機械仕掛けの異世界転生〜勇者をクビにされたオッさんですが異世界でヒーローやってます〜

ふるっかわ

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2章 少女の覚醒

010 ミンクの依頼書

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「うーん、この本もダメだな、他の物と同じ様な事しか書かれていない」

俺はローラと冒険者ギルドの資料室で魔物に関する書物を読み漁っていた、部屋にいるのは俺達だけだ、この部屋は滅多に利用者がいないらしく場所を聞いた時に職員のミンクですらその存在を忘れていた程だった。

「こっちも目ぼしい物は無かったわ、魔物の生態について書かれている物が大半よ」

「ギルドの施設だから当たり前だといえば当たり前だよなぁ、やっぱりこの資料室で調べるには限界があるみたいだ」

神様はこの世界を邪悪な力から救う為に俺を転生させた、邪悪な力とは恐らく魔物の事だと思うが世界中の魔物を1匹づつ退治する事は不可能だろう、発生する仕組みや魔物がこの世界に生まれた原因が分かればと思ったが中々に難しい問題だったみたいだ。

「私もヨーグに言われるまでどうして魔物が発生するかなんて考えた事が無かったわ、多分他の人も私と一緒だと思う、いて当たり前の存在だもの」

「俺がいた世界には魔物がいなかったからどうして魔物が誕生したのか不思議に思ったんだ、それが分かればヤツらに対抗するヒントになると思ってさ」

「魔法や魔道具も無い世界だって言ってたわよね?どんな世界か想像もできないわ」

「代わりに科学って力が発達している世界だよ…ストップ!誰か来た」

部屋のドアを開く、現れたのはトロワー達『導きの星』の3人だった、俺達に用だろうか?

「ようお2人さん、こんな場所が有るなんて初めて知ったぜ、何か調べ事か?」

「僕も冒険者になりたての頃何度か利用したっきりです、依頼達成の報告に来たんですがミンクから2人が資料室にいるって聞いて様子を見に来ました、良かったらお手伝いしましょうか?」

「いや、色々見たけどここの資料では分からない事だったみたいだ、気にかけてくれてありがとうな」

「それなら今から皆で食事に行かない?報酬が思ったより多かったからお祝いしようって話をしてたの、私達がご馳走するわよ」

笑顔のアンが布袋をチラつかせる、中に報酬が入っているのだろう。

「最近調子が良いみたいね、お店に来る冒険者のお客さん達もこの街の若手ナンバーワンは貴方達だって褒めてたわよ、ヨーグ、お言葉に甘えない?」

「そうだな、ご馳走になっていいのか?なんだか悪い気がするよ」

「遠慮すんなよ、ミンクもそろそろ仕事が終わるって言ってたから誘ってるんだ、今夜はみんなで楽しもうぜ」

資料を棚に戻しギルドの受付へ向かう、ミンクが俺達を見つけ手を振る、近くの椅子に座りミンクの仕事が終わるのを待つ事にした。

「そういえばヨーグはローラと一緒で身分証代わりに冒険者登録しただけだったよな?」

「あぁ、身分証がないと何かと不便だからね、ここに来たのも久しぶりだよ」

「ヨーグ達みたいな人も多いわよ、多分本職の冒険者って登録者の半分もいないんじゃないかしら、暇つぶしに依頼でも見てみる?いい時間潰しになるわ」

アンの勧めで俺とローラは依頼のボードを見学する事にした、ボードには所狭しと様々な依頼書が貼り付けられている、確かに見ているだけで時間が潰せそうだ。

「えーっと、トロールの討伐にワイバーンの巣の調査、迷子のペットの捜索なんかもあるのか、…これは!?」

「どうしたのヨーグ、何か面白い物でも有ったの?…って白銀の騎士の捕獲!?ミンクったらこの前の話は本気だったのね…」

ローラがボードから剥ぎ取った依頼書には「白銀の騎士様の身辺調査及び捕獲、交際を申し込む為暴力厳禁!詳しくは受付のミンクまで!」と書かれていた。

「やっほー、お待たせ!どうしたの2人とも?」

「ミンクこれどういうつもりよ!?こんな依頼を出すなんて職権濫用じゃないかしら?」

仕事が終わったらしく私服に着替えたミンクが話し掛けて来た、ローラは依頼書をミンクに突き付ける、引きつった笑顔だ。

「ギルドが受理してくれなかったからこっそりと貼ったのよ、受けてくれるの?」

「もっとダメじゃない!この依頼書は没収します!」

「お疲れ様です、どうしたんですかミンク?ローラに縋り付いたりして」

「聞いてよドゥーク!ローラったら私とクロス様の仲を引き裂こうとするのよ!鬼!悪魔!おっぱいお化け!」

俺達のやり取りを見て近づいてきたドゥーク達にわざとらしく泣き真似をしながらミンクが事の顛末を説明した、3人は呆れた顔になる。

「いや、それは100%ミンクがおかしい」

「ミンクは昔から暴走しやすいですからね、今まで何度迷惑をかけられた事か…」

「ヨーグ、可哀想だなんで思っちゃダメよ、この子昔から甘やかすとどこまでも調子に乗るの」

導きの星の3人も昔からミンクに迷惑をかけられた様だ、なんとなくその姿が想像できるな。

「もういい!みんなが私の事をどう思っているかよーく分かった、今晩は3人の奢りでしこたま飲んで食べてあげるわ!私のガラスのハートを傷つけた慰謝料よ、早く行きましょ」

ミンクが嘘泣きをやめて早く行こうと俺達を急かして来た、アンが眉間を押さえ溜息をついている。

「何がガラスのハートよ、オリハルコンよりも頑丈なんじゃない?」

「アンが私を虐める、トロワー、彼氏としてアンに何か言っ…ゲフッ!ぐるじい…」

「ホホホ…、アンちゃんたら何を言っているのかしら?あんまり変な事を言ってたら力加減を間違えるかもしれませんよ?」

アンがミンクの口を塞ぎながら首を絞める、アレは…ドラゴンスリーパーだ、ミンクが顔を青くしながらタップしている。

「ケホッ…、えっ?貴女まだトロワーに気持ちを伝えエエエッ!なんでも無い!ギブ!ギブったらぁぁ!」

解放されたミンクがまた余計な事を口走り2人のシルエットが綺麗な卍の型になる、匠の技だ、無意識の内に俺は拍手をしていた。

「何やってるのヨーグ?放っといて早く行きましょうよ、あの2人ったらいつもあんな風なの」

ミンクの絶叫が響くギルドのフロアーを後にして俺達は夕暮れの街に繰り出した。

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