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第1188話 易塵
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光の絡み合う花崗岩が敷き詰められた広場は普段から人通りで賑わい、その中でも聖丹城屈指の人気エリアだった。
しかし今やそこは大勢の人々が集結した巨大な群れとなり、その間には百体の影が直立している。
彼らからは殺伐とした気配が漂い、周囲の一部が身を縮ませるほどだ。
この人々は明らかに尋常ではない存在であり、ここへ来てやることも好意的とは思えなかった。
「あれは玄冥宗の人々だろうか?」
「灰服の老人が辰天南というのか。
まさかその老悪魔まで現れるとは……。
少主の死を報復に来たんだろうな」
「噂では少主・辰閑が炎王に殺されたと聞いた。
この老悪魔は息子の仇を討つために来ているんだろ」
人々の囁き声が聞こえる中、群れの先頭に立つ灰服の老人は冷ややかな目線で周囲を見回す。
その視界に入った者は皆身震いし、口を閉じた。
玄冥宗は一言不合で刃向あう者も珍しくなく、睚眦必報の性格ゆえに誰かが彼らと因縁を作れば最悪な結末を招く。
「丘陵大長老!ここは丹塔だぞ。
こんな殺伐とした態度で来ているのか?」
人々が老人の鋭い眼光に怯える中、突然丹塔から厳粛な声が響き渡り、次いで多数の強者が現れた。
その先頭には丘陵という名の老いた人物が立っていた。
「丘長老よ、丹塔で圧迫するつもりか?他の者は恐れるかもしれないが、私は怯まない」老人は冷たい目線を丘陵に向けた。
「我が息子が炎王に殺された。
今日は彼と息子の死を償わせるために来たのだ」
丘陵は一言も返さず、重々しく言った。
「何度も言っているだろう。
この件は魂殿の慕骨老怪に任せておけ」
「慕骨老怪には責任があるが炎王も加害者だ。
彼を私に渡せばすぐにでも……」
老人の冷酷な発言に丘陵は怒りを露わにする。
「辰天南!丹塔でそんな威張りは許さないぞ。
貴様のような連中が来たら、この場で始末するだけだ」
丘陵の喝破が響くと、老人の背後から新たな人物が現れた。
その男は二十代半ばに見えたが、非常に整った顔立ちで女性のように美しかった。
しかし眉間には殺伐とした色があり、その美しさをさらに不気味なものにしていた。
「天冥宗・易塵です」
丘陵は細めた目で男を見やる。
「貴方とは何の関係か?」
「父上の死を報復するためだ。
炎王がこの場にいれば、今すぐでも……」
俊美男子が微かに笑みを浮かべた。
その気度は確かに群を抜いていたが、その簡潔な名前が口から出た瞬間、周囲の者たちには鋭利な刃のような殺伐の気配が迫り寄せてきた。
「天冥宗(てんめいしゅう)、易塵(やすじん)?」
丘陵(きゅうりょう)はその名を聞いた途端に眉根を寄せ、何かを思い出したように目を見開いた。
「易塵?まさか天冥宗の『易修羅(えきしゅら)』のことか?」
周囲の人々がざわめき出す。
その視線は彼に向かって恐れを込めて注がれる。
まるで原始の猛獣のように危険な存在であるかのような表情だった。
「易修羅」という名前は中州(ちゅうしゅう)でも決して弱いものではない。
それは無数の殺伐と血塗られた戦いで積み重ねられた凶名だ。
天冥宗が支配する地域では、その名を聞いた者は肝を冷やすほどだった。
もし蕭炱(しょうたい)が丹会(たんかい)の優勝者でなかったなら、この中州での名声は易塵の方が遥かに上回っていたかもしれない。
易塵は天冥宗百年来最優秀の弟子と称される存在だ。
現在の地位ではさえも、その実力と冷酷な手段を重ね合わせれば、次代の宗主候補として誰もが認める立場にある。
他の有力者たちがいくら競い合おうとも、天冥宗の宗主でさえも彼に寒気を感じるほどだ。
その凶名に比べて、易塵の実力はさらに凄まじい。
天冥宗の門下を育てる方法は極めて残酷なものだった。
各代の真伝弟子たちはある段階で宗門の禁地へと送られる。
そこで日常的に師兄弟同士が殺し合い、最後に生き残った者だけが宗門の核心となるのだ。
そして天冥宗の功法は強奪的なものだ。
相手の斗気を吸収する際には血肉も必要とする。
禁地から生還した者はみな血塗れの体で現れる。
未だにその闇の中に埋もれている師兄弟たちの斗気と血肉が、勝利者の養分となるのである。
易塵はこの代では唯一無二の生存者だった。
そして各地を征伐し戦い続けた結果、彼の手に負った強者が数え切れないほどいる。
その実力は殺戮の中で急速に成長し、今や三十歳前後で斗宗(とうそう)の頂点に近づきつつあり、さらに半歩足りないところで斗尊(とうそん)への階段を踏みかけている。
魂殿(こんてん)が不気味な存在であるならば、天冥宗は真っ赤な血塗られた組織だ。
この世では弱肉強食の法則が絶対だが、それを極限まで拡大したのが天冥宗だった。
そしてその勢いを見れば、この残酷な選抜方法もまた有効なのかもしれない。
当然、天冥宗の血肉を食らうことで己が力を増すという暴虐な功法は確かに凄まじいものだが、その代償として全ての頂点に達した者は例外なく反逆の苦しみで死んでいく。
つまりこの術は生命力を搾取し一時的な強大さを得るための触媒であり、輝かしい瞬間だけが残る。
おそらく天冥宗の歴代宗主もそのような思いだったのだろう。
「丘長老、これは辰伯の家事です。
子を殺された復讐は報われなければなりません。
丹塔が関与するのは不適切でしょう」
周囲のささやき声に動じることなく易塵は丘陵を見据えながら笑みを浮かべた。
「老臣は以前から申しておった通り、辰閑を殺したのは蕭炎ではなく慕骨老人です。
貴方達が間違えた標的を選んだのです」
「もし我が子が重傷を負わせられていなければ、彼らも慕骨の手に逃れられたでしょう。
無論、この件に関与しないわけにはいかない。
天冥宗はこれ以上黙認できません」
辰天南の鋭い目つきと冷たい声調は毒蛇のように迫っていた。
「貴方は丹塔を脅かすつもりですか?」
「嘆かわしいことですね丘長老、近年では魂殿と対立する丹塔に対して当宗は中立を保ち続けています。
もし問題が解決されない場合、暗黙の仲間たちを相手に引きずり込む可能性もあります。
そのような出来事は丹塔にとって決して良いものではありません」
この言葉には丘陵も一瞬色を変えた。
易塵が次代の天冥宗宗主であることはほぼ確実であり、彼の発言には重みがあったからだ。
魂殿と並ぶ大勢力である天冥宗との対立は決して軽視できない。
「そのような危険な発言は慎むべきです。
辰宗主が若輩者に手を下すというのは、外聞の上でも問題でしょう」
「老臣は若輩か否かなど関係ありません」
辰天南の冷笑が途切れる前に易塵が彼を制した。
穏やかな笑みと共に言葉が響き渡った。
「では丘長老のご希望通り、今日は強硬手段に出ません」
その瞬間丘陵の顔色が変わった。
この人物の名前は誰もが恐れおののむものだ。
もし蕭炎が応戦すれば生死を分けられるのは明らかだった。
「この男は手の込んだ罠を仕掛けたな」
内心で舌打ちしながら丘陵が声を上げようとしたその時、目の前の空間が歪んだ。
痩せた影が驚愕の視線の中でゆっくりと現れた。
軽やかな笑い声と共に言葉が広場に広がった。
「貴方がどうしてもならば、この場で丹会チャンピオンの蕭炎と試合を組むことにします。
その名高いチャンピオンは受け入れるか?」
その瞬間丘陵の顔色が再び変わった。
易塵の声は雄大な気功と共に空に響き渡り、場の雰囲気が一変したのである。
「私が受けます」
しかし今やそこは大勢の人々が集結した巨大な群れとなり、その間には百体の影が直立している。
彼らからは殺伐とした気配が漂い、周囲の一部が身を縮ませるほどだ。
この人々は明らかに尋常ではない存在であり、ここへ来てやることも好意的とは思えなかった。
「あれは玄冥宗の人々だろうか?」
「灰服の老人が辰天南というのか。
まさかその老悪魔まで現れるとは……。
少主の死を報復に来たんだろうな」
「噂では少主・辰閑が炎王に殺されたと聞いた。
この老悪魔は息子の仇を討つために来ているんだろ」
人々の囁き声が聞こえる中、群れの先頭に立つ灰服の老人は冷ややかな目線で周囲を見回す。
その視界に入った者は皆身震いし、口を閉じた。
玄冥宗は一言不合で刃向あう者も珍しくなく、睚眦必報の性格ゆえに誰かが彼らと因縁を作れば最悪な結末を招く。
「丘陵大長老!ここは丹塔だぞ。
こんな殺伐とした態度で来ているのか?」
人々が老人の鋭い眼光に怯える中、突然丹塔から厳粛な声が響き渡り、次いで多数の強者が現れた。
その先頭には丘陵という名の老いた人物が立っていた。
「丘長老よ、丹塔で圧迫するつもりか?他の者は恐れるかもしれないが、私は怯まない」老人は冷たい目線を丘陵に向けた。
「我が息子が炎王に殺された。
今日は彼と息子の死を償わせるために来たのだ」
丘陵は一言も返さず、重々しく言った。
「何度も言っているだろう。
この件は魂殿の慕骨老怪に任せておけ」
「慕骨老怪には責任があるが炎王も加害者だ。
彼を私に渡せばすぐにでも……」
老人の冷酷な発言に丘陵は怒りを露わにする。
「辰天南!丹塔でそんな威張りは許さないぞ。
貴様のような連中が来たら、この場で始末するだけだ」
丘陵の喝破が響くと、老人の背後から新たな人物が現れた。
その男は二十代半ばに見えたが、非常に整った顔立ちで女性のように美しかった。
しかし眉間には殺伐とした色があり、その美しさをさらに不気味なものにしていた。
「天冥宗・易塵です」
丘陵は細めた目で男を見やる。
「貴方とは何の関係か?」
「父上の死を報復するためだ。
炎王がこの場にいれば、今すぐでも……」
俊美男子が微かに笑みを浮かべた。
その気度は確かに群を抜いていたが、その簡潔な名前が口から出た瞬間、周囲の者たちには鋭利な刃のような殺伐の気配が迫り寄せてきた。
「天冥宗(てんめいしゅう)、易塵(やすじん)?」
丘陵(きゅうりょう)はその名を聞いた途端に眉根を寄せ、何かを思い出したように目を見開いた。
「易塵?まさか天冥宗の『易修羅(えきしゅら)』のことか?」
周囲の人々がざわめき出す。
その視線は彼に向かって恐れを込めて注がれる。
まるで原始の猛獣のように危険な存在であるかのような表情だった。
「易修羅」という名前は中州(ちゅうしゅう)でも決して弱いものではない。
それは無数の殺伐と血塗られた戦いで積み重ねられた凶名だ。
天冥宗が支配する地域では、その名を聞いた者は肝を冷やすほどだった。
もし蕭炱(しょうたい)が丹会(たんかい)の優勝者でなかったなら、この中州での名声は易塵の方が遥かに上回っていたかもしれない。
易塵は天冥宗百年来最優秀の弟子と称される存在だ。
現在の地位ではさえも、その実力と冷酷な手段を重ね合わせれば、次代の宗主候補として誰もが認める立場にある。
他の有力者たちがいくら競い合おうとも、天冥宗の宗主でさえも彼に寒気を感じるほどだ。
その凶名に比べて、易塵の実力はさらに凄まじい。
天冥宗の門下を育てる方法は極めて残酷なものだった。
各代の真伝弟子たちはある段階で宗門の禁地へと送られる。
そこで日常的に師兄弟同士が殺し合い、最後に生き残った者だけが宗門の核心となるのだ。
そして天冥宗の功法は強奪的なものだ。
相手の斗気を吸収する際には血肉も必要とする。
禁地から生還した者はみな血塗れの体で現れる。
未だにその闇の中に埋もれている師兄弟たちの斗気と血肉が、勝利者の養分となるのである。
易塵はこの代では唯一無二の生存者だった。
そして各地を征伐し戦い続けた結果、彼の手に負った強者が数え切れないほどいる。
その実力は殺戮の中で急速に成長し、今や三十歳前後で斗宗(とうそう)の頂点に近づきつつあり、さらに半歩足りないところで斗尊(とうそん)への階段を踏みかけている。
魂殿(こんてん)が不気味な存在であるならば、天冥宗は真っ赤な血塗られた組織だ。
この世では弱肉強食の法則が絶対だが、それを極限まで拡大したのが天冥宗だった。
そしてその勢いを見れば、この残酷な選抜方法もまた有効なのかもしれない。
当然、天冥宗の血肉を食らうことで己が力を増すという暴虐な功法は確かに凄まじいものだが、その代償として全ての頂点に達した者は例外なく反逆の苦しみで死んでいく。
つまりこの術は生命力を搾取し一時的な強大さを得るための触媒であり、輝かしい瞬間だけが残る。
おそらく天冥宗の歴代宗主もそのような思いだったのだろう。
「丘長老、これは辰伯の家事です。
子を殺された復讐は報われなければなりません。
丹塔が関与するのは不適切でしょう」
周囲のささやき声に動じることなく易塵は丘陵を見据えながら笑みを浮かべた。
「老臣は以前から申しておった通り、辰閑を殺したのは蕭炎ではなく慕骨老人です。
貴方達が間違えた標的を選んだのです」
「もし我が子が重傷を負わせられていなければ、彼らも慕骨の手に逃れられたでしょう。
無論、この件に関与しないわけにはいかない。
天冥宗はこれ以上黙認できません」
辰天南の鋭い目つきと冷たい声調は毒蛇のように迫っていた。
「貴方は丹塔を脅かすつもりですか?」
「嘆かわしいことですね丘長老、近年では魂殿と対立する丹塔に対して当宗は中立を保ち続けています。
もし問題が解決されない場合、暗黙の仲間たちを相手に引きずり込む可能性もあります。
そのような出来事は丹塔にとって決して良いものではありません」
この言葉には丘陵も一瞬色を変えた。
易塵が次代の天冥宗宗主であることはほぼ確実であり、彼の発言には重みがあったからだ。
魂殿と並ぶ大勢力である天冥宗との対立は決して軽視できない。
「そのような危険な発言は慎むべきです。
辰宗主が若輩者に手を下すというのは、外聞の上でも問題でしょう」
「老臣は若輩か否かなど関係ありません」
辰天南の冷笑が途切れる前に易塵が彼を制した。
穏やかな笑みと共に言葉が響き渡った。
「では丘長老のご希望通り、今日は強硬手段に出ません」
その瞬間丘陵の顔色が変わった。
この人物の名前は誰もが恐れおののむものだ。
もし蕭炎が応戦すれば生死を分けられるのは明らかだった。
「この男は手の込んだ罠を仕掛けたな」
内心で舌打ちしながら丘陵が声を上げようとしたその時、目の前の空間が歪んだ。
痩せた影が驚愕の視線の中でゆっくりと現れた。
軽やかな笑い声と共に言葉が広場に広がった。
「貴方がどうしてもならば、この場で丹会チャンピオンの蕭炎と試合を組むことにします。
その名高いチャンピオンは受け入れるか?」
その瞬間丘陵の顔色が再び変わった。
易塵の声は雄大な気功と共に空に響き渡り、場の雰囲気が一変したのである。
「私が受けます」
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