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第1275話 功法の威力
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漆黒の手から放たれる冷たい風を肌で感じながらも、蕭炎は一歩も引かずに冷ややかに笑った。
「単騎戦ならお前など恐れることはない老鬼めが」
掌の上で炎が急速に回転し、その拳が猛然と放たれた。
漆黒の手と衝突する瞬間、驚異的な爆発音が響き渡り、激しい気圧波が四方八方に広がった。
空間すら歪んでいく中、二人の身体が同時に震えた。
「蹬蹬!」
という足音と共に、それぞれ数歩後退した。
現在の蕭炎は天火三玄変を完全に修得し六星斗尊と渡り合える実力を備えていた。
さらに焚決も準天階級へ進化しており、無限の斗気を呼び出すことで車輪戦による消耗も恐れなかった。
「ふん、この程度ではあるまい」
一撃で互角に終わったことに森羅鬼尊は驚きを隠せないが、すぐに妖花邪君の方を見やった。
彼女は炎の嵐を全て消し去り、多少狼狈しながらも無傷だった。
六星斗尊の実力は見事に発揮されていた。
蕭炎は森羅鬼尊が後退した隙に視線を遠くに向けた。
青鱗の戦場では碧蛇三花瞳と遠古天蛇魂の協力で冥天宗の強者を圧倒していたが、他の二つの戦場は厳しい状況だった。
天妖傀は陣法で四星級まで強化されていたものの、六星斗尊である冥天宗長老との対決では劣勢に立たされていた。
痛みを感じない身体と超硬質の体躯のおかげでまだ戦えるが、相手の一撃で火花を散らし傷跡が次々と増え続けていた。
青鱗が制御する強者たちも苦戦中だった。
人数は多かったものの実力差があり、二星級の二人が必死に阻害しても花録の凄まじい攻撃力では長くもたない。
蕭炎は各戦場を素早く視界に取り込み眉根を寄せた。
「この冥天宗連中は確かに厄介だ」
前方から冷たい笑い声が響き、森羅鬼尊と妖花邪君が同時に迫ってきた。
二人の周囲には膨大な斗気が渦巻き殺気で包まれていた。
同時攻撃が始まる直前だった。
「呼……」
「ふう……」
蕭炎の顔色が平静を取り戻すと、脈管を駆け巡る激しい斗気はさらに加速し、山々を切り裂き河川を断ち切るほどの圧倒的な力覚が全身に伝わった。
「上!」
森羅鬼尊の顔色が険しくなり、冷たい声で喝破した瞬間、妖花邪君と同時に爆発的に移動し始めた。
二人の凶猛な斗気の光線は空間を引き裂き、轟音と共に蕭炎に向かって襲いかかった。
その強敵の連携攻撃に対し、蕭炎も深刻な表情で両手を握り、掌に紫褐色に混じった薄い蒼白の炎が爆発的に湧き出し、二つの炎の大手となって光線と激突した。
衝撃は天動地鳴る轟音と共に響き渡った。
「チリチリ!」
空を覆う余波が広がり、空間そのものが歪み虚幻の姿に変容し、遠目には森上に浮かぶ蜃気楼のように見えた。
「九幽冥手!」
「邪風斬!」
森羅鬼尊と妖花邪君は連続して凄まじい攻撃を放ち続けた。
明らかに人数の優位性で蕭炎を消耗させようとする様子だった。
「焰分噬浪尺!」
「開山印!」
その猛攻に対し、蕭炎も険しい表情で次々と強力な術を繰り出した。
二人の攻撃と激しく衝突する度に、空は無数の光の花火のように炸裂した。
周囲百里にもその狂暴なエネルギーが響き渡った。
越すほど戦意が昂る蕭炎を見て、森羅鬼尊の眉間はますます険しさを増していた。
長時間の戦闘による斗気消費は甚大だが、相手の衰えの兆候は一切なく、むしろ精神がさらに高揚しているように見えた。
「妖花!」
深呼吸して森羅鬼尊が猛声で叫ぶと、妖花邪君も頷きながら気勢を変えて殺伐の気魄を体に宿らせた。
その殺意は蕭炎にも伝わった。
「老夫は貴様の抗打力を見極めよう!」
森羅鬼尊が鋭く目を開け、喝破した。
「天冥修羅手!」
その声と共に二人から発せられた殺伐の霧気が集まり、巨大な黒い巨手を形成した。
百メートルにも及ぶその手は、蕭炎に掴みかかった。
「うっ……」
巨手の上には、森羅鬼尊と妖花邪君の意志で生じた殺伐が渦巻いていた。
この一撃があれば、相手の精神を粉砕するはずだった。
「天冥修羅手……」
その巨大な掌を前に、蕭炎は冷笑いを浮かべた。
体が震えると同時に、同じ殺伐の気魄が体内から爆発的に湧き上がり、瞬間で森羅鬼尊と妖花邪君の驚愕の視線の中で、黒く巨大な手が形作られ飛び出した。
「ドン!」
衝突は激しい音を立てず、低く沈んだ重い音だけが響いた。
殺伐の気魄が四方八方に拡散し、幽冥鬼尊と妖花邪君の呼吸もわずかに荒くなり始めた。
轟然とぶつかり合いながら徐々に消滅していく中で、三人の顔色は次第に蒼白になっていった。
「お前も天冥宗の鎮宗絶学の一つである天冥修羅手を使えるのか?」
森羅鬼尊が信じられない目線を向けた。
彼が使った術と同源のものだったからだ。
その喝破には答えず、蕭炎は静かに笑みを浮かべた。
「これは私がかつて天冥宗の易塵から得たものだ。
よく練習していたが、初めて使うのは今回で、結果は悪くなかったようだ」
「彼を緩めさせる機会を与えるな!相当な消耗をしているぞ!」
妖花邪君も険しい表情で言った。
森羅鬼尊が頷くと同時に、蕭炎の顔に奇妙な笑みが浮かんだ。
その瞬間、天地のエネルギーが沸騰し始めた。
実体化したようなエネルギーが彼の体内へ次々と流れ込み、彼の蒼白だった顔色は徐々に回復していく。
「これは……天階級の功法か?」
二人は呆然と見つめた。
そのエネルギーを奪う行為は伝説の天階級術だけが可能だ。
「我々が何度攻撃しても彼に大きなダメージを与えられないのはそのためだ。
この男は天階級の術を持つのだ」
森羅鬼尊が顔を引き攣らせた。
「天階級の術があれば、蕭炎の斗気は尽きることはない。
我々もいずれは限界を迎える」
その驚愕の中で、蕭炎の目がゆっくりと開いた。
体内に充実した斗気を感じて彼は笑みを浮かべ、「再来?」
と軽口を叩いた。
「萧炎、まだ喜ぶのは早いぞ。
お前に関心を持つ者は天冥宗だけではない」
森羅鬼尊が険しい表情で言った。
「この子が逃げ出す前に動くべきだ」
その言葉の直後、空に空間の歪みが生じた。
九天尊の声が響き、「薬塵から与えられた空間玉簡を懸念して、私はここで空間を封鎖した」と笑った。
蕭炎は心臓が一拍子跳ねるような衝撃を受けた。
「九天尊……お前までか…………」
「単騎戦ならお前など恐れることはない老鬼めが」
掌の上で炎が急速に回転し、その拳が猛然と放たれた。
漆黒の手と衝突する瞬間、驚異的な爆発音が響き渡り、激しい気圧波が四方八方に広がった。
空間すら歪んでいく中、二人の身体が同時に震えた。
「蹬蹬!」
という足音と共に、それぞれ数歩後退した。
現在の蕭炎は天火三玄変を完全に修得し六星斗尊と渡り合える実力を備えていた。
さらに焚決も準天階級へ進化しており、無限の斗気を呼び出すことで車輪戦による消耗も恐れなかった。
「ふん、この程度ではあるまい」
一撃で互角に終わったことに森羅鬼尊は驚きを隠せないが、すぐに妖花邪君の方を見やった。
彼女は炎の嵐を全て消し去り、多少狼狈しながらも無傷だった。
六星斗尊の実力は見事に発揮されていた。
蕭炎は森羅鬼尊が後退した隙に視線を遠くに向けた。
青鱗の戦場では碧蛇三花瞳と遠古天蛇魂の協力で冥天宗の強者を圧倒していたが、他の二つの戦場は厳しい状況だった。
天妖傀は陣法で四星級まで強化されていたものの、六星斗尊である冥天宗長老との対決では劣勢に立たされていた。
痛みを感じない身体と超硬質の体躯のおかげでまだ戦えるが、相手の一撃で火花を散らし傷跡が次々と増え続けていた。
青鱗が制御する強者たちも苦戦中だった。
人数は多かったものの実力差があり、二星級の二人が必死に阻害しても花録の凄まじい攻撃力では長くもたない。
蕭炎は各戦場を素早く視界に取り込み眉根を寄せた。
「この冥天宗連中は確かに厄介だ」
前方から冷たい笑い声が響き、森羅鬼尊と妖花邪君が同時に迫ってきた。
二人の周囲には膨大な斗気が渦巻き殺気で包まれていた。
同時攻撃が始まる直前だった。
「呼……」
「ふう……」
蕭炎の顔色が平静を取り戻すと、脈管を駆け巡る激しい斗気はさらに加速し、山々を切り裂き河川を断ち切るほどの圧倒的な力覚が全身に伝わった。
「上!」
森羅鬼尊の顔色が険しくなり、冷たい声で喝破した瞬間、妖花邪君と同時に爆発的に移動し始めた。
二人の凶猛な斗気の光線は空間を引き裂き、轟音と共に蕭炎に向かって襲いかかった。
その強敵の連携攻撃に対し、蕭炎も深刻な表情で両手を握り、掌に紫褐色に混じった薄い蒼白の炎が爆発的に湧き出し、二つの炎の大手となって光線と激突した。
衝撃は天動地鳴る轟音と共に響き渡った。
「チリチリ!」
空を覆う余波が広がり、空間そのものが歪み虚幻の姿に変容し、遠目には森上に浮かぶ蜃気楼のように見えた。
「九幽冥手!」
「邪風斬!」
森羅鬼尊と妖花邪君は連続して凄まじい攻撃を放ち続けた。
明らかに人数の優位性で蕭炎を消耗させようとする様子だった。
「焰分噬浪尺!」
「開山印!」
その猛攻に対し、蕭炎も険しい表情で次々と強力な術を繰り出した。
二人の攻撃と激しく衝突する度に、空は無数の光の花火のように炸裂した。
周囲百里にもその狂暴なエネルギーが響き渡った。
越すほど戦意が昂る蕭炎を見て、森羅鬼尊の眉間はますます険しさを増していた。
長時間の戦闘による斗気消費は甚大だが、相手の衰えの兆候は一切なく、むしろ精神がさらに高揚しているように見えた。
「妖花!」
深呼吸して森羅鬼尊が猛声で叫ぶと、妖花邪君も頷きながら気勢を変えて殺伐の気魄を体に宿らせた。
その殺意は蕭炎にも伝わった。
「老夫は貴様の抗打力を見極めよう!」
森羅鬼尊が鋭く目を開け、喝破した。
「天冥修羅手!」
その声と共に二人から発せられた殺伐の霧気が集まり、巨大な黒い巨手を形成した。
百メートルにも及ぶその手は、蕭炎に掴みかかった。
「うっ……」
巨手の上には、森羅鬼尊と妖花邪君の意志で生じた殺伐が渦巻いていた。
この一撃があれば、相手の精神を粉砕するはずだった。
「天冥修羅手……」
その巨大な掌を前に、蕭炎は冷笑いを浮かべた。
体が震えると同時に、同じ殺伐の気魄が体内から爆発的に湧き上がり、瞬間で森羅鬼尊と妖花邪君の驚愕の視線の中で、黒く巨大な手が形作られ飛び出した。
「ドン!」
衝突は激しい音を立てず、低く沈んだ重い音だけが響いた。
殺伐の気魄が四方八方に拡散し、幽冥鬼尊と妖花邪君の呼吸もわずかに荒くなり始めた。
轟然とぶつかり合いながら徐々に消滅していく中で、三人の顔色は次第に蒼白になっていった。
「お前も天冥宗の鎮宗絶学の一つである天冥修羅手を使えるのか?」
森羅鬼尊が信じられない目線を向けた。
彼が使った術と同源のものだったからだ。
その喝破には答えず、蕭炎は静かに笑みを浮かべた。
「これは私がかつて天冥宗の易塵から得たものだ。
よく練習していたが、初めて使うのは今回で、結果は悪くなかったようだ」
「彼を緩めさせる機会を与えるな!相当な消耗をしているぞ!」
妖花邪君も険しい表情で言った。
森羅鬼尊が頷くと同時に、蕭炎の顔に奇妙な笑みが浮かんだ。
その瞬間、天地のエネルギーが沸騰し始めた。
実体化したようなエネルギーが彼の体内へ次々と流れ込み、彼の蒼白だった顔色は徐々に回復していく。
「これは……天階級の功法か?」
二人は呆然と見つめた。
そのエネルギーを奪う行為は伝説の天階級術だけが可能だ。
「我々が何度攻撃しても彼に大きなダメージを与えられないのはそのためだ。
この男は天階級の術を持つのだ」
森羅鬼尊が顔を引き攣らせた。
「天階級の術があれば、蕭炎の斗気は尽きることはない。
我々もいずれは限界を迎える」
その驚愕の中で、蕭炎の目がゆっくりと開いた。
体内に充実した斗気を感じて彼は笑みを浮かべ、「再来?」
と軽口を叩いた。
「萧炎、まだ喜ぶのは早いぞ。
お前に関心を持つ者は天冥宗だけではない」
森羅鬼尊が険しい表情で言った。
「この子が逃げ出す前に動くべきだ」
その言葉の直後、空に空間の歪みが生じた。
九天尊の声が響き、「薬塵から与えられた空間玉簡を懸念して、私はここで空間を封鎖した」と笑った。
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