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第1355話 大戦始
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その轟々と天地を震わせるような傲慢な笑い声に、彩鳞は細長い目を開き冷めた視線を向けた。
蓮の足で一歩前に進み、遠くの空に浮かぶ数人の姿を見やる。
現在の状況にも関わらず、その声色には半分も揺らぎがなかった。
炎盟を統率する蛇人族女王である彼女は、劣勢という概念自体を恐れることなどなかった。
『炎盟には戦場で死んだ兵士はあるが、逃げた逃兵はいない』
金色の髪を持つ中年の男が空高く立つと、手にした黄金の大剣から冷たい光が反射する。
彩鳞の言葉を聞いた彼は怒りもせず、さらに笑い声を上げた。
その目の中の情熱はますます増すばかりだ。
この烈しい性質を持つ女こそが、彼の好みだった。
西北大陸では炎盟の彩鳞という冷艶の名が知られていた。
もし今の大戦で彼女を捕らえ、禁商に仕立て上げることができれば、どんな大規模な戦いでも構わない。
この世には、一喜一憂だけで戦争を引き起こすような女性もいるものだ。
彩鳞こそその一人だった。
「メデューサよ、貴方の炎盟は抵抗しているだけだ。
貴方たちの力では我々と比べ物にならない。
もし貴方が我が獅冥宗に降伏し、蕭家全員を引き渡せば、私は獅冥宗主として約束する。
炎盟一人も傷つけることはない」
その笑い声に対して彩鳞は彼を見やるだけだった。
冷たい命令が口から溢れた。
「はい!」
その言葉に周囲から低く応答の声が響き、要塞外の空気が震えた。
巨大なエネルギー罩がゆっくりと浮かび上がり、両陣営の間を隔てるように立ちはじめた。
「弓弩手準備!」
彩鳞が再び冷たい命令を出すと、ギシギシという音と共に数台の大型弓弩車が展開された。
一人で七・八丈にもなるそのサイズは圧倒的だった。
二丈を超える長さの鋭い矢先が輝く光を放ち、これは炎盟が特殊素材で鍛えたものだ。
斗霊級の戦士たちが協力して扱うこの弓弩車は、もし無防備であれば斗皇級でも貫通させるほどの威力を持っていた。
彼女の言葉に対して返事はなく、代わりにそのようなものが現れたことに金髪中年の男は眉をひそめた。
「獅天よ、もう黙って待て。
貴方があの女を好むなら要塞が陥落したら捕らえてやる。
それが原因で蕭家の人間が逃げ出すようなら、その責任は貴方の肩にかかってくる」
金髪中年の男が眉をひそめる直前、後ろから冷たい声が響いた。
「獅天よ、貴方はこの戦いに勝つために必要なのは何だ? 我々魂殿の九天尊は必ずや貴方の力を借りる」
その言葉に獅天と呼ばれる中年の男は顔を引き攣らせた。
後ろを見ると黒衣の老人が空中で立っていた。
周囲には幽霊のような存在が悲鳴を上げながら回転している。
その冷酷な表情はかつて星陨閣に進撃した魂殿九天尊のものだった。
「九天尊は多慮したと言えるでしょう。
現在の炎盟は瓮の中の蛇です。
彼らの力など、私たちにとっては些細なものです。
なぜ蕭家の人間が逃げたとおっしゃるのですか?」
獅天は笑みを浮かべて答えた。
「失敗があったなら、その結果はご存知でしょう。
」九天尊は彼を見やると、少々嫌悪感を露わにした。
「これらの蛮族の連中は六星斗尊程度の実力しかない。
中州ではありふれたものだというのに、自慢気にしているとは何事か」
獅天が干笑いを漏らすと、九天尊の不快さを感じ取ったようだ。
彼は無駄な言葉を省き、要塞上に広がる厚い防御罩を見上げた。
その瞬間、掌を猛然と上げて大喝した。
「メデューサ!最後の機会も捨て去ったか?全軍進撃!」
「斬りつけろ!」
獅天の叫びと共に、要塞外の大軍が驚天地の殺伐の声を上げた。
大地が激しく震え、無限に続く大群は潮のように要塞へ突進した。
その殺伐の気配を感じ取った要塞上の全員が顔色を変え、武器を握りしめた。
「シュウ!」
巨大な弩矢が烏雲のごとく爆発的に飛び出し、獅冥宗の大軍の中に降り注いだ。
即座に悲惨な叫び声が響き渡った。
城壁の上で彩鱗は、無数の弩矢で刺し殺された大軍を見やりながら、目を動かさなかった。
彼女は空を見上げた。
百人近くの空中戦士の後ろには、翼を羽ばたく斗王級や斗皇級が連なり、これが最も恐るべき存在だった。
「攻撃!エネルギー罩を破け!」
獅天が下方で要塞に近づかせることもできず、下位軍団はただの犠牲品だ。
真正な炎盟を震撼させる精鋭は空上の強者たちだった。
彼の手が振ると同時に、空中戦士たちは半円形に配置し、要塞へ急速接近した。
「轟!」
無数の斗気匹練が天を駆け抜け、エネルギー罩に爆発的な衝撃を与えた。
「ドン!」
エネルギー罩は波紋のようにゆらめいた。
「弓弩手!目標変更。
斗王級以上の強者へ反撃しエネルギー罩を固めよ」
彩鱗の冷静な指示が響くと、特製の大弩矢は瞬時に転換した。
「シュウ!」
烏雲のような弩矢群が空に広がり、獅冥宗の空中戦士たちに向かって猛撃した。
「アッ!」
この圧倒的な攻勢の下、強者たちの腕もまた弱くはなかったが、巨弩で体を貫かれた者は多く、彼らの身体は断線した風船のように次々と地面に落ちた。
両者の戦士は血みどろになり、雄大な斗気の光線が天高く駆け上がり、互いに激しく衝突し合う。
「ドン!」
エネルギー防壁の上では無数の攻撃が降り注ぎ、その波紋はますます激しくなり続けた。
しかし獅冥宗の強者たちの損失速度は炎盟より遥かに速かった。
「消耗尽きた……」
空を見上げると、獅天は笑みを浮かべながら奇妙な手勢を作り出した。
獅冥宗が西北大陸の大半を支配できたのは、単なる斗王や斗皇ではなく、むしろ斗宗や斗尊級の強者がいるからだった。
その手勢が打たれた瞬間、後方の黒い霧が裂け、約百人の影がゆっくりと現れた。
彼らの前には二三十人の凄まじい気配があり、周囲の空気が震え始めた。
城壁上の彩鳞らは顔色を変えた。
これらこそが戦場を左右する真の強者だったのだ。
「ゴゴ!」
百人の影が虚空中を進み、迎撃してくる巨大な矢は彼らに近づくと爆発した。
「ヤン!」
要塞まで数百丈残るところで彼らは止まり、雄々しく叫んだ。
その声と共に彼らの体から放出される無数の斗気が空高く集まり、千丈にも及ぶ巨獣を形成した。
鼻息で数十丈の白い霧を噴き出す巨獣が虚空中を進み、要塞に覆うエネルギー防壁に向かって猛撃を加えた。
要塞からの反撃はあったものの、その巨獣を阻むことはできなかった。
巨獣は空を駆け抜け、炎盟の戦士たちの白い顔を見つめながら、エネルギー防壁に激突した。
その衝撃が響くと同時に要塞全体が激しく揺らぎ、波紋のようなエネルギーの渦が拡散し始めた。
「ドン!」
その瞬間、空を覆うエネルギー防壁は爆発して砕けた。
その光景を見た彩鳞は冷たく言い放ち、城壁に立つ全ての炎盟戦士たちの目に血色が浮かんだ。
彼らの声は低く唸りながら響き渡った。
蓮の足で一歩前に進み、遠くの空に浮かぶ数人の姿を見やる。
現在の状況にも関わらず、その声色には半分も揺らぎがなかった。
炎盟を統率する蛇人族女王である彼女は、劣勢という概念自体を恐れることなどなかった。
『炎盟には戦場で死んだ兵士はあるが、逃げた逃兵はいない』
金色の髪を持つ中年の男が空高く立つと、手にした黄金の大剣から冷たい光が反射する。
彩鳞の言葉を聞いた彼は怒りもせず、さらに笑い声を上げた。
その目の中の情熱はますます増すばかりだ。
この烈しい性質を持つ女こそが、彼の好みだった。
西北大陸では炎盟の彩鳞という冷艶の名が知られていた。
もし今の大戦で彼女を捕らえ、禁商に仕立て上げることができれば、どんな大規模な戦いでも構わない。
この世には、一喜一憂だけで戦争を引き起こすような女性もいるものだ。
彩鳞こそその一人だった。
「メデューサよ、貴方の炎盟は抵抗しているだけだ。
貴方たちの力では我々と比べ物にならない。
もし貴方が我が獅冥宗に降伏し、蕭家全員を引き渡せば、私は獅冥宗主として約束する。
炎盟一人も傷つけることはない」
その笑い声に対して彩鳞は彼を見やるだけだった。
冷たい命令が口から溢れた。
「はい!」
その言葉に周囲から低く応答の声が響き、要塞外の空気が震えた。
巨大なエネルギー罩がゆっくりと浮かび上がり、両陣営の間を隔てるように立ちはじめた。
「弓弩手準備!」
彩鳞が再び冷たい命令を出すと、ギシギシという音と共に数台の大型弓弩車が展開された。
一人で七・八丈にもなるそのサイズは圧倒的だった。
二丈を超える長さの鋭い矢先が輝く光を放ち、これは炎盟が特殊素材で鍛えたものだ。
斗霊級の戦士たちが協力して扱うこの弓弩車は、もし無防備であれば斗皇級でも貫通させるほどの威力を持っていた。
彼女の言葉に対して返事はなく、代わりにそのようなものが現れたことに金髪中年の男は眉をひそめた。
「獅天よ、もう黙って待て。
貴方があの女を好むなら要塞が陥落したら捕らえてやる。
それが原因で蕭家の人間が逃げ出すようなら、その責任は貴方の肩にかかってくる」
金髪中年の男が眉をひそめる直前、後ろから冷たい声が響いた。
「獅天よ、貴方はこの戦いに勝つために必要なのは何だ? 我々魂殿の九天尊は必ずや貴方の力を借りる」
その言葉に獅天と呼ばれる中年の男は顔を引き攣らせた。
後ろを見ると黒衣の老人が空中で立っていた。
周囲には幽霊のような存在が悲鳴を上げながら回転している。
その冷酷な表情はかつて星陨閣に進撃した魂殿九天尊のものだった。
「九天尊は多慮したと言えるでしょう。
現在の炎盟は瓮の中の蛇です。
彼らの力など、私たちにとっては些細なものです。
なぜ蕭家の人間が逃げたとおっしゃるのですか?」
獅天は笑みを浮かべて答えた。
「失敗があったなら、その結果はご存知でしょう。
」九天尊は彼を見やると、少々嫌悪感を露わにした。
「これらの蛮族の連中は六星斗尊程度の実力しかない。
中州ではありふれたものだというのに、自慢気にしているとは何事か」
獅天が干笑いを漏らすと、九天尊の不快さを感じ取ったようだ。
彼は無駄な言葉を省き、要塞上に広がる厚い防御罩を見上げた。
その瞬間、掌を猛然と上げて大喝した。
「メデューサ!最後の機会も捨て去ったか?全軍進撃!」
「斬りつけろ!」
獅天の叫びと共に、要塞外の大軍が驚天地の殺伐の声を上げた。
大地が激しく震え、無限に続く大群は潮のように要塞へ突進した。
その殺伐の気配を感じ取った要塞上の全員が顔色を変え、武器を握りしめた。
「シュウ!」
巨大な弩矢が烏雲のごとく爆発的に飛び出し、獅冥宗の大軍の中に降り注いだ。
即座に悲惨な叫び声が響き渡った。
城壁の上で彩鱗は、無数の弩矢で刺し殺された大軍を見やりながら、目を動かさなかった。
彼女は空を見上げた。
百人近くの空中戦士の後ろには、翼を羽ばたく斗王級や斗皇級が連なり、これが最も恐るべき存在だった。
「攻撃!エネルギー罩を破け!」
獅天が下方で要塞に近づかせることもできず、下位軍団はただの犠牲品だ。
真正な炎盟を震撼させる精鋭は空上の強者たちだった。
彼の手が振ると同時に、空中戦士たちは半円形に配置し、要塞へ急速接近した。
「轟!」
無数の斗気匹練が天を駆け抜け、エネルギー罩に爆発的な衝撃を与えた。
「ドン!」
エネルギー罩は波紋のようにゆらめいた。
「弓弩手!目標変更。
斗王級以上の強者へ反撃しエネルギー罩を固めよ」
彩鱗の冷静な指示が響くと、特製の大弩矢は瞬時に転換した。
「シュウ!」
烏雲のような弩矢群が空に広がり、獅冥宗の空中戦士たちに向かって猛撃した。
「アッ!」
この圧倒的な攻勢の下、強者たちの腕もまた弱くはなかったが、巨弩で体を貫かれた者は多く、彼らの身体は断線した風船のように次々と地面に落ちた。
両者の戦士は血みどろになり、雄大な斗気の光線が天高く駆け上がり、互いに激しく衝突し合う。
「ドン!」
エネルギー防壁の上では無数の攻撃が降り注ぎ、その波紋はますます激しくなり続けた。
しかし獅冥宗の強者たちの損失速度は炎盟より遥かに速かった。
「消耗尽きた……」
空を見上げると、獅天は笑みを浮かべながら奇妙な手勢を作り出した。
獅冥宗が西北大陸の大半を支配できたのは、単なる斗王や斗皇ではなく、むしろ斗宗や斗尊級の強者がいるからだった。
その手勢が打たれた瞬間、後方の黒い霧が裂け、約百人の影がゆっくりと現れた。
彼らの前には二三十人の凄まじい気配があり、周囲の空気が震え始めた。
城壁上の彩鳞らは顔色を変えた。
これらこそが戦場を左右する真の強者だったのだ。
「ゴゴ!」
百人の影が虚空中を進み、迎撃してくる巨大な矢は彼らに近づくと爆発した。
「ヤン!」
要塞まで数百丈残るところで彼らは止まり、雄々しく叫んだ。
その声と共に彼らの体から放出される無数の斗気が空高く集まり、千丈にも及ぶ巨獣を形成した。
鼻息で数十丈の白い霧を噴き出す巨獣が虚空中を進み、要塞に覆うエネルギー防壁に向かって猛撃を加えた。
要塞からの反撃はあったものの、その巨獣を阻むことはできなかった。
巨獣は空を駆け抜け、炎盟の戦士たちの白い顔を見つめながら、エネルギー防壁に激突した。
その衝撃が響くと同時に要塞全体が激しく揺らぎ、波紋のようなエネルギーの渦が拡散し始めた。
「ドン!」
その瞬間、空を覆うエネルギー防壁は爆発して砕けた。
その光景を見た彩鳞は冷たく言い放ち、城壁に立つ全ての炎盟戦士たちの目に血色が浮かんだ。
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