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1章 北の森のオーク
05 夜間飛行
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「ヨーグ、ちょっと話したい事があるの、良いかしら?」
ある夜風呂から上がって間借りしている自室で寛いでいると部屋のドアがノックさされた。
「どうしたんだローラ、まぁ立ち話もなんだし中に入るか?」
「ええ、お邪魔するわね、少し相談したい事があって…」
ローラも風呂上がりだったらしく石鹸のいい香りが部屋に立ち込める。
「どうしたんだい改まって?何か悩み事か?」
「良くウチの店に来てるトロワー達の事なんだけど」
「そういえば最近見かけないな、トロワー達がどうかしたのか?」
トロワー達は3人組の冒険者パーティだ、俺達とも歳が近く俺がギルドに登録に行った時にもアレコレとアドバイスしてくれた、確か最近C級パーティに昇格したって店でお祝いしていたな。
「さっきミンクから聞いたんだけど依頼で北の森に行ったきり帰って来ないらしいの、昨日の午後には帰って来る予定だったみたいなんだけど…」
「心配だな、依頼の内容は分かるか?」
「ええ、最近オークの数が増えているみたいで巣の調査に向かったそうよ」
オークか、確か個の戦闘力は高くないがそこそこ知性が高く集団で武器を扱う魔物だったな、厄介なのはその繁殖力だ、他の種族の雌を孕ませ子を作る事ができる、それは人間の女性でも例外では無い。
「それでその…もし良かったらなんだけどヨーグに探しに行ってもらえないかなって思って、勝手なお願いだとは思うんだけどあの3人は昔からの友達なの」
「俺もアイツらは友達だって思ってる、すぐに出発するよ」
「ありがとう、貴方ってそう云う人だったわね、相談するの悩んでた私がバカだったわ」
「なんで悩んでたんだ?」
「自分は何もできないのにヨーグに危険な事をお願いするのは卑怯かなって思っちゃって」
「卑怯なんかじゃないさ、俺には人を守る力がある、頼りにしてくれて嬉しいよ」
ローラが嬉しそうな顔で見つめてきた、石鹸の香りが鼻をくすぐる、ダメだ、前世での女性経験値が低過ぎて変な妄想をしてしまう、早く出発しよう、理性が持たない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんとか煩悩を振り払いブラボーの裏庭に出た俺をトビィさん一家が見送ってくれた。
「気をつけてね、無事に帰って来て」
「俺もツテを頼って救助隊を募ってみる、無理はするなよ」
「ウチのお得意様達をヨロシクね、小さい頃から知っている子達なの、頑張ってねヨーグ君」
「行ってきます、『変身』!」
クロスへと変身した俺は目撃者対策に光学迷彩を展開する。
背中と脚のバーニアの出力を抑え上空へと到達した俺の眼下には小さく街の灯が見えた。
「アークス、周辺の地図を出してくれ」
『こんばんはマスター、地図を表示します』
ヘルメット内のモニターに周辺の地図が映し出される、この周辺を飛び周りマッピングした特製の地図だ。
「この森に人間サイズの魔物が巣を作りそうな場所はあるか?」
『可能性が高い上位3箇所を表示します』
放棄された砦と洞窟が2箇所か。
「まずはこの砦に向かう、ナビは任せた」
『了解しました、通常航行での予想到着時間は9分20秒後です』
アークスのナビに従いバーニアの出力を上げ北へと飛ぶ、夜の空を飛ぶのは気持ちがいい、空気が澄んでいる為星が綺麗だ、見ていると夜空に吸い込まれそうになる。
「目標が近い、高度を下げるからアークスは森の中に人間がいないかサーチを頼む」
俺は高度を下げ砦を目指す、夜の森は真っ暗で人の反応は無い様だ、少し飛ぶと目の前に朽ちた砦が姿をみせた。
「灯りはついてないな、生体反応はどうだ?」
『目標の周辺のサーチを完了、人間や魔物と思われる反応はありません』
「ハズレか、次はここから近い方の洞窟だ、引き続き地上を頼む」
1つ目はハズレだったようだ、第2候補の洞窟へと進路を変える、しばらく進むとアークスが何かを見つけた。
『地上に熱源反応を確認、火を使用した形跡と思われます』
「わかった、地上に降りる」
俺はアークスの見つけた熱源反応へと着陸する、まだ火が消えてそんなに時間が経っていないのだろう、焚火の跡がプスプスと音を立ていた。
『周囲のスキャンを完了、人間の物と思われる足跡を発見しました』
視界内の足跡がハイライトで強調される、第2候補の洞窟の方角へと向かったみたいだ。
「ここからは歩いて足跡を追う、他に何か見つけたら逐一報告してくれ」
夜の森は不気味だ、レーダーモニターに時折生体反応が映るが動物や魔物だろうか、追跡している足跡とは別方向だ。
『マスター、1250メートル先に3つの生体反応を確認しました、反応から人間の物と推定されます』
「良かった、トロワー達は無事みたいだな、ありがとうアークス」
『どういたしましてマスター、第2候補の洞窟の近くです、マップに生体反応を同期させます』
第2候補地の洞窟がオークの巣だった様だ、しかし何故トロワー達はまだ巣の近くにいるのだろう?依頼は巣の場所の調査だった、巣を発見したなら帰還している筈だ。
「反応がトロワー達の物なのか確認したい、気になる事もあるしな」
俺はアークスの見つけた反応へと夜の森を急いだ。
ある夜風呂から上がって間借りしている自室で寛いでいると部屋のドアがノックさされた。
「どうしたんだローラ、まぁ立ち話もなんだし中に入るか?」
「ええ、お邪魔するわね、少し相談したい事があって…」
ローラも風呂上がりだったらしく石鹸のいい香りが部屋に立ち込める。
「どうしたんだい改まって?何か悩み事か?」
「良くウチの店に来てるトロワー達の事なんだけど」
「そういえば最近見かけないな、トロワー達がどうかしたのか?」
トロワー達は3人組の冒険者パーティだ、俺達とも歳が近く俺がギルドに登録に行った時にもアレコレとアドバイスしてくれた、確か最近C級パーティに昇格したって店でお祝いしていたな。
「さっきミンクから聞いたんだけど依頼で北の森に行ったきり帰って来ないらしいの、昨日の午後には帰って来る予定だったみたいなんだけど…」
「心配だな、依頼の内容は分かるか?」
「ええ、最近オークの数が増えているみたいで巣の調査に向かったそうよ」
オークか、確か個の戦闘力は高くないがそこそこ知性が高く集団で武器を扱う魔物だったな、厄介なのはその繁殖力だ、他の種族の雌を孕ませ子を作る事ができる、それは人間の女性でも例外では無い。
「それでその…もし良かったらなんだけどヨーグに探しに行ってもらえないかなって思って、勝手なお願いだとは思うんだけどあの3人は昔からの友達なの」
「俺もアイツらは友達だって思ってる、すぐに出発するよ」
「ありがとう、貴方ってそう云う人だったわね、相談するの悩んでた私がバカだったわ」
「なんで悩んでたんだ?」
「自分は何もできないのにヨーグに危険な事をお願いするのは卑怯かなって思っちゃって」
「卑怯なんかじゃないさ、俺には人を守る力がある、頼りにしてくれて嬉しいよ」
ローラが嬉しそうな顔で見つめてきた、石鹸の香りが鼻をくすぐる、ダメだ、前世での女性経験値が低過ぎて変な妄想をしてしまう、早く出発しよう、理性が持たない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんとか煩悩を振り払いブラボーの裏庭に出た俺をトビィさん一家が見送ってくれた。
「気をつけてね、無事に帰って来て」
「俺もツテを頼って救助隊を募ってみる、無理はするなよ」
「ウチのお得意様達をヨロシクね、小さい頃から知っている子達なの、頑張ってねヨーグ君」
「行ってきます、『変身』!」
クロスへと変身した俺は目撃者対策に光学迷彩を展開する。
背中と脚のバーニアの出力を抑え上空へと到達した俺の眼下には小さく街の灯が見えた。
「アークス、周辺の地図を出してくれ」
『こんばんはマスター、地図を表示します』
ヘルメット内のモニターに周辺の地図が映し出される、この周辺を飛び周りマッピングした特製の地図だ。
「この森に人間サイズの魔物が巣を作りそうな場所はあるか?」
『可能性が高い上位3箇所を表示します』
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「まずはこの砦に向かう、ナビは任せた」
『了解しました、通常航行での予想到着時間は9分20秒後です』
アークスのナビに従いバーニアの出力を上げ北へと飛ぶ、夜の空を飛ぶのは気持ちがいい、空気が澄んでいる為星が綺麗だ、見ていると夜空に吸い込まれそうになる。
「目標が近い、高度を下げるからアークスは森の中に人間がいないかサーチを頼む」
俺は高度を下げ砦を目指す、夜の森は真っ暗で人の反応は無い様だ、少し飛ぶと目の前に朽ちた砦が姿をみせた。
「灯りはついてないな、生体反応はどうだ?」
『目標の周辺のサーチを完了、人間や魔物と思われる反応はありません』
「ハズレか、次はここから近い方の洞窟だ、引き続き地上を頼む」
1つ目はハズレだったようだ、第2候補の洞窟へと進路を変える、しばらく進むとアークスが何かを見つけた。
『地上に熱源反応を確認、火を使用した形跡と思われます』
「わかった、地上に降りる」
俺はアークスの見つけた熱源反応へと着陸する、まだ火が消えてそんなに時間が経っていないのだろう、焚火の跡がプスプスと音を立ていた。
『周囲のスキャンを完了、人間の物と思われる足跡を発見しました』
視界内の足跡がハイライトで強調される、第2候補の洞窟の方角へと向かったみたいだ。
「ここからは歩いて足跡を追う、他に何か見つけたら逐一報告してくれ」
夜の森は不気味だ、レーダーモニターに時折生体反応が映るが動物や魔物だろうか、追跡している足跡とは別方向だ。
『マスター、1250メートル先に3つの生体反応を確認しました、反応から人間の物と推定されます』
「良かった、トロワー達は無事みたいだな、ありがとうアークス」
『どういたしましてマスター、第2候補の洞窟の近くです、マップに生体反応を同期させます』
第2候補地の洞窟がオークの巣だった様だ、しかし何故トロワー達はまだ巣の近くにいるのだろう?依頼は巣の場所の調査だった、巣を発見したなら帰還している筈だ。
「反応がトロワー達の物なのか確認したい、気になる事もあるしな」
俺はアークスの見つけた反応へと夜の森を急いだ。
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