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プロローグ 異世界勇者と夜の蝶
異世界勇者と夜の蝶 2
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「も、もうちょっと落ち着いて食べても大丈夫よ?ご飯は逃げたりしないから」
「うぐっ…もんとうびばりがどう、ぶべびぶぼぼぼばっばぼ」
猛烈な勢いでご飯をガッつく男。彼は私の命の恩人だ。大袈裟でも何でも無い。タチの悪い男達に襲われ、強姦されそうになっていた私を助けてくれた謎のイケメン。
彼は今ハムスターの様に頬を膨らませ、私の作った料理を口に詰め込んでいた。
暴漢達から私を助けてくれた彼だったが、その後お腹が空き過ぎてその場にフラフラと倒れこんでしまった。
自宅のマンションまで歩いてすぐだが、初対面の男をいきなり自宅に招き入れるのはどうかと思う…しかし命の恩人を見捨てる事は出来ない。散々悩んだ結果、私は彼を自宅に上げて食事を振る舞う事にした。
「ぶはぁーっ!生き返った…こんなに美味い食事は久しぶりだよ…」
「お粗末様でした。貴方が倒れた時は驚いたわよ。あの男に投げられた時に頭を打ったんじゃないかって心配したわ…でもまさかお腹が空いていただけだなんて…ふふっ、可笑しな人ね」
「あの程度何ともないさ。ただ空腹にはどうしても勝てなかった…君がご馳走してくれなかったら今ごろ飢え死んでいたかも知れない…割と切実に…」
「初対面の人にこんな事聞くのも失礼だと思うけど、お金が無かったの?着ている物もボロボロだし…」
「お金がない訳じゃないんだ。それなりには持っているとは思うんだけど、俺の持ってる通貨はこの国では使えないみたいでね…何件か食事の出来そうな店に行ったけど断られてしまったんだ。どこかにガルクとこの国の通貨を両替してくれる場所は無いかい?そうすれば君にも食事のお代を払える」
ガルク?そんな通貨って有ったっけ?必死に脳内の記憶を引っ掻き回すが出て来ない。
「外国のお金だったら多分銀行で両替してくれると思うけど…ガルクってどの国のお金?私日本から出た事ないし、あまり海外の事に詳しく無くってさ」
「どこって…ガルクを知らないのかい?ガルフェン王国や、その近隣国で使われている通貨だよ。ガルフェン王国は知っているよね?世界連合の盟主国だ。俺はそこからやって来た。」
「ガルフェン…王国?世界連合?国際連合じゃ無くって?」
ガルフェン王国なんて国は聞いた事が無い。それに世界連合なんて言葉もはじめて聞いた。何か彼の話には違和感を感じる。
「ねぇ貴方?…って、そういえばお互いに自己紹介がまだだったわね。私は宮本飛鳥。仕事はそうねぇ…別に隠す事でもないか?今は訳あってキャバクラで働いているの」
「ミヤモト=アスカ…?キャバクラ?家名が有るって事は貴族なのかい?俺はエルメス=ゾディアック。仲間からはエルって呼ばれているよ。良かったら君もそう呼んで欲しい…君の呼び方はアスカで大丈夫?」
「えぇ、それでいいわよ。…エル?それで話の続きなんだけど…ゴメンなさい。私はガルファン王国って国も世界連合って言葉も聞いた事が無いの。ちょっとスマホで調べてみても良いかしら?」
「スマホ?…ってその金属の板の事か。店の手伝いをする代わりに食事を分けてくれないか交渉した『はんばーがー屋』でその魔道具を使って警察?とか言う自警団を呼ばれそうになって慌てて退散したよ。調べ物も出来るなんて凄い魔道具だ」
エルは私のスマホを興味深そうに覗き込む。スマホをネットに繋いでガルファン王国と世界連合と言う言葉を検索する…がそれらしい情報は何も出てこない。似ている言葉は幾つかあったが、全てゲームの攻略情報やアニメの情報だった。
もしかしてエルが私の事をからかって遊んでいるかとも思ったが、スマホを覗き込むエルの表情は真剣そのものだ。このご時世にスマホをそんなに珍しがるなんて…そう言えば何か大切な事を忘れている気がする…そうだ!私の手首を治したあの光の事を聞き忘れていた。もしかすると…頭の中に一つの仮説が思い浮かぶ。
「ねぇ、エル?エルは嘘なんて吐いていないわよね?今調べてみたんだけど、ガルファン王国って国や世界連合って組織は存在しないみたいなの…それで一つ思い思いついた事があるわ…」
「王国や世界連合が存在しない…?そんなバカな…」
「えっと…頭がどうかしてるとか思わないで欲しいんだけど…もしかしてエルはこの世界とは違う世界からやって来た異世界人じゃないかしら?日本、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、ドイツ、フランス、ブラジル…この中に1つでも聞き覚えの有る国は有る?」
「どの国も聞いた事が無い…異世界…俺の居た世界とは違う世界…?あの時俺は…」
エルは少し混乱した様子で考え込んでいる。何か心当たりが有るのかも知れない。
「他にもエルが異世界の人だって思う根拠が有るわ。私の手首を治してくれた不思議な光…アレはもしかして魔法…なのかしら?この世界じゃあんな風に怪我を治療する事が出来る人間なんて存在しないの。だからもしかして…って思ったんだけど…」
「確かに…俺は異世界へ飛ばされたのかも知れない。心当たりが有る。少し俺の話を聞いて欲しい…」
「うぐっ…もんとうびばりがどう、ぶべびぶぼぼぼばっばぼ」
猛烈な勢いでご飯をガッつく男。彼は私の命の恩人だ。大袈裟でも何でも無い。タチの悪い男達に襲われ、強姦されそうになっていた私を助けてくれた謎のイケメン。
彼は今ハムスターの様に頬を膨らませ、私の作った料理を口に詰め込んでいた。
暴漢達から私を助けてくれた彼だったが、その後お腹が空き過ぎてその場にフラフラと倒れこんでしまった。
自宅のマンションまで歩いてすぐだが、初対面の男をいきなり自宅に招き入れるのはどうかと思う…しかし命の恩人を見捨てる事は出来ない。散々悩んだ結果、私は彼を自宅に上げて食事を振る舞う事にした。
「ぶはぁーっ!生き返った…こんなに美味い食事は久しぶりだよ…」
「お粗末様でした。貴方が倒れた時は驚いたわよ。あの男に投げられた時に頭を打ったんじゃないかって心配したわ…でもまさかお腹が空いていただけだなんて…ふふっ、可笑しな人ね」
「あの程度何ともないさ。ただ空腹にはどうしても勝てなかった…君がご馳走してくれなかったら今ごろ飢え死んでいたかも知れない…割と切実に…」
「初対面の人にこんな事聞くのも失礼だと思うけど、お金が無かったの?着ている物もボロボロだし…」
「お金がない訳じゃないんだ。それなりには持っているとは思うんだけど、俺の持ってる通貨はこの国では使えないみたいでね…何件か食事の出来そうな店に行ったけど断られてしまったんだ。どこかにガルクとこの国の通貨を両替してくれる場所は無いかい?そうすれば君にも食事のお代を払える」
ガルク?そんな通貨って有ったっけ?必死に脳内の記憶を引っ掻き回すが出て来ない。
「外国のお金だったら多分銀行で両替してくれると思うけど…ガルクってどの国のお金?私日本から出た事ないし、あまり海外の事に詳しく無くってさ」
「どこって…ガルクを知らないのかい?ガルフェン王国や、その近隣国で使われている通貨だよ。ガルフェン王国は知っているよね?世界連合の盟主国だ。俺はそこからやって来た。」
「ガルフェン…王国?世界連合?国際連合じゃ無くって?」
ガルフェン王国なんて国は聞いた事が無い。それに世界連合なんて言葉もはじめて聞いた。何か彼の話には違和感を感じる。
「ねぇ貴方?…って、そういえばお互いに自己紹介がまだだったわね。私は宮本飛鳥。仕事はそうねぇ…別に隠す事でもないか?今は訳あってキャバクラで働いているの」
「ミヤモト=アスカ…?キャバクラ?家名が有るって事は貴族なのかい?俺はエルメス=ゾディアック。仲間からはエルって呼ばれているよ。良かったら君もそう呼んで欲しい…君の呼び方はアスカで大丈夫?」
「えぇ、それでいいわよ。…エル?それで話の続きなんだけど…ゴメンなさい。私はガルファン王国って国も世界連合って言葉も聞いた事が無いの。ちょっとスマホで調べてみても良いかしら?」
「スマホ?…ってその金属の板の事か。店の手伝いをする代わりに食事を分けてくれないか交渉した『はんばーがー屋』でその魔道具を使って警察?とか言う自警団を呼ばれそうになって慌てて退散したよ。調べ物も出来るなんて凄い魔道具だ」
エルは私のスマホを興味深そうに覗き込む。スマホをネットに繋いでガルファン王国と世界連合と言う言葉を検索する…がそれらしい情報は何も出てこない。似ている言葉は幾つかあったが、全てゲームの攻略情報やアニメの情報だった。
もしかしてエルが私の事をからかって遊んでいるかとも思ったが、スマホを覗き込むエルの表情は真剣そのものだ。このご時世にスマホをそんなに珍しがるなんて…そう言えば何か大切な事を忘れている気がする…そうだ!私の手首を治したあの光の事を聞き忘れていた。もしかすると…頭の中に一つの仮説が思い浮かぶ。
「ねぇ、エル?エルは嘘なんて吐いていないわよね?今調べてみたんだけど、ガルファン王国って国や世界連合って組織は存在しないみたいなの…それで一つ思い思いついた事があるわ…」
「王国や世界連合が存在しない…?そんなバカな…」
「えっと…頭がどうかしてるとか思わないで欲しいんだけど…もしかしてエルはこの世界とは違う世界からやって来た異世界人じゃないかしら?日本、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、ドイツ、フランス、ブラジル…この中に1つでも聞き覚えの有る国は有る?」
「どの国も聞いた事が無い…異世界…俺の居た世界とは違う世界…?あの時俺は…」
エルは少し混乱した様子で考え込んでいる。何か心当たりが有るのかも知れない。
「他にもエルが異世界の人だって思う根拠が有るわ。私の手首を治してくれた不思議な光…アレはもしかして魔法…なのかしら?この世界じゃあんな風に怪我を治療する事が出来る人間なんて存在しないの。だからもしかして…って思ったんだけど…」
「確かに…俺は異世界へ飛ばされたのかも知れない。心当たりが有る。少し俺の話を聞いて欲しい…」
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