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陸編
28.夜這い?
しおりを挟む俺たちは、エレシアとノアに案内され、居館の大きな食堂にいた。
中心には大きな長い机が置かれ、その上には所狭しに豪勢な料理が並んでいた。
この食事会にはシルヴィア達から始まりエレシア・ノア・ローレンス・アナスタシア等の面々が並ぶ中、今回捕虜ではなく“配下”になったリレイやユリーシャも座っていた。
俺はその机の端っこ、つまりは誕生日席に案内されていた。そこで俺は何とも言えない威圧感に気圧されていた。
(何?このプレッシャー……なんか言えってこと?まぁそーですよね~しょうがない)
「え~、とりあえずエレシア食事の席を用意してくれてありがとう。そしてリレイには心地悪いだろうが、城関係諸君は戦勝おめでとう!そして食事の前ではあるが、今この場を借りて今後のことについても話しておこうと思う」
「まずは、リレイ達の処遇だが、この後召喚した兵器を用いてそのまま部隊を率いてもらう。そして次に、城の近くに待機したままの本隊とも合流し合同で北の国境地帯にいる帝国軍を俺たちと共に攻撃してもらう、その際にも召喚したものを配備していくつもりだ、この話の中で何かあるか?」
緊張とプレッシャーの中話し終えた俺は一息つき椅子に座ると、エレシアから話し始めた。
「異議はありません。しかしやはり信用ならない部隊と行動するとなると少なからず不安が残りますが……リレイはどうするつもりだ?」
エレシアたちがそう思うのは無理もないだろう、昨日まで敵だった者を教になって味方として受け入れろと言っているのだから、その不安を示すように、ローレンスやノアも心配そうな顔つきで見守っている。
リレイは、そのとげの入った言葉を冷静に受け止め、こう返してきた
「この度の侵攻は我々の宣戦布告なしに行ってきた、だからそう言われてもなんの反論も見当たらないのも事実だ。しかし、昨日我々は通例であれば裁判にかけられて処刑されるかその場で打ち首であったであろうものを、陛下の恩情により我々を再び軍人として迎え入れてくれた、こうして頂いたお方に歯向かう理由がない、こんどは本当の意味で陛下に命を懸けて戦うことを我々は誓った、それが二度と祖国に帰れないことであっても……」
「フン!それがどれほどのことか次の機会見せてもらおうか!」
「いいだろう!望むところだ!」
エレシアは向かいに座っているリレイに吠えるように怒鳴った、エレシアは相当頭に来ていたようだ。
「エレシアすまないがそれまでにしよう、独断でやったのは俺だ、責は俺にあるすまなかった」
そんなエレシアを見て俺はさすがに罪悪感を覚え謝罪の言葉を口にする。
「そんな頭を上げてください、私はそんなつもりで言ったわけではありません、もちろん個人的な怒りはありましたが、ただ少し試してみたくて」
「お話のところスミマセンがそろそろお食事にしませんか?せっかくのものが覚めてしまいますよ~」
アナスタシアは場違いな口調で話を中断させる、もっとも皆は暖かい食事を楽しみにしていた節があったので素直にその言葉に同意して食べ始めた。
そこで俺はこっちの世界からに来てから一度もお酒を飲んでいなかったので、ワインが置いてあったのでそれを口にした。
果実の香りと一緒にふわりとアルコールを感じられた。飲んだ感じは元いた世界のものと何ら変わらないもののように見えたが、少しアルコール度数が低いようだ。
そんなワインをたしなみながら、メイドたちに運ばれてきて出てきた料理を次々に食べていった(俺だけ)、出てきた中にはステーキのようなものやサラダ、飾りに凝った一品料理などが出てきた。
さっきまでとげがあったエレシアやリレイも食事を始めると大人しくなり、しまいには仲良く話し始めた。
そんな二人を見ていると、戦場では常に気を張って頑張っているが、中身は年頃の女性であるようだ。
食事を一人終え、まだ食事が続いているようだが、俺は一足先にこの部屋から出させてもらった。
何故、先に出てきたかというと、久しく入っていない風呂に入るためだ。
(やっぱり日本人は風呂に入らなくては日ごろの疲れはいやせないよね!一番風呂は譲れません!)
一人のメイドに案内されたそこには大きな石造りの浴槽があり○―ライオン的なところからお湯が流れ出てきている。
俺はそこで一人静かに考え事をしながら湯船につかる。
(もう俺はこの後もとには戻れなくなってしまった、しかも多くの人をこの手で殺めてしまった、でも後悔はしていない、この後は自分にできることは何でもやってやる!)
体が温まったところで風呂から上がり、上がった後に服を着替え入り口で待っていた先ほどと同じメイドに今夜の寝室に案内してもらっていた。
その部屋に入ると室内はベットと衣装ケース・机といすというシンプルなものであったが休むだけなので贅沢は言わない。
しかもこれまた久しぶりにまともなベットで寝ることができる。
案内してくれたメイドに礼を言うと、すぐさまベットに腰を掛け次の召喚する兵器を持っていたLiSMで探し始める。
これまたさっき風呂に入るときにLiSMをしまおうとして気付いたことだが、このLiSMは特殊空間に出し入れすることが出来るらしく出したいと思った時に手の中に現れる仕組みになっているようだ、そう思うとまだまだこのLiSMには隠し要素が含まれていそうだ。
そんなことを考えていると、知らぬ間に寝ていたらしく、意識は暗闇の中にあった。
しかし、そんな俺が寝静まっていた時に、部屋に侵入するやつがいた。
その時ちょうど、眠りが浅かったのでかすかな物音が聞こえた、暗殺や誘拐があると困ると思ったので、万が一の為にアンダーレイル(銃身下部)にタクティカルライトをつけたP226を枕元においていた。
俺は足音に気付き、静かにマガジンをはめスライドを引きコッキングしておく。
その相手は俺がコッキングした「ガシャ!」という音に一瞬足を止めたが、音がしなくなったことを確認した後、スルスルと布の擦る音が聞こえてくる。
そのまま、様子を窺っていたが、次の瞬間そうはいかなくなってしまった。
そいつは何と俺が掛けていた布団をめくりあげてきたのだ、たまらず俺はP226を瞬間的に構え同時にライトを相手に向ける。
「誰だ!貴様は!」
ライトを向けた先には、驚くことに白いレース調の部屋着を着たリレイがいた。
「ウッ!眩しい!すまなかった!やめてくれ!」
ライトによって、一時的に視力を奪われたリレイは、見つかってしまったことに対する焦りと目が見えなくなってしまったことに対する混乱でその場から動けないでいた。
リレイとわかった俺はP226のマガジンを抜き取り薬室に入っていた弾を、スライドを引き取り出す、銃はそのままスライドオープンの状態で弾が出ない安全な状態にしておく。
(冷静になって考えたらこれってまさかの……夜這い!?)
今は部屋を明るくするために別に召喚しておいた置き型LEDライトが照らしている。
当の犯人?はというと近くに置いてあった椅子に申し訳なさそうにちょこんと座っていた。
「で?目当ては何?」
俺はそんなリレイに意地悪半分本気半分で聞いてみた。
「……このままだと信用してもらえないかと思って、その、身を以って私の陛下に対する忠誠を伝えようと思いまして……私ではお気に召しませんでしたか?」
そうは言うものの、リレイは最初に会った時のような軍服姿ではないので、それまでの男らしかった雰囲気から一変して、今は白いスケスケのレースの服を上に羽織、下は何(・)も(・)つけていないため、エロティックな雰囲気を醸し出している。
しかも軍服を着ていた時には締め付けていたようなので気付かなかったが(それでも大きかった)、ものすごい巨乳ちゃんであった。
(あの~お姉さん色々なところが隠れてなくて……やばい!この状況!主に俺のリトルボーイが!)
「んんっ!大丈夫だから君のことはそんな生半可な気持ちで受け入れてなんかいないから心配しないで、だから今は落ち着こうか?そもそもそんなことしたら後が思いやられるから……(こんなのがばれたら冗談抜きで“奴”に殺される!)」
何とか落ち着き、冷静にそんなことを話す俺だが、心の中は大荒れ状態である。
「そうでしたか……今の私にとって陛下は“ご主人様”でもあって“命の恩人”でもありますからこの後一生ついて行きますね」
リレイはほんの一瞬、行為(・・)に及べなかったことを残念にしていたようだが、すぐに満面の笑みで俺に対して最後にそんな思いの丈を伝えてきた。きっとこの後どんなことがあってもついて行きますと最後に小声で付足して。
その日はもう遅かったのでそのまま二人で一緒に眠りについた。背中にダイレクトに生の感触が伝わってきていて、そのせいでよく眠れなかった――
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