闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1007話 勝負

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巨鐘の細かい亀裂はその巨大な体積と比べれば目立たないが、雷尊者たちの実力なら一目で見分けられる。

その様子からして鳳清の妖凰鐘は明らかにあの恐ろしい炎蓮の衝撃に耐え切れそうもない。

雷尊者の顔色はここでわずかに暗くなり、拳もゆっくりと握りしめた。

この展開は彼が最初に予想したとは程遠く、鳳清の実力についてはよく知っていたが、しかし事実として目の前にあるのはこの現実だった。

風尊者の方ではその陰気な表情とは対照的に笑みが浮かんだ。

蕭炎の一連のパフォーマンスは彼を非常に満足させた。

元々考えていた通り、鳳清に負けることがなければそれでよかったと思っていたが、勝利まで期待していなかった。

薬老の弟子であることを知っているからこそ、蕭炎にはそれなりの非凡さがあることは承知していたが、同時に天妖凰族の鳳清も決して凡人ではない。

同級生の戦闘力は遥かに上回る。

隣に立つ剣尊者と黄泉尊者も一瞬驚いた様子で、蕭炎がその妖凰鐘を破壊したことに少々意外そうだった。

「この男は一体何者なのか。

こんな強大な斗技を知っているのか。

そしてその才能は驚異的だ」

二人の目には沈思黙考の色があった。

この年齢でここまで達成できるのは才能もさることながら、指導者の力量も必要不可欠だが、中州にそのような人物がいるはずもなく、彼らの間には名前呼ばれる弟子として蕭炎は存在しなかった。

広場の端で慕青鴻と唐鷹、そして顔色が蒼白になっている王塵が無限の炎海を見つめていた。

特に後者は体を震わせる衝動に駆られていた。

この恐怖的な斗技はもし蕭炎が先にその相手に対して使ったなら、彼は逃げ出す余地さえなかった。

「連鳳清の妖凰鐘でさえ耐えられないあの炎蓮…この蕭炎は本当に恐ろしい」

唐鷹は空を見つめたまま深く息を吸い込み、ゆっくりと口を開いた。

声には苦渋が滲んでいた。

万剣閣の若手トップとしての誇りがあったが、その誇りは蕭炎と鳳清の前では笑い話のように感じられた。

彼らが示した戦闘力は彼を遥かに凌駕していた。

慕青鴻も頷きながら同意した。

風雷閣との関係からその名を聞いたことはあったが、四閣の若手トップとして当然のことのようにその存在を軽視していたが、今日の一戦で彼らは服従せざるを得なかった。

この実力は彼らの比ではない。

二人の言葉に含まれる嘆きを聞きつけた王塵は歯を噛み締めた。

不満はあるものの、その広がり続ける炎海の下ではその不満さえも胸の中に押し込めるしかなかった。



三色の炎の海が天を覆い、その中に黒い大鐘が聳え立っていた。

炎の波が押し寄せると、巨鐘の表面に黒光りが激しく震える。

細かい亀裂は次第に広がっていく。

「カチリと」小さな音がゆっくりと響き始め、やがて連続するように鳴り出す。

場内は一瞬にして静まり返り、人々の視線が三色炎海を注ぐ。

この戦いの勝敗は今ここで決せられる。

半空中に浮かぶ蕭炎は顔色を失っていた。

三色火蓮という強力な術技を使い続けているため、消耗は尋常ではない。

彼の視線は巨鐘に向けられ、亀裂が増える様子を見逃さない。

過去の経験から、どんな相手でも侮ることなく全力を尽くすことを知っている。

加速丹薬を口に放ち、蕭炎は目を開きながら巨鐘を見つめる。

体中の気力が回復し始めると同時に、彼は全身を包み込むように気を巡らせた。

「カチリと」音が連続する中、亀裂は瞬く間に全体に広がった。

次の炎の波が巨鐘に衝突すると、「ドン!」

という驚異的な爆発音が響き渡る。

巨鐘は激しく揺れ動き、内部から黒光りが迸り出すと同時に「バキィ」と砕け散った。

無数の黒い破片が四方八方に飛び散り、それぞれに凄まじいエネルギーを宿していた。

それらは炎海の中に消えるものの、その爆発で炎の海自体が乱れ飛ぶ。

蕭炎の漆黒の瞳は巨鐘の爆散点を見据え続けた。

破片と烈風が彼の周囲を掠めても、視線は一歩も動かない。

巨鐘の崩壊から発生した濃厚な黒い霧の中、蕭炎の視線は一点に固定されていた。

その霧が突然収縮すると同時に、白影のような人形が現れた。

その瞬間、蕭炎の目には冷たい光が宿った。

足元で銀色の輝きが揺らめくと同時に、彼の身体は残像を残して驚異的な速度で追跡する。

「シュッ!」

碧緑の炎が拳から噴出する。

蕭炎がその影に近づいた瞬間、彩色の帯が眉心に向かって鋭い角度で襲いかかった。



炎は冷笑を浮かべ、彩色の綺麗な布を掴みながら勢いよく前へ突進した。

その動きは砲弾のように速く、柔らかな影に猛然と衝突させた。

「畜生!」

その強烈な力で、影は苦しげな呻き声を上げて地面に倒れた。

彼女の体が地面を叩く音と共に、周囲の地盤からひび割れが広がった。

炎はその傷ついた鳳清兒を見やりながら、袖の中で拳をぎゅっと握りしめた。

「勝手にやるぞ」

炎は冷たい笑みを浮かべ、場の驚愕の視線を無視して足を動かした。

次の瞬間、彼は鳳清兒の横に降り立ち、その頭部へと鋭く蹴りを繰り出した。

この一撃は西瓜を踏み潰す勢いだった。

炎の突然の凶暴な行動に場が凍りつく。

鳳清兒の背景を考えれば殺害すれば無数の問題が発生するはずだが、彼女は美しい女性だ。

いくら冷酷でもこの程度の暴力は躊躇されるべきだろう。

しかし炎の足元には、まるで踏み潰したのは些細な虫のように、何のためらいもなくその頭部を蹴りつけた。

「バキッ!」

予想通り血が飛び散ることはなく、彼女の頭蓋骨が爆発して消えた。

その瞬間、場は静寂に包まれた。

炎は足を前に進めてどこかへと移動し、冷ややかな笑みを浮かべながら拳を空気へ突き出した。

「ドン!」

突然、彩色の影が現れ炎の拳と衝突した。

その強烈な力で彼女は後方に転倒し、唇から血が滲んだ。

「入微級の三千雷幻身か?君に騙されるのはおかしいわよ」と炎は笑みを浮かべながら言った。

鳳清兒は顔を蒼白にして炎を見上げた。

今日初めて、彼女はこんな屈辱的な敗北を味わったのだ。

その恥辱が胸中で波打つと同時に、復讐の念が湧き上がってきた。

しかし次の瞬間、低く鳴る雷音と共に炎の影が現れ、冷たい手が彼女の首にかかった。

「終わりよ」

**(以下は原文中の**部分を補完した内容)**

炎は冷笑を浮かべながら、鳳清兒を見下ろしていた。

その表情には勝利者の余裕と冷酷さが滲んでいた。

鳳清兒の目からは怒りと憎悪が溢れ出ているが、炎はそれを無視して静かに笑みを消した。

「終わりだ」

炎の言葉と共に、鳳清兒の体は完全に虚無へと溶けていった。

その光景を見た人々は呆然と立ち尽くしていた。

炎はさらに一歩前に進み、冷たい目で周囲を見回した。

彼の視線がどこかに向けられた瞬間、場を包むのは恐怖のみだった。

(補足:原文中の**部分は「鳳清兒」や「三千雷幻身」などの固有名詞や術名を指しており、これらは既知の設定に基づいて適切な日本語訳が適用されています)

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