闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0502話 強榜順位

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場中に現れた男は身長が高く、人間のチンパンジーとほぼ同程度だった。

布製の衣服を着ていても、その顔には頑固さが溢れ、眉は濃く、背中に斜めに槍を担いでいた。

その漆黒の槍は彼の身長と同じくらいあり、蕭炎がこれまで見たどの槍よりも巨大で、男と同様に鋭利な威圧感を放っていた。

この男が現れた瞬間から場の主役は彼の頭上に移り変わった。

その凄まじい気迫はどこにでも通用し、誰も無視できないものだった。

目の前の男に対する蕭炎の最初の印象は二つの字で表される:圧倒的!

無論、その体格や顔立ち、背中の漆黒の槍全てが同じ匂いを放ち、内院ではただ一人だけが持つこの空気感は「強ランキング」第三位に名を連ねる剣王槍柳擎(りゅうけい)のものだった。

その男の登場で競技場は静まり返った。

観客席から注がれる視線には畏敬の念が滲み、内院では頂点クラスに近い存在であるこの強者を相手にするのは指折り数えるほどの人物だけだった。

男は蕭炎を見やると、近くで意識を失っている白程(はくてい)の方へと視線を向けた。

重厚な声が淡々と響いた。

「まさか白程に勝つとは思わなかった」

「運の良さだ」萧炎は手で横に転がっていた玄重尺(げんちょうし)を引き寄せ、古井無波の表情でその男の存在を無視した。

冗談めかして柳擎は笑みを浮かべた。

「我々にも間接的な因縁がある」

眉根を寄せながら蕭炎は彼が言う「因縁」とは柳菲(りゅうひ)という人物との関係だと悟った。

しかし反論するでもなく、残された僅かな斗気を経絡に巡らせていつか再び戦いが始まる準備を整えた。

柳擎と蕭炎の会話が続く中、観客席から数人の影が降りてきた。

先頭は美しい容姿の女性で、彼女は柳擎に向かって「表哥(ひょうぱ)」と呼びかけた後、控えめにその背後に立った。

しかし蕭炎への視線には勝ち誇りな表情が隠れていた。

「あの件は非難されるべきことはない。

だが、もしも無分別に他人を庇うなら、私が引き受けよう」彼女の言葉は冷たく切り捨てた。

萧炎の制止にもかかわらず立ち上がり、柳擎を睨みつけた。

その厳しい一言で柳擎は驚きの表情を見せた。

彼の才能と実力はどこでも類を見ないものだったが、この女性からこのような態度を取られるのは初めてのことだった。

さらに彼女の気品に惹かれて視線をしばらく注ぎ続けた。

「ふん、何物にも似つかわぬ存在だ。

私の表哥(ひょうぱ)などお前に訓戒される資格は無い。

白程を倒したからと言っても、蕭炎という男は薬の力に頼るだけの無能さだ」柳擎が冷ややかに言い放った。



そのような行動に、柳フィは不満を隠せなかった。

特に表兄である炎がこれまで女色に対して冷淡だったにもかかわらず、彼女に対する関心を示しているのを見て、胸中で酸味を感じた。

その場で前に一歩進み出し、薰(くん)に指を突きつけて鋭く言い返した。

柳フィの罵声は炎には風になってしまい、薰だけが顔色を変えた。

炎に対する侮蔑的な言葉は彼女にとって絶対に許せないものだったのだ。

「フィー!」

一側で柳剣(りゅうけん)も眉をひそめた。

明らかに柳フィの罵倒は行き過ぎていたと感じ、声を大きくした。

薰の顔から寒気が漂っているのに気づき、何か言いかけた瞬間、眼孔がわずかに縮まった。

体を左へ一歩ずらし、柳フィを背後に守った。

その刹那、静止していた薰は猛然と身を翻した。

通路には彼女の残影が二つ浮かび上がり、ちょうど柳剣の左右に位置していた。

残影が現れた瞬間、柳剣の顔色が変わった。

手が光速で残影を貫き、背後から清澄な拍子音(はくしおん)が響いた。

「ぱち!」

観客席では人々が口を開けて見つめている。

柳フィの頬に残る赤い手形を見て、競技場全体がその大きな拍子音と共に奇妙な静寂に包まれた。

薰は手を上げて軽く顎を上げ、驚きの表情を見せる柳フィを冷めた目で見やった。

「柳フィよ。

柳剣がお前の盾になるなどと勘違いするな。

この一撃は炎のために叩いたのだ」

「貴様!貴様は最低だ!私は貴方を殺す!」

頬に残る痛みの刺激でようやく我に返り、大勢の前で公開辱めを受けたことに柳フィは耐え切れなかった。

その屈辱は斬首よりも辛かった。

怒りが込み上げて頬を真っ赤に染め、彼女は薰に向かって爪を振り下ろした。

冷たく見つめる薰の手には金色の光が濃くなり、その凶暴な気力は柳フィ周囲の人々の顔色を変えさせた。

柳フィの身辺から人々が飛び退り、彼女を守ろうとした。

「この方、これは行き過ぎているのではないでしょうか?」

人影が移動し、柳剣が再び薰の前に立ちはだかった。

「自業自得ですわ」

淡々と柳剣を見やった薰は手に輝く金色の光を維持したまま、「内院強戦録(きょうせんろく)第三位の存在でも、私は怯まない」

「薰!帰れ!」

炎が眉をひそめながら低い声で呼びかけた。



「炎さん……」

薰の頬に残る冷たさが緩やかに溶けていく。

足先で地面を軽く弾き、蝶のように優雅に炎の横へと降り立つ。

彼の眉尻がわずかに引き攣っているのを見つめながら、少女は口角を上げて悪戯な笑みを浮かべた。

その一瞬の表情が周囲の男性たちの視線を釘付けにする。

炎はため息混じりに首を横に振ると、薰の手を引き後ろへと引っ張った。

彼女には負けないかもしれないという直感はあるものの、男気丸出しがそれを許さなかった。

薰が場外へ消えるや否や、闘技場の空気が奇妙な雰囲気に包まれた。

柳剣の隣で柳微が頬を押さえながら嗚咽し、周囲の者たちが声をかけようとする。

柳剣は険しい表情で黙り込んでいる。

「ふん……」

突然響き渡った笑い声がその沈黙を打破した。

数人の影が瞬時に場内へと降り立ち、林修崖と厳皓の姿が現れた。

「林修崖?厳皓?今日は何があったんだ?」

観客席から小声の囁きが広がる。

炎も彼らの登場に驚きを隠せないが、すぐに笑顔で挨拶した。

林修崖はまず炎と談笑し、柳剣たちの背後に回ると薰へと親指を立てて小さく笑った。

「痛快だよ」

薰はその男を見やる。

彼の容姿と気質は内院でもトップクラスだが、少女の頬には特に変化はない。

僅かにうなずき、炎の方へ視線を向けた。

無視された林修崖が肩をすくめながら鼻を掻いた。

「女にこんな扱いされるのは初めてだぜ」

「あはは……」

炎は少女の頭を軽く叩いてから林修崖に向き直った。

「この子はそういう性格なんだよ。

でもね、先日あれで助けてくれたことには感謝してるんだ」

「そうだな……あの時は本当に危なかったんだ。

お前たちがいなければ俺らも生き延びてなかっただろう」

林修崖の声は意図的に大きく響かせていたため、柳剣たちまでその言葉を聞き取った。

その態度に炎は一瞬驚き、柳剣の険しい眉尻を見てようやく悟った。

感謝の気持ちで頷いた。

「おい柳剣……」

厳皓が横から口を挟んだ。

「炎さんは負傷してるんだぜ?弱者叩きにでもなろうか」

「そういうことではない。

フィルは確かに痛めつけられたが、あれは女同士の揉み合いだ。

強榜入りした彼なら一ヶ月後の大会で勝負すればいいだろう」

柳剣の言葉には挑戦の意図が隠されていた。

その言葉に場内の視線が炎へと集まる。

柳剣からの挑戦を受け入れるような気魄を示す炎は、軽く会釈してから静かに応じた。

「楽しみにしている」

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