闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1343話 最後の試練

「あと五日ほどで三年の歳月が天墓の旅に幕を下ろす。

ようやく終わるんだな」

蕭炎の顔に沈思黙考の色を見た薰えは微笑んで言った。

「そうか……」と萧炎もため息をついた。

外界では半年しか経ていないのに、彼らは実質三年間の厳しい修行を積んできたのだ。

苦しい訓練にもかかわらず効果は予想外に良かった。

当時天墓に入ったばかりの蕭炎は六星斗尊の域に達していたが、今は八星斗尊の頂点にまで到達し、種族紋や様々な術を駆使すれば九星斗尊と戦えるほどになった。

三年という期間で彼は驚異的な進化を遂げていたのだ。

「ふん……そろそろ帰る時間だな。

この歳月も早いものだ」

一側の蕭玄が笑みを浮かべた。

その声には寂寥感と落寞が混ざっていた。

天墓は彼を別の形で生きていくことを許していたが、同時に無限の孤独を与えていた。

彼らはこの人気のない世界に囚われた囚人同然だったのだ。

「先祖……あなたもずっとこの姿で残るのですか?」

しばらく黙っていた蕭炎が問いかけると、蕭玄はため息をつきながら頷いた。

「これは別の形での生存の代償さ。

天墓から出ればたちまち消滅してしまう。

だからここにずっと留まるしかないんだよ」

萧玄の言葉に含まれる悲しみを聞き取った蕭炎の胸中は複雑だった。

たった三年でさえ耐えられないのに、蕭玄がその何百倍も長くこの地にいるのだ……

「他に完全な再生の方法はないのですか?」

彼は静かに尋ねた。

「ふーん……煉薬師なら死んだ人間を蘇らせる高級丹薬もあるさ。

だが私はすでに何千年も前の魂で、それさえも不完全なものなんだよ」

蕭玄は笑いながら肩を叩いた。

「小僧、まだ帝境に達していない今の君には無理だ。

そのくらいの実力になれば何か手が回るかもしれないけど……今は無駄なことさ」

「私は孤独を耐え、ここに残っているのは……ただ蕭族の血脈を継承するためなんだよ。

自分の死骸を天墓に埋めるわけにはいかないんだ」

蕭炎は深く息を吸い込み感情を抑え込んだ。

今の彼にはその言葉が真実だった。

「先祖さん、安心してください。

この天墓には必ずまた来ます。

次回訪れた時には帝境まで突破してきます!」

彼は静かに宣言した。

帝境への到達は極めて困難だが、どんな代償を払ってでも全力で挑むつもりだ。



しょうえんは、しょげんの真剣な表情を見つめながら、手を合わせて礼を述べた。

その瞬間、しょげんの掌が突然動いた。

しょうえんの納戒が軋み、巴掌大の光の塊が浮かび上がり、しょげんの前にとどまった。

「これは……」

その光の中に、拳サイズの玉の幼虫が浮遊していた。

その周囲から不思議な気配が滲み出ている。

「遠古の食虫族の王虫だよ。

この王虫は人間の半聖に匹敵する実力があるんだ。

今は休眠中だからこそ、エネルギー壁を突破できたんだろう」

しょげんは笑みを浮かべながら説明した。

「半聖級の王虫?」

その言葉にしょうえんが身震いした。

もしも当時この事実を知っていたら、絶対に触手を伸ばさなかっただろうと後悔する。

「そうなんだよ。

だからあの遠古の食虫族たちがここまで暴走していたんだ。

しょうえん兄貴が王虫を持ち出したからだ」

薰は玉の幼虫を見つめて笑った。

「もしもこの王虫を外に出したなら、目覚めたら無音で体の中に侵入し、あなたの斗気を暗中灯火のように吸い取るんだ。

それだけじゃなく、半聖級以上の強者がなければ体内から取り出すことはできない」

しょげんが笑って続けた。

「あーっ! 先祖様の鋭い眼力に感謝だよ。

もしもこの毒虫王を外に出してたら、間違いなく殺されていただろう」

しょうえんは冷や汗をかいた。

斗気消失体験は二度と繰り返したくない。

「さて、この王虫は遠古の蟲皇衣を作るのに最適な素材なんだよ。

こう見えてね、これは特殊な防御術で、甲冑のように身体に覆い、半聖級の攻撃を受けても破壊されないはずだ」

しょげんが説明した。

「ほーっ! お前の龍凰古甲と合わせたら、斗聖級の一撃でも生き延びられるかもしれないね」

しょうえんの目が輝いた。

確かにその可能性は十分に考えられた。

「安心してな。

この作製は私がやるからさ。

君が出発する前に完成させておくよ。

今はもう一つ重要なことをやってもらわないと」

しょげんが笑った。

「何だよ?」

しょうえんが驚いたように尋ねた。

「当然、魂族の二人を片付けることさ。

あの大敗は忘れちゃいけないんだから。

蕭族の人間はそんなに器用じゃないんだよ」

しょげんが淡々と続けた。

「魂崖と魂厉だな…… あいつらのことなど忘れていないさ。

ただ今は彼らの隠れ場所さえ分からないんだ」

炎の力が急激に増大した今や、再び魂崖二人と対面しても天妖傀を召喚しなくとも容易に片付けられる。

この天墓は生き物たちだけのもので、至る所に危険が潜んでいる。

彼らがここで死んだとしても誰にも知られることはないだろう。

まさに殺人滅人(せっにんめつじん)の最適な場所だ。

「彼らがこの天墓にいれば、私の感知から外れることはない」蕭玄は淡々と笑みを浮かべ、手を軽く振ると空間が波打った。

その隙間に広がる裂け目から百里先の彼らへと瞬時に移動できるのだ。

「ここを通れば彼らの近くに現れる。

それ以降はお任せだ。

口出しなどするつもりはない…問題ないか?」

炎は頷きもせずに冷ややかに笑った。

何も言わずにその空間裂け目へと足を踏み入れた。

その背後で薰(くん)も同じように追従した。

二人の姿が消えた後、蕭玄もまた笑みを浮かべた。

「これこそが炎が天墓を出る直前の最後の試練だ」

広大な大地に漂う薄いエネルギー霧。

時折現れるエネルギー体は鬼のように静かに移動する。

乱れた岩山の間で銀色の甲冑をまとった存在が空中に座っている。

その周囲からは九星級の強力なエネルギーが溢れ出ている。

その目は下方を見やるが誰もいない。

しかし長年の直感から危険を感じていた。

しばらく様子を見て何も見つからないと、その九星級エネルギー体はほんの少し緊張を解いた瞬間——周囲の空間が凝固し黒い鎖状の光線が虚空中を駆け抜けた。

その光線は彼の身体に突き刺さり、黒い霧の中で体を引き裂く。

すると虚無空間から黒い影が一瞬で現れた。

「これらのエネルギー体は大きな力を抱えているが戦闘力はない」

その影は九星級の核を納めた後顔を上げた。

蒼白で陰気な若者の顔——それが魂崖だった。

「天墓の奥深くには強いエネルギー体が多いが、あの男はあまりにも恐ろしい。

遠ざかっておいた方がいい」次の影も現れた。

その傷だらけの顔は魂厉だ。

「ふん、この天墓にまで蕭族の強者がいるとは驚きだ。

炎という奴は運が良すぎる。

すぐに出よう。

出てから空間玉簡で移動しないと古族に追われてしまう。

炎は……」魂崖は険しい表情で言った。

「うむ、ここでは炎に反撃されたのだから我らも負けた気分だ」魂厉は頷きながら冷たい殺意を湛えた。

「あの男が星陨閣(せいうんかく)と共に滅ぼされる日が楽しみだ」

しかし魂崖が頷いたその瞬間、空間に奇妙な波動が広がり軽い笑い声が響いた。

二人の影が虚空中を滑り、魂崖と魂厉の険しい視線を受けながら微笑んで現れた。



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