闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0500話 敵を破る

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龍力丹という薬の名前は白程にとってもなじみ深いものだった。

当初、韓閑さえ作り出せなかった五品丹薬の効果がどれほど巨大か、その当時の長老たちの表情から容易に想像できた。

彼が先頃服用した「獣力丹」は四品丹薬にも満たないものだったが、龍力丹と同様に短時間で服用者の力を増幅する効果を持っていた。

しかしその増幅度合いは明らかに前者の方が遥かに優れていた。

そのため白程は蕭炎が龍力丹を取り出した瞬間、顔を歪めていた。

「お前…本当に…大金をかけてやるんだな?」

白程の口許がわずかに震えながらも、その声には苦渋と驚愕が入り交じっていた。

「ふっ。

白程先輩が丹薬を服用するなら、私も負けられないわよ」蕭炎は笑みを浮かべたが、その白い歯並びを見せる瞬間に白程の背筋に冷たいものが走った。

彼はようやく悟った──この温和な外見からは想像できないほど危険な人物なのだ。

龍力丹は確かに希少だが、蕭炎には既にその製法を掌握していた。

必要な材料さえ揃えば、それほど難しいものではない。

さらに白程の実力も相当なものだった。

天火三玄変を発動させた後でも蕭炎と互角に戦えるのだ。

このまま膠着状態が続くなら最悪なのは明らかに蕭炎側だった。

天火三玄変は確かに力を増幅させるが、時間制限がある。

その期限が切れる瞬間、蕭炎の実力は急激に低下する。

そうなれば状況はさらに悪化するだろう。

白程が先手で丹薬を服用したことで、蕭炎にも龍力丹を使う口実ができた。

彼は元々膠着状態を続けた後「仏怒炎蓮」という決定打に出るつもりだったが──この観客席にいる多くの強者たちの視線がある前でその底力を晒すのは避けたいと考えていた。

白程が丹薬を服用した瞬間、蕭炎は逆に喜びを覚えた。

これなら彼も龍力丹を使う正当な理由ができ、白程に対して牙を向けることができるのだ。

「あの白程って奴は本当に自滅的だわ」観客席では人々が白程の苦々しい表情を見て、内心でため息をついていた。



二本の指先が丸みを帯びた薬粒を軽くこすり合わせる。

周囲の視線を集めながら、蕭炎は「龍力丹」を口に放ち、ゆっくりと嚙み砕き始めた。

喉元一つ動かしただけでその薬品が体内に吸収され、瞬間的に灼熱の流れが全身を駆け抜けた。

それは洪水のように経脈を這い上がり、蕭炎の体を充満させる。

途端に彼は全身から力みなぎる充足感を感じ、天高く叫びたくなる衝動に駆られる。

身体が軋むような音を立てながら、その連続した骨の折れる音は戦場全体に響き渡った。

約二分間続くその異様な現象の最中、蕭炎は相手の白程が小さくなったように見えたことに気づいた。

しかし自分の体を見下ろすと、驚愕の事実が判明した——白程が縮小しているのではない。

彼自身が以前よりも大きく成長していたのだ。

かつては痩せた印象だった蕭炎だが、今は厳皓のような巨漢に近い体型になっていた。

その劇的な変化に観客席から驚きの声が上がった。

彼らは腕の筋肉が蛇のように蠢く蕭炎を見て冷汗を流し、「五品丹薬の効果とはこれか……強すぎるのではないか」と囁いた。

当然、多くの人々は萧炎の無駄遣いに嘆息した——五品丹薬を使い白程と戦うのはもったいないという声が続出した。

拳を握り、空気を叩くようにパンチを繰り返す。

斗気ではなく裸の力だけで、彼は毎回拳を振るうたびに音爆発を生み出す。

その圧縮された空気弾が地面に衝突すると、小さな凹みが形成される。

「やはり五品丹薬とは凄い効果だ」と体内の洪水のような力を感じながら、蕭炎は冷ややかな目線で白山を見据えた。

足元から銀光を放ち軽く跳ねると、瞬時に白程の前に現れた。

その速度は前よりもさらに加速していた。

白程は蕭炎の驚異的な速さに慣れきっており、彼が動いた瞬間から警戒を強めた。

黄金色の斗気で槍を包み込み、突然蕭炎に向かって突き出した。



服用了「龍力丹」の後、蕭炎は自分が力量だけでなく視力も鋭敏になったことに気づいた。

白程が槍を斗気で隠すことで人間がその痕跡を見分けられないようにしていたにもかかわらず、蕭炎は左へ頭を傾ける直感的な動きで鋭い槍風から回避し、左手で耳元に迫る槍の柄を瞬時に掴んだ。

その強大な力は雄渾な斗気を纏った槍を一ミリも動かさなかった。

槍が手に取られると白程の顔色が暗くなった。

右手を回転させ、掌心で深黄色の斗気が急速に形を作り、拳サイズほどの褐色光球へと圧縮された。

その光球は「玄土凝旋」と叫びながら蕭炎に向かって猛撃した。

褐色の光球が漆黒の瞳孔を急速に拡大する中、蕭炎は退くこともなく蒲扇のような大きな拳で光球へと重い一撃を放った。

斗気を使わずにいても爆発音は連鎖的に響き渡り、短距離ながらも瞬時に到達した。

「バチッ!」

という衝撃音と共に、両者の接触点から驚異的なエネルギー波が広がり硬い床を耕すように翻弄した。

白程の顔色が一瞬で蒼白くなり掌に伝わる激しい力で腕全体が痺れ、肩が震えるほどだった。

彼は長槍を握られたまま焦じついて後退し、足音と共に地面に半寸の深さの痕跡を残しながら十数歩も移動した。

白程がようやくその力を消化した時、場内の塵埃が去り蕭炎の巨大な姿が現れた。

彼は僅か一歩後方に下がりながらも手に持った深黄色の槍を見せる。

この光景から誰が優位だったのか明らかだった。

槍を軽く見やると蕭炎は白程に向かって笑みを浮かべた。

「ふん、どうやら白程先輩の丹薬の効果は『龍力丹』には及ばないようだね」。

その笑顔は冷たい風のように周囲に広がった。



白程の口角が僅かに歪んだ。

蕭炎のこの無謀な態度は、彼を噴き出したい衝動に駆り立てた。

しかし激怒の中にも後悔が込み上げてくる。

もし薬を服用していなければ、その場で嘲讽することができただろう。

だが今は黙って苦い果実を受け入れるしかない。

「戦いはまだ終わっていない」白程は冷たい鼻息を洩らした。

ここまで来れば完全に牙城を固めた。

体内の深い黄色の斗気は全身を駆け巡り、瞬く間に彼の体表面で凝縮された。

僅か十秒足らずで完成したその甲冑は、実質的な光を放つように輝きながらも土属性の防御力を最大限に発揮していた。

「ドン!」

蕭炎の拳が深い黄色の甲冑に叩きつけられた。

その衝撃は黄色い水流のようにエネルギーを波打たせ、大部分は硬直させられていたが残りの力は逆に彼方に跳ね返った。

「バキッ」白程の顔色が一瞬白くなり、すぐに平常に戻る。

冷ややかな笑みと共に蕭炎を見据えた。

「蛮力は立派だが土属性甲冑の防御力を知らないのか?この戦いでは勝てないかもしれないが、貴方を倒すには『龍力丹』があっても絶対に不可能だ」

「そうか?ならばご覧あれ。

私は貴方の亀の甲羅をどう破壊するか見せよう」冷ややかな目つきで蕭炎は足を踏み出した。

瞬間、白程の前に姿を現し拳を腹部まで引き込んだ。

「八極崩!」

力道が急激に変化したその時、彼の拳から凄まじい風圧波が発生した。

その轟音は競技場全体に響き渡った。

白程の冷ややかな目つきが驚愕と恐怖で曇る瞬間だった。



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