闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0679話 敗北!

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古河の哄笑が消えた瞬間、空気は一気に緊張を帯びた。

蕭炎が十合以内に古河を破ると宣言したことで、加刑天たちの表情がわずかに引き締まった。

現在の彼の実力は確かに向上しているものの、十合以内での勝利はリスクが高い。

今日の雲嵐宗への一斉攻撃は勢いに乗って行う必要があり、山下では皇室の十万大軍が包囲網を張りつつあった。

もし蕭炎に失敗があって古河が十合持ちこたえたら、この長期にわたる準備を無駄にするのはあまりにも非現実的だ。

彼らは雲嵐宗が翌日一斉反撃してくることを懸念していた。

加刑天たちの顔色を見た蕭炎は手を振り、背中の緑色の火翼がわずかに震えると周囲の人々に灼熱感を与えた。

その冷静な若々しい表情を見てようやく彼らの心が落ち着いた。

「大丈夫だ。

雲嵐宗との血仇があるから感情的になることはない」蕭炎は笑みを浮かべ、静かに言った。

その言葉に加刑天たちが互いに視線を合わせた瞬間、彼らは彼の性格を理解していた。

法犸が重々しく警告するように告げた。

「萧炎、注意して。

古河は斗皇級に達し、一種の強力な炎を操っている。

異火ではないが侮れない」

蕭炎は頷き、古河の紫炎双翼を見やった。

異火でなければ彼には脅威にならないと判断した。

警告を済ませた後、加刑天たちが一時退散し、空に二人だけの広い空間を作り出した。

下方の観客席ではささやき声が減少した。

最近加瑪帝国中に彼の名が広まっているものの、当日帝都で行われたほぼ圧倒的な戦闘を目の当たりにした人は少ない。

十合以内での勝利宣言という大言には冷ややかな視線が集まった。

古河と親しい強者たちからは嘲笑の声が漏れた。

「まだ若いから狂気じみているんだろう」

雲山は再び首位に座り、空を見上げて陰笑いを浮かべた。

彼は古河が耐え切れず手を出すことを知っていた。

十合の約束は意外だったものの、これで古河が本気で戦うようになるだろう。

もし敗北しても蕭炎が傷つくなら完璧だ。



喜台之下、雲韻はついに頬を上げた。

その双眸が空の黒袍を見つめるや否や、動けないほどの感覚に捕らわれた。

呆然と見つめるのはあの慣れ親しんだ顔だ。

三年前の幼さは失い、内面的な成熟が増していた。

明らかにこの三年間で、かつての少年は完全な変容を遂げていた。

弱者から強者の変容!空を見上げた加刑天らが散開した直後、場の雰囲気は鋭く引き締まった。

古河は目の前の蕭炎を死に物喰いに凝視していた。

三年前この黒袍青年はまだその弟子と互角だったが、今や己の前に十招の約束を果たそうとするとは、驚異的な変化だ。

「今日は彼女面前で君を打ち負かす」古河が静かに語り掛けた。

声が消えると同時に体から迸る強大な紫の斗気は、実質的な炎のように燻り立っていた。

その陰険な表情を見やった蕭炎は動揺も見せず。

「貴様が雲山の槍に使われるなら、私は情け容赦しない」

「それが君の資格があるかどうかだ」古河が哄笑し掌を握ると、瞬間的に紫火の長剣が掌に凝縮した。

その土台には熾熱な炎が燦然と輝く。

蕭炎は笑みを浮かべ手を地面に向けて伸ばすと五指を強く握り込んだ。

すると地面に刺さっていた黒い重尺は瞬時に暴走し、彼の手中に戻ってきた。

その動作を目撃した人々は驚きの声を上げた。

こんな距離から武器を制御するには斗気の精度が極めて高い必要がある。

この年頃でそれを成し遂げているとは驚異だった。

「十合」重尺を平持ちに古河を指すと蕭炎が静かに告げる。

顔色が震える古河は無駄な言葉も交わさず、紫火の長剣を猛々しく振るった。

そのエネルギーは空気を次々と波打たせる。

「口実はやめろ!真剣勝負だ!」

古河が目を開き紫火双翼を羽ばたくと、瞬時に蕭炎に突進した。

空中で鋭い剣先が雄大な斗気の助けを得て空気を切り裂く。

一瞬のうちにその先端は蕭炎の胸元まで迫っていた。

「ドン!」

重尺が突然眼前に浮かび上がり、堅牢な盾のように紫火長剣を受け止めてしまった。

衝突点から鋭い風圧波が広がり空間を幾筋もの縞模様に染めた。

「チィィィ」古河の腕首が震えると剣先は蛇のように重尺を横切らせ、次の瞬間槍のように刺し込んだ。

その直後指先から鋭い風圧波が剣身を弾き飛ばすと同時に重尺が古河の顔面めがけて振りかざされた。



身を横にしたところで、蕭炎の攻撃を容易に避ける古河が眼差しを鋭くする。

体内の斗気を猛り立たせると、剣身が奇妙な震えを起こす。

その振動は瞬時に残影を生み出し、眼前に無数の幻影が浮かび上がる。

「千焰剑罡!」

無数の剣影がたちまち古河周囲を包み込む。

腕を一振りすると紫火長剣が勢いよく突き出され、その残影は洪水のように蕭炎へと押し寄せる。

灼熱の剣影が蕭炎の視界を埋め尽くす。

虚ろに浮かぶ幻影にも関わらず、それらには侮れない力が宿っている。

もし無防備に受け止めれば、隠された本体の刃が突然現れ、予期せぬ一撃を与えるだろう。

この剣法を見ただけで古河の実力を窺い知れる。

普段なら見られないような技と紫火の加護を合わせれば、その強さは尋常ではない。

そのため古河の一撃に会場からは喝采が湧き上がり、加刑天らも表情を引き締めた。

しかし蕭炎の心は動かなかった。

彼は冷静に剣影を見据え、重尺を平然と掲げて弧を描く。

腕を震わせながら黒い影を生み出し、軽々と刺し出すその動作は、海の波のように次第に激しさを増す。

「チュウ!」

重尺が玄妙な弧を描いた瞬間、剣影から強烈な気圧が発せられた。

しかし無数の剣影も、ゆっくりとしたリズムで動く重尺には逆らえなかった。

それは矢雨と波濤の対比のように、どれだけ多くの矢が放たれても全てを飲み込む。

古河は重尺から伝わる異様な気圧を感じ取った。

残影に隠された本体の剣身が、重尺に引き寄せられていることに気づいたのだ。

「この男、何か手品か!」

と彼は思った。

腕を一振りすると、剣影の一つが他の群れから離れて蕭炎の胸元へ直撃する。

しかしその剣影が現れた瞬間、重尺の動きが突然加速した。

激しい吸引力が発生し、剣身は目標から逸脱してしまう。

長剣の攻撃が偏ったと同時に古河は驚きを隠せない。

次の瞬間、黒い影が駆け寄り、恐怖の掌撲が襲いかかる。

その強烈な掌撃に古河も負けじと掌を合わせた。

「バキ!」

双掌が衝突した途端、驚異的な爆発音が響き渡った。

両者は同時に後方に跳ね返り、会場の空気が一瞬で引き締まった。



足元を誤ると、後退した体勢はすぐに安定した。

蕭炎は腕を振って、紫火の炎が倒れた古河に向けられた。

彼は軽く笑みながら、先ほどの戦闘から得た情報を整理していた。

現在の古河の実力は三星斗皇程度だが、その紫火の特性により四五星の斗皇と互角に戦えることが分かっていた。

「蕭炎、先ほど八回の交戦がありました」古河は紫火の双翼で体勢を立て直しながら言った。

彼の手首が麻痺しつつも冷やかに笑った。

「瞬きの間に八回の攻防……この状況から見ても、貴方の十回約束は冗談以外の何物でもない」

その声は意図的に響き渡り、周囲の観客たちの表情を引き締めた。

人々は窃窃と笑いながら「やはりただ紫火に頼っているだけの無謀な若造だ」と囁いた。

その雑音を感じ取った蕭炎が古河の冷笑を見やると、軽く手を動かして玄重尺を収納した。

彼は穏やかに笑って続けた。

「まだ二回残っています。

早とちりする必要はありません。

貴方を二回で終わらせるだけです」

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