風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

百三十一話

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「おぉ、うまそう!早速いただきます。」
嬉々として食卓についた正木は、そう言って姫川の料理に齧り付いた。
「うまい!姫川って料理上手だよな。」
そう言って目を輝かせながら次々に料理を頬張っていく正木を見て姫川が口を開いた。」
「別に普通だ。うちはばあちゃんと2人暮らしだったし、ばあちゃんが疲れた時や体調の悪い時はいつも俺が作ってた。」
「えらいよな姫川は。そういう事を普通だって言えるところが。今だって、不本意でこの学園に通っているのに、その中でも必死に努力している。」
「何だよ急に。」
恥ずかしさ紛れにそう言うと、真剣な顔の正木と目が合った。
「俺、お前の本当の姿が知れて良かった。色々な事があって、嫌な事辛い事も沢山あったけど、それが無ければ姫川とは一生仲良くなれてなかったと思う。でも今こうしてお前と同じ部屋でご飯を食べられていることが何より幸せだと俺は思うよ。」
何を言われているのか。姫川の頭が混乱し、顔が赤くなるのを止められない。
こんなにストレートに自分といて幸せだなどと言われた経験はなかった。
バクバクと音をたてる心臓をどうすることも出来ないまま姫川が困惑していると、その頭を正木が優しく撫でた。
「ほらっ、姫川も食おう。折角作ってくれた飯が冷めちゃうよ。」
「あぁ・・・」
何も返せず、姫川はソワソワした気持ちのままスプーンを握った。
暫くの間カチャカチャとスプーンと皿がぶつかる音だけが室内に聞こえていた。

「さてと食って腹も満たされた事だし、賭けのご褒美でも貰おうかな。」
夕食後、テーブルを片付けて一段袼ついた頃合いに、正木がそう口を開いた。
その言葉に、食後の紅茶を用意しようとしていた姫川の手がピタッと止まった。
動揺で、持っていたカップを落としそうになり必死に握り直す。
どうしよう・・・
心臓が再びドキドキと音を立て始めた。

正木はキッチンで固まったままの姫川を見て一度口元を緩めると、座っていたソファから立ち上がった。
そして紅茶の用意をしてくれている姫川の背後に立つと、カップを持っている手に優しく自身の手を重ね合わせた。
それだけで姫川の体が跳ねる。
プルプルと微かに震えて見える姫川の体を見て、ゴクっと正木が唾を呑んだ。
こういう時の姫川は、普段とのギャップがあり過ぎて思わず興奮してしまう。
顔を真っ赤にして、緊張で震える唇に齧り付きたくて仕様がない。
少し赤く汗ばんだ頸に思いっきり跡を付けたい。
自分の欲望を思うままに姫川の中に注ぎ込みたい。
はぁぁぁ・・・
今にも崩壊しそうになる理性を何とか保つため、正木は大きく息を吐き出すと、姫川の背中に額をつけた。
ダメだ。落ち着け・・・
正木は自分に言い聞かせる。これ以上姫川を怖がらせてはいけないと。
姫川がどんなに怖い目に遭ったか正木は知っている。だから、その傷を自分が再び抉る事だけはしたくなかった。
正木は自分を落ち着かせるため、重ね合わせた手にグッと力を込めた。
そしてゆっくりと手を離すと後ろから姫川の顎を持ち自分と目が合うように振り向かせた。


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