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第0345話 脱出
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森の中で。
蕭炎は歯を噛み締めながら空に浮かぶ雲韻を見詰めていた。
自分がその場で姿を現したことを悟られてしまったことは承知していたが、かつての因縁を持つこの女性が自分に対してどのような感情を持っているのか分からないままだった。
空を舞う雲韻は目を開け始めると、指先を震わせながらも徐々に動かし、蕭炎の方へと向けた。
その指先から発せられる薄い白光は闇の中では一筋の導きのように輝いていた。
自身の体内から漏れ出す微かな白光を見つめながら、蕭炎の心は凍り付くほど冷たくなった。
軽く笑みを浮かべた彼は、空に浮かぶその美しい女性へと冷たい視線を向け、そのまま背中を向けて走り出した。
雲韻は弱々しい白光を利用して蕭炎の無情な一瞥を見届けた。
その瞬間、胸が裂けるような痛みが湧き上がり、頬がさらに蒼白になっていった。
「追え」
闇に浮かぶ薄い白光を目印に、三位長老は喜色を帯びて叫んだ。
たちまち空気中に強風が吹き荒れ、数十の巨大な影がその白光を目指して森の中へと突進した。
雲韻は空中で、自分が追いかける白光に向かって疾走する飛行部隊を見つめながら、玉手を強く握りしめた。
修長な指先が掌に深く食い込み、赤い血の滴が降り注ぐ。
「ごめんなさい」夜色の中で彼女は自嘲的な笑みを浮かべた。
自分が先ほど向けたその一指こそが蕭炎の心を完全に閉ざしたことを知っている。
しかし宗門の主としての義務は、長年灌漑されてきた思想のように根付いていた。
それを変えるなど容易なことではなかった。
森の中、蕭炎は顔色を変えながら体内から漏れ出す白光を見つめ、空を駆け下る強風を感じた。
紫雲翼を展開させると同時に脚で木の幹を蹴り、身体を半空中に浮かせた。
林海を駆けるようにして白い光となって夜空を駆け抜けた。
以前は紫雲翼を使わなかったのは形跡が露見するためだったが、今や姿は完全に暴露している。
隠す必要などない。
しかし速度を最大限まで出しても、背後に迫る三つの圧力は衰えるどころか増していた。
紫雲翼は彼に飛行の力を与えても、本物の斗気双翼には及ばなかった。
「ふん、この若造め今夜こそお前の終焉だ。
我が宗門の弟子を殺したくせに逃がすとは」後方から冷たい殺意を込めた叫び声が響き渡った。
その呼びかけに反応することなく、蕭炎は紫雲翼を激しく羽ばたかせて夜空を駆け抜けた。
高速移動による風圧が林海に長い痕跡を残すほどだった。
「できるだけ我慢しよう。
体の中のそのエネルギーの痕跡が雲韻に誘発されて爆発した。
少し待ってくれれば、抑えられる」
蕭炎が必死に逃げ回っている時、薬老の声が彼の頭の中で響いた。
わずかに頷くと、後方から近づいてくる三つの流光を目で追う。
その瞬間、顔色が一変した。
強制的に深呼吸をし、体内の気旋が輝く斗晶を震わせた。
そこから流れ出す純粋な力量は経脈を駆け上がり、紫雲翼に注ぎ込まれる。
紫雲翼を受け止めた瞬間、翼の端から淡紫色の光が滲み出てきた。
その光は複雑な模様となって羽根に浮かび上がり、双翅が振られるたびに風雷の音を立て始めた。
速度が急激に向上したことで、蕭炎と三位雲嵐宗長老との距離が一時的に開いた。
しかし、その速さの変化に気付いた長老は「なんだ? 今度は白光も弱まっている。
このまま逃げられたら何をしろか」
最年長の長老が冷たい声で命令すると、他の二人も即座に応じた。
瞬間、彼らの体から雄渾な気勢が噴出。
本来半丈程度だった斗気の翼は突然丈余りまで広がった。
双翼を羽ばたくと、半空で風雷の響きが鳴り響く。
次の瞬間、三人の姿が原地から忽然として消えた。
再び現れた時には数十メートル先に立っていた。
その背後の破風音が聞こえると、蕭炎の顔色が変わった。
慌てて後ろを振り返ると、三つの影が距り二十メートルもない距離まで迫っている。
頭の中で数個の脱出計画が瞬時に浮かんだが、全てが否定された。
やがて、彼は深く息を吸い込み、林海に足を踏み入れた。
しかし地面に着いた直後、瞳孔が急に縮まった。
その場所には不気味な微香が漂っていた。
「仕掛かっているのか?」
と思考した瞬間、隠し通路から影が飛び出した。
その人物はすぐに蕭炎の口を塞いだ。
「炎ちゃん、落ち着いて」。
その声と共に、彼の体内で沸き出ようとした斗気が一時的に止まった。
顔を上げると、目の前に美しい女性の顔が近づいていた。
その表情には妖艵さと緊張感が交錯していた。
「雅妃姐?」
知っている顔が近づいてくるのを感じて、蕭炎は一瞬息を潜めながらも安堵したように小さく息を吐いた。
低い声で驚きを口にした。
「なぜここに?早く逃げなさい。
」
「しー。
心配しないで。
雲,宗の三位長老は海老に引き止めてあるわ。
これは魔獸の山脈の地図よ。
これを手に入れてガーマ帝国から出ればいいの。
南の方へ向かって、森を抜ければ街に出れるわ。
岚宗が追いかけるのは難しいはずよ。
」
雅妃は指輪から小冊子を取り出し、蕭炎に押し付けて急かすように言った。
その言葉を聞いた瞬間、蕭炎は視線を上げて暗闇の天井を見上げた。
枝葉で覆われた夜空には凶暴なエネルギーが散らばっているのがわかった。
「あなたたち……」
手にした地図を握りしめながら、炎は雅妃の緊張した表情を見て突然言葉につまってしまった。
雲,宗という巨大組織と対立した後に、自分を助けてくれたのはただ海老と雅妃だけだったのだ。
彼は彼らがどれほど大きな問題になるか知っていた。
無論、ミスール家もそのくらいの規模ではなかったはずなのに。
「雅妃姐……私は畜生で知りません。
あなたと海老に今日の恩は一生忘れません。
もしまたガーマ帝国に戻ったら、この借りは百倍返すでしょう」
蕭炎は深呼吸をし、重ねて言った。
「ふん。
姉妹はその日が来たらもっと強くなるのよ。
三年前からそうだったわ」
雅妃は優しく青年の頬に手を置き、笑みで包んだ。
「いい加減にしなさい。
岚宗の空軍隊が近づいてくるわ。
あと雲韻も来るわ」
「うん」
蕭炎は首を横に振ると、その美しい顔を見つめた。
両手で強く抱きしめ、彼女の柔らかな髪に顔を埋めて囁いた。
「雅妃姐、次に会ったときには、どんなお願いでも叶えるわ」
突然の力強い抱擁に驚いた雅妃は最初は戸惑い、すぐに頬が赤くなった。
その言葉を聞いたとたん、目を細めながら冗談っぽく言った。
「おっさん。
男らしくないでしょ?」
「私が叶えられるなら女王になっても構わないわ」
蕭炎は彼女の細い腰に手を添えて豪語した。
「女王姉は興味ね」
雅妃は口元を押さえながら笑ったが、すぐに時間の経つのが早いことを悟り、軽く頭を叩いた。
「早く行け」
「雅妃姐。
これだけは伝えなさい。
海老には……必ずその情分を返すわ」
深く頷き、蕭炎は礼儀を欠かずに背を向けて暗闇の森に駆け込んだ。
影のように立つ彼女は、その背中を見届けるとため息を吐いた。
「小坊主。
姉は待ってるわ。
三年前から知っていたわよ。
この小さなガーマ帝国にはあなたが留まらないはず。
あなたの才能は広大な大陸でこそ発揮されるべきだわ」
「姉がお迎えに来ている。
その時を逃さないよう、云の里まででも必ず迎えに行くわ」
空を見上げると、そこには十数頭の飛魔兎が飛び交っている。
最上位の飛魔兎は月光を反射させており、その輝く銀色の鱗が夜闇に浮かぶように見える。
「影衛隊!この敵を阻止せよ!」
雅妃が玉手で空を見上げた瞬間、暗闇から十数個の人形が突然現れた。
彼らは一斉に跳躍し、それぞれが光の矢を放ち始めた。
その矢は夜を切り裂くように飛び、敵の飛魔兎たちを次々と撃破していく。
「今度は私がお迎えするわ」月色の衣装の女性が優雅に手を振ると、周囲から十数個の影が飛び出してきた。
その速さは先程の飛魔兎よりもさらに速く、瞬間的に敵の背後に回り込んでいた。
「云の里へ向かう途中で、突然地面から跳ね上がってきた巨大な影が襲いかかった」
「嗤」体を軽々と浮かせると、次の一息で百メートル先に到達した。
しかしその瞬間、蕭炎は顔色を変えて樹木の幹を掴み、そのまま空中に浮上するように跳ね上がった。
地面から数メートル離れた位置で立ち止まると、彼は月光の中で微かに輝く白い光を見つめた。
その光は薬老の制御下で完全に消散していたが、今また徐々に強さを増し始めた。
「云の里の頂上に立つ美しい女性を見る度、蕭炎の心臓は一拍子乱れる」
彼女の姿は月明かりの中で浮かび上がり、その美しさは言葉で表せないほどだった。
しかし蕭炎の視線は冷たく、彼女が放つ気配は鋭くもろいものだった。
「最後の敵は云の里の指導者——雲韻」
彼女の顔に浮かぶ優しい笑みは、蕭炎にとっては最も恐れおのの対象だった。
その存在感は圧倒的で、彼女が放つ気配は鋼のように硬く、しかしどこか儚い光を帯びていた。
蕭炎は歯を噛み締めながら空に浮かぶ雲韻を見詰めていた。
自分がその場で姿を現したことを悟られてしまったことは承知していたが、かつての因縁を持つこの女性が自分に対してどのような感情を持っているのか分からないままだった。
空を舞う雲韻は目を開け始めると、指先を震わせながらも徐々に動かし、蕭炎の方へと向けた。
その指先から発せられる薄い白光は闇の中では一筋の導きのように輝いていた。
自身の体内から漏れ出す微かな白光を見つめながら、蕭炎の心は凍り付くほど冷たくなった。
軽く笑みを浮かべた彼は、空に浮かぶその美しい女性へと冷たい視線を向け、そのまま背中を向けて走り出した。
雲韻は弱々しい白光を利用して蕭炎の無情な一瞥を見届けた。
その瞬間、胸が裂けるような痛みが湧き上がり、頬がさらに蒼白になっていった。
「追え」
闇に浮かぶ薄い白光を目印に、三位長老は喜色を帯びて叫んだ。
たちまち空気中に強風が吹き荒れ、数十の巨大な影がその白光を目指して森の中へと突進した。
雲韻は空中で、自分が追いかける白光に向かって疾走する飛行部隊を見つめながら、玉手を強く握りしめた。
修長な指先が掌に深く食い込み、赤い血の滴が降り注ぐ。
「ごめんなさい」夜色の中で彼女は自嘲的な笑みを浮かべた。
自分が先ほど向けたその一指こそが蕭炎の心を完全に閉ざしたことを知っている。
しかし宗門の主としての義務は、長年灌漑されてきた思想のように根付いていた。
それを変えるなど容易なことではなかった。
森の中、蕭炎は顔色を変えながら体内から漏れ出す白光を見つめ、空を駆け下る強風を感じた。
紫雲翼を展開させると同時に脚で木の幹を蹴り、身体を半空中に浮かせた。
林海を駆けるようにして白い光となって夜空を駆け抜けた。
以前は紫雲翼を使わなかったのは形跡が露見するためだったが、今や姿は完全に暴露している。
隠す必要などない。
しかし速度を最大限まで出しても、背後に迫る三つの圧力は衰えるどころか増していた。
紫雲翼は彼に飛行の力を与えても、本物の斗気双翼には及ばなかった。
「ふん、この若造め今夜こそお前の終焉だ。
我が宗門の弟子を殺したくせに逃がすとは」後方から冷たい殺意を込めた叫び声が響き渡った。
その呼びかけに反応することなく、蕭炎は紫雲翼を激しく羽ばたかせて夜空を駆け抜けた。
高速移動による風圧が林海に長い痕跡を残すほどだった。
「できるだけ我慢しよう。
体の中のそのエネルギーの痕跡が雲韻に誘発されて爆発した。
少し待ってくれれば、抑えられる」
蕭炎が必死に逃げ回っている時、薬老の声が彼の頭の中で響いた。
わずかに頷くと、後方から近づいてくる三つの流光を目で追う。
その瞬間、顔色が一変した。
強制的に深呼吸をし、体内の気旋が輝く斗晶を震わせた。
そこから流れ出す純粋な力量は経脈を駆け上がり、紫雲翼に注ぎ込まれる。
紫雲翼を受け止めた瞬間、翼の端から淡紫色の光が滲み出てきた。
その光は複雑な模様となって羽根に浮かび上がり、双翅が振られるたびに風雷の音を立て始めた。
速度が急激に向上したことで、蕭炎と三位雲嵐宗長老との距離が一時的に開いた。
しかし、その速さの変化に気付いた長老は「なんだ? 今度は白光も弱まっている。
このまま逃げられたら何をしろか」
最年長の長老が冷たい声で命令すると、他の二人も即座に応じた。
瞬間、彼らの体から雄渾な気勢が噴出。
本来半丈程度だった斗気の翼は突然丈余りまで広がった。
双翼を羽ばたくと、半空で風雷の響きが鳴り響く。
次の瞬間、三人の姿が原地から忽然として消えた。
再び現れた時には数十メートル先に立っていた。
その背後の破風音が聞こえると、蕭炎の顔色が変わった。
慌てて後ろを振り返ると、三つの影が距り二十メートルもない距離まで迫っている。
頭の中で数個の脱出計画が瞬時に浮かんだが、全てが否定された。
やがて、彼は深く息を吸い込み、林海に足を踏み入れた。
しかし地面に着いた直後、瞳孔が急に縮まった。
その場所には不気味な微香が漂っていた。
「仕掛かっているのか?」
と思考した瞬間、隠し通路から影が飛び出した。
その人物はすぐに蕭炎の口を塞いだ。
「炎ちゃん、落ち着いて」。
その声と共に、彼の体内で沸き出ようとした斗気が一時的に止まった。
顔を上げると、目の前に美しい女性の顔が近づいていた。
その表情には妖艵さと緊張感が交錯していた。
「雅妃姐?」
知っている顔が近づいてくるのを感じて、蕭炎は一瞬息を潜めながらも安堵したように小さく息を吐いた。
低い声で驚きを口にした。
「なぜここに?早く逃げなさい。
」
「しー。
心配しないで。
雲,宗の三位長老は海老に引き止めてあるわ。
これは魔獸の山脈の地図よ。
これを手に入れてガーマ帝国から出ればいいの。
南の方へ向かって、森を抜ければ街に出れるわ。
岚宗が追いかけるのは難しいはずよ。
」
雅妃は指輪から小冊子を取り出し、蕭炎に押し付けて急かすように言った。
その言葉を聞いた瞬間、蕭炎は視線を上げて暗闇の天井を見上げた。
枝葉で覆われた夜空には凶暴なエネルギーが散らばっているのがわかった。
「あなたたち……」
手にした地図を握りしめながら、炎は雅妃の緊張した表情を見て突然言葉につまってしまった。
雲,宗という巨大組織と対立した後に、自分を助けてくれたのはただ海老と雅妃だけだったのだ。
彼は彼らがどれほど大きな問題になるか知っていた。
無論、ミスール家もそのくらいの規模ではなかったはずなのに。
「雅妃姐……私は畜生で知りません。
あなたと海老に今日の恩は一生忘れません。
もしまたガーマ帝国に戻ったら、この借りは百倍返すでしょう」
蕭炎は深呼吸をし、重ねて言った。
「ふん。
姉妹はその日が来たらもっと強くなるのよ。
三年前からそうだったわ」
雅妃は優しく青年の頬に手を置き、笑みで包んだ。
「いい加減にしなさい。
岚宗の空軍隊が近づいてくるわ。
あと雲韻も来るわ」
「うん」
蕭炎は首を横に振ると、その美しい顔を見つめた。
両手で強く抱きしめ、彼女の柔らかな髪に顔を埋めて囁いた。
「雅妃姐、次に会ったときには、どんなお願いでも叶えるわ」
突然の力強い抱擁に驚いた雅妃は最初は戸惑い、すぐに頬が赤くなった。
その言葉を聞いたとたん、目を細めながら冗談っぽく言った。
「おっさん。
男らしくないでしょ?」
「私が叶えられるなら女王になっても構わないわ」
蕭炎は彼女の細い腰に手を添えて豪語した。
「女王姉は興味ね」
雅妃は口元を押さえながら笑ったが、すぐに時間の経つのが早いことを悟り、軽く頭を叩いた。
「早く行け」
「雅妃姐。
これだけは伝えなさい。
海老には……必ずその情分を返すわ」
深く頷き、蕭炎は礼儀を欠かずに背を向けて暗闇の森に駆け込んだ。
影のように立つ彼女は、その背中を見届けるとため息を吐いた。
「小坊主。
姉は待ってるわ。
三年前から知っていたわよ。
この小さなガーマ帝国にはあなたが留まらないはず。
あなたの才能は広大な大陸でこそ発揮されるべきだわ」
「姉がお迎えに来ている。
その時を逃さないよう、云の里まででも必ず迎えに行くわ」
空を見上げると、そこには十数頭の飛魔兎が飛び交っている。
最上位の飛魔兎は月光を反射させており、その輝く銀色の鱗が夜闇に浮かぶように見える。
「影衛隊!この敵を阻止せよ!」
雅妃が玉手で空を見上げた瞬間、暗闇から十数個の人形が突然現れた。
彼らは一斉に跳躍し、それぞれが光の矢を放ち始めた。
その矢は夜を切り裂くように飛び、敵の飛魔兎たちを次々と撃破していく。
「今度は私がお迎えするわ」月色の衣装の女性が優雅に手を振ると、周囲から十数個の影が飛び出してきた。
その速さは先程の飛魔兎よりもさらに速く、瞬間的に敵の背後に回り込んでいた。
「云の里へ向かう途中で、突然地面から跳ね上がってきた巨大な影が襲いかかった」
「嗤」体を軽々と浮かせると、次の一息で百メートル先に到達した。
しかしその瞬間、蕭炎は顔色を変えて樹木の幹を掴み、そのまま空中に浮上するように跳ね上がった。
地面から数メートル離れた位置で立ち止まると、彼は月光の中で微かに輝く白い光を見つめた。
その光は薬老の制御下で完全に消散していたが、今また徐々に強さを増し始めた。
「云の里の頂上に立つ美しい女性を見る度、蕭炎の心臓は一拍子乱れる」
彼女の姿は月明かりの中で浮かび上がり、その美しさは言葉で表せないほどだった。
しかし蕭炎の視線は冷たく、彼女が放つ気配は鋭くもろいものだった。
「最後の敵は云の里の指導者——雲韻」
彼女の顔に浮かぶ優しい笑みは、蕭炎にとっては最も恐れおのの対象だった。
その存在感は圧倒的で、彼女が放つ気配は鋼のように硬く、しかしどこか儚い光を帯びていた。
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