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第0991話 錬
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数日の間、蕭炎は毎日約10時間をキンセキの体内から天山火毒を排除するのに費やしていた。
その結果、キンセキの精神状態は日に日に回復し、萧炎への態度も当初の冷淡から礼儀正しくなりつつあった。
現在の蕭炎は斗宗突破直後とはいえ、もう一人の身分である煉薬師としての地位がキンセキのような存在に敬意を払わせる要因だった。
高級煉薬師と結びつくことは誰もが願う幸運なことだから。
残りの時間は体内の魔毒斑への対応に充てられていた。
この数年間ずっと脅威として付き纏ってきた魔毒斑は、いつか爆発する時限ボムのように感じられた。
一日でも取り除けない限り、心臓に刺さった棘のような不快感が消えない。
研究を重ねた結果、魔毒斑の性質についてより詳細な理解を得ていたが、まだ無謀な行動は避けていた。
あの封印がなければとっくに爆発していたであろうほど危険なものだったからだ。
現在の斗宗級でもその封印を解除するのは時期尚早で、準備が整った段階でこそ手をつけるべきだと判断した。
蒸気で白熱する石室の中、木桶には熾烈な炎が燃え立っていた。
中央部だけが空いている空間にキンセキの頭が浮かんでいた。
現在のキンセキは元気がみなぎり、以前とは対照的に生き生きとした表情をしていた。
蕭炎による治療効果が顕著だった証拠だ。
蒸気の霧がようやく晴れると、木桶の中の薬液もクリアな状態に戻った。
その薬効はキンセキの体内に完全に浸透していた。
手を振って瑠璃蓮心の炎を体内に収めた瞬間、蕭炎は安堵の息を吐いた。
現在が斗宗級であることがなければ、この長時間の治療は以前の力量では到底不可能だった。
キンセキが服を着て木桶から出ると、体全体から溢れるような生命力を感じ取った彼は、古びた顔に驚きの表情を浮かべながら蕭炎に向かい礼儀正しく頭を下げた。
「萧炎小友、恩義は言葉で表せない。
この借りは老夫が生涯忘れません」
蕭炎は笑みを浮かべてネックレスから二つの玉瓶を取り出しキンセキに渡した。
「明日には出発する予定です。
これは治療に必要な薬液と丹剤です。
貴方の体内の火毒はほぼ完全に除去済みで、私の異火を触媒として使う必要はありません。
この間の治療方法についてはご存知でしょうから詳細は省きます。
この方法を続けられれば二三ヶ月以内に完全に浄化されます」
「明日ですか?」
キンセキが驚きの声を上げた瞬間、すぐに慌てて訂正した。
「えっ、その…」
炎はうなずき、その四方閣大会という名のイベントが近づいてきたことを悟った。
風雷閣でなければ風尊者に会えないだろうし、斗尊級の強者が次々と姿を現すのはいつになるやら。
魂殿の存在もあり、大っぴらにはできないからこそ、暗中灯火で探さなければならないのだ。
金石が頷くと、玉瓶を受け取りながら重ねた。
「炎君、何かあったら天目山脈に来てくれ。
ここならフェンヤ老も手が出せない」
炎は笑みを浮かべた。
金石は魔物だが情に厚い。
その種族の実力は風雷閣と比べれば見劣りするが、それでもこの言葉を口にするほど信頼できる存在だった。
「では後で礼を申します」
柔らかな光が差す部屋の中で炎は床に座り上半身を曝け出していた。
胸の中央には墨のような黒斑があり、その周囲には奇妙な紋様が広がっていた。
封印の効力は衰えつつあり、ほのかな腥味が漂う。
魔毒斑から這い出す無数の黒線を包み込むのは、小医仙が施した封印だが、年月が経つにつれその紋様も薄らいでいた。
炎の視線は黒斑に注がれる。
この厄介な毒を除去するには二つの方法がある。
一つは斗尊級の強者に頼むこと、もう一つは第三の異火を見つけることだ。
しかし現在の炎はそのどちらも叶えていない。
だが条件が整わなくても、最近の突破で魔毒斑への抵抗力が以前より高まっていると感じていた。
少なくとも完全に無力ではなくなったのだ。
眉をひそめて考え込む炎は突然頬を引きつり、体内の緑色の炎を呼び出した。
その炎は胸元に集まり黒斑を包み込んだ。
封印が劣化していることを考慮し、早急な解決が必要だった。
今の実力では一気に魔毒斑を浄化するのは難しいが、時間をかけて徐々に取り除くことで負荷を軽減できるかもしれない。
炎は心で炎の一本を制御し、封印の周囲を一周させた後、猛然と衝撃を与えた。
異火の熱さが封印を焦がすにつれ、その紋様は小さな亀裂を作り出した。
炎の正確な操作により、その亀裂は魔毒斑の爆発を誘発するほどにはならなかった。
しかし同時にわずかに内部から黒線を引き出すことに成功した。
その瞬間封印が割れたことで、長年沈黙していた魔毒斑が激しく蠢き始めた。
小さな黒い塊が動き出し、指先ほどのサイズの黒線を生成し、その亀裂に向かって暴走する。
見たその黒線の射出に、蕭炎は瞬時に心神を引き締めた。
封印外の碧緑の炎が火海のように胸元周辺を包み込み、隙間すら許さない。
黒線は無事に亀裂を抜け出し、その途端に濃厚な腥味と強い腐食性が広がった。
幸い異火の守りによって、その臭気はすぐに「プチッ」と消滅した。
その漆黒で陰険な黒線を見つめながら、蕭炎の目には寒さが走った。
もし今の彼が斗宗に達していなかったら、この魔毒斑黒線は体内を混乱させるだろう。
しかし今はようやく斗宗の域に立っている。
心を動かすと、胸元の碧緑の炎は火龍となり低く唸りながらその黒線へ猛撃した。
巨大な異火の包囲網に対し、魔毒斑黒線は不安を感じた。
蕭炎の実力が増すにつれ、この異火の威力も上昇しているのだ。
かつて細い魔毒斑を煉化するのに数日かかったが、今ならその十倍以上の速度で処理できると確信していた。
黒線がためらっている間に、火龍は瞬時に近づき炎の一撃で黒線を囲み込んだ。
するとその場に熊々しい緑の炎が生まれ、黒線を包んで煉化が始まった。
異火の煉化に対し、魔毒斑黒線は激しく抵抗した。
濃厚な腐食性の黒霧が連続して噴出し、周囲の炎に衝突する。
「チリッ!」
現在の異火なら完全に浄化するのは難しいが、この程度の反撃は問題ない。
異火が縮小するとまたもやチリッという音が響き、黒線の色が急速に薄れ始めた。
たった一時間でその黒い毒素は全て消滅した。
残されたのは、極めて純粋な雄大な斗気だった。
意識を持たず静かに炎の中に留まるだけだ。
この斗気の精純さを確認し、蕭炎は満足げに笑った。
魔毒斑は危険だが、完全に浄化できれば彼の実力が三段階跳ね上がるかもしれない。
「世の中は危険と収穫がセットなんだな」
焚決の経路を辿りながらその斗気を受け入れると、体内の斗気がわずかに増した。
再び魔毒斑を見つめ、小さな毒素を引き抜き始めた。
一気に浄化できないが、時間をかけて少しずつ取り出すことでいずれはこの体の爆弾も消滅するだろう。
「これなら七品丹薬にも勝る効果だよ。
竭畢岩老爺様、ありがとね」
その結果、キンセキの精神状態は日に日に回復し、萧炎への態度も当初の冷淡から礼儀正しくなりつつあった。
現在の蕭炎は斗宗突破直後とはいえ、もう一人の身分である煉薬師としての地位がキンセキのような存在に敬意を払わせる要因だった。
高級煉薬師と結びつくことは誰もが願う幸運なことだから。
残りの時間は体内の魔毒斑への対応に充てられていた。
この数年間ずっと脅威として付き纏ってきた魔毒斑は、いつか爆発する時限ボムのように感じられた。
一日でも取り除けない限り、心臓に刺さった棘のような不快感が消えない。
研究を重ねた結果、魔毒斑の性質についてより詳細な理解を得ていたが、まだ無謀な行動は避けていた。
あの封印がなければとっくに爆発していたであろうほど危険なものだったからだ。
現在の斗宗級でもその封印を解除するのは時期尚早で、準備が整った段階でこそ手をつけるべきだと判断した。
蒸気で白熱する石室の中、木桶には熾烈な炎が燃え立っていた。
中央部だけが空いている空間にキンセキの頭が浮かんでいた。
現在のキンセキは元気がみなぎり、以前とは対照的に生き生きとした表情をしていた。
蕭炎による治療効果が顕著だった証拠だ。
蒸気の霧がようやく晴れると、木桶の中の薬液もクリアな状態に戻った。
その薬効はキンセキの体内に完全に浸透していた。
手を振って瑠璃蓮心の炎を体内に収めた瞬間、蕭炎は安堵の息を吐いた。
現在が斗宗級であることがなければ、この長時間の治療は以前の力量では到底不可能だった。
キンセキが服を着て木桶から出ると、体全体から溢れるような生命力を感じ取った彼は、古びた顔に驚きの表情を浮かべながら蕭炎に向かい礼儀正しく頭を下げた。
「萧炎小友、恩義は言葉で表せない。
この借りは老夫が生涯忘れません」
蕭炎は笑みを浮かべてネックレスから二つの玉瓶を取り出しキンセキに渡した。
「明日には出発する予定です。
これは治療に必要な薬液と丹剤です。
貴方の体内の火毒はほぼ完全に除去済みで、私の異火を触媒として使う必要はありません。
この間の治療方法についてはご存知でしょうから詳細は省きます。
この方法を続けられれば二三ヶ月以内に完全に浄化されます」
「明日ですか?」
キンセキが驚きの声を上げた瞬間、すぐに慌てて訂正した。
「えっ、その…」
炎はうなずき、その四方閣大会という名のイベントが近づいてきたことを悟った。
風雷閣でなければ風尊者に会えないだろうし、斗尊級の強者が次々と姿を現すのはいつになるやら。
魂殿の存在もあり、大っぴらにはできないからこそ、暗中灯火で探さなければならないのだ。
金石が頷くと、玉瓶を受け取りながら重ねた。
「炎君、何かあったら天目山脈に来てくれ。
ここならフェンヤ老も手が出せない」
炎は笑みを浮かべた。
金石は魔物だが情に厚い。
その種族の実力は風雷閣と比べれば見劣りするが、それでもこの言葉を口にするほど信頼できる存在だった。
「では後で礼を申します」
柔らかな光が差す部屋の中で炎は床に座り上半身を曝け出していた。
胸の中央には墨のような黒斑があり、その周囲には奇妙な紋様が広がっていた。
封印の効力は衰えつつあり、ほのかな腥味が漂う。
魔毒斑から這い出す無数の黒線を包み込むのは、小医仙が施した封印だが、年月が経つにつれその紋様も薄らいでいた。
炎の視線は黒斑に注がれる。
この厄介な毒を除去するには二つの方法がある。
一つは斗尊級の強者に頼むこと、もう一つは第三の異火を見つけることだ。
しかし現在の炎はそのどちらも叶えていない。
だが条件が整わなくても、最近の突破で魔毒斑への抵抗力が以前より高まっていると感じていた。
少なくとも完全に無力ではなくなったのだ。
眉をひそめて考え込む炎は突然頬を引きつり、体内の緑色の炎を呼び出した。
その炎は胸元に集まり黒斑を包み込んだ。
封印が劣化していることを考慮し、早急な解決が必要だった。
今の実力では一気に魔毒斑を浄化するのは難しいが、時間をかけて徐々に取り除くことで負荷を軽減できるかもしれない。
炎は心で炎の一本を制御し、封印の周囲を一周させた後、猛然と衝撃を与えた。
異火の熱さが封印を焦がすにつれ、その紋様は小さな亀裂を作り出した。
炎の正確な操作により、その亀裂は魔毒斑の爆発を誘発するほどにはならなかった。
しかし同時にわずかに内部から黒線を引き出すことに成功した。
その瞬間封印が割れたことで、長年沈黙していた魔毒斑が激しく蠢き始めた。
小さな黒い塊が動き出し、指先ほどのサイズの黒線を生成し、その亀裂に向かって暴走する。
見たその黒線の射出に、蕭炎は瞬時に心神を引き締めた。
封印外の碧緑の炎が火海のように胸元周辺を包み込み、隙間すら許さない。
黒線は無事に亀裂を抜け出し、その途端に濃厚な腥味と強い腐食性が広がった。
幸い異火の守りによって、その臭気はすぐに「プチッ」と消滅した。
その漆黒で陰険な黒線を見つめながら、蕭炎の目には寒さが走った。
もし今の彼が斗宗に達していなかったら、この魔毒斑黒線は体内を混乱させるだろう。
しかし今はようやく斗宗の域に立っている。
心を動かすと、胸元の碧緑の炎は火龍となり低く唸りながらその黒線へ猛撃した。
巨大な異火の包囲網に対し、魔毒斑黒線は不安を感じた。
蕭炎の実力が増すにつれ、この異火の威力も上昇しているのだ。
かつて細い魔毒斑を煉化するのに数日かかったが、今ならその十倍以上の速度で処理できると確信していた。
黒線がためらっている間に、火龍は瞬時に近づき炎の一撃で黒線を囲み込んだ。
するとその場に熊々しい緑の炎が生まれ、黒線を包んで煉化が始まった。
異火の煉化に対し、魔毒斑黒線は激しく抵抗した。
濃厚な腐食性の黒霧が連続して噴出し、周囲の炎に衝突する。
「チリッ!」
現在の異火なら完全に浄化するのは難しいが、この程度の反撃は問題ない。
異火が縮小するとまたもやチリッという音が響き、黒線の色が急速に薄れ始めた。
たった一時間でその黒い毒素は全て消滅した。
残されたのは、極めて純粋な雄大な斗気だった。
意識を持たず静かに炎の中に留まるだけだ。
この斗気の精純さを確認し、蕭炎は満足げに笑った。
魔毒斑は危険だが、完全に浄化できれば彼の実力が三段階跳ね上がるかもしれない。
「世の中は危険と収穫がセットなんだな」
焚決の経路を辿りながらその斗気を受け入れると、体内の斗気がわずかに増した。
再び魔毒斑を見つめ、小さな毒素を引き抜き始めた。
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