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第4章 「木星」
DDH-24
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「まぁ、こちらを」
アンドリューの言葉に合わせて、執事長が手元を操作する。
連中の背中の壁紙が消え、どこかの造船所ドックが映し出された。
ライトグレイの船に、何人もの作業員がとりついている。
「ほう。DDH22か。これもリンドバーグの造船所で作ってたのか?」
DDH22というのは、全長およそ250m、幅40mもある大型クルーザーだ。
「幅」と言ったのは、ライフル弾を縦に真っ二つに割ったような形状をしていて、正面から見ると半月型をしているから。
クルーザータイプの船は、どうやっても船体よりも大きなカーゴスペースは持てないが、この形状なら、平面部分を活用すれば、その制限を超えられる。
貴重品や人間は船内に収容し、比較的安価な貨物を外に出すことで、1回の搬送量を飛躍的に増やすことが可能だ。
もっとも、メリットがあればデメリットもある。
船内スペースが真円型と比べて単純に半分になるのだから、高い単価を得られる貴重品などの運搬量も半分になる。
貨物運搬をコストだけで比較すれば、かえって割高につきかねない。
さらに、アルミニウム粉末の爆発燃焼による推進は、高加速と高速度、さらに自由な航路や姿勢の制御が得られるが、スラスターを使うトレインとは桁違いのコストがかかる。
つまり、単純に「惑星間輸送船」と考えるなら、中途半端のそしりは免れない。
が。それも運用だ。
平面甲板にレールガンを並べれば凄まじい火力を持つ砲艦となるし、ミサイルボッドを敷き詰めれば、その火力は戦艦に匹敵する。
あるいはボートを並べて強襲揚陸艦にもできる。
つまり、「民間輸送船」ではなく「軍艦」とするなら、まさに万能艦のベースだ。
戦況と必要に応じて、小改造であらゆる状況に投入できる。
それもあって、一見すると脆弱に見える平甲板でさえカージマーの正面装甲よりも分厚い。
ほかの船殻については、言うまでもないだろう。
そうなると、主な納入先も見えてくる。軍だ。
俺の感想に、アンドリューは「DDH24や」と応えた。
それを執事長が引き継ぐ。
「DDH22をベースに燃焼効を率向上させて、燃費と速度を改善しております。
ランニングコストだけで言うならば、DDH22よりも3割は良くなっております」
「で? 自慢か?」
「カトリーナお嬢様をお連れくださったお礼として、こちらを受け取っていただけませんでしょうか?」
「あははははは。バカか、アンタら!
俺にガキを売れってか? なめるなよ!」
怒鳴り声を上げて立ち上がる俺を、ガキがきらきらした目で見る。
が、テーブルを挟んだ向こう側は、無表情を装っている。
「あくまでも『お連れいただいたお礼』です。
一緒にまた旅に出られるのでしたら、特にお止め致しません」
「はぁ?」
「回りくどい言い方じゃなくて、ストレートに話をするんじゃなかったのか?」
アンドリューが、低く小さく声を出した。
「カトリーナが生きようなら、それ以上の喜びはあらひん。
あとは、『委任状』さえもらえるんなら、クワジマさんが好きにしたらええて。
妹に世界を見せてやってもらえひんやろか?
この船は今までの報酬いうか感謝の気持ちゆーことで。
委任状には別途、さらに大きう上乗せしましょうという話やけど?」
話が噛み合っていないが……?
いや! 俺とガキを男女の関係とみて、「別れさせるような野暮は言わないから、委任状、つまり1票を渡せ」か。
男女の愛憎が絡めば、時に利害を無視することもあり得る。
その不確定要素をはぶいて、アメの上にアメを山盛りしやがったんだ。
逆に……深読みが過ぎるかもしれないが、「宇宙を見せる」を「宇宙に放り出す」と言い換えるなら、しっかり鞭もある。
ガキを見る。
ガキはコクンと頷くと、ニヤリと笑った。
「おっちゃん、自分で言うてたやん?
何も即答せずに、とりあえず持ち帰って検討しろって。
今回はアカンの?」
そうか。舞台装置と報酬の巨大さに圧倒されていたが、基本は同じだ。
「……だな。少し考えさせてもらおう」
「こちらの提示できるものは致しましたが……足りないとおっしゃるのでしたら、可能な限り努力します」
執事長の発言に、ガキがケラケラと声をあげて笑った。
「ホンマや。即答が欲しいときほど、相手は焦ってるって」
「だろ? 相手のペースに合わせる必要はない。
木星の公転みたいにスピードが変わらないものならともかく、相手は船でさえないんだ。
こちらのペースを守ること。船乗りの基本だな」
ああ。俺の方が自分のペースを見失っていた。
ガキが……ガキだからこそというべきか、俺の言いつけだけをしっかり守っていたんだ。
……助けられたか。
「そういうことだ。話が大きすぎて、即答するには手に余る。
少し考えさせて欲しい。
まぁ、俺ももう純真無垢な青少年じゃないし、アンタらと反目するようなバカな目は出さないから、油断してもらっていいぜ。
ただ、少し整理して考える時間は欲しい。
明後日の朝までには、たぶん期待に添える返事ができると思う」
そういうと、ガキを見た。
ガキは発泡酒のグラスに口をつけようとして、思わず離した。
「くっさー! なんか鼻? 目がしばしばする」
アルコールはまだ早かったか。
「そうだな。とりあえず今は、ノンアルコールのジュースを出してくれ」
言い終わって、俺は鶏の足を直接手に持ち、かぶりついた。
「あー! それアリなんや!」
ガキがすぐ真似る。
アンドリューと執事長は顔を見合わせ、どちらからともなく、首を横に振った。
ドローくらいには持ち込めたようだな。
食事が終わると、個室に案内された。
俺とガキはそれぞれ廊下を挟んだ別の部屋に案内されたが、「同室だ!」と言うと、あっさり受け入れられた。
やはり勘違いされている。
通された部屋は、幅も奥行きも20mもの広さがあり、天井の高さも3m以上ある。
天蓋つきのダブルベッドが2つと、隅にはトイレとバスルームもあった。
ソファとテーブルで区切っているが、巨大な「一部屋」だ。
角にはバーカウンターまでありやがる。
俺はソファに腰を下ろすと、ガキの話を聞いてみたが、相手はガキをガキと思い込んだのか、具体的な話を碌にしていなかったらしく、それで「サインしろ」だの何だの言ってきたので、かなりムカついたらしい。
慌ててドレスやらメイクをして、機嫌を取ろうとしたのか。
逆効果だ。
これくらいの年齢の時は、ガキ扱いされることを何よりも嫌う。
とはいえ、女は女で、見た目の激変に自分で驚き、多少はマシになったらしいが……そこまでだ。
こちらも、ガキが181票のうちの1票の選挙権と、ついでに被選挙権があるらしいことを教えた。
当事者のガキにとっては初耳だったらしく、さらに表情が険しくなった。
……だけだ。
情報交換も終わったところで、俺は部屋の隅に置かれていたノートパソコンに気がつき、ブックメイカーのサイトにアクセスした。
たしか地球ではそろそろ、何百年も前からある大きな競馬のレースがあるはず。
太陽系ではもっとも権威のあるレースの1つだ。
オッズを見て……さすがにベットはしなかった。
他人のパソコンで、銀行口座やカード情報に直接繋がっているIDを入れるのはバカだけだ。
「おっちゃんもオッサンなんやな。競馬するんや」
ガキのぼやきを流しつつ、サイトをスクロールする。
ブックメイカーは、何でも賭けの対象にする。
競馬の勝敗はもちろん、コロニーの選挙から、芸能人が生む子供の性別まで。
「勝てそうなバクチあるん?」
俺は笑って応えた。
「バクチはな。実際に儲かるかどうかじゃなくて、想像するだけでも面白いんだ」
きょとんとするガキに、噛んで含めるように言った。
「このコロニー。火星の小さなコロニーの選挙だが、何十年も与党をやっていたのが負けそうだ」
「あー。配当が与党のが高いのが……それ?」
さすがに地頭がいい。
「じゃ、木星の『選挙』予想も見てみるか」
「!」
ガキが息をのむ。
通じたか。
俺たちが今一番気になる「選挙」と言えば、リンドバーグ家の次期当主選だ。
当事者達は極秘のつもりだろうが、ブックメイカーはそこらの国家の諜報部よりも情報収集力がある。
それに張る「客」も、それなりの地位と情報を持っている連中だ。
オッズを見れば優劣も逆読みできる。
まず、一番オッズが低いのは、正妻の長男で兄妹全体では2番目になるヤツ。
次が、兄妹全部の長男だが側室の息子だ。
アンドリューは3番目か。
が、1番手でもオッズは3倍に近く、2番手との差はそうない。
それから少し離れているが、アンドリューも5倍もはついていない。
ちなみにガキは、名前すらないが。
俺も船に乗るまでは、何度か選挙に行って投票した。
そのあとは、もっぱらブックメイカーで賭けているだけだが、数字から多少は状況が読める。
まず、1番手だが、過半数には届いていない。
絶対多数と相対多数では、影響力が全く違う。
2番手はさらに票が少ないが、浮動票や他候補の動き次第では目がある。
3番目のアンドリューは、事実上目がないと読んでいい。
が……アンドリューが2番手候補と組めば逆転もあり得るし、1番手と組めば絶対多数となる。
となると、誰にどれほど高く売るかだ。
181の票のうち半数近くは、勝ち馬に乗ろうという日和見だろう。
単純化して100票が動いていると考えれば、3番手のアンドリューが持っているのは10票か、あって20票だろう。
となると、ガキの1票はアンドリューにとって1/181ではなく1/10の重さを持つ。
リンドバーグ家の当主選出のキーマン、あるいは右腕ともなれば、コロニーのオーナーよりも絶対的な権力者となり得る。
それこそ、DDH22……24だったかなんて、端数とも呼べないような端金だ。
アンドリューの言葉に合わせて、執事長が手元を操作する。
連中の背中の壁紙が消え、どこかの造船所ドックが映し出された。
ライトグレイの船に、何人もの作業員がとりついている。
「ほう。DDH22か。これもリンドバーグの造船所で作ってたのか?」
DDH22というのは、全長およそ250m、幅40mもある大型クルーザーだ。
「幅」と言ったのは、ライフル弾を縦に真っ二つに割ったような形状をしていて、正面から見ると半月型をしているから。
クルーザータイプの船は、どうやっても船体よりも大きなカーゴスペースは持てないが、この形状なら、平面部分を活用すれば、その制限を超えられる。
貴重品や人間は船内に収容し、比較的安価な貨物を外に出すことで、1回の搬送量を飛躍的に増やすことが可能だ。
もっとも、メリットがあればデメリットもある。
船内スペースが真円型と比べて単純に半分になるのだから、高い単価を得られる貴重品などの運搬量も半分になる。
貨物運搬をコストだけで比較すれば、かえって割高につきかねない。
さらに、アルミニウム粉末の爆発燃焼による推進は、高加速と高速度、さらに自由な航路や姿勢の制御が得られるが、スラスターを使うトレインとは桁違いのコストがかかる。
つまり、単純に「惑星間輸送船」と考えるなら、中途半端のそしりは免れない。
が。それも運用だ。
平面甲板にレールガンを並べれば凄まじい火力を持つ砲艦となるし、ミサイルボッドを敷き詰めれば、その火力は戦艦に匹敵する。
あるいはボートを並べて強襲揚陸艦にもできる。
つまり、「民間輸送船」ではなく「軍艦」とするなら、まさに万能艦のベースだ。
戦況と必要に応じて、小改造であらゆる状況に投入できる。
それもあって、一見すると脆弱に見える平甲板でさえカージマーの正面装甲よりも分厚い。
ほかの船殻については、言うまでもないだろう。
そうなると、主な納入先も見えてくる。軍だ。
俺の感想に、アンドリューは「DDH24や」と応えた。
それを執事長が引き継ぐ。
「DDH22をベースに燃焼効を率向上させて、燃費と速度を改善しております。
ランニングコストだけで言うならば、DDH22よりも3割は良くなっております」
「で? 自慢か?」
「カトリーナお嬢様をお連れくださったお礼として、こちらを受け取っていただけませんでしょうか?」
「あははははは。バカか、アンタら!
俺にガキを売れってか? なめるなよ!」
怒鳴り声を上げて立ち上がる俺を、ガキがきらきらした目で見る。
が、テーブルを挟んだ向こう側は、無表情を装っている。
「あくまでも『お連れいただいたお礼』です。
一緒にまた旅に出られるのでしたら、特にお止め致しません」
「はぁ?」
「回りくどい言い方じゃなくて、ストレートに話をするんじゃなかったのか?」
アンドリューが、低く小さく声を出した。
「カトリーナが生きようなら、それ以上の喜びはあらひん。
あとは、『委任状』さえもらえるんなら、クワジマさんが好きにしたらええて。
妹に世界を見せてやってもらえひんやろか?
この船は今までの報酬いうか感謝の気持ちゆーことで。
委任状には別途、さらに大きう上乗せしましょうという話やけど?」
話が噛み合っていないが……?
いや! 俺とガキを男女の関係とみて、「別れさせるような野暮は言わないから、委任状、つまり1票を渡せ」か。
男女の愛憎が絡めば、時に利害を無視することもあり得る。
その不確定要素をはぶいて、アメの上にアメを山盛りしやがったんだ。
逆に……深読みが過ぎるかもしれないが、「宇宙を見せる」を「宇宙に放り出す」と言い換えるなら、しっかり鞭もある。
ガキを見る。
ガキはコクンと頷くと、ニヤリと笑った。
「おっちゃん、自分で言うてたやん?
何も即答せずに、とりあえず持ち帰って検討しろって。
今回はアカンの?」
そうか。舞台装置と報酬の巨大さに圧倒されていたが、基本は同じだ。
「……だな。少し考えさせてもらおう」
「こちらの提示できるものは致しましたが……足りないとおっしゃるのでしたら、可能な限り努力します」
執事長の発言に、ガキがケラケラと声をあげて笑った。
「ホンマや。即答が欲しいときほど、相手は焦ってるって」
「だろ? 相手のペースに合わせる必要はない。
木星の公転みたいにスピードが変わらないものならともかく、相手は船でさえないんだ。
こちらのペースを守ること。船乗りの基本だな」
ああ。俺の方が自分のペースを見失っていた。
ガキが……ガキだからこそというべきか、俺の言いつけだけをしっかり守っていたんだ。
……助けられたか。
「そういうことだ。話が大きすぎて、即答するには手に余る。
少し考えさせて欲しい。
まぁ、俺ももう純真無垢な青少年じゃないし、アンタらと反目するようなバカな目は出さないから、油断してもらっていいぜ。
ただ、少し整理して考える時間は欲しい。
明後日の朝までには、たぶん期待に添える返事ができると思う」
そういうと、ガキを見た。
ガキは発泡酒のグラスに口をつけようとして、思わず離した。
「くっさー! なんか鼻? 目がしばしばする」
アルコールはまだ早かったか。
「そうだな。とりあえず今は、ノンアルコールのジュースを出してくれ」
言い終わって、俺は鶏の足を直接手に持ち、かぶりついた。
「あー! それアリなんや!」
ガキがすぐ真似る。
アンドリューと執事長は顔を見合わせ、どちらからともなく、首を横に振った。
ドローくらいには持ち込めたようだな。
食事が終わると、個室に案内された。
俺とガキはそれぞれ廊下を挟んだ別の部屋に案内されたが、「同室だ!」と言うと、あっさり受け入れられた。
やはり勘違いされている。
通された部屋は、幅も奥行きも20mもの広さがあり、天井の高さも3m以上ある。
天蓋つきのダブルベッドが2つと、隅にはトイレとバスルームもあった。
ソファとテーブルで区切っているが、巨大な「一部屋」だ。
角にはバーカウンターまでありやがる。
俺はソファに腰を下ろすと、ガキの話を聞いてみたが、相手はガキをガキと思い込んだのか、具体的な話を碌にしていなかったらしく、それで「サインしろ」だの何だの言ってきたので、かなりムカついたらしい。
慌ててドレスやらメイクをして、機嫌を取ろうとしたのか。
逆効果だ。
これくらいの年齢の時は、ガキ扱いされることを何よりも嫌う。
とはいえ、女は女で、見た目の激変に自分で驚き、多少はマシになったらしいが……そこまでだ。
こちらも、ガキが181票のうちの1票の選挙権と、ついでに被選挙権があるらしいことを教えた。
当事者のガキにとっては初耳だったらしく、さらに表情が険しくなった。
……だけだ。
情報交換も終わったところで、俺は部屋の隅に置かれていたノートパソコンに気がつき、ブックメイカーのサイトにアクセスした。
たしか地球ではそろそろ、何百年も前からある大きな競馬のレースがあるはず。
太陽系ではもっとも権威のあるレースの1つだ。
オッズを見て……さすがにベットはしなかった。
他人のパソコンで、銀行口座やカード情報に直接繋がっているIDを入れるのはバカだけだ。
「おっちゃんもオッサンなんやな。競馬するんや」
ガキのぼやきを流しつつ、サイトをスクロールする。
ブックメイカーは、何でも賭けの対象にする。
競馬の勝敗はもちろん、コロニーの選挙から、芸能人が生む子供の性別まで。
「勝てそうなバクチあるん?」
俺は笑って応えた。
「バクチはな。実際に儲かるかどうかじゃなくて、想像するだけでも面白いんだ」
きょとんとするガキに、噛んで含めるように言った。
「このコロニー。火星の小さなコロニーの選挙だが、何十年も与党をやっていたのが負けそうだ」
「あー。配当が与党のが高いのが……それ?」
さすがに地頭がいい。
「じゃ、木星の『選挙』予想も見てみるか」
「!」
ガキが息をのむ。
通じたか。
俺たちが今一番気になる「選挙」と言えば、リンドバーグ家の次期当主選だ。
当事者達は極秘のつもりだろうが、ブックメイカーはそこらの国家の諜報部よりも情報収集力がある。
それに張る「客」も、それなりの地位と情報を持っている連中だ。
オッズを見れば優劣も逆読みできる。
まず、一番オッズが低いのは、正妻の長男で兄妹全体では2番目になるヤツ。
次が、兄妹全部の長男だが側室の息子だ。
アンドリューは3番目か。
が、1番手でもオッズは3倍に近く、2番手との差はそうない。
それから少し離れているが、アンドリューも5倍もはついていない。
ちなみにガキは、名前すらないが。
俺も船に乗るまでは、何度か選挙に行って投票した。
そのあとは、もっぱらブックメイカーで賭けているだけだが、数字から多少は状況が読める。
まず、1番手だが、過半数には届いていない。
絶対多数と相対多数では、影響力が全く違う。
2番手はさらに票が少ないが、浮動票や他候補の動き次第では目がある。
3番目のアンドリューは、事実上目がないと読んでいい。
が……アンドリューが2番手候補と組めば逆転もあり得るし、1番手と組めば絶対多数となる。
となると、誰にどれほど高く売るかだ。
181の票のうち半数近くは、勝ち馬に乗ろうという日和見だろう。
単純化して100票が動いていると考えれば、3番手のアンドリューが持っているのは10票か、あって20票だろう。
となると、ガキの1票はアンドリューにとって1/181ではなく1/10の重さを持つ。
リンドバーグ家の当主選出のキーマン、あるいは右腕ともなれば、コロニーのオーナーよりも絶対的な権力者となり得る。
それこそ、DDH22……24だったかなんて、端数とも呼べないような端金だ。
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