闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1452話 人質の脅迫

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「ははは、いいねえ、蕭炎兄弟は本当に堂々としているわね。

一人で二人を相手にしながらもあんなに早く片付けるなんて、この話が兽域に伝わったらどれだけの騒動になるでしょう」

妖瞑がまず平静を取り戻し、大笑いしながら言った。

彼の心の中では蕭炎への敬意がさらに増していた。

確かに二星斗聖後期の実力だが、その勝ち目は絶対にないわけではない。

そして彼と接するほどに、蕭炎の深遠な才能を発見したのだ。

三大龍島と東龍島で彼を選んだという事実は、蕭炎の実力を証明している。

表面的には一星斗聖後期の実力だが、その年齢を考えれば妖瞑がこれまで見た中でも類を見ない存在だ。

この異常な才能は未来への無限の可能性を秘めている。

もしも彼が弱ければ、重職に復帰した後にこのような大規模な行動に出るわけがない。

「蕭炎よ、お前が彼らを殺すなら……天妖凰族は絶対に終わらせない」

鳳凰が驚きから回復し、深く息を吸いながら言った。

彼女は険しい目つきで蕭炎を見据えた。

「我らと因縁があるからこそ、お前が彼らの前に現れたというのも不自然だわ」

その言葉に笑みが浮かんだ蕭炎は、やがて表情を引き締めながら冷たい声で言った。

「冗談は止めてくれ。

お前の手口を疑うな。

本当に頑固なら、こちらからも手を出せばいいんだ。

天妖三凰全員を始末するのも苦労しない」

鳳凰がその寒々しい目を見ると、言葉を飲み込んだ。

彼女は蕭炎のことを詳しく知らなくても、その言葉に潜む殺意を感じ取っていた。

「お前は何を望んでいるのか?」

「何も望んでいない。

ただ天妖凰族が太虚古龍一族に関与しないようにしたいだけだ」

「ふん、我々が関わらなくとも東龍島は三大龍島と抗えないわ。

三大龍王の力を合わせれば、未熟な龍凰など相手にすらならないでしょう」

蕭炎は鳳凰を見つめながら淡々と言った。

「それは貴様の問題だ。

ここには二つの選択肢がある──残るか去るか。

残れば妖瞑族長と協力して捕まえてやる。

天妖三凰全員を始末するのも簡単だ。

去れば、それから天妖凰族に伝言してもらう」



「就怕你没这个本事、鯤凰と鳳凰は軽敵で先に重創を負ったが、彼らの回復も待たず封印した。

貴方と妖螟が手を組めば、私は自爆すれば二人にも苦痛を与える」

その言葉を聞いた蕭炎が、鯤凰と鳳凰を捕らえた体勢で軽く笑う。

「ならば早々に決断せよ。

貴方が自爆するか、私が彼らの魔核を捏ねるか——どちらが早いかな?」

鳳凰は眉を吊り上げたが、すぐに冷笑を浮かべた。

「天妖三鯤の長姉とは名高いな。

だが……」掌で二人の頭頂部に触れたまま淡々と続ける。

「約束する。

天妖鯤族が虚古龍族に関わらなければ、彼らを解放してやる」

対面した鳳凰は僅かに顔色を変えた。

「九凤とこの二人は例外だ」

掌から微かな音を立てながら陰険な目で見据える蕭炎。

「信用できない? 人質として三人を残す。

貴族が虚古龍族の内乱に関われば、彼らの死骸を回収するだけだ。

だが本当に手を引けば、内乱終結後に解放する約束は守る」

「信じるかは貴方次第だ。

今や私は交渉ではなく脅迫をしている」

掌から鯤凰と鳳凰の頭頂部に微かな音が響く。

「即刻天妖鯤族に戻れ、族長には未来の族長と二位太上老中に選ぶか虚古龍族に関わるかを考えてやれ」

その言葉で鳳凰は震え始めた。

中州でも有数の存在だが、この男が本当に妖螟と共に手を組むなら……囚われた九凤を見つめる。

「人質を返せば約束を伝える」

袖を振ると空間の牢獄が崩れ、強者達は鳳凰に集まる。

九凤と鯤凰・鳳凰だけは依然として掌に握られている。



「鳳凰長老」

一干天妖凰族の長老たちは、恥辱に満ちて鳳凰の側に並んでいた。

彼らが今日人質になってしまうとは予想外だった。

「黙れ! 一群の無能野郎め!」

怒りで血沸き立つ鳳凰は喝破した。

その声に長老たちの顔は蒼白と青白を交互に変えるが、一言も反論できなかった。

「蕭炎、お前は胆大だな。

この件、我が天妖凰族は記録しておく。

彼らが少しでも傷ついたら、必ずお前に牙向けるぞ」

冷たい視線で蕭炎を見据えた鳳凰は言い放った。

彼女の胸中では忸怩たる思いがあった。

今回の虚無空間侵入作戦も、この凶星に阻まれて惨敗だ。

三名の人質を奪われたことで、帰途には多くの異様な視線が注がれるだろう。

「ふん、鳳凰長老はご安心あれ。

我が天妖凰族が約束を守らぬなら、私も彼ら三人の安全を保証するまい」

蕭炎は笑みを浮かべたが、すぐに表情を変えた。

「一いつ旦たん異変があれば、まず一人の首を送るぞ」

鳳凰の唇が**を形作ろうとした瞬間、怒りで目が爛然と輝いた。

しかし彼女はその感情を抑えて掌を虚空に振った。

空間裂けめが現れた直後、彼女の姿は既に消え去っていた。

その後ろには長老たちの群れが次々と追従する。

「妖瞑よ、滅多に人に感心しない私が今回は認めざるを得ない。

この天妖凰族、大いに恥をかいたな。

その話が兽域に広まったら、多くの者が陰で笑うだろう」

妖瞑は拍手しながら褒めちぎった。

「さて、どうする?」

妖瞑の問いかけに、蕭炎は深く息を吐きながら笑みを消した。

「東龍島へ向かうぞ。

紫研が危機にさらされているかもしれないからな」

彼の眉間には憂いが浮かんだ。

掌で空間を切り裂いた瞬間、その先に広がる虚無空間へと疾走していく。

妖瞑や小医仙、青鱗たちも後に続いた。

「紫研よ……大丈夫なのか?」



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