闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0570話 青火天駆!

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遥か空高く、混乱する戦場の外に、数人の人影が空中で対峙していた。

その一方の背後に巨大な血球が目立つように存在し、周囲を包み込むような威圧感を放ちていた。

「三分間だけ時間をくれ!」

蕭炎は紫研たち三人を見やりながら突然言った。

その言葉に紫研たちは一瞬驚きの表情を見せ、すぐに頷いた。

「ふーん、お前たちが斗王級? 其中二人はまだ半歩足りないのに、これで引き留めるつもりか?」

範老は皮肉な笑みを浮かべて言った。

「おやじめ! お前の口車は本当に多いわね」紫研は舌を出しながら罵り、柳擎と林修崖に声をかけた。

「私が行くわ。

二人も気をつけないと!」

言葉が途切れる前に、彼女の小さな体は猛然と範老に向かって突進し、拳を握り締めながら恐ろしい力を込めた。

紫研の動きを見た柳擎と林修崖はため息をついたが、すぐに身を翻して追いかけていった。

彼らの体内の斗気は既に最大限まで発揮されていた。

この敵はこれまでのどの敵よりも強大で、油断すると重傷や即死の危険があった。

突然現れた紫研たち四人は明らかに地上の内院生の注目を集めた。

四位が内院生の中でも頂点クラスの存在であり、一人の斗皇級と戦うという光景は胸を熱くさせるものだった。

林炎や厳浩など実力のある者たちは頬を赤らめ、彼らのようなレベルでなければこの戦いに参加する資格がないことを実感していた。

「一群の小僧もこんなにも狂気か?」

範老は紫研たち三人を見ながら冷笑道。

その枯れた手が猛然と震えた瞬間、三本の血色の斗気が凝縮され、腕一本分の太さの血の蛇となった。

指先で弾くようにして放たれた血蛇は獰悪な口を開き、鼻孔を刺すような腐臭を撒き散らした。

紫研がその気配を感じ取ると顔色を変え、拳をゆっくりと広げて暴進する血蛇に向かって叫んだ。

「破けろ!」

「バキィ!」

喝声と共に彼女の五指が猛然と握り締められ、瞬時に無形の波紋が四方八方に広がった。

その空間は恐ろしい力で圧縮され、通り過ぎた血蛇は一瞬で血霧に消えた。

紫研はすぐさま柳擎と林修崖を見やると指先から風を起こし、残りの二本の血蛇を粉々にした。

敵の妨害を解いた後、彼女は足首を軽く蹴り上げて範老の前に現れ、しなる腰で鋭いキックを放った。



紫研の細い脚は弱々しく、手で握れば折れてしまいそうなほどだったが、その中に秘められた恐るべき力に気付かなかった者は血まみれになるだろう。

黒角域という人食いの地で長年戦ってきた範痨(はんろう)は、そんな甘い誤りを犯すことはない。

紫研の一撃で彼の血槍が爆散した瞬間、この小柄な少女に恐るべき怪力が宿っていると悟った。

近距離攻撃を無視したり軽視するわけにはいかなかった。

枯れた手のひらが急速に動き出し、範痨の体内から赤いエネルギーが湧き出て左半身に凝縮された。

それは血のような粘りくもった円形の盾となった。

「ドン!」

紫研の足は低音爆発を伴い、その血色の盾に激しく打ち込んだ。

重厚な衝撃音と共に、脚先が血色の盾を驚異的な角度で圧縮した。

しかし半寸の距離まで迫ったところで、エネルギーが完全に消滅し「バキッ」という音とともに反動で紫研は範痨から離れた。

「フン!」

攻撃が阻まれたものの紫研は軽く鼻を鳴らし、反動を利用して身体を浮かせながら範痨の胸元へ高速移動。

細い腕が無数の残影を作り出し、鋭いパンチを連続して放った。

範痨は紫研の驚異的な速度と戦闘反射に舌打ちしたものの、その拳の一撃ごとに体が震えるほどだった。

この怪力は**(例:斗王級)以上の者には到底及ばない。

「血吸う鎧!」

数発の直撃を受けたことで体内の血気も乱れ始めたが、範痨は即座に手印を結び暗赤く凝固した血のような甲衣を召喚。

紫研の残影パンチがその防御力を試みる。

空高く後退しながらも甲衣が強力な防御力を示し、残りの衝撃で身体を揺らす範痨は顔色を変えた。

**(例:斗王級)の少女にこんな形でやられること自体が屈辱だった。



遠方の無数の修練生たちは、空を駆ける紫研(しほん)の凄まじい戦闘を見つめていた。

彼女は滅多に内院で本気を見せることなく、強豪ランキング大会でも何らかの理由で実力を隠していたため、詳細な情報を知らない人々の中には疑念を抱く者も少なくなかった。

しかし今日、その疑問は自然と消え去った。

斗皇級の強者が震退させたという事実が、紫研の強さを明確に示したのだ。

ランキング一位の地位は確かに揺るぎないものだった。

「ゴン!」

甲冑への激しい一撃が響き渡り、限界を迎えようとしていた防具は完全に破れ飛んだ。

紫研が喜びを表現する間もなく、范痨(はんらう)の体内からさらに濃厚な血気(けっき)が暴発し、その圧力で彼女は数歩後退させられた。

体勢を崩した直後、耳に鋭い低音が突き刺さった。

「血魔手(ちゅうまて)!」

喝声と共に空気が激しく渦巻き、血腥い風が吹き荒れる。

紫研は慌てて顔を上げると、頭上近くに二丈を超える巨大な赤色の巨掌が突然現れ、彼女に向かって猛スピードで迫ってきた。

その瞬間、どこからともなく鋭い叫び声が響き、激しい破風音と共に淡金色の光線が天を駆け抜けた。

それは巨掌と衝突し、雷鳴のような爆発が空に轟いた。

エネルギーの波紋が空間を震わせながら広がり続けた。

凝結した攻撃が一瞬で解体され、范痨は驚愕の表情を見せた。

彼の視線は柳擎(りゅうけい)の蒼白な顔と荒い呼吸に向けられていた。

内院の修練生とは思えないほどの実力だ。

先程の一撃で普通の斗王級が即死するはずだったが、まだ斗王級に届かぬ段階の少年がそれを無効化したのだ。

「青湮(せいえん)剑罡(けんごう)!」

范痨が呆然とする中、淡い影が彼の頭上を駆け抜けた。

長剣から清涼な鳴き声が響き、深緑色のエネルギーが瞬時に集結する。

その周囲には数十個の渦巻く風車が形成され、次の瞬間、それらは一塊となって鋭い光の影に変化した。

林修崖(りんしゅうがい)の奇襲は電撃的だった。

范痨が気付いた時には既に致命的な殺気が頭上に迫っていた。

彼は即座に血気を解放させ、赤い海のような波紋を作り出した。

青色の剣影がその血海の中に突入し、その凄まじい力で周囲を激しく揺らした。

「凝!」

范痨の冷たい叫びと共に血海が不自然に反応し、剣影は突然動きが鈍くなった。



血海の粘性が次第に強化され、清色の剣影は僅か二尺先で完全に凝固した。

全力の一撃が范痨に与える実質的な傷害を全く及ばなかったことに林修崖の表情がわずかに変化し、二人の間隔がどれほど巨大な差異であることを如実に示していた。

「咻!」

林修崖が驚愕に身を震わせたその時、血海から破風音と共に猛スピードで突進する赤手形が柳擎の身体に直撃した。

「プチッ!」

重撃を受けたことで林修崖は口から鮮血を噴き出し、体勢を崩しながらも後ろにある薄曖昧な双翼が若隱若現し始めた。

明らかに范痨の一撃が彼の重大な傷害を与えていた。

柳擎が林修崖の重傷を見て顔色を変えた瞬間、血海から再び赤手形が高速で突進してくる。

柳擎は先ほど全力を発揮したことで動きが鈍り、その異常な速度に対応できなかった。

紫研の小さな身体が突然現れ、拳を鋭く前へ打ち出した瞬間、空気が激しく圧縮され、無形の気弾が爆発的に飛び出し、赤手形と衝突した。

その直後、血海に身を潜めた范痨は冷たい笑い声と共に「一群の屑、一網打尽だ」と宣言した。

紫研が柳擎に注意を促すように眉をひそめながら動こうとした時、血海が激しく渦巻き始めた。

その直後、「吸血印!」

という喝破と共に暗黒色の巨大な赤手形が暴発し、周囲に血気の波紋を広げた。

紫研は背後の柳擎を掌で押し戻すと、玉のような輝きを持つ拳を互いに叩き合わせた。

その清澄な光の中で彼女の拳は透明に近づいていた。

金玉の響きと共に巨大な赤手形を見据えると、突然強烈な玉芒が体内から噴出した。

平然と両拳を前に突き出した瞬間、沸騰する油鍋に氷塊を入れたような異常な反応が発生し、空気が激しく震動しながら恐怖の気圧波が四方八方に広がった。

その強烈な衝撃と赤手形が轟然と衝突した。

「バーン!」

地響きのような巨響が天を揺らし、多くの視線が集まった。

「フン!」



恐怖の剛気魔漪がエネルギー衝突点から爆発的に湧き上がる。

その先鋒となった紫研は低い呻き声を上げ、足元がわずかに乱れるように急いで後退した。

しかし血海は激しい波動でそれを阻みつけた。

「蛮力しか知らない斗王がここに現れるな!」

血海のうねりと共に冷酷な冷笑が響くと同時に、数丈にも及ぶ血海はたちまち一丈に縮小し、色調もさらに暗くなり始めた。

「シュ!」

冷笑が途切れた直後、血海から暗黒色の巨大手印が爆発的に飛び出した!

先ほどの衝撃で体中の気血が虚脱状態にあるため、その速度と強度を兼ね備えた范痨の次の攻撃を見た瞬間、紫研の顔に驚愕の表情が浮かんだ。

手印は空を弧線形に走り、無防備な紫研の前に瞬時に到達した。

「死ね!」

血海から不気味な笑い声が響き、凝固したような冷たい血の匂いが漂った。

「チィ」

その手印が紫研の身体に叩き込まれようとした時、突然空を震わす雷鳴が響き渡り、人々の視線は一斉に上空へと向けられた。

そこには紫研の前に黒影が現れ、軽く腕を振るだけで雄々しい青色の炎が広がり、手印を完全に消し去った。

その強烈な攻撃を容易く破壊した瞬間、柳擎や林修崖らだけでなく地上の多くの生徒たちも驚愕の声を上げた。

しかし次の言葉と共に彼らの表情はさらに険悪なものとなった。

「卜の少女にこんな手を使うとは、やはりお前らしいな」

空高く黒装の青年が腕組みをして立つと、その周囲から圧倒的な気魄が波のように押し寄せた。

その強さは范痨と並ぶものだった。



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