闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0678話 古河との戦い

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天を裂くような爽やかな笑い声が響き渡ると、広場の無数の視線が一瞬で上向きになり、次に遠くの空を見上げた。

そこには大量の人影が風を切って降りてきており、最終的に空一面に浮かび上がっていた。

突然現れた大量の人影は広場に騒動を引き起こした。

彼らが背中に持つ闘気の双翼から察するに、少なくとも斗王級以上の強者であることが判明したからだ。

その事実を考えると、多くの人々は息を呑んだ。

空一面に並ぶ数十人の斗王級強者は、雲嵐宗の力では到底出せない数だった。

喜台(きたい)の上、雲山がその笑い声を聞いた瞬間、顔色が次第に暗くなり、碧緑の炎翼を振るう黒衣の青年を見上げた。

彼は冷酷な声音で広場全体に響かせた。

「ふん、あの野良犬もまたこのように舌戦を張るのか。

蕭炎よ、三年前なら云山が追いかけてやろうや。

三年後の今も同じ結末になるだろう」

雲山の冷笑は瞬時に広場中に広がり、窃窃の囁き声となった。

「あの男は蕭炎か? 当年雲嵐宗が追跡した蕭家・蕭炎のことか?」

「ふん、それ以外に誰か。

彼と雲嵐宗には血仇があるはずだ。

当時帝国から追放された後も、まさか三年後に帰還するとは思わなかった。

実力は以前より格段に上がり、さらに強者を連れてきたようだ」

「最近云嵐宗がミテル家を襲撃した際の強者が全滅したという話だが、もし本当ならこの男は恐ろしすぎないか?」

「今日は雲嵐宗も大変そうだな」

「ふーん、でも雲英(うんえい)宗には雲山という斗宗級の強者がいるから、本当に戦ったら勝算は低いかもしれない」

下方の囁き声を聞きつけた蕭炎は笑みを浮かべ、雲山を見上げながら鋭く目を細めた。

「雲山老狗(ろうこの)よ、我が蕭家を滅ぼしたという罪は、貴様の首さえなければ償うまい」

雲山が宗主として長年務めているだけあって、その場で「老狗」と呼ばれるのは蕭炎以外にはない。

性格的に陰険な彼でも顔色が引き締まった。

雲山の顔が不機嫌になるにつれ、視線は空一面に広がる人影を次々と掠めた。

やがて刑天(けんてん)らの姿を見つけた瞬間、冷酷な笑みが浮かんだ。

「どうだ? 刑天、法犸(ほうま)、貴様たちもこの無謀な小僧の側に立つのか」

雲山の挑発的な問いかけに、刑天は鼻を鳴らした。

「雲山よ、最近云嵐宗が何を目論んでいるか我々は知らないわけない。

簡単に待機しているつもりか? そんな甘いものはないぞ」

既にここまで来れば、刑天も雲山への警戒心は捨てていたようだ。

「ははは、よしよしよし!」

刑天の言葉を聞いた雲山が仰天(ぎょうてん)して笑った。

「ただ帰ってきただけの、かつて云山が追放した帝国の小坊主に過ぎない。

それで貴様たちがこんな勇気を見せたのか? いいぞ、今日は帰さない」

---

雲山の哄笑が途絶えた直後、巨大な雲嵐山から次々と唸り声が響き渡り、その瞬間宗内に雄渾な気勢が爆発的に湧き上がった。

人影が空を駆け回る中、既に待機していた雲嵐宗の長老たちが一斉に姿を現す。

彼ら雲嵐宗長老の登場を見て広場は再び騒然となった。

この日の様子からすれば、激戦は避けられないようだ。

喜台の下で古河の顔色は蕭炎らが現れた瞬間から険しくなった。

特に彼が周囲にいる全身赤衣をまとった女性が震え始めたことに気づいた時、胸中で無名の怒りが湧き上がってきた。

なぜ、なぜこの男ばかり気にするのか?

「蕭炎、今日は我が大喜之日だ。

貴様が雲嵐宗を率いて干渉するのはあまりにも横暴ではないか」

深呼吸して古河は猛然と顔を上げ、鋭い声で喝破した。

蕭炎は彼を見向きもせず、その目線は意図的に隣にいる赤衣の女性へと向けられた。

その微かなふるえに反応するように、彼の心臓がわずかに跳ねた。

「雲嵐宗が我が蕭家を滅ぼしたなら、それで横暴ではないのか?雲嵐宗がミテル族を強制的に抹殺したなら、それで横暴ではないのか?貴様たちが横暴ならば、私は何を恐れる必要があるか。

私と雲嵐宗は死に至るまで因縁めいた」

冷たい視線で古河を見据えながら、蕭炎の声には冷笑が滲んだ。

「復讐は口実だ。

婚礼を妨害するだけだろう」

古河も冷笑を返す。

「婚礼?傀儡のように操られた新郎なら、その婚礼に意味はあるのか?」

蕭炎が笑みを浮かべて指先で軽く弾いた瞬間、碧緑の炎が電光のごとく飛び出した。

しかし一瞬で赤衣の女性の前に到達し、彼女の体から黒い光芒が放たれると、炎はその光に衝突した。

「ドン!」

激しい音と共に烈風が広がり、首を殴られた女性は急いで二歩後退した。

「雲韻!」

古河の声が震えた。

彼が手を伸ばそうとした直前、赤幕から微かな震え混じった冷たい声が響いた。

「大丈夫だ」

初めて発言する新郎に人々は驚き合った。

その瞬間、誰もが先ほどの異変に気づいていた。

無数の視線の中で、白い如玉の手が袖から伸びて赤幕を引き裂く。

幕が下がると現れたのは雪のように白い美しい顔立ちだった。

その容貌は明らかに雲韻である。

彼女は目を伏せながら指先で視線を動かし、空を見上げるのを避けるようにしていた。

しかし天高く響いた冷笑と共に、あの忘れられない声が脳裏を駆け抜けた。

「雲山よ!強者を引き込むためにはこんな卑劣な手段も使うのか?果たしてそれが『慈師』と呼ばれる資格があるのか?」



「かつて貴様を逃がしたのは運のせいだ、今度は捕まえた後、貴様の歯を一本ずつ抜いてやる!」

その言葉に含まれる冷酷さを聞き取った雲山(うんざん)の面相がゆらりと震えた。

目の中に凶光が走り、その声調は次第に平板なものへと変化していく。

「宗主(しょうしゅ)、今朝の一件は私に関わるものだ。

この男を、私が取りなすことを許してほしい」

雲山の言葉を聞いた古河(こが)が、険しい表情でゆっくりと口を開いた。

その声には不気味な重みがあった。

「お?」

聞き返した雲山は眉根を寄せ、胡坐(あぐら)に座ったまま髭(ひげ)を撫でながら、何かを熟考するように言った。

「古河よ、貴様の得意とするところは戦闘ではない。

この男と同列にする必要はない。

私がこの若造を捕まえたら、貴様に引き渡すのも同じことだ」

しかし古河は首を横に振った。

その視線が一瞬だけ雲韻(うんいん)の手元に向けられ、深く息を吸い込んだ。

「私は彼女と結婚する資格があるのは私だけだと知らせてやりたいんだ」

古河の執拗な態度を見て、雲山は眉を顰めた。

やがて苦々しいように頷いた。

「蕭炎(しょうえん)、今日貴様が誰に来ようとも、婚礼を妨害したことは事実だ。

今すぐ引き返せば、私は何も見なかったことにする。

それでも止めないなら、言っておく。

古河は揉み返すほど弱い男ではない」

雲山の許可を得た瞬間、古河は顔を上げて空を見やった。

そこに浮かぶ蕭炎に向かって鋭く叫んだ。

「古河!貴様!」

その声に反応して雲韻が口を開こうとしたが、一言も出せずに雲山の喝破(かつぱ)で遮られた。

加刑天(かしょうてん)ら周囲の強者たちも顔をしかめた。

この広場には古河と親しい実力者が数人いたからだ。

もし古河が手を出すなら、彼らは袖を通すことはできないだろう。

そうすれば雲嵐宗(うんらんしょう)の実力はさらに増す。

加刑天たちに手を振って心配させないようした後、蕭炎は古河を見つめて冷ややかに言った。

「今日の私の敵は蕭家と雲嵐宗の因縁だ。

貴様が誰であろうと阻むなら、私は貴方を敵と見なす」

その言葉に笑い声が響いた。

古河(こが)は肩を震わせながら紫の翼を開き、一瞬で空中に浮かび上がった。

「ふん!加マ帝国最強の新星など、私が十回戦で倒せないなら、この場を去る」

蕭炎の挑発的な言葉に雲韻も驚いた。

彼女は手を握りしめて言った。

「三年ぶりに会うのに、どうしてこんなにも意地っ張りなの?」

空上で対峙する二人を見つめながら、古河は怒りで笑い返した。

「よし!貴様の十回戦を受けよう。

貴方こそがこの私が見たい加マ帝国最強の新星だ」

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