36 / 37
第三十五話 リディア・マクベール
しおりを挟む
「か、かしこまりました!」
「慌てなくていいですよー」
女子生徒はお辞儀をすると、ぱたぱたとお菓子のテーブルへと駆けて行った。
「彼女、一年生ですよね?」
「リディアさん? ええ、後輩ですわ」
「リディア嬢とおっしゃるの」
「ええ。リディア・マクベールさん。マクベール男爵家のご令嬢ですわ」
「──へぇ」
リディア・マクベール嬢ね。
私は彼女の方を見た。
お皿を手にどのお菓子を取ろうか迷っているようだ。
控えめというか、気弱そうな感じの子だ。
私は席を立った。
「エルシカ様?」
「やっぱり、自分で選んで来ますね!」
「──そうですか」
そう言って、私はお菓子のテーブルへと向かった。
「マクベール嬢」
「ひゃあ! え、エルシカ様! どうしてこちらに?」
声を掛けると、マクベール嬢はこっちがびっくりするくらい驚いた。
おどおどしながら、こちらを振り向いてくる。
私は、警戒されないように人の良い笑みを浮かべて、マクベール嬢に話し掛けた。
「ちょっと、貴女とお話したくて」
「私と・・・・・・ですか・・・・・・? あの、どうして私の名前──」
「ロードレス嬢から伺いました」
「そうですか。それで、その、私にお話とは──?」
「うーん、そうね。何からお話ししましょうか? ・・・・・・んー、あ、ダメだ。やっぱり、私ってこういうの向かないみたい」
「はい?」
性格的に駆け引きや探りを入れるのが性に合わないんだよねぇ。そもそも苦手。
こう、ガーンっといって、えいやって感じの単純明快なのが好き。
何事も正面切ってやれば、手っ取り早く解決すると思うのに、何で人って遠回りしたがるのかしら?
こんな思考の私なので、話術で訊きたいことを引き出すという作戦は早々に諦め、マクベール嬢に言った。
「ねぇ、マクベール嬢。貴女、例の毒入りクッキーのことで、何か知ってることがあるんじゃありませんか?」
被害者の会の令嬢たちに、昼休みに毒を盛ったのは貴女たちかと訊いた時、確かに見たのだ。
このマクベール嬢が尋常ではない程、怯えていたのを。本人が気弱な気性というのを差し引いても、あの怯え方は普通じゃない。死人のように顔を真っ白にして、何かがバレるのを恐れていた。
「・・・・・・え・・・・・・?」
みるみると、マクベール嬢の顔に恐怖が滲み、広がる。
手が震え、持っている食器がカタカタと音を立てていた。
やっぱり、何か知ってるっぽい。けれど、こんな子が毒を盛った犯人なのかしら?
「慌てなくていいですよー」
女子生徒はお辞儀をすると、ぱたぱたとお菓子のテーブルへと駆けて行った。
「彼女、一年生ですよね?」
「リディアさん? ええ、後輩ですわ」
「リディア嬢とおっしゃるの」
「ええ。リディア・マクベールさん。マクベール男爵家のご令嬢ですわ」
「──へぇ」
リディア・マクベール嬢ね。
私は彼女の方を見た。
お皿を手にどのお菓子を取ろうか迷っているようだ。
控えめというか、気弱そうな感じの子だ。
私は席を立った。
「エルシカ様?」
「やっぱり、自分で選んで来ますね!」
「──そうですか」
そう言って、私はお菓子のテーブルへと向かった。
「マクベール嬢」
「ひゃあ! え、エルシカ様! どうしてこちらに?」
声を掛けると、マクベール嬢はこっちがびっくりするくらい驚いた。
おどおどしながら、こちらを振り向いてくる。
私は、警戒されないように人の良い笑みを浮かべて、マクベール嬢に話し掛けた。
「ちょっと、貴女とお話したくて」
「私と・・・・・・ですか・・・・・・? あの、どうして私の名前──」
「ロードレス嬢から伺いました」
「そうですか。それで、その、私にお話とは──?」
「うーん、そうね。何からお話ししましょうか? ・・・・・・んー、あ、ダメだ。やっぱり、私ってこういうの向かないみたい」
「はい?」
性格的に駆け引きや探りを入れるのが性に合わないんだよねぇ。そもそも苦手。
こう、ガーンっといって、えいやって感じの単純明快なのが好き。
何事も正面切ってやれば、手っ取り早く解決すると思うのに、何で人って遠回りしたがるのかしら?
こんな思考の私なので、話術で訊きたいことを引き出すという作戦は早々に諦め、マクベール嬢に言った。
「ねぇ、マクベール嬢。貴女、例の毒入りクッキーのことで、何か知ってることがあるんじゃありませんか?」
被害者の会の令嬢たちに、昼休みに毒を盛ったのは貴女たちかと訊いた時、確かに見たのだ。
このマクベール嬢が尋常ではない程、怯えていたのを。本人が気弱な気性というのを差し引いても、あの怯え方は普通じゃない。死人のように顔を真っ白にして、何かがバレるのを恐れていた。
「・・・・・・え・・・・・・?」
みるみると、マクベール嬢の顔に恐怖が滲み、広がる。
手が震え、持っている食器がカタカタと音を立てていた。
やっぱり、何か知ってるっぽい。けれど、こんな子が毒を盛った犯人なのかしら?
0
あなたにおすすめの小説
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
婚約破棄ですか? 無理ですよ?
星宮歌
恋愛
「ユミル・マーシャル! お前の悪行にはほとほと愛想が尽きた! ゆえに、お前との婚約を破棄するっ!!」
そう、告げた第二王子へと、ユミルは返す。
「はい? 婚約破棄ですか? 無理ですわね」
それはそれは、美しい笑顔で。
この作品は、『前編、中編、後編』にプラスして『裏前編、裏後編、ユミル・マーシャルというご令嬢』の六話で構成しております。
そして……多分、最終話『ユミル・マーシャルというご令嬢』まで読んだら、ガッツリざまぁ状態として認識できるはずっ(割と怖いですけど(笑))。
そして、続編を書きました!
タイトルは何の捻りもなく『婚約破棄? 無理ですよ?2』です!
もしよかったら読んでみてください。
それでは、どうぞ!
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
婚約破棄されたから、とりあえず逃げた!
志位斗 茂家波
恋愛
「マテラ・ディア公爵令嬢!!この第1王子ヒース・カックの名において婚約破棄をここに宣言する!!」
私、マテラ・ディアはどうやら婚約破棄を言い渡されたようです。
見れば、王子の隣にいる方にいじめたとかで、冤罪なのに捕まえる気のようですが‥‥‥よし、とりあえず逃げますか。私、転生者でもありますのでこの際この知識も活かしますかね。
マイペースなマテラは国を見捨てて逃げた!!
思い付きであり、1日にまとめて5話だして終了です。テンプレのざまぁのような気もしますが、あっさりとした気持ちでどうぞ読んでみてください。
ちょっと書いてみたくなった婚約破棄物語である。
内容を進めることを重視。誤字指摘があれば報告してくださり次第修正いたします。どうぞ温かい目で見てください。(テンプレもあるけど、斜め上の事も入れてみたい)
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる