17 / 20
木上の恋バナ①
しおりを挟む
「クリスお姉ちゃーん!」
「だ、大丈夫なの? そんな高いとこっ」
「平気ー」
「ロックは木登り一番上手だから、大丈夫だよ」
今日は子供たちに連れられ、雑木林に来た。
件の空き地は整地後、辺境伯様が芝を敷くことを決められたので、それが終わるまで立ち入り禁止になっている。
雑木林は鬱蒼とした日影で、肌寒いくらい。
あちこちに木々が生えているから、走ることは出来ないが、代わりに子供たちはその幹にしがみつき、ひょいひょいっとまるで小猿のように上っていく。
「皆、よく登れるわねぇ。私は怖くて無理だわ」
「コツ、掴めばできるよ。クリスおねぇちゃんも、この木なら登れると思う」
そう言ってリアちゃんに手を引かれて連れてこられたのは、根本から二股に別れた木の前。そういう種類なのか、下の方にも足を引っ掛けられそうな枝がある。
ヴィクトに引っ張って貰いながらだけど、屋根になら登ったことあるし、この木なら──
「よし! じゃあ、登ってみるね!」
「がんばってー」
「よいしょっと、んしょんしょ」
まず、二股になっているところに足を掛ける。それから近くの枝に手を伸ばして──
ぐっと、自身の重みを感じながら枝から枝へと乗り移る。
途中、何度かうっかり落ちそうになってヒヤッとしたけれど、何とかそれなりに高いところまで行くことが出来た。
太めの枝に腰を下ろして、人心地つく。
「ふーっ、肌寒かったのに、ちょっと汗かいちゃった」
汗ばんだ肌を手で扇いで風を送り冷やしていると、私とは全く違って危うげなく登ってきたリアちゃんが隣に座る。
リアちゃん、大人しそうな子なのに運動神経いいなぁ。
「木登り、上手だねぇ」
「これくらいなら、皆ヴィクトおにぃちゃんに教えて貰ったから出来るよ」
「あー、ヴィクト運動神経も常人離れしてるからねー。案外高いところ好きだし、気づいたら屋根の上とか登ってて何度驚かされたことか──」
昔から何でも得意で、何でも出来ちゃうの。
勉強でも運動でも、ヴィクトが躓いているところなんて見たことがない。
「クリスおねぇちゃんとヴィクトおにぃちゃんは仲良しさんなの?」
突然そんなことを訊かれて驚いた。
仲良し、仲良しかぁ。
まぁ、改めると照れるけど、昔から仲は良い方よね。口喧嘩とかはしょっちゅうだけど、これと言って大きな喧嘩とかもしたことないし。
「え? うーん、まぁ、昔からずっと一緒だし、仲良しかなぁ」
「そうなの。じゃあ──」
リアちゃんがもじもじしながらも、そろりと、何かを探るような上目遣いで見上げてきて、数秒言葉に詰まったように黙りこんでから、こんなことを訊ねてきた。
「クリスおねぇちゃんは、ヴィクトおにぃちゃんのこと、好きなの?」
「え!?」
「だ、大丈夫なの? そんな高いとこっ」
「平気ー」
「ロックは木登り一番上手だから、大丈夫だよ」
今日は子供たちに連れられ、雑木林に来た。
件の空き地は整地後、辺境伯様が芝を敷くことを決められたので、それが終わるまで立ち入り禁止になっている。
雑木林は鬱蒼とした日影で、肌寒いくらい。
あちこちに木々が生えているから、走ることは出来ないが、代わりに子供たちはその幹にしがみつき、ひょいひょいっとまるで小猿のように上っていく。
「皆、よく登れるわねぇ。私は怖くて無理だわ」
「コツ、掴めばできるよ。クリスおねぇちゃんも、この木なら登れると思う」
そう言ってリアちゃんに手を引かれて連れてこられたのは、根本から二股に別れた木の前。そういう種類なのか、下の方にも足を引っ掛けられそうな枝がある。
ヴィクトに引っ張って貰いながらだけど、屋根になら登ったことあるし、この木なら──
「よし! じゃあ、登ってみるね!」
「がんばってー」
「よいしょっと、んしょんしょ」
まず、二股になっているところに足を掛ける。それから近くの枝に手を伸ばして──
ぐっと、自身の重みを感じながら枝から枝へと乗り移る。
途中、何度かうっかり落ちそうになってヒヤッとしたけれど、何とかそれなりに高いところまで行くことが出来た。
太めの枝に腰を下ろして、人心地つく。
「ふーっ、肌寒かったのに、ちょっと汗かいちゃった」
汗ばんだ肌を手で扇いで風を送り冷やしていると、私とは全く違って危うげなく登ってきたリアちゃんが隣に座る。
リアちゃん、大人しそうな子なのに運動神経いいなぁ。
「木登り、上手だねぇ」
「これくらいなら、皆ヴィクトおにぃちゃんに教えて貰ったから出来るよ」
「あー、ヴィクト運動神経も常人離れしてるからねー。案外高いところ好きだし、気づいたら屋根の上とか登ってて何度驚かされたことか──」
昔から何でも得意で、何でも出来ちゃうの。
勉強でも運動でも、ヴィクトが躓いているところなんて見たことがない。
「クリスおねぇちゃんとヴィクトおにぃちゃんは仲良しさんなの?」
突然そんなことを訊かれて驚いた。
仲良し、仲良しかぁ。
まぁ、改めると照れるけど、昔から仲は良い方よね。口喧嘩とかはしょっちゅうだけど、これと言って大きな喧嘩とかもしたことないし。
「え? うーん、まぁ、昔からずっと一緒だし、仲良しかなぁ」
「そうなの。じゃあ──」
リアちゃんがもじもじしながらも、そろりと、何かを探るような上目遣いで見上げてきて、数秒言葉に詰まったように黙りこんでから、こんなことを訊ねてきた。
「クリスおねぇちゃんは、ヴィクトおにぃちゃんのこと、好きなの?」
「え!?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
53
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる