闘破蒼穹（とうはそうきゅう）

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第0523話 0001号修練室

広い休息場は、二人の突然の凶暴な気配で一瞬静まり返り、すぐに周囲十数人の人影が見物するように後退した。

この塔での修行は速度を向上させるが、非常に退屈でつまらないものだった。

今や誰かが喧嘩を始めれば、彼らはこういった娯楽活動を見るのが大好きだ。

林炎が姚盛に直接向かった蕭炎を見たとき、一瞬驚いたが、阻む前に沈黙した。

彼は表面的には二星斗霊の実力しかないが、この男の本当の戦闘力を知っていた。

姚盛の実力でも勝つのは簡単なことではないと確信していた。

「『強榜』上位20人の強者の戦力を感じさせてもいいかもしれない」と考えながら、林炎は一歩後退し、蕭炎に向かって笑いかけた。

「そのおとこらしくない奴を叩きのめせ。

これでまた近づいてくることはないだろう」

萧炎が笑みを浮かべると、再び前に進み、手の中で巨大な玄重の斧が空気を切り裂く鋭い音と共に現れた。

重斧を振り上げ姚盛を指すと、その場にいる蕭炎の体内で戦意は波のように押し寄せて止まらない。

彼の気力は次第に高まっていく。

周囲を見物している人々の顔には薄い驚きが浮かび上がり、心の中で「この男は噂通りだ。

表面の実力とは全く異なる強さを持っている」とつぶやいた。

姚盛は冷たい目で気力を高め続ける蕭炎を睨みつけ、手首を回すと非常に濃厚な深藍色の斗霧が滲み出てきた。

その中に水気が混ざり合い、瞬く間に暗黒色の水の幕が彼の全身を包んだ。

その表面には波紋が連続して流れるように動き続けている。

「気をつけろ。

これは彼の得意技だ。

ウオクジユウビーティーという招式で、力強い相手に使うものだ。

この男は君に対してよく研究しているようだ。

最初から君を弱めるための術を使うんだ」

姚盛が暗黒色の水幕を作り出したのを見て、林炎は眉根を寄せながら叫んだ。

その言葉を聞いた蕭炎は驚きを示し、頷いた。

「なるほど、この男が強榜17位にいるのも無理ない。

しかし……相手が水属性の斗霧を使うなら、私はこれまで一度も怯まなかった」

唇の端に冷ややかな笑みを浮かべると、重斧を包む青い炎が淡く輝き始めた。

地心蓮の炎のおかげで、通常の水属性の力は彼の前では最大70%しか効果を発揮できない。

「知っているからといってどうする？」

林炎の言葉を聞いた姚盛は陰険に笑った。

「必ずしもそうとは限らない」蕭炎は軽く笑い、足元で雷鳴のような音を響かせながら黒い影のように消えた。



目を細めてその迅雷のような黒線を見つめる姚盛の目に陰冷さがさらに増し、体に流れ込む雄々しい斗気は急速に動き始めた。

場中で二つの雄々しい気配がますます強くなり、凶暴な衝突が第六層の塔内に爆発する寸前だった。

十数メートルという距離は過客にとっては些細なもの。

蕭炎の速度なら瞬きの間だが、ここにいる人々は決して凡人ではない。

そのため蕭炎の速さを目の端で追うだけだ。

「嗤！」

突然半空に現れた蕭炎が下方の姚盛を見やると、その顔には凶悪な気配が一気に広がった。

重尺の力がさらに増し、猛然と振り下ろされた瞬間、耳をつんざす爆音が第六層全体に響き渡る。

姚盛は蕭炎の一撃の強さを感じ取り、これまで軽蔑していた胸中にも一瞬の緊張が走った。

彼の手が急速に動き、わずかに黒みがかった湿った斗気を頭上に重ね合わせ、層々と水のような光のネットを作り上げた。

「バキ！」

重尺はその密密に並んだ光のネットに猛然と打ち込まれ、肉眼で見える波紋が接触点から広がり始めた。

衝突した瞬間、蕭炎の眉が僅かに寄った。

水のようなネットには奇妙な粘着力がありながらも、重尺の力はその網を瞬時に壊し始め、わずか数秒で近百層を破壊する速度だった。

しかし姚盛の手が残影を作り出すほど速く網を再生させ、彼の動きと水のネットは完全に同期していた。

十数秒後、重尺が姚盛の頭上から半뼘（約5cm）離れたところで、その粘着力はついに重尺を固定した。

しかし重尺から発せられる風は空間を通じて姚盛に伝わり、整然と並んでいた彼の髪を四方八方に広げた。

頭が一瞬眩暈に襲われた姚盛の顔は即座に険しくなった。

初陣でこんな屈辱を受けたのは初めてだった。

傷一つないとはいえ、その姿は狼狽そのものだ。

これほどまでにプライドを損なうことは許せなかった。

低く唸り声を上げ姚盛の右手が爪のように曲がり、僅かに黒みがかった斗気で覆われた。

それは鋭利な黒い手のひらとなり、空気を裂きながら半空中の蕭炎に向かって斬りつけた。

玄重尺を握ったまま体を動かし、蕭炎はその粘着力から解放された。

彼は空中で一回転し、青い光に包まれた足で姚盛の手のひらと激しく衝突した。

「バキ！」



低い重い音が響いた。

二人は力の反動で急に後退し、間もなく蕭炎が地面に降り立った時、姚盛も地面を強く踏みつけ、体勢を整えた。

冷ややかな目つきで蕭炎の足を見つめたその瞬間、裂けた穴がある靴を見てから冷笑した。

光速のような戦いは極めて危険で、手加減が効けば重傷必至だ。

この見事な戦闘を観戦していた周囲の強者たちも思わず頷いた。

この蕭炎という男は噂通りに名実相符している。

ランキング十七位の姚盛と激戦を繰り広げても劣らないのだ。

「水の性質の斗気が腐食効果を持っているのか？ これは奇妙だ。

異火が暗黙裡に中和してくれていなければ、大やけどを負っていたかもしれない」。

脚を軽く振った蕭炎は心の中で驚きを隠せなかった。

接触した瞬間に相手の斗気が腐食性であることを感じ取ったのだ。

「おまえ、なかなかやるじゃねえか」林剣が萧炎に親指を立てた。

先ほどの戦いは彼にも指摘できる欠点はなく、蕭炎が姚盛と互角に戦っていることに驚いていた。

姚盛は七星斗霊だが、その斗気が奇妙なため、普段の八星斗霊でも勝てないのだ。

しかし蕭炎のこのパフォーマンスは予想外だった。

「これで終わりか？ まだ終わってないぜ」姚盛が険しい表情で言った。

声も彼の斗気と同様に冷たく、寒気が感じられた。

蕭炎は一瞥しただけで無駄話せず、重剣を振り上げて再び斗気を集めた。

「ふん！ みんな止まれ」

蕭炎と姚盛が再戦しようとしたその時、突然険しい冷笑声が響き渡り、次の瞬間には場に人物が現れた。

その人物の周囲から山のような圧力が押し寄せ、足元から広がる亀裂は休息室の端まで伸びた。

その凌ぎ立つような気配は誰もが知っているものだった。

人々は目を細め、警戒と緊張の表情になった。

来者は内院の頂点クラスに位置する人物だ。

「柳剣！ おまえか？」

姚盛が驚きの声を上げた。

その瞬間、場の空気が凍りついた。