闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0547話 0008極崩と大裂劈棺爪の衝突!

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会場は沈黙に包まれ、全員の視線が高台の二人を注いでいた。

柳擎が先に動き出した。

ゆっくり立ち上がり、柳菲の崇敬の目を受けてから、堂々と高台の端へ向かう。

最後に軽やかな一歩で飛び降りると、足音と共に会場中央に着地した。

「踏みつけた」という言葉が浮かんだが、柳擎はその感情を抑えて前に向き直った。

目の前の位置にいる蕭炎を見上げ、熱い光を宿す目を向けた。

強豪ランキング大会では林修崖こそが最強の敵と見なしていたが、最近蕭炎が示した驚異的な戦闘力は柳擎のような強者にも注目を集めていた。

林修崖との試合前にこの話題性のある黒馬と対決できるのは、メインディッシュ前の前菜のように興味深い。

彼の関心は相当に高まっていた。

柳擎が降りた瞬間、全員の視線が蕭炎一人に集中した。

今年最も注目を集める新人であるこの男が、柳擎のような伝説級の強者と戦うのか?多くの人々が息を飲んで見守った。

「どうしよう…」昊等人はため息をついた。

彼らは偏頭痛のように頭が痛かった。

しかし同時に、蕭炎を見上げる視線に気付いてしまった。

その目には不安の色があった。

会場全体の注目を集める中、蕭炎は動じることなく立ち上がった。

柳擎との戦いに怯む様子は一切見せず、高台の端へと歩み寄る。

背後から「犯来黄儿」の優しい声援が聞こえた。

振り返らずに手を振ると、蕭炎は足先で地面を軽く蹴った。

銀色の光が脚元に浮かび上がり、瞬間移動のように会場中央へと滑り込んだ。

「犯来黄儿」の声援が響き渡る中、蕭炎は柳擎と対面した。

二人の視線が交差し、その中に複雑な感情が混ざり合った。

萧炎にとっては、柳擎や林修崖のような強者との直接対決を避けたいと思っていた。

彼は前十に入るために「陨落心炎」の封印を解く必要があったからだ。

そのためには万全を期す必要があり、これまでずっと回避策を取ってきた。

しかし今や避ける術がなくなり、その代わりに真っ向勝負で挑むしかない状況になった。

強者との戦いは彼の血を沸かせた。

戦意は確かに湧き上がっていた。

「柳擎さん、お待ちです」と心の中でつぶやくと、蕭炎は深呼吸をしてから玄重尺を引き抜いた。

重厚な一撃が会場に響き渡る。

柳擎の視線が厳しくなり、「頑張れよ」という言葉と共に重圧が伝わってきた。

その瞬間、蕭炎は笑みを浮かべて玄重尺を構えた。



柳剣は蕭炎の手に握られた巨斧を見つめた。

その目には驚きが一瞬で走った。

当初白程との戦い時にこの巨大な武器が何か特別な性質を持っていると感じていたが、今や自身の目の前でその圧倒的な空気を引き裂く重さを感じた。

右手に握る黒色の槍も同様に、山々を切り裂くような重量があると確信した。

「なるほど、巨斧を放ち続けながら攻撃力を増すのは、普段からその重荷を背負って修行しているからだな」彼は心の中で驚きの思いが走った。

蕭炎がこの方法で訓練を続けることに敬意を感じた。

これほどの忍耐力を持たない者には到底成し得ない。

掌を開閉させながら、柳剣は槍を動かさなかった。

巨大な手の動きは奇妙な爪型の弧を描く。

突然彼は手を前に突き出し、無形の風が地面に小さな溝を作り出す。

柳剣は蕭炎を見やり淡々と言った。

「君を軽視しているわけではない。

裂山槍を使うのは相応の実力を持つ者だけだ。

今度こそその資格を得てほしい」

蕭炎は笑みを浮かべたが返事をしなかった。

柳剣のような強者が真剣に見るべき相手でない限り、目もくれないのが常識だ。

彼は自分が前戦で好成績を残したことを感謝した。

もし実力不足なら柳剣はこんな会話をさえ始めなかっただろう。

そのやり取りが観客席まで伝わった。

しかし人々は柳剣の態度を傲慢とは見なさなかった。

むしろ「やはり霸槍柳剣だ」と感心した。

内院でその実力に敵う者はいない。

これは実力による差なのだ。

もし柳剣が実力を伴わないのにこんなことを言い出せば、場の誰もが狂気呼ばわりするだろう。

高台では柳姫は彼の背中を見つめていた。

その強大な威圧感こそが最も愛おしいと感じた。

彼女は鼻を鳴らし姚盛に言った。

「ふん、見ていなさい。

表哥がどうやってあの男を打ち破るか」

姚盛は陰険な目で蕭炎を見つめた。

敗北の屈辱をすべて萧炎のせいにしていた。

しかし自分が虫けらと呼ばれる存在であることを忘れているようだった。

「老大の実力なら勝たせてやるよ。

あの男がいくら跳ね回ろうとも、ただの小さな虫だ」

柳姫はさらに顔に笑みを浮かべた。

清衣の少女を見つめながら銀歯を嚙んだ。

彼女の完璧な容姿は柳姫の嫉妬を煽る。

女性同士の妬みは決して間違いないのだ。



高台の各所でささやき声が響く中、審判席にて蘇千が手を軽く振ると、会場全体の音量が一気に低下した。

対峙する二人を見つめながら、蘇千の実力すらも期待感を抱かせる。

この二つの間には見かけ通りの大きな差があるものの、試合は常に緊張に包まれている。

柳剣(りゅうけん)が圧倒的優位と見えるかもしれないが、長い経験を持つ蘇千は、蕭炎(しょうえん)の勝算も決して低くないと見抜いている。

この戦いは、目利きの彼ですら勝敗を予測できない。

「参加者が全員登場したので、私はここで、前十最後の席を争う試合を正式に開始します」

会場を見回しながら、蘇千の淡々とした声が待望の瞬間に響く。

その言葉が終わった直後、会場全体に沸騰するような熱気と敵意が覆い被さった。

無数の灼けた視線が戦場の二人を凝視し続けている。

彼らはこの大会が始まって以来最も見応えのある一戦が間もなく始まることを確信していた。

会場中央では、蘇千の言葉が終わった直後、柳剣から驚異的な気魄が爆発的に放出された。

その圧力は遠く離れた観客席にまで息苦しさをもたらすほどだった。

淡金色の斗気(とうき)が柳剣の体内から溢れ出すと同時に、巨大な手足の指節が豆粒を潰すような清脆な音を立てた。

その奇妙な曲線を持った手足が空中で裂くように動くと、通過した空間に僅かな真空痕が残り、すぐに消えていった。

柳剣から発せられる圧迫感は観客の多くも感じ取ることができたため、まだ堂々と立っている蕭炎への敬意を抱かせるほどだった。

手印を素早く結び、蒼白い炎が爆発的に噴出する。

その熱量で柳剣の気魄の拡散は阻まれた。

「天火三玄変(てんかさんげんへん):青蓮変(しょうれんへん)!」

低く唱えた瞬間、全身を包んでいた蒼白い炎が蕭炎の体内に吸収され、彼の気魄もそれに応じて上昇した。

柳剣と比べればまだ劣るものの、少なくとも拮抗(きっこう)できる程度にはなった。

試合が始まる前に天火三玄変を発動させるほど蕭炎が柳剣を重視していることは明らかだ。

彼自身も理解していたように、半歩足場を踏み込んでいる柳剣の実力は通常の斗霊(とれい)頂点とは比べ物にならない。

体内に奔流する雄々しい斗気を感じながら、蕭炎が深く息を吐き、袖口から金属のような音を立てて重尺(じゅうし)を地面に向けて構えた。

青白い炎の光を放つ重尺は灼熱の風で周囲の地を乾かしていた。

柳剣を見上げる視線が交わった瞬間、場内から低い喝声が響き、雷鳴のような音と共に巨大な黒影が迫り来る。

その影は無数の灼けた視線の中を一直線に突進し、静止した柳剣へと向かっていった。

この格差の大きい戦いにおいても蕭炎が柳剣に対して攻撃を仕掛けるという点で、観客は驚きを隠せなかった。



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