ。この前の正木って人、お前の事が好きってー」
「その話はいい。」
希一がまだ言い終わらないうちに姫川が話を終わらせようとする。
「いや、俺もあの時は戸惑っちゃったけど、別に偏見とかないよ。正直に話してもらって大丈夫。」
気にせず話を続ける希一に、
「だからその話はいいて言ってるだろ。」
と姫川が視線を逸らして言う。
希一に話を振られたことで、この前の夜、正木の手でイカされた事を思い出してしまった。
それと同時に姫川の顔がみるみる赤くなった。
「なんだよ!やっぱり付き合ってるんじゃん。」
「つっ!付き合ってない!」
バンっと机を叩きながら、立ち上がって姫川はそれを否定する。
すると店にいた他の客の目線が一斉に姫川と希一に向いた。気恥ずかしくなった姫川は静かに席に座る。
「ちょっと落ち着けって。」
余りの姫川の反応に希一も困ったような顔をした。
「いくら恥ずかしいからって、過剰に反応し過ぎだ。」
希一にそう言われて姫川は項垂れた。
正直、あの日に正木の声や手に反応してしまった事は姫川にとって一生の不覚だった。
正木の気持ちを受け入れた訳ではないのに、現に今までは正木に触られても反応しなかったのにあの日は違った。あの一件から正木は隙があらば自分に迫ってこようとする。
そしてそれを以前ほどはっきり断れない自分もいる。
姫川は一層のことこの心のモヤモヤを目の前の相手に相談してみようと決めた。
希一と沙羅が付き合っていると聞かされて数日後。
姫川は中学時代の親友、その希一とファストフード店に来ていた。
紹介してもらった日は突然正木が乱入してきたこともあり、殆ど落ち着いて話が出来なかったので、こうして日を改めて会うことにしたのだ。
適当にポテトやバーガーを買い、2人で席につく。
「しかし、驚いたよ。まさかお前達が付き合うことになるなんてな。」
買ったものをつまみながら、姫川が希一に話しかける。
「あぁ、諦めなくてよかった。正直な話、沙羅は歩の事が好きなのかと思っていたから中学時代は嫉妬したりもしてたよ。」
初めて聞く希一の話に姫川は軽く目を見開く。
「そんな筈ないだろ。俺たちは良くも悪くもお互いを知りすぎてる。とても恋愛感情なんか芽生えない。兄弟みたいなもんだな。」
「そうは言うけどめちゃくちゃ仲が良かったじゃん。俺たちの周りは皆、お前達が付き合ってるって思ってたくらいだからな。」
もう沙羅と付き合っているというのに、いつまでも噛み付いてくる希一に姫川は呆れる。
「今はお前が付き合ってんだから、別にいいだろ。」
「うん。沙羅は本当に凄く可愛いよ。付き合って一層好きになったし。この前もさぁ・・・」
さっきまで愚痴モードだった希一が一気に惚気モードになり、だらしなく顔を綻ばせる。
そんな希一の惚気を軽く聞き流していると、
「で、お前はどうなんだよ?」
といきなり希一が聞いてきた。
「何が?」
突然話題を自分に振られた事で姫川はドキッとした。
「惚けるなよ。この前の正木って人、お前の事が好きってー」
「その話はいい。」
希一がまだ言い終わらないうちに姫川が話を終わらせようとする。
「いや、俺もあの時は戸惑っちゃったけど、別に偏見とかないよ。正直に話してもらって大丈夫。」
気にせず話を続ける希一に、
「だからその話はいいて言ってるだろ。」
と姫川が視線を逸らして言う。
希一に話を振られたことで、この前の夜、正木の手でイカされた事を思い出してしまった。
それと同時に姫川の顔がみるみる赤くなった。
「なんだよ!やっぱり付き合ってるんじゃん。」
「つっ!付き合ってない!」
バンっと机を叩きながら、立ち上がって姫川はそれを否定する。
すると店にいた他の客の目線が一斉に姫川と希一に向いた。気恥ずかしくなった姫川は静かに席に座る。
「ちょっと落ち着けって。」
余りの姫川の反応に希一も困ったような顔をした。
「いくら恥ずかしいからって、過剰に反応し過ぎだ。」
希一にそう言われて姫川は項垂れた。
正直、あの日に正木の声や手に反応してしまった事は姫川にとって一生の不覚だった。
正木の気持ちを受け入れた訳ではないのに、現に今までは正木に触られても反応しなかったのにあの日は違った。あの一件から正木は隙があらば自分に迫ってこようとする。
そしてそれを以前ほどはっきり断れない自分もいる。
姫川は一層のことこの心のモヤモヤを目の前の相手に相談してみようと決めた。
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