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100 宴もたけなわでございますが
しおりを挟むあれから何時間と経ち、眠り続ける時成さんが心配になり始めたころ。
ミツドナからアネモネさん達がトキノワ本部へとやってきた。
ナズナさんやナス子さんと一緒にやってきたツジノカさんとシオ君は、私を見ると何故か目の前に跪き、ゆっくりと頭を垂れた…。え、いや…なにしてるんですか…?
「ただいま戻りました、由羅さん…」
「やっと君の元へかえれたな…」
目を伏せ、心底ほっとしたように、深く息を吐きながら告げる二人に私は眉を下げる。
他の皆もそうだったけど…共鳴したことで、昔の記憶がよみがえっているのだろう…。
気持ちはわかるし嬉しいのだけど、今のあなたたちの身分というものをもう少し自覚してほしい…。王族二人に頭を下げられている状況は居心地がすこぶる悪いです早く立ち上がってください…。
「まさか、数百年前の俺たちが由羅君のペットだったとはな…」
「ペットではないですよ兄上様。」
どうやら、ここまでの道中でアネモネさんに全てを聞いたらしい。
私も、理解するのに時間がかかったけれど、今ではどこかスッキリと納得している。
300年前、主人と不遇な別れとなってしまった動物達の魂が、時を超えトキノワの皆の魂と溶けあっているらしい。
そのために、トキノワの皆はもともとの動物達の力がそのまま『特殊能力』として残っている。所謂、“生まれ変わり”というやつだろうか……。
「だが、僅かに残った思念を猫魔が集め、紡ぎねじ混げ増幅させ…やつは異形というバケモノたちを作りだした…。」
アネモネさんが補足するように説明した言葉に、今初めて聞いた他のトキノワのメンバーは驚愕に顔を染めている。
なんとなく、察していたような人もいれば、まったく予想だにしていなかった様子の人もいる…。
「その動物たちの無念の思いも後悔の念も全て、共鳴をした今は、由羅姫が受け止め、受け入れてくれている。私もお前たちももう過去とは解放されているし、役目も終えているんだよ。」
「それが気に食わねーんだよな」
「…なに?」
冷静にアネモネさんの話を聞いていたはずのゲンナイさんがすっと立ち上がるとアネモネさんの前に出る。
目を細めるアネモネさんにゲンナイさんは少しだけ眉間に皺をよせていた。
「役目を終えている。とリブロジもアネモネも言うけどな…。んなこと勝手に決めないでほしいもんだ」
「同意だな。その役目ってのは過去の動物たちの未練で、そいつらの役目だろ。」
ナズナさんも不機嫌そうに立ち上がるとアネモネさんを見つめる。
「お役御免を言われる筋合いはねぇぞ」
「俺は、この命尽きるまで由羅ちゃんも守ると誓ってる」
「右に同じく。俺も最後までお供します。」
ナズナさんとゲンナイさんの言葉にさらにサダネさんまでもたちあがってしまい…。アネモネさんはそんな光景にやれやれと肩をすくめ小さく笑みを浮かべた。
「…どうだろうか由羅姫。こいつらはどうやら、言う事聞きそうにないな?」
綺麗な笑みで小首を傾げたアネモネさんに私は少しだけ涙を目に浮かべ頷いた。
本当は心細かった。まだまだ一緒にいてほしい。
皆の存在に救われているのは、ずっと、私の方だ…。
「皆、最後まで、見守ってください」
そう言って頭を下げ、顔を上げた時
ズドドドドっと雪崩のようにキトワさんとトビさんとナス子さんが私に飛び込んできた
「当たり前さ由羅嬢!伴侶たるもの最後まで見届けるが役目だからね!」
「誰が伴侶だキトワこの野郎!由羅安心しろぃ!この俺が守ってやっからなぁ!」
「ちょっと~二人とも由羅ちゃんに飛びつかないでよ~!私の由羅ちゃんがケガしちゃうでしょ~!」
むぎゅむぎゅと三人に力いっぱい抱きしめられ苦しくなっていれば、フッといつの間にか圧迫感がなくなり、何が起こったのか混乱する
「俺も、守るっすからね!」
聞こえた声に顔を向ければ、いつの間にか私をお姫様だっこしているイクマ君が私にウィンクを飛ばしてきて、へ?と私の口から変な声がでた。
一体なにが起こったの?いやなんとなくイクマ君のスピードがモノを言ったのはわかるけど…さすがなんだけど…。ありがとうだけど、ものすごく恥ずかしいからおろしてください…
そこからはもうどんちゃん騒ぎが始まってしまった。
トキノワに全員がそろった
はじめてのその日の夜は
たくさんの料理が机に並び
それを囲みながら、皆が笑顔で大騒ぎだ
宴会になってしまった光景に、なんだか懐かしい不思議な気持ちになる…。
楽しくて、嬉しくて、切なくて、どこか苦しい……。
涙が出そうになるのを耐えながら皆を見ていれば
私の隣にそっと誰かが座ってきた
「…起きたんですね、時成さん」
「うん…。随分と、賑やかだね」
「…時成さん、私は明日…猫魔の元へ行こうと思ってます」
「………。」
「“忘れたもの”は見つかりましたか?」
「……見つけたよ。」
見つけたくはなかったけどね。と小さく笑った時成さんに私は静かに目を伏せた…。
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