7 / 10
1章 婚約破棄
007 侮辱
しおりを挟む
「きっ!?貴様ァ!?今何と言った!?賢者か何だか知らないが我がレイルデスク皇国の皇女殿下を侮辱するとは許されぬぞ!我が火炎魔法で焼き尽くしてくれる!出でよ炎…なっ!?何故魔法が使えぬ!?」
「だってここって魔法が使えない様に結界が張られてるもん。火炎魔法が使いたいの?手伝ってあげるよ。ほら、もう魔法が使える筈だから試してごらん?」
突如1人の貴族…恐らくはレイルデスク皇国の貴族だろう。がマリウス様を怒鳴りつけ、あろう事が攻撃魔法を唱えようとした。しかし怒りをぶつけられたマリウス様はどこ吹く風と言った調子だ。
「舐めおって…皇女殿下だけでなく皇国の火焔侯と呼ばれる私も愚弄するか!その命をもって詫びるが良い!出でよ!火焔竜!!」
皇国の火焔侯…その名前には聞き覚えが有る。皇国でも5本の指に入ると呼ばれる有名な魔法使いだ。彼の腕から放たれた炎が竜の形になりマリウス様へと襲い掛かる。
「なっ!?私の火焔竜が…掻き消された…だと…?」
「うーん…15点ってところかな?魔力量は悪く無いけど、何でワザワザ竜の形にするか意味分かんないし、何より僕1人を始末したいのにこんなに広範囲に影響与える様にしちゃダメでしょ?心臓に指の先ほどの穴を開けたら人間なんて簡単に死んじゃうんだからこのくらいで良いんだよ。ほら」
火炎の竜はマリウス様の目前まで迫り、そこで消えてしまった。マリウス様は指一本動かしては無い。そしてマリウス様の目が一瞬だけ赤く光った。
「一体何をし…たぁぁぁぁぁぁっ!?」
「あーあ。こんな大勢の前でパンツ一丁になっちゃって。上着が立派な分なんだか変態ぽいね。うん、今日から君は露出侯って名乗ると良いよ」
目で追えなかったが、恐らくはマリウス様の魔法だろう。火炎侯…改め露出侯のズボンのベルトの部分が焼き切られ、支えを失ったズボンがずり落ちて下着が露わになっていた。マリウス様の言う通り、勲章が山ほど付けられた上着と相まって確かに変態っぽい。
「大体ね?君達の言う皇族だとか王族だとか貴族だとかって、勝手に君達が格付けしてるだけで、僕にとっては皆同じ人間なんだよ。正直今の世の中みたいに一部の人間が他人を働かせて利益を独占してるってのはあんまり良い事とは思えない…って説教臭くなっちゃったね」
「マ…マリウス様…私の国の者が失礼な真似をして申し訳有りませんでした!どうか!どうかお許しを…」
「そう言うところが君を好きになれない原因なんだよね。ステファニーさんだったっけ?君今心の中で『皇族の私が配下の失態に頭を下げるなんて、これで私の株が上がる事間違い無しですわ!』とか思ってるでしょ?読心魔法を使った訳じゃないけど、昔から君みたいな人ってどこにでもいたからわかりやすいんだよね。他人の失敗を即座に自分の評価に繋げようとする頭の回転の早さは認めるけど、僕はそんな人ってあんまり好きじゃないなぁ…」
「だってここって魔法が使えない様に結界が張られてるもん。火炎魔法が使いたいの?手伝ってあげるよ。ほら、もう魔法が使える筈だから試してごらん?」
突如1人の貴族…恐らくはレイルデスク皇国の貴族だろう。がマリウス様を怒鳴りつけ、あろう事が攻撃魔法を唱えようとした。しかし怒りをぶつけられたマリウス様はどこ吹く風と言った調子だ。
「舐めおって…皇女殿下だけでなく皇国の火焔侯と呼ばれる私も愚弄するか!その命をもって詫びるが良い!出でよ!火焔竜!!」
皇国の火焔侯…その名前には聞き覚えが有る。皇国でも5本の指に入ると呼ばれる有名な魔法使いだ。彼の腕から放たれた炎が竜の形になりマリウス様へと襲い掛かる。
「なっ!?私の火焔竜が…掻き消された…だと…?」
「うーん…15点ってところかな?魔力量は悪く無いけど、何でワザワザ竜の形にするか意味分かんないし、何より僕1人を始末したいのにこんなに広範囲に影響与える様にしちゃダメでしょ?心臓に指の先ほどの穴を開けたら人間なんて簡単に死んじゃうんだからこのくらいで良いんだよ。ほら」
火炎の竜はマリウス様の目前まで迫り、そこで消えてしまった。マリウス様は指一本動かしては無い。そしてマリウス様の目が一瞬だけ赤く光った。
「一体何をし…たぁぁぁぁぁぁっ!?」
「あーあ。こんな大勢の前でパンツ一丁になっちゃって。上着が立派な分なんだか変態ぽいね。うん、今日から君は露出侯って名乗ると良いよ」
目で追えなかったが、恐らくはマリウス様の魔法だろう。火炎侯…改め露出侯のズボンのベルトの部分が焼き切られ、支えを失ったズボンがずり落ちて下着が露わになっていた。マリウス様の言う通り、勲章が山ほど付けられた上着と相まって確かに変態っぽい。
「大体ね?君達の言う皇族だとか王族だとか貴族だとかって、勝手に君達が格付けしてるだけで、僕にとっては皆同じ人間なんだよ。正直今の世の中みたいに一部の人間が他人を働かせて利益を独占してるってのはあんまり良い事とは思えない…って説教臭くなっちゃったね」
「マ…マリウス様…私の国の者が失礼な真似をして申し訳有りませんでした!どうか!どうかお許しを…」
「そう言うところが君を好きになれない原因なんだよね。ステファニーさんだったっけ?君今心の中で『皇族の私が配下の失態に頭を下げるなんて、これで私の株が上がる事間違い無しですわ!』とか思ってるでしょ?読心魔法を使った訳じゃないけど、昔から君みたいな人ってどこにでもいたからわかりやすいんだよね。他人の失敗を即座に自分の評価に繋げようとする頭の回転の早さは認めるけど、僕はそんな人ってあんまり好きじゃないなぁ…」
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします
紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド
どこにでも居る普通の令嬢レージュ。
冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。
風魔法を使えば、山が吹っ飛び。
水魔法を使えば大洪水。
レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。
聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。
一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。
「その命。要らないなら俺にくれないか?」
彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。
もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!
ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。
レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。
一方、レージュを追放した帝国は……。
婚約破棄された王太子妃候補ですが、私がいなければこの国は三年で滅びるそうです。
カブトム誌
恋愛
王太子主催の舞踏会。
そこで私は「無能」「役立たず」と断罪され、公開の場で婚約を破棄された。
魔力は低く、派手な力もない。
王家に不要だと言われ、私はそのまま国を追放されるはずだった。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
この国が長年繁栄してきた理由も、
魔獣の侵攻が抑えられていた真の理由も、
すべて私一人に支えられていたことを。
私が国を去ってから、世界は静かに歪み始める。
一方、追放された先で出会ったのは、
私の力を正しく理解し、必要としてくれる人々だった。
これは、婚約破棄された令嬢が“失われて初めて価値を知られる存在”だったと、愚かな王国が思い知るまでの物語。
※ざまぁ要素あり/後半恋愛あり
※じっくり成り上がり系・長編
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる