大罪を極めし者〜天使の契約者〜

月読真琴

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第二十一話 不穏な空気

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冒険者ギルドから出てきてやることが無くなった暁たちは街をまわることにした。
「らっしゃーい、ビルク名物ビルク焼きだよ!」
「こっちは絞りたてのフルーツジュースだよ!」
「とにかくうまい!チキンバードの串肉焼きだよっ!」
街はとにかく活気に溢れていた。
「ルシ、何か買っていく、か。」
ルシがとてつもなくそう目を爛々に輝かせて屋台の料理を見ていた。
「おい、ルシどうした?」
「はっ!暁っ、はやくあの屋台の料理べに行こう!」
「おいっ!ルシ!待てって。」
俺はルシに引っ張られていかれた。
ちなみにルシは屋台でものすごく人気だった。
「おじさん、この串焼きちょうだい!」
「まいど!おっ嬢ちゃん美人だね?貴族様のお忍びかい?」
「ううん、私は貴族じゃないよ?」
「そうかい!じゃあ勘違いしたお詫びに串焼きおまけだっ!」
「ん、おじさんありがとう!」
「嬢ちゃん、こっちのスープも美味しいよ!」
「こっちのジュースもどうだい?」
「このパンも美味しいぞ!」
ルシが屋台に寄るたびにおまけなどをもらっていた。
そのことから暁は学んだことがある。
「可愛いはやっぱり正義だな。」
「?何か言った?」
「いんや、何も。」
あんなことがあったのに自分が可愛いと自覚がないのだろうか?
それとも自分が可愛いんじゃなくて、屋台のおじさん、おばさんが優しいと思っているのだろうか?
「暁っ、次いこ次!」
「はいはい、分かりましたよ、お嬢様っと。」
まあ、金はあの野郎から勝ち取ったのと賭けの分がある、のんびりと楽しむとしょうか。



その日の夜
「暁。話って何?」
「いや、今後どうするかルシからも意見を聞こうと思ってな。」
「?旅するんじゃないの?」
「いや、それもそうなんだが俺は冒険者のランクも上げていこうと思っている。」
「?何でAランクで十分じゃないの?」
「いや、不十分だ。」
「?何で?」
ルシは全く理解できないと言うかような顔をしていた。
「冒険者のランクを上げる理由だが、Aランクの上にはまだ三つのランクがあるよな?」
ルシはこくりとうなづいた。
「そうなると上のランクの者がまだAランクの俺のルシに対してちょっかいをかけてくるかもしれない。」
俺はルシのことは命をかけてでも守るつもりだが、そうなんどもめんどくさい奴と関わりたくない、おもに俺のメンタルが終わる。
「俺のルシ……」
「えっ?そこに反応するか?」
ルシは恍惚した表情を浮かべて今にも襲いかかってきそうだった。
話を切り上げないと俺が危ない。
「まあ、とにかく冒険者のランクを上げる理由は分かったか?」
「ん、理解したよ。」
「んじゃ、さっそく明日からやりますかぁ。」
そうして寝ようとすると、案の定ルシが襲いかかってきた。
そして俺は貪り食われた。
「あああぁぁぁぁ!」


冒険者ギルド
「…………」
「…………」
「レッドさん。」
「なんだ?」
「何でそんなにやつれているんですか?」
「聞かないでくれるかな?」
「は、はいわかりました。」
「それよりも、何か依頼はあるか?」
「そうですね、Aランク以上の依頼は中々無いですから。」
「そうか、わかったよ。」
「もしAランク以上の依頼がたくさんあるとしたら色々な国の首都に行った方がいいと思いますよ?」
「首都?何処にあるんだそれ?」
「そうですね、まずこの大陸には国が六つあります。」
王国アヴァロン
公国ニライカナイ
帝国シャンバラ
皇国エルドラド
聖国エデン
魔国セレン

「ちなみに一番近いのは王国のアヴァロンです。ここは王国の領地ですしね。」
「あっ、王国はパスで頼む。」
「え?あ、はいわかりました。では次に近いのは皇国エルドラドです。」
「ありがとう、じゃあそこに向かってみることにするよ。」
「そうですか、でも寂しくなりますね。」
「ははっ、いずれ戻ってくるよ!」
「はいっ、必ずですよ?」
「おおっ、必ずだ。」
「ああ、査定が終わっているんでした。合計で千三万Rリンです。」
結構儲かったな。
「ああ、ありがとう。」
「もう、出られるのですか?」
「そのつもりだよ。」
天使の翼ならすぐだからな。
「そうですか、では行ってらっしゃいませ、いずれまた会う日まで。」
「ああ、またな。」
その時だった。
バァァァン!扉が蹴って思い切り開かれた。
(なんだうるさいな、扉は静かに開けるもんだろ。)
暁だって初日にやっていたくせに全く覚えていないようだ。
「頼む!誰か!誰か!助けてくれ!」
叫んでいる少年の腕の中には傷だらけの少女がいた。
背中に大きな傷があった。
「頼むから、お願いします!誰か助けてください。」
少年は悲痛な表情で言っていた。
暁は近づいていったそして声をかけた。
「何をしたらそんなに傷つくんだ?」
「俺を庇ってサラは、」
「なんだ、お前を庇って死にかけているのか?」
「俺たちは森を探索していたら何故かゴブリンがたくさんいたんだ、その中には上位種のゴブリンナイトがいた。それで戦闘になったけど辛うじて勝てた、けど気づかなかったんだ!全滅させたと思っていたのにまだ一匹いたなんて!」
少年は声を荒げながらそう言った、だが暁は。
「知るかよそんなの、彼女はお前を庇って重傷を負った、お前は庇われて大した傷はない、ただそれだけだろ?ダサいなお前、男が守るべき女に守られるなんて。」
「っ!」
少年は泣いていた。
「大体な、前提が違うんだよ魔物がいるところに油断は許されねぇんだよ、常在戦場、常識だろうが。」
それに対して少年は。
「お、願いします、僕が間違えていました。なんでもします、だから、だから、サラを助けてください!」
少年は土下座をしていた。
「…………」
「レッド、私がやる。いや、もう私じゃないと間に合わない。」
暁は少し考えて。
「……わかった、任せるルシ。」
「ん、まかせて。」
ルシは少女に手をかざして、紡いだ。
「我は彼の者の痛みを許容しない、」
冒険者たちは驚いていた、
「お、独自詠唱オリジナルスペル。」
この世界には決まった詠唱での魔法の行使と独自詠唱での魔法の行使の二種類がある。
独自詠唱は使い手が少ない、なぜなら独自詠唱はとにかく詠唱が長いのだ。
それに魔法の最高峰である超級魔法よりも行使が難しい。
普通の詠唱は大体三節で構成される。
例えば上級魔法は
「望むは炎、全てを焼き尽くす、地獄の業火。」
などと短いが独自詠唱魔法は違う。
独自詠唱魔法は言霊を紡ぐのだ。
「我から大切な者を奪うことは許されない」
冒険者たちは固唾を呑んで見守っていた。
「それでもまだ奪うと言うのなら、」
少年はルシファーの姿に見惚れていた。
「私は死の運命に抗おう、」
そして詠唱は完成する。
「求むは彼の者の完璧なる治癒、全てを癒やす完治の雫!」
そして魔法が完成した。
慈愛の涙イスラフィール
ルシファーの指先から雫が一滴垂れた、
その雫がサラの上に落ちた、その瞬間サラの身体が光り輝いた。
冒険者たちが眩しさに目を逸らし、光が収まって恐る恐る目を開けると、そこには傷などまるで負っていなかったかのように綺麗に塞がっていた。
「サラっ、サラっ、起きてくれ!」
「ダメだよ?寝ているだけだから、ゆっくりと寝かしてあげて?」
少年はこくりと頷いた。
ルシファーはにっこりと笑った。
その笑顔が冒険者たちに響いたらしく、倒れ伏している冒険者が多数いた。
「女神だ。」
「そうだ、女神がいる。」
「慈愛の女神だ。」
慈愛の女神ラートリーだな。」
どうやらルシファーの二つ名も決まったらしい。
慈愛の女神か、まあルシにはピッタリなのかな?
「よかったなルシ、二つ名が付きそうだぞ?」
その言葉にルシは震えながら振り向いた。
「どうしよう、レッド、すごく恥ずかしい。」
「そうか、やっと俺の気持ちがわかったか。」
やっと仲間ができた俺だった。


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