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海編
48.目標確認コレヨリ攻撃ヲ開始ス
しおりを挟むキーレ港を出港して数時間後、沖合30海里まで出てきた、丁度20㎞先に標的用の小島が見えている。
ここまで大和も武蔵も機関の運転に問題なく、今も続けられている兵たちの猛特訓によって徐々に練度が挙げられていっている。
俺は艦内の士官用の部屋が用意されていたので休んでいた。
内装は流石大和といったところなのかこういうことに疎い人でも豪華なつくりを感じられるようだ。
今まで誰かしらが近くにいたが今回は部屋の外の護衛を除いて完全に一人の状態でゆっくりできた。
ちなみに扉の前で護衛を務めている兵(計12名の4交代制)には護身用としてHK VP9とMP7を渡し軽くレクチャーしておいた、中には陸上で事前に訓練してきたのか別の武器を持っているのもいた。
「おはようございます陛下、そろそろ予定時刻となりますので防空指揮所までお越しください」
ベットの上でLiSMをいじっていると、時間になったので伝令が呼びに来てくれた。
なぜ第一艦橋ではなく防空指揮所に行くのかは艦橋に比べ艦の最上部に位置するため周辺を一番見渡せるからだ。
「伝令ご苦労、すぐに向かう、艦長は?」
「艦長は第一艦橋にて指揮を執っておられます、それでは失礼いたします」
伝令が部屋を出た後俺はすぐに身支度を済ませ始める。
あと少しで部屋を出ようとしたときに扉を叩く音がした。
「どうぞ」
「失礼します、おはようございます陛下、遅くばせながらお迎えに参りました」
「ああ、おはよう、ヴィアラか少しでも寝れたかな?」
「ええ、昨日は陛下より色々な話をしてもらいましたので気も落ち着いたのでよく寝れました」
昨日はあの騒動?の後俺はヴィアラと夕食のついでにこの俺の私室で雑談をしていた、こうやって誘っていたのは司令官や艦長が通常通り動いていたのに対して、まるで思考が止まったかのように身じろぎ一つせず席から動こうとしないヴィアラの姿があったのでここにいては他の士官や兵たちにあまりいい目では見れないであろうと判断して理由をつけてそこから動かそうとしたからだ。
その話の中でヴィアラは、さっきの自分の行動を相当恥じていたようで最初はそのことが引っ掛かっていたのか終始しょんぼりしていた、どうやらヴィアラは急な事象にすぐに対処するのが苦手で少し時間をかけてようやく実行を移すような性格をしているためさっきのようになっていたようだ。
ここまで来るのに海軍の長として何とかやってきたが、頭の良さや指導力はあったが実のところ急なことや即日の対応が求められることはほぼすべてミサに任せていたようだ。
この性格が悪さをしたのか今回の作戦は陸軍より先に本当は実行すべきだったものを判断の遅れも合わさって今に至る、さらにはそれ以前の作戦もこれが遠因で負けてきたのはあるようだ。
しかし本人はそのことを理解しているのでまだましなようではあるが……
「そんなことよりすぐに防空指揮所に向かわないとな、行こうか」
「はいっ!」
この時のヴィアラは昨日まで硬い印象だったが昨夜の話をしたおかげなのか時折まるで少女のような笑顔を見せるようになってきた。
防空指揮所に上がるとそこにはすでにミサがすでに待っており双眼鏡片手に島のある方向を眺めていた。
「陛下お待ちしておりました、間もなく予定時刻の1000となります、これより右60度方向に見える小島に対して実弾射撃訓練を行います」
それを聞いてすぐに号令とともに訓練が始まった。
(やばいです!興奮が止まりません!!)
俺は皆にばれないようなガッツポーズをしながら一人興奮をしていた。
「合戦準備!これより実弾射撃訓練を行う」
「露天甲板退避良~し」
主砲の射撃時には砲塔周辺の甲板などにすさまじい衝撃波が発生するため退避命令が下る、大和型戦艦の主砲の衝撃波は近くにいるだけで人体がミンチになるぐらいの威力があるようだ。
同様に単縦陣を組んでいる後方の武蔵も射撃の準備をし始めていた
「戦闘、右砲戦、60度、目標20000m先の標的用小島」
「測的はじめ」
「初弾観測急斉射、斉射間隔30秒」
次々に指示が飛んでいき今は主砲と副砲の砲塔が右にゆっくりと旋回し始めていた。
本来であれば主砲のみで射撃訓練をするのであろうが今回はできるだけ砲の実戦的な操作に慣れていた方がいいとの判断でいくらか強引かもしれないがこのようにした。
「測的よし」
「主砲、副砲目標良し、方向よし、射撃用意よし」
「撃ちー方―始め」
「発射用意」
「てっー」
ズドン!
主砲と副砲のすさまじい発射音とともに振動と空気の揺れを感じた。
周りにいた見張りの兵やヴィアラとミサも驚きが隠せないようで皆目を見開いていた。
「弾ちゃ~く」
「遠弾、下5、右7修正」
「調定よし(修正完了の意)」
「本射第一弾発射用~意」
「発射用意」
「てっー」
最初の一発目は観測用の射撃として発射しその弾の弾着位置の観測データをもとに次の発射に生かしていく、その後は同じく観測データを参考にして夾(きょう)叉(さ)(目標至近に着弾したことで、この状況になると次の射撃では命中しやすくなる)や命中弾を出すように着弾点を近づけていく。
「弾~着」
「命中!」
「効力射始め」
「てっー」
ドドドドドドン!
「武蔵も命中弾」
第3射目で大和は命中弾が出たのですぐに効力射(実際に敵の目標物に有効なダメージを与える射撃)を始めた、武蔵は一拍遅れて命中弾を出し効力射に移った。
この訓練中も絶えずTDLSで通信を行っているためお互いの射撃弾数や弾着位置を共有しあっている。
それから5分と経たないうちに目標である小島はほぼ原形をとどめない状態になってしまっていて今にも海に沈んでいく船のようだ。
それを見たものは唖然としていたが、これが大和の主砲の46㎝砲の威力なのだろう(小島が木っ端みじん寸前になるまで撃ち込んだ命中弾は大和の副砲と合わせて計15発、武蔵は9発)
「目標大破撃沈したと確認」
「目標撃破」
「主砲、副砲撃ち方終わり」
「主砲、副砲撃ち方やめ」
「戦闘用具収め」
「主砲、副砲、戦闘用具収めよし、人員砲機異常なし」
「各部用具収めよし」
「陛下、いかがでしょうか?」
俺は主砲の射撃が見れたことに感動と興奮を覚えその余韻に浸りながらぼーっとしていると、ミサがそんな俺の横から声をかけてきていた、しかも丁度真横に来ていて少し覗き込むようにこちらを見ていたので顔を向けた瞬間ミサの顔が真正面に来ていた、ミサもほかの女性たちに一切引けを取らない美女で、そんな彼女が俺に近すぎるのもあって女性独特の甘い匂いがしてくるのと衣服の間から覗くたわわな双球を見てしまいドキリとしてしまう。
「お、おう、す、素晴らしい練度だなこれなら簡単に敵艦隊を葬ることができるな」
「これによって皆自信と希望が持てたことでしょう、これも陛下のおかげです」
「いや、これは俺一人がどうこうしようと成し遂げられないさ、“みんな”のおかげだろ?」
「……はい!」
「報告!左45度方向、右方向に直進中、距離約25000に艦影多数確認!」
「陛下、あれは情報にあった第三艦隊に間違いありません!」
俺の近くに立っていた見張り員が艦影を発見したようで、それを聞きそれを確認するためにミサとヴィアラも双眼鏡を覗き込んでいた。
ミサは何度か見たことがあるようなのですぐに第三艦隊だと分かったようだ。
「艦長!直ちに迎撃せよ!」
「了解!直ちに迎撃します!砲撃準備!」
この後さんざん帝国海軍に一方的にボロボロにされてきたがこの世界最強と謳われた近代戦艦とこの大口径の主砲によってそれを打ち破る。
この時の帝国側は自分たちがまさかまける側になるとも思っていなかっただろう。
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