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33 至高国王天然イケメン
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数時間ほど馬を走らせれば大きな町が見えてきた
馬を預けて自分の足で歩いた『ミツドナ』の町並みは、マナカノの町と引けをとらないほど広く、賑わっていた。色々な店が立ち並ぶ光景に目移りしそうになりながら私の前を歩く三人の後についていく
だけど寄り道することなくまっすぐ進む三人の行く先に、大きな建物が見えたころ(あれ?)と私は違和感を抱く
え、まさかここなの?と思った通り、ピタリと足を止めた三人に私は激しく困惑する。
「うそですよね?…ここじゃないですよね?」
「ん?ここだぜぃ。トキノワ商会ミツドナ支部」
「…本部より大きい建物、というか…どうみてもお城に見えるんですが…」
目の前に聳え立つ大きなそれは、歴史の教科書で出てくる城のような見た目をしていて、重厚な門の前にいる門番らしき人にトビさんは慣れた様子で何か言うと
ゴゴゴと重そうな音を立てその門が開いた
「由羅嬢は来た事がないのかな?」と聞いてくるキトワさんに私はゆっくりと頷く。来たことないし、理屈的にどう考えても、このお城が会社の支部なんてことありえないと思うのだけど、と疑問に思ったことをキトワさんに尋ねる
「なるほど。まぁあながち間違いではないよ由羅嬢!ここはトキノワ支部でもあるけれどこの国の王様の住む場所でもあるからね!」
わが物顔で城内を歩き、そこかしこにいる従者たちに手を振り笑うキトワさんに私は盛大に首を傾げる
支部でもあり王様の住む場所でもあるとは?なに?城を間借りしているということ?町にある民家を借りるのではだめなの?
なんでわざわざ城に支部を?と次々わいてくる疑問に頭が埋まっていく
「混乱すんのもわかっけどなぁ」
「つまりですね由羅さん!この城にトキノワの支部長がいるからここが支部なんっすよ!」
「支部長?」
イクマ君の説明にそのまま聞き返すと目の前にひときわ大きな扉が現れた。この国の国旗のような模様が描かれたそれは、今までで一番重厚で豪華な作りになっていて、まるで玉座の間の門だ。
え、ちょっと待って。もしかしなくともこの先って…
嫌な予感に背筋が凍りそうになった時、キトワさんとトビさんがその扉に左右から手をかけると、重厚な音を立てその扉がゆっくりと開かれた
「なに由羅嬢。ひれ伏す必要はない。彼はその類を嫌うからね」
「か、かれ?」
「そう、僕とトビの幼馴染であり、我が国の象徴であり。またトキノワ支部長でもある。彼がーー」
-ゴゴォン、と重々しい音をたて背後から扉が閉まる音がしたと同時に、キトワさんが目の前の玉座に手を向けて高らかに叫ぶ
「ーーエレムルス国第12代国王、ツジノカだよ!」
「へ・・・」
こ…国王様!??
トキノワの支部長が?え?この国の?王様?
頭の中が大混乱に陥っている私の背をトビさんにそっと押されて綺麗なカーペットをゆっくりと歩く。
目の前まできて、やっと今の状況を理解した私はゴクリと固唾を飲み込んだ
赤と金の装飾が施されたその玉座に鎮座し、こちらを見据えるその人はーー
漆黒の髪に似合う深い赤色の衣を身に纏っていて、これまで何人ものイケメンたちを見てきた私でも、思わず惚れ惚れしてしまうほどの美貌と、神々しいほどのそのオーラに、一瞬クラリとめまいがした
「その者が噂の由羅なる者か。」
芯に響くような、だけど不思議と心地の良い低い声で名前を呼ばれ「はい」と返事した声が少し上擦る
「久方ぶりだねツジノカ!変わりないかい?」
「ああ。お前たちも元気そうだな。イクマも、仕事には慣れたか?」
「はいっす!」
「長旅で疲れただろう、部屋は用意してある故そこで休め。」
イクマ君と私を一瞥し、深紅の衣をバサリと翻し玉座から去っていくツジノカさんに数名の従者らしき人達とキトワさんとトビさんがついていき、いなくなったその存在感に私はやっと息ができたような心地になる。
こ、こういう場にくるのならせめて事前に説明がほしかった…
ーーーーー
従者さんが案内してくれた部屋で私とイクマ君はドサリと椅子に座り込んだ
「なんか…すごいものを見たというかすごい場にきてしまったというか…」
「ははは、自分も最初同じこと思いましたよ。ツジノカさんってさすが王様というか迫力が半端ないっすよね」
「そうだね・・・っというかイクマ君!ここお城で、王様がトキノワの支部長って何なの!?どういうこと!?」
軽くパニックで理解できない。驚きすぎて玉座の間での記憶が軽く飛んでいる
普通王様が一番偉いひとじゃないの?それが実質時成さんの部下になってるってどういうこと?まさかあの人、変な力使ってこの世界牛耳ってるの!?
「えーっと自分も実際のとこよくは知らねーっすけど。やっぱり異形が関係してるんじゃないっすかね?王様だろうがなんだろうが、時成様が現れるまで人間たちは異形になすすべがなかったっすから」
「だ、だからって王様が時成さんの部下って…」
「そのへんは分かんないっすね。支部だとはいってますけど、実際は王様の仕事が忙しいらしくて、トキノワ関係の仕事もほぼしてないし…。」
そりゃそうでしょうね。と頭の中で大きく頷く。王様と支部長の兼業なんてありえないし、できるわけないでしょう
「あ、でもシオさんが事務関係のことをしてるって聞いたことありますね」
「シオさん?」
初めて聞く名前に首を傾げた時だった。私とイクマ君しかいないはずの部屋の中から突然「ご紹介にあずかりました。私がシオです」とどこからともなく声がして、盛大に私の体がびくついた
おそるおそる声のした方へ視線を向ければ部屋の扉の前にティーポットを手に佇む一人の男の子が見えた
「あれ?シオさんいつの間に!お久しぶりっす!」
「お久しぶりですイクマ様。ノックしようとした時ちょうど私の名前を呼ばれたものですので」
驚かせて申し訳ありません。と小さく頭を下げたその人はポットを机に置くと私に向き直った
「お初にお目にかかります由羅様。第12代国王ツジノカが義弟、シオと申します」
国王様の……おとうと?
馬を預けて自分の足で歩いた『ミツドナ』の町並みは、マナカノの町と引けをとらないほど広く、賑わっていた。色々な店が立ち並ぶ光景に目移りしそうになりながら私の前を歩く三人の後についていく
だけど寄り道することなくまっすぐ進む三人の行く先に、大きな建物が見えたころ(あれ?)と私は違和感を抱く
え、まさかここなの?と思った通り、ピタリと足を止めた三人に私は激しく困惑する。
「うそですよね?…ここじゃないですよね?」
「ん?ここだぜぃ。トキノワ商会ミツドナ支部」
「…本部より大きい建物、というか…どうみてもお城に見えるんですが…」
目の前に聳え立つ大きなそれは、歴史の教科書で出てくる城のような見た目をしていて、重厚な門の前にいる門番らしき人にトビさんは慣れた様子で何か言うと
ゴゴゴと重そうな音を立てその門が開いた
「由羅嬢は来た事がないのかな?」と聞いてくるキトワさんに私はゆっくりと頷く。来たことないし、理屈的にどう考えても、このお城が会社の支部なんてことありえないと思うのだけど、と疑問に思ったことをキトワさんに尋ねる
「なるほど。まぁあながち間違いではないよ由羅嬢!ここはトキノワ支部でもあるけれどこの国の王様の住む場所でもあるからね!」
わが物顔で城内を歩き、そこかしこにいる従者たちに手を振り笑うキトワさんに私は盛大に首を傾げる
支部でもあり王様の住む場所でもあるとは?なに?城を間借りしているということ?町にある民家を借りるのではだめなの?
なんでわざわざ城に支部を?と次々わいてくる疑問に頭が埋まっていく
「混乱すんのもわかっけどなぁ」
「つまりですね由羅さん!この城にトキノワの支部長がいるからここが支部なんっすよ!」
「支部長?」
イクマ君の説明にそのまま聞き返すと目の前にひときわ大きな扉が現れた。この国の国旗のような模様が描かれたそれは、今までで一番重厚で豪華な作りになっていて、まるで玉座の間の門だ。
え、ちょっと待って。もしかしなくともこの先って…
嫌な予感に背筋が凍りそうになった時、キトワさんとトビさんがその扉に左右から手をかけると、重厚な音を立てその扉がゆっくりと開かれた
「なに由羅嬢。ひれ伏す必要はない。彼はその類を嫌うからね」
「か、かれ?」
「そう、僕とトビの幼馴染であり、我が国の象徴であり。またトキノワ支部長でもある。彼がーー」
-ゴゴォン、と重々しい音をたて背後から扉が閉まる音がしたと同時に、キトワさんが目の前の玉座に手を向けて高らかに叫ぶ
「ーーエレムルス国第12代国王、ツジノカだよ!」
「へ・・・」
こ…国王様!??
トキノワの支部長が?え?この国の?王様?
頭の中が大混乱に陥っている私の背をトビさんにそっと押されて綺麗なカーペットをゆっくりと歩く。
目の前まできて、やっと今の状況を理解した私はゴクリと固唾を飲み込んだ
赤と金の装飾が施されたその玉座に鎮座し、こちらを見据えるその人はーー
漆黒の髪に似合う深い赤色の衣を身に纏っていて、これまで何人ものイケメンたちを見てきた私でも、思わず惚れ惚れしてしまうほどの美貌と、神々しいほどのそのオーラに、一瞬クラリとめまいがした
「その者が噂の由羅なる者か。」
芯に響くような、だけど不思議と心地の良い低い声で名前を呼ばれ「はい」と返事した声が少し上擦る
「久方ぶりだねツジノカ!変わりないかい?」
「ああ。お前たちも元気そうだな。イクマも、仕事には慣れたか?」
「はいっす!」
「長旅で疲れただろう、部屋は用意してある故そこで休め。」
イクマ君と私を一瞥し、深紅の衣をバサリと翻し玉座から去っていくツジノカさんに数名の従者らしき人達とキトワさんとトビさんがついていき、いなくなったその存在感に私はやっと息ができたような心地になる。
こ、こういう場にくるのならせめて事前に説明がほしかった…
ーーーーー
従者さんが案内してくれた部屋で私とイクマ君はドサリと椅子に座り込んだ
「なんか…すごいものを見たというかすごい場にきてしまったというか…」
「ははは、自分も最初同じこと思いましたよ。ツジノカさんってさすが王様というか迫力が半端ないっすよね」
「そうだね・・・っというかイクマ君!ここお城で、王様がトキノワの支部長って何なの!?どういうこと!?」
軽くパニックで理解できない。驚きすぎて玉座の間での記憶が軽く飛んでいる
普通王様が一番偉いひとじゃないの?それが実質時成さんの部下になってるってどういうこと?まさかあの人、変な力使ってこの世界牛耳ってるの!?
「えーっと自分も実際のとこよくは知らねーっすけど。やっぱり異形が関係してるんじゃないっすかね?王様だろうがなんだろうが、時成様が現れるまで人間たちは異形になすすべがなかったっすから」
「だ、だからって王様が時成さんの部下って…」
「そのへんは分かんないっすね。支部だとはいってますけど、実際は王様の仕事が忙しいらしくて、トキノワ関係の仕事もほぼしてないし…。」
そりゃそうでしょうね。と頭の中で大きく頷く。王様と支部長の兼業なんてありえないし、できるわけないでしょう
「あ、でもシオさんが事務関係のことをしてるって聞いたことありますね」
「シオさん?」
初めて聞く名前に首を傾げた時だった。私とイクマ君しかいないはずの部屋の中から突然「ご紹介にあずかりました。私がシオです」とどこからともなく声がして、盛大に私の体がびくついた
おそるおそる声のした方へ視線を向ければ部屋の扉の前にティーポットを手に佇む一人の男の子が見えた
「あれ?シオさんいつの間に!お久しぶりっす!」
「お久しぶりですイクマ様。ノックしようとした時ちょうど私の名前を呼ばれたものですので」
驚かせて申し訳ありません。と小さく頭を下げたその人はポットを机に置くと私に向き直った
「お初にお目にかかります由羅様。第12代国王ツジノカが義弟、シオと申します」
国王様の……おとうと?
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