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海編
46.男のロマン!
しおりを挟むヴィアラに案内され司令部から歩いてすぐの艦艇が係留してある地区に来た。
そこには激しい戦闘だったのかボロボロになった数隻の船は、まるで弱り切った子犬のように身を寄せ合うように泊まっていた、しかしその船に乗っている海兵たちは、俺の方を見て目を輝かせて手を振ってきてくれている。
きっとそうしてくれているのは最近の陸軍のハミルトン城救援作戦や女王誘拐事件を召喚された兵器によっての大成功を聞いたうえでさらに今回海軍にも軍艦が召喚されると聞いてそれを召喚してきた俺が来たことによって、今まで絶望的な未来しかなかった海兵たちは希望の光ともいえる存在が現れ安堵と喜び、そして召喚されるものに対する好奇心からくる行動であろう。
ヴィアラはそんなことも気にせずそのさらに進んだ先にある船が縦に連なってでも入港できるように用意された3㎞はあろうかと思われる長大な埠頭に歩みを進めていた。
なぜ、こんなにも長い埠頭があるのかといえば、以前まではここには100隻を超える艦艇が使っていた巨大港だったからである。しかし、今やここに残っている船は両手で数えられるほどまでに減ってしまっているので、もはやこの長さの埠頭は無用の長物となってしまっている。
その埠頭の長さに少し驚いていた俺だが、埠頭の入り口付近に着くとそこには先ほどまで一緒に執務室にいたはずのミサ中将とその隣にはヴィアラを少しだけ小さくしただけのそれ以外そっくりの女性がいた、そしてその後ろには全員が女性の海兵たちが整列していた。
このミサ中将の隣にいるのはキーレ港所属の第一戦隊司令のガンダルシア・エミリア大佐でヴィアラの3つ下の妹だそうだ、エミリアは姉と同じように海軍士官学校へと入ったが姉のように頭がいいわけでもなく普通に卒業し新任士官として上がってきた一般的な海軍士官だ、しかし、姉が出来すぎているためそのおかげで期待されすぎた妹のエミリアはできそこないのレッテルを貼られ屈辱的な学校生活を送り、一時期姉に対して猛烈なほどの嫌悪感を覚えていたようだが姉が卒業するまでの支援や本来であれば遠い配属先になるところを自分の目の届くキーレ港に配属させるようにしてきてもらったのがわかると徐々に改心し姉に対して純粋な気持ちで従うようになったようだ。
エミリアの容姿は姉であるヴィアラに似て薄い水色をしていて髪は肩までまっすぐ伸ばしていて二つ編みのハーフアップにされている、身長は姉より頭一つ分低く、胸は控えめな大きさだ。
そんなエミリア大佐の後ろに並ぶ海兵は現在エミリアの直率で最終決戦の為に集結させた総勢6000名もの精鋭たちだ。
先ほどの海兵たちは男のみであったが、今目の前にいる精鋭と呼ばれる兵はすべてが女性によって構成されていた、これも先の帝国との戦いによって男性の多くが亡くなっていってしまったのが大きな要因だろう、男性不足は陸軍どころかここも例外ではなかったようだ。
しかし海軍では以前よりこの人員不足対策として女性兵の積極採用がなされていたので陸軍より多くの幹部や兵たちが女性によって占められているおかげで人員不足は幾分ましなようだ。
ヴィアラは久々に見た妹の顔をみてうれしいのか凛々しく見える顔が少しほころんでいるように見える。
俺らが近くに来るとミサ中将やエミリア大佐達は素早く敬礼し出迎えてくれた
「陛下!閣下!招集が完了しましたご指示を!」
「ご苦労、エミリアしばらくだな元気にしていたか?」
「ハッ、おかげさまで元気にやっております!」
「ハハッ、エミリア大佐硬いぞ」
「中将お戯れを」
エミリア自身久々に見た姉の顔みて内心すごく嬉しいのだが実際のところ身分が邪魔をして素直に言葉を返せない。
それを知ってか知らずかエミリアをミサ中将は半笑いでいじっていた。
「まぁ良い、陛下この兵たちが今回の召喚によって訓練を受け初の実戦をする部隊になります、そしてこの埠頭であれば陛下の召喚なさる軍艦も辛うじてでしょうが収まるのではないのでしょうか」
「埠頭の長さは問題ないだろう、しかしよくこんな急に人を集められたもんだ……それは兎も角帝国の攻撃まで時間の猶予もないようだからすぐにでも召喚してしまおうか」
召喚するためLiSMを起動し大和型戦艦の項目をタッチする。
俺は表向きでは急いで訓練してもらいたいという理由で召喚しているのだが、実際のところ早く実物の戦艦大和が見たくてしょうがない(だって男のロマンですものねぇ?)
タッチするとすぐに埠頭の両脇に淡い光とともに、今や旧帝国海軍の象徴で世界最大最強の“戦艦大和”“戦艦武蔵”が目の前にその姿を現した。
この召喚を見たヴィアラやミサ中将、エミリア大佐もその兵たちも皆一様に驚き同時に興味津々であるようだ。
その時俺もみんなと同じように船の大きさに驚いていたが、そんなことより今自分の目の前にあの大和だけではなく同時に武蔵まで召喚したため興奮しまくりである。
しばらく皆大和と武蔵を眺めていたが、エミリアが動き出したのを境に我に返った。
「気を付け!これより陛下より賜ったこの軍艦に乗艦し訓練を開始する!皆心して掛かれ!敬礼!!」
「「「「了解!」」」」
その声を聴いてようやく正常に戻った俺はすぐさまミサとエミリアと幹部たちに操艦の仕方のマニュアルを渡し細かいことの説明をした。
この後大和にはミサ中将が練習艦隊司令長官としてさらには視察としてヴィアラも乗艦する、エミリア大佐は大和の艦長として乗艦することとなった、武蔵の艦長にはエミリア大佐の同期のフィスラ・ユエル大佐が、そして副長として同じく同期のカレナ中佐が乗艦している。
そしてしばらくの間この二隻で練習航海及び模擬戦闘訓練を行いその訓練が順調にいけば他の兵や幹部への教育が始まる。
教育や練習といってもほとんどの兵や幹部は木造の帆船(○イレーツ何とかに出てきそうな船)での航海や海の生活や戦闘には慣れているはずなので現代兵器の大砲や照準器・動力の使い方などを覚えてもらうだけでいいはずだと思っている、この要領で半年以内には8隻での運用が可能状態に持っていきたい(強引なのは百も千も承知)。
「流石は陛下!これで勝利へと一歩近付けますね!」
「いやこれでうぬぼれてはいけない、いくらアドバンテージが出来たからと言って、この海軍がしっかりとこの船を運用しなければ勝ち目はないのだから」
「し、失礼しました、でわ、わたくし共も艦へ向かいましょうか?」
「ぜひそうしよう」
興奮の抑えられない俺とミサは速足で大和へと向かっていった。
埠頭には右に武蔵が、左に大和がその身を寄せ合うかのように泊まっている。
巨艦の間を歩いているとまるでビル群の間を歩いている様である。
艦首右舷にある乗船用ラッタル(階段のようなもの)を上りいよいよ乗り込む。
ラッタルを登り切ると目の前には大和型戦艦の象徴ともいえる45口径46㎝3連装砲が目の前に鎮座していた。
そしてそのすぐ横には艦橋がそびえたっていた。
思い出したように後ろを振り返るとミサ中将が少し息を切らして立っていた。
「陛下!急に上られてどうされたのですか!?」
「悪い、この艦を見たとたん興奮してしまって……そんなことより早くこの上にのぼるぞ!」
「了、了解しました!(私もこの艦に興味があるけどこの人はそれ以上なんだな……)」
ミサは驚き半分あきれ半分のままワタの後を追っていたが本人はそんなことは気にせず目を輝かせながら艦橋を上っていった。
大和の艦橋を上るには艦橋中央部にエレベーターがあるのだがそれには乗らず外側のラッタルを上っていった。
上に上がっていく途中下を見ると武蔵の方ではゆっくりと乗り込みが始まっていたが、大和では俺が急に上って行ってしまったので兵たちは慌てて上っている様だった。
(興奮して何も考えずにここまで登ってきちゃったけど、ミサと兵たちには悪いことをしてしまったなぁ……)
少し罪悪感を覚えながらラッタルを上ると第一艦橋へと着いた、ここからまた下を見ると45口径46㎝3連装砲2基と60口径15.5㎝3連装砲1基が並び圧巻である。
内部構造や機器をみているとぞろぞろとミサを含めた士官達がやってきた。
「陛下お待たせしました!総員配置完了しました!」
「ご苦労様、俺のせいでこんなに急がせてすまなかった」
「いえ、早いことには越したことがないので(少し焦りましたが……)」
「そっか、ではさっそく出港と行こうか!」
「「「了解!」」」
一人勝手に行動したせいで当初の予定とはずれてしまったが何とかまとまることができた。
通信によって武蔵も出港準備ができたみたいなのでさっそく出港することにした。
かくして近い未来にこの世界の最強の絶対的な地位を手にする艦隊が誕生するのである。
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