闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1322話 6星へ昇格

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漆黒の光輪が車炎の掌から急速に広がり、近づく魂厉と衝突した。

その速さは瞬きすら許さず、彼の瞳孔を覆う闇の渦が次第に縮小していく。

「この子は凄まじい反応だ」

光輪が拡大する様子を見つめる魂厉の目に驚愕の色が浮かんだ。

蕭炎の意識が戻ったとしてもその攻撃を防ぐことはできず、彼は目覚めた直後に即座にこの強力な術を発動させたことに気付いた。

光輪が魂厉の身体に触れた瞬間、彼の体表から濃厚な黒霧の斗気(ドウキ)が溢れ出した。

摘星老鬼との戦いとは異なり、その闇は単なる消滅ではなく、明らかに魂厲の方が摘星老鬼を遥かに超える実力を持つことを示していた。

「ふん」

光輪が阻まれたことに気付いた蕭炎の目が冷たくなった。

体内の斗気(ドウキ)を全て光輪へ注ぎ込むと、光輪はさらに強大化していく。

「チラチラ」

魂厲の袖が裂け、腕から血滴が滲み出てきた。

その赤い雨は地面に一直線に落ちていく。

光輪から発せられる恐怖の引きちぎり力を感じ取った魂厲の顔色がわずかに変化した。

彼は光輪内の暴走するエネルギーがさらに増大し続けることを悟り、自身さえも重大な傷を負う可能性があると直感した。

「魂爆(コンブ)」

その瞬間、魂厲の目に凶悪な光が宿った。

掌から漆黒の霧が噴出し、凄惨な叫び声と共に無数の強力な霊体(リョウタイ)が自爆した。

その反動で光輪の拡大を阻止すると同時に、魂厲は急激に後退した。

「やはり魂族の高手だ」

蕭炎が再び掌を叩くと、阻まれていた光輪がまた広がり、急退する魂厲へと瞬時に追いついた。

衝突の音と共に魂厲の内臓が乱れ、鮮血が噴き出し、彼は糸切れた人形のように遠くに飛ばされた。

「ならば命を取ってやろう」

空を見上げた薫(くん)の目に驚愕が浮かんだ。

しかし蕭炎が無事だと確認すると安堵し、傷ついた魂厲を目で追うと殺意が湧き上がる。

彼女は金色の炎を纏った槍を握り、光速でその頭部へ突進した。



薰儿のこの一手は極めて凶悪だった。

現在の魂厉は力尽きた時であり、空中に位置しているため避ける術がなく、ただ金色の槍がその頭部へと鋭く突き込まれるのを呆然と見つめるしかなかった。

「バキッ!」

しかし金色の槍が魂厉の頭部に直撃する寸前、突然強烈な風圧が襲い掛かり、魂厉の身体は軌道を変えた。

その結果、本来槍を受け止めるはずだった首ではなく肩へと変更された。

「プッ!」

金色の槍は魂厉の肩を貫き、その凄まじい力で彼の体を地面に打ち付けた。

着地した場所から百丈先までが半メートルも陥没するほどの衝撃だった。

恐ろしい風圧が広がる中、黒い影が鬼のように近づいてくる。

血まみれの魂厉を見つめながら、魂崖は手を刀形にし、左腕を断ち切った。

その部位は金色の炎で完全に焦げており、残していれば灰になるだけだった。

しかし魂厉は頑丈にも、腕が切断されても一言も発さなかった。

「蕭炎…この借りは返すぞ」この恨みは決して終わらないと叫びながら、魂崖は息絶え寸前の魂厉を抱き上げた。

その目は冷たく、萧炎と薰兒を見据えた。

「逃がすか?」

薰兒が冷笑し、動く前に黒い霧が彼女に襲いかかった。

無数の顔面恐怖な幽霊が飛び出し、距離開き十丈で爆発した。

その凄まじい衝撃波は薰兒を眉根を寄せさせたが、金色の炎で霧を焼き尽くすと、魂崖らの姿は既に光幕の向こう側へと消えていた。

「逃げたな」

薰兒が眉をひそめると同時に、蕭炎の方を見やった。

彼は顔色が少し蒼白だった。

「大丈夫だ。

先ほど突破したばかりで、まだ体中の斗気が安定していないから反動が出ただけだ。

休んでいればすぐ回復する」

「あの二人にやられたんだろ?次会ったら絶対に殺す!」

薰兒が憤りを込めて叫ぶと、蕭炎は頷きながらも目元に殺意を浮かべた。

もし彼が早く目覚めていなければ、そして天階級の術を使わなければ、あの男の手に掛かっていたかもしれない。



「今後は気をつけていよう、この連中も手強い相手だ」

蕭炎が心の中でそう思った時、彼の修行期間中の警戒心低下が露呈した事にようやく気づいた。

天墓の中では想像していたほど平和ではないのだ。

「炎哥哥、まずは休んでください。

回復したらすぐに二段階へ向かいましょう。

あの魂厲を重傷にしたから、彼らの実力は落ちているはずです。

再会すれば私が確実に魂崖を倒せるでしょう」

薰が冷たい表情で言った。

明らかに今回の出来事は彼女を真剣に怒らせていた。

「うん」

蕭炎が頷いた。

弱肉強食の原則から逃げないつもりだ。

特にこの落水狗たちは魂殿という害悪集団なのだから、許すわけにはいかない。

呼吸を整えると彼は再び瞑目した。

その顔色の蒼白さが急速に消えていく様子は、天墓のエネルギー核による回復効果を物語っていた。

薰も徐々に立ち上がり、前回の教訓から炎周辺一メートル離れないように注意していた。

彼女の体内で波状の斗気が湧き起こり、誰かが感知範囲に入れば雷雨のような猛攻撃を受けるだろう。

約一時間後の目覚めでは、漆黒の瞳孔に実体化したような斗気が渦巻いていた。

彼は手を動かすだけで空間に細かな痕跡を作り出すほどまでに成長していた。

「六段の斗尊……」

体内の大海のような斗気を感じながら、炎が満足そうに微笑んだ。

確かに四ヶ月間の修行は効果的だったが、七段への突破にはどれほどの時間が必要か分からない。

「おめでとうございます炎哥哥」

薰が安堵の表情を浮かべて笑った。

彼女は現在の炎の実力向上を確信していた。

「まだ六段だよ。

古妖や魂崖と比べれば見劣りする」

体中の骨の軋む音と共に炎が立ち上がると、彼はエネルギー光幕を見つめて言った。

「この天墓二段階も見てみようか」

巨石に足を踏み出した瞬間、炎の後ろから薰が笑顔で追いかけてきた。



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