13 / 14
第4章 トレイン
終宴
しおりを挟む
「機関長。頭のをパージします。
エンジン点火用意!」
バカみたいにクルクルまわっていても、カージマーそのものは25snという、惑星艦航行速度で移動し続けている。
もちろん、頭の巨大岩塊も、同じ速度で。
そこで推進器……スラスターと紛らわしいから「エンジン」と呼ぶことにするけれども、岩塊と切り離したあと、エンジンによって別方向に飛べば、それだけでパージができる。
今までエンジンを使わなかったのは、頭の岩塊が重すぎて、意味がなかったから。
無意味な上にコストはアホほどかさみ、さらに精密で爆発リスクまであるとなれば、使うのはバカだけだ。
「エンジン、ルートチェッククリア! オールグリーン!」
次席機関士の声が響く。
今までは主にレーダーを見てもらっていたけれども、エンジンを動かしている間は、エンジンをなだめるのが機関士の役割だ。
ようやくの出番に、心なし声が弾んで聞こえる。
余談になるけれども、スラスターのみで宇宙を渡るトレインの多くは、機関士を乗せていない。
面倒を見るべきエンジン自体がないのだから。
「岩塊のロック開放。
とんでけー!」
私はそう言ったが、第三者的には、全く変化は見られなかっただろう。
カージマーの上には、相変わらず巨大な岩塊が載ったままなのだから。
「ロック解放確認。エンジン微速よーし!」
「距離300メートルで回頭。
火星に向けて最短コース!」
そう言ったところで、副長からチェックが入った。
「距離のカウントはこちらでやります。
船長は全体指示に専念してください」
くそー。
なんつーか、カウントの読み上げ、好きやのに……。
あ。そか。
「カウントはこちら。
副長はコースと加速を計算して!
30snで火星に戻るけど、定加速で6時間!」
カウントは、ヒマと席次を勘案して、余裕があるスタッフが行う。
それだけだと船務長になってしまうけれども、彼ほどそれに向かない人間も珍しいだろう。
そこで、私と副長が取り合っていて……仕事を押しつければ、私がカウントを読み上げられる!
「定加速で6時間かけて30sn」というのは、実はすぐに出せる。
計算式どころか、「6」「3」「0」と3回タイプするだけだ。
この場合、重要なのは「6」。
この船の乗組員は6つの班に分かれていて、それぞれ時間差をつけて休憩を取る。
つまり、どの班も1時間の「Gのある休憩時間」がとれる。
「加速中」にはGが発生するのだから。
たった1時間にすぎないけれども、人類と人類文明は、重力に最適化されて成長してきた。
というとご立派だが、要は「自室で、蓋なしのビールをがぶ飲みできる」ってことで、これがどれほどの贅沢かを知っているのは船乗りだけだ。
あるいはシャワー。
惑星やコロニーには、ぶつけた水滴が、自重で足下に流れる快感に気がついていない連中が多すぎる。
「ふぅ」
副長がため息をついて「カウント、どうぞ」と、肩をすくめた。
勝った! と思って手元ディスプレイを見て、思わず言葉を失いそうになった。
表示されている数字は「260」。
……あのやろう!
つとめて表情に出さないようにして、私はカウントを読み上げた。
「距離270…280…290…回頭はじめ!」
ゆっくりと、下から上に向けてのGを感じた。
副長が左手の親指を、これ見よがしに立てているのも見逃さなかった。
バカヤロウ!
とまれ。船内放送をオンにして、全員に伝えなければ。
「回頭に約10分。
その後6時間かけて定加速します。
休憩は1時間の時間差をあけて6班。
帰るよー!」
船全体が揺れたかと思うような、乗組員の歓声が聞こえた気がした。
エンジンの面倒を次席機関士に預けて、やはりレーダーに見入っていた機関長が、不意に声を上げた。
「周囲の船、デブリを躱しました」
そりゃあそうだ。
0.8光秒もの距離があれば、じつは当たる方が難しい。
相対的な航路を維持しつつ、つかず離れずをキープするのと、紙一重で躱すのが……その演技が難しいだけだ。
直径数キロメートルの岩石といっても、宇宙ははるかに広大で、あえてぶつかりに来なければ……それでも避けなければ当たる可能性があるところに投げたんだけど。
繰り返すが、パージしたデブリが直接ぶつかれば、ぶつけた側、つまりカージマーは無限責任を求められる。
だから「避けてくれる」という信頼のもとで、「迷惑」をばらまいたんだ。
「が、1隻だけ、ミサイルや機銃でデブリを迎撃している船がいます」
「アホなん?」
「デブリ群と船の延長線上に、コロニーがあります」
あ……。
船でデブリを躱すのは簡単だけれども、コロニーは鈍くて、的も大きい。
しかも非武装か、あっても貧弱だ。
そのコロニーへのダメージを最小にするため、あの船は単独で、むなしい戦闘をしてるんだ。
やーって、どんなに撃っても相手は1人も死なず、速度も遅くならない。
デブリを砕いてより小さくし、コロニーへのダメージを最小化したところで、勲章の1つももらえるはずもない。
そのくせ、小さく砕いたと言っても、1メートルクラスのデブリなら、確実に船にダメージを与える。
ハイリスクノーリターンの戦い。
国家、まして軍隊に属していると、しばしばこんな理不尽に遭遇する。
それがイヤでカージマーに来た乗組員は、かなり多い。
とは言え。
「あれ。コロニーや船に当たったら、私ら怒られるかなー」
つぶやく私に、さっきまでの操船に高揚した副長が、ややうわずった声で、しれっと応えた。
「ミサイルのせいで軌道が変わったって言えば……弁護士の腕次第でしょうか。
それでも数年はかかるでしょうし、裁判は火星になります」
なるほど。
内戦真っ最中の木星で「国際裁判」ができるはずもないし、「発注主」や地の利を考えたら、かりに訴訟を起こされても、まず負けない。
そもそも、「この船」を相手に単独のコロニー国家が訴訟を起こしたところで、たとえ勝訴したとしても、逆恨みされて、コロニーもろともデブリの仲間入りさせられてしまうリスクは、かなり高い。
なにせ、ついさっきまで頭の上に載せていた岩塊のほうが、あのコロニーよりも大きいんだ。
そのスタイルで、目がけて突っ込んでこられたら、躱すすべはないのだから。
ハイリスクノーリターンの理不尽は、そう、「国家」も背負っている。
「あー。多数決を取ります」
私は船橋のみんなに声をかけた。
「本船は定加速中で、救援のため航路を変えるとなると、精密な軌道の再計算と、油断している乗組員のケガも予想されます。
そのうえで……気がつかなかった人は挙手!」
もちろん全員が手を上げた。
「んじゃ、誰も気がつかなかったってことで、みんなテキトーにしてよし」
さーて。火星に帰ろう。
●火星某テレビ局のドキュメンタリー取材より
「当局取材陣の乗り合わせた貨客船「K」号は、その航海の中で、運良く数々の事故をすりぬけたらしい。
窓もない船内客室からは知るすべもないが、前後に発生した事故を調べると、航海の航路周辺で、同時期にコロニーの損傷4,軍艦の損傷3が確認されている。
数回、激しい揺れや重力方向の激変はあったが、それらの事故との遭遇を回避したのだろう。
その上で、なんら問題なく、1名の死傷者も出さず、木星と火星を往復した「K」号は、非常な幸運船と呼べよう。
あるいは、コロニーや軍艦の損傷が「事故」ではなく「作為」であったとすれば、それは木星における内戦の悲惨さを示している。
我々は1日も早く、木星に平和な日々が戻ることを、心から希求する」
エンジン点火用意!」
バカみたいにクルクルまわっていても、カージマーそのものは25snという、惑星艦航行速度で移動し続けている。
もちろん、頭の巨大岩塊も、同じ速度で。
そこで推進器……スラスターと紛らわしいから「エンジン」と呼ぶことにするけれども、岩塊と切り離したあと、エンジンによって別方向に飛べば、それだけでパージができる。
今までエンジンを使わなかったのは、頭の岩塊が重すぎて、意味がなかったから。
無意味な上にコストはアホほどかさみ、さらに精密で爆発リスクまであるとなれば、使うのはバカだけだ。
「エンジン、ルートチェッククリア! オールグリーン!」
次席機関士の声が響く。
今までは主にレーダーを見てもらっていたけれども、エンジンを動かしている間は、エンジンをなだめるのが機関士の役割だ。
ようやくの出番に、心なし声が弾んで聞こえる。
余談になるけれども、スラスターのみで宇宙を渡るトレインの多くは、機関士を乗せていない。
面倒を見るべきエンジン自体がないのだから。
「岩塊のロック開放。
とんでけー!」
私はそう言ったが、第三者的には、全く変化は見られなかっただろう。
カージマーの上には、相変わらず巨大な岩塊が載ったままなのだから。
「ロック解放確認。エンジン微速よーし!」
「距離300メートルで回頭。
火星に向けて最短コース!」
そう言ったところで、副長からチェックが入った。
「距離のカウントはこちらでやります。
船長は全体指示に専念してください」
くそー。
なんつーか、カウントの読み上げ、好きやのに……。
あ。そか。
「カウントはこちら。
副長はコースと加速を計算して!
30snで火星に戻るけど、定加速で6時間!」
カウントは、ヒマと席次を勘案して、余裕があるスタッフが行う。
それだけだと船務長になってしまうけれども、彼ほどそれに向かない人間も珍しいだろう。
そこで、私と副長が取り合っていて……仕事を押しつければ、私がカウントを読み上げられる!
「定加速で6時間かけて30sn」というのは、実はすぐに出せる。
計算式どころか、「6」「3」「0」と3回タイプするだけだ。
この場合、重要なのは「6」。
この船の乗組員は6つの班に分かれていて、それぞれ時間差をつけて休憩を取る。
つまり、どの班も1時間の「Gのある休憩時間」がとれる。
「加速中」にはGが発生するのだから。
たった1時間にすぎないけれども、人類と人類文明は、重力に最適化されて成長してきた。
というとご立派だが、要は「自室で、蓋なしのビールをがぶ飲みできる」ってことで、これがどれほどの贅沢かを知っているのは船乗りだけだ。
あるいはシャワー。
惑星やコロニーには、ぶつけた水滴が、自重で足下に流れる快感に気がついていない連中が多すぎる。
「ふぅ」
副長がため息をついて「カウント、どうぞ」と、肩をすくめた。
勝った! と思って手元ディスプレイを見て、思わず言葉を失いそうになった。
表示されている数字は「260」。
……あのやろう!
つとめて表情に出さないようにして、私はカウントを読み上げた。
「距離270…280…290…回頭はじめ!」
ゆっくりと、下から上に向けてのGを感じた。
副長が左手の親指を、これ見よがしに立てているのも見逃さなかった。
バカヤロウ!
とまれ。船内放送をオンにして、全員に伝えなければ。
「回頭に約10分。
その後6時間かけて定加速します。
休憩は1時間の時間差をあけて6班。
帰るよー!」
船全体が揺れたかと思うような、乗組員の歓声が聞こえた気がした。
エンジンの面倒を次席機関士に預けて、やはりレーダーに見入っていた機関長が、不意に声を上げた。
「周囲の船、デブリを躱しました」
そりゃあそうだ。
0.8光秒もの距離があれば、じつは当たる方が難しい。
相対的な航路を維持しつつ、つかず離れずをキープするのと、紙一重で躱すのが……その演技が難しいだけだ。
直径数キロメートルの岩石といっても、宇宙ははるかに広大で、あえてぶつかりに来なければ……それでも避けなければ当たる可能性があるところに投げたんだけど。
繰り返すが、パージしたデブリが直接ぶつかれば、ぶつけた側、つまりカージマーは無限責任を求められる。
だから「避けてくれる」という信頼のもとで、「迷惑」をばらまいたんだ。
「が、1隻だけ、ミサイルや機銃でデブリを迎撃している船がいます」
「アホなん?」
「デブリ群と船の延長線上に、コロニーがあります」
あ……。
船でデブリを躱すのは簡単だけれども、コロニーは鈍くて、的も大きい。
しかも非武装か、あっても貧弱だ。
そのコロニーへのダメージを最小にするため、あの船は単独で、むなしい戦闘をしてるんだ。
やーって、どんなに撃っても相手は1人も死なず、速度も遅くならない。
デブリを砕いてより小さくし、コロニーへのダメージを最小化したところで、勲章の1つももらえるはずもない。
そのくせ、小さく砕いたと言っても、1メートルクラスのデブリなら、確実に船にダメージを与える。
ハイリスクノーリターンの戦い。
国家、まして軍隊に属していると、しばしばこんな理不尽に遭遇する。
それがイヤでカージマーに来た乗組員は、かなり多い。
とは言え。
「あれ。コロニーや船に当たったら、私ら怒られるかなー」
つぶやく私に、さっきまでの操船に高揚した副長が、ややうわずった声で、しれっと応えた。
「ミサイルのせいで軌道が変わったって言えば……弁護士の腕次第でしょうか。
それでも数年はかかるでしょうし、裁判は火星になります」
なるほど。
内戦真っ最中の木星で「国際裁判」ができるはずもないし、「発注主」や地の利を考えたら、かりに訴訟を起こされても、まず負けない。
そもそも、「この船」を相手に単独のコロニー国家が訴訟を起こしたところで、たとえ勝訴したとしても、逆恨みされて、コロニーもろともデブリの仲間入りさせられてしまうリスクは、かなり高い。
なにせ、ついさっきまで頭の上に載せていた岩塊のほうが、あのコロニーよりも大きいんだ。
そのスタイルで、目がけて突っ込んでこられたら、躱すすべはないのだから。
ハイリスクノーリターンの理不尽は、そう、「国家」も背負っている。
「あー。多数決を取ります」
私は船橋のみんなに声をかけた。
「本船は定加速中で、救援のため航路を変えるとなると、精密な軌道の再計算と、油断している乗組員のケガも予想されます。
そのうえで……気がつかなかった人は挙手!」
もちろん全員が手を上げた。
「んじゃ、誰も気がつかなかったってことで、みんなテキトーにしてよし」
さーて。火星に帰ろう。
●火星某テレビ局のドキュメンタリー取材より
「当局取材陣の乗り合わせた貨客船「K」号は、その航海の中で、運良く数々の事故をすりぬけたらしい。
窓もない船内客室からは知るすべもないが、前後に発生した事故を調べると、航海の航路周辺で、同時期にコロニーの損傷4,軍艦の損傷3が確認されている。
数回、激しい揺れや重力方向の激変はあったが、それらの事故との遭遇を回避したのだろう。
その上で、なんら問題なく、1名の死傷者も出さず、木星と火星を往復した「K」号は、非常な幸運船と呼べよう。
あるいは、コロニーや軍艦の損傷が「事故」ではなく「作為」であったとすれば、それは木星における内戦の悲惨さを示している。
我々は1日も早く、木星に平和な日々が戻ることを、心から希求する」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる