闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0820話 物々交換

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突然の声が会場中に響き渡り、一瞬で沸き立った騒動。

斗霊丹と皇極丹という二つの薬材は、両方とも斗王から斗皇への実力向上を直接促す奇跡的な存在だ。

これらは座席にいる強者たちにとって極めて高い魅力を持つ。

なぜなら、その層に達した者は実力を一つ上げるためには何年もの苦労が必要だから。

たとえ数年に及ぶ努力でも不可能ではないが...

「しかし、そんな長い苦労を一粒の薬で補えるなら...」

会場から低く囁かれる声が響き渡り、強者たちの目は次々と輝き出す。

通常、この種の高価な薬材は勢力が公開オークションに出すことは滅多にない。

なぜなら、宗門内の核心戦士を強化できるからだ。

それは組織全体にとって莫大な利益となる。

だからこそ、誰かがその代償としてこれらの薬材を使うという報告が聞こえた瞬間、全員の表情が凍り付いた。

「えっ?」

白髪の老司会長は息を呑み、額に浮かんだ汗を拭った。

彼の視線は会場の片隅にある黒服の男に向けられていた。

その人物はゆっくりと立ち上がり、周囲から注目を集めていた。

「六品錬金術師様が...」

観客席ではささやき声が広がる。

彼らは当然ながら驚いていた。

六品錬金術師の立場としては、まず薬材を手に入れるのが常道だが、最初から斗霊丹と皇極丹という高価な薬材を提示するとは...

「やはりプロフェッショナルだわ」

誰かが感嘆の声を漏らす。

両方合わせて八百万ゴールド以上にもなるこれらの薬材。

しかし、老司会長はその値段に動揺しない。

なぜなら、オークション品であるこの魔物の干尸は、次元を超えた存在だ。

今や八階級への進化を目前にした絶世の凶獣であり、死体でもその威圧力は残っているのだ。

「さて、この方の出価は...」

老司会長が笑顔で尋ねる。

しかし、彼の視線は会場の別の一角に向けられていた。

そこで一人の男が首を横に振った瞬間、老司会長の表情がわずかに曇った。

「では、この方の出価は...一巻の地階低級の斗技書で如何でしょうか?」

突然響いた声に、老司会長は眉をひそめた。

彼は苦々しい笑みを浮かべながら、その方向へと視線を向けた。

「申し訳ありませんが、我々黒皇宗としては...」

そう言いながらも、彼の目は依然として観客席を見回していた。



白髪の老者がため息をつくように首を振ると、その場に座り直した。

運魔兽数体への再競争に興味がなくなったのか、周囲の視線も次第に冷めやらしくなった。

「皇極丹という薬品は我が魔炎谷にもあるが、これなどは断じて手放さない。

だが一巻の地階中級の斗技を用意した。

急いで判断するな、まずこの功法の効果を説明してから決めてほしい」

その紅髪の方言老者がゆっくりと立ち上がると、会場が息を吞んだ。

炎の谷の席位から徐々に声が広がり、拍手と驚きの声が交錯する。

「この斗技は『弄焰決』と名付けられ、火属性の修練者にしか習得できない苛酷な条件がある。

しかし最も重要なのは、これによりどのような炎も瞬時に掌握できるという点だ。

さらに体内の気を非実質的な炎へ変換する能力を持つが、その真価はここにある」

「複数人が同時にこの功法を使うと、生成されるエネルギー炎を一時的に融合させることができる。

その融合した炎は現実の炎に近づき、異火にも匹敵する驚異的な威力を発揮する。

貴宗が適材を見つければ、この融合炎が異火と並ぶ存在になるかもしれない」

方言老者の言葉が会場中に響くにつれ、人々の表情が次第に引き締まった。

異火という概念は誰もが知っているが、そのような融合技術は聞いたことがない。

「『弄焰決』という名前を聞いて、蕭炎の心臓が一拍子早くなった。

方言老者が語る異火との融合には興味が湧かないが、彼が強調した『どのような炎も瞬時に掌握できる』という部分だけは、胸中で何度も繰り返された」



炎の体には多くの異火が存在し、今後さらに増える可能性もある。

しかし彼にとって最大の課題はそれらを制御することだ。

異火は暴走する性質があり、駆動に莫大なエネルギーが必要となる。

一般的に新たな異火を得た場合、その制御には相当の時間と労力を要する。

さらに異火同士が融合し増えるにつれ、制御もますます困難になるだろう。

もし「弄焰決」があれば、蕭炎にとって大きな助けとなるはずだ。

この瞬間、理性が残っていたからこそ、蕭炎はその場で「弄焰決」を手に入れるために相手の武器と交換する衝動に抗えた。

なぜならそれは今後の彼にとって極めて重要な存在になるだろうからだ。

最初は失望していた白髪の老人も、「弄焰決」の奇異さを聞いて、髭を撫でながら微かに頷いた。

「ふん、方言長老よ、恐らく貴方もまだ全てを語っていないのでは?私は長い間閉じこもり続けたが魔炎谷のことには少しだけ知っている。

この『弄焰決』は確かに奇妙だが、エネルギーを使う度に施術者に永久的な傷害を与える。

一度や二度ならともかく、何度も繰り返せば命を落とす運びになるだろう。

我が黒皇宗にはそんな犠牲を払う強者がいない。

だからこそ貴方のこの武技は我々にとって無益なのだ」

方言がためらっているその時、突然淡い老いた笑みと共に金色の影が拍賣台に現れた。

人々が注目した先には黒皇宗の総長・莫天行の姿があった。

莫天行の突然の登場に驚きを隠せない方言は、頬を赤くして鼻を掻いた。

「もしもこの武技に興味がないならそれで結構だ。

正直、谷主様から厳しく叱責されるのが怖いので」

暗に魔炎谷の長老である方言が莫天行を嘲讽したその言葉に、莫天行は眉根を寄せた。

彼の目には薄い寒さが宿り、和やかな表情で蕭炎の方を見つめた。

「お友達よ、皆は賢者だ。

この魔物の干尸を買うリスクはあるが、もし中に何かがあるなら大金持ちになるだろう。

だから私が直接出面して言うのだ。

貴方が三枚の斗霊丹と二枚の皇極丹を提示すれば、この干尸は貴方のものとなる」

莫天行の要求に拍賣場は驚きの声が上がった。

人々は目を白黒させながら「この老人は一体何を考えているのか」と囁いた。

「三枚の斗霊丹と一枚の皇極丹」

黒い布で全身を包んだ蕭炎が淡々と言った。

「四枚の斗霊丹と三枚の皇極丹」莫天行は眉をひそめながら返した。

「貴方は薬煉術が容易にできると思っているのか?私はもう交渉しない。

三枚の斗霊丹と二枚の皇極丹で決まりだ。

正直、私も他の連中と同じくあまり大きな賭けはできない。

あの魔物の中にはただ風乾した肉片があるかもしれないからな」

蕭炎の冷ややかな一言に反応し、莫天行は眉をさらに強く寄せて考え込んだ。

しばらく経てようやく全員が驚愕する中で頷いた。

「よし、貴方の条件だ」

その瞬間、莫天行の口角には気配の読めない笑みが浮かんだ。

しかし彼は気づいていないことに気がついていなかった。

蕭炎の方では同じく微かな笑みを浮かべていた。



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