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第1503話 一撃滅殿
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「モ護法?」
突然の変化に場を包む緊張が一瞬で凍り付いた。
魂殿の爪牙たちは血まみれの無頭の屍体を見つめ、その鮮血が空中を散らす様子に目を奪われていた。
地面を転がる首は死後も険しい表情を保ち、見る者に背筋を凍りつかせる。
彼らは声もなく「あなたたち……一体何者ですか?ここは魂殿の領地です」と叫びたがった。
その中で明らかに地位の高い男は震える声で空高く現れた二つの影を見上げ、「なんだ、この二人は……?」
と絶叫した。
彼の恐怖を吐き出すように叫ぶその声は、周囲の緊張をさらに高める。
「魂殿の手がここまで伸びていたのか……」
空中に現れた男と女は妖火空間から飛び出した蕭炎と薰香だった。
彼らの視線は数十人の黒服の魂殿爪牙を見下ろし、漆黒の瞳孔には殺意が渦巻いていた。
蕭炎の目の中の寒さがその男を凍えさせる。
彼は体中の斗気まで固まる気がした。
莫護法という五星斗宗級の強者を簡単に斬り捨てた相手に、彼らなど容易く殺されるだろうと悟ったのだ。
「頑固な奴め……撤退だ」
その男は即座に決断し、百歩も離れずに叫んだ。
「逃げろ!」
他の連中も慌てて柳隊長らを置いて走り出した。
見ていた柳隊長たちは安堵の息を吐いたが、「こんなに多くの人間を殺したくせに簡単に逃げるのか?ここは天府の地だぞ」という言葉と共に、蕭炎の足音が響く。
彼の軽い一歩で空間に広がる波動が瞬時に伝わった。
その影響を受けた数十人の影は突然動きを止めた。
「プッ」と血柱が噴き上がり、無数の首が空中高く飛び、地面に落ちて赤く染まった。
柳隊長らは震える手で礼を述べ、「外盟第三大隊の玄隊です。
この命は貴方のおかげです」と頭を下げた。
二人は若いようだが、斗宗級を一撃で斬るという圧倒的な実力に畏敬の念が湧く。
「外盟……」
その言葉に蕭炎は驚きを隠せなかった。
この数年間、天府の勢いは想像以上だったのだ。
「これらの丹薬を配りなさい、息さえ残っていれば死ぬことはないだろう」
蕭炎が指先で玉瓶を弾くと柳隊長の手に当たった。
その瞬間彼は反射的に掴み取り目を見開いた。
玉瓶の中の丹薬は個々に濃密な霊気が溢れ薬香が立ち上り六品丹薬すら比肩する類いではなかった。
「この方は一体何者でしょう?こんな広大な手を振るうとは我々全員を売り飛ばしてもまだ残る」
柳隊長が震える指で玉瓶を握ると慌てて丹薬を取り出し負傷した仲間に分配し始めた。
そしてようやく気を取り直して空中から降り立った一男一女の視線に怯えていた。
「妖火空間が閉鎖された後の出来事を教えてくれ」
二人が地面に着地すると蕭炎は適当に尋ねた。
「まず……」
柳隊長は慌てて礼を述べた。
彼は聡明な人物で何を訊ねるべきか何を避けるべきかを心得ていた。
そこで一息ついて中州でこの二年間に起こった大事件を簡潔に説明し始めた。
話しながらも仲間たちの視線が青年へと向けられていた。
なぜか彼らは彼の顔にどこか懐かしさを感じていた。
「石族が消滅した?」
柳隊長が石族が霊族と同じように突然姿を消したと言った時蕭炎と熏の表情が同時に険しくなった。
「はい、石族の消失も霊族と同様です。
しかし今年一年間にはそのような事態は起こりませんでした。
遠古三族連合との関係があるかもしれません」
柳隊長が丁寧に答えた。
「まさか……」
蕭炎は険しい表情でつぶやいた。
短い二年間で天府と魂殿が完全に戦争状態になり石族が消滅し三族が連合したという驚くべき出来事が同時に起こったのだ。
これら全てが一つに集まっているとはまさに大変盛り上がりである。
「この方……」
沈思黙考する蕭炎を見た柳隊長は周囲の視線をちらりと見た上で慎重に口を開いた。
「ここから少し離れた場所に魂殿の一画がある。
護法が死んだ場合彼らは必ず気配を感じ取るので我々は早く移動した方が良いでしょう。
妖火平原の魂殿分殿は実力が強くその中には魂族の斗聖級の強者が一人います。
この二年間の戦闘で我々天府連合も多くの強者がその斗聖級の人物に討たれています」
「一星?」
柳隊長の言葉を聞いた蕭炎は眉根を寄せ尋ねた。
「一星です」
柳隊長は相手がなぜ詳細を訊くのか分からないものの正確に答えた。
そのレベルの強者は彼らにとっては伝説の存在だった。
「一星か……」
萧炎が頬を撫でながらうなずき、それを目にして柳隊長たちもほっと息を吐いたが次の言葉で固まった。
「道は知っているか?その分殿へ案内してくれないか?」
目の前の青年の笑みを見たとき、皆は一瞬沈黙に包まれた。
柳隊長も唇が震え始めた。
魂殿の分殿は彼らにとって最も恐ろしい禁地であり、普段から遠く離れていた区域だった。
誰もその場所に入るなどと考えたことがなかった。
「行こう……」
皆の沈黙を前に、蕭炎は笑みを浮かべた。
彼の手が柳隊長の肩にかかると同時に空間がゆらりと揺らいだ。
瞬間、三人の姿は消えてしまった。
他の仲間たちがその光景を見たとき、顔色が一変した。
「魂殿分殿へ行くなんて自殺じゃないか」
「今回は終わりだ……」
一人が悲しげに言った。
命を拾い戻したばかりなのに、今度こそ自分から死を選んだのだ。
「どうしよう?」
「落ち着け、その方は尋常ではない人物だ」
「でも分殿には斗聖級の強者がいるはず。
あの若造ではあの老悪魔の相手になれるわけないだろう」
「…………」
皆が顔を見合わせながら議論を交わし、結局は肩を落とすばかりだった。
「嗤い笑うような声が響いたその瞬間、空間が再びゆらりと揺らいだ。
すると十数分前に去ったばかりの蕭炎たち三人の姿が現れた。
「隊長」
生き返ってきた三人を見た仲間たちが大喜びで群がり始めた。
しかし柳隊長は呆然としているだけだった。
彼らの目には伝説級の斗聖老悪魔が存在したはずなのに、目の前の青年の一撃で肉片に変えられていたのだ。
「隊長、あの老悪魔は分殿にいなかったのか?」
周囲から小さな声が漏れた瞬間、柳隊長もようやく我に返った。
彼は首を横に振り、渇き切ったような声で言った。
「今後、妖火平原には魂殿の分殿もなく、その名高い『魂清聖者』も存在しなくなる」
それを聞いた仲間たちは一瞬固まったが、すぐに我に返り驚愕の表情になった。
短時間で魂殿分殿が消滅したとは……。
「行こう」
彼らの滑稽な表情を見ながら蕭炎は笑みを浮かべ、背を向けて遠くへと虚空を歩き始めた。
「区域責任者を探せ。
今後貴方は内盟地級メンバーだ」
その淡々とした声が風に乗って聞こえてきたとき、場の仲間たちは身体を震わせた。
内盟は天・地・玄・黄に分かれており、彼らの今回の貢献では黄級メンバーになるのが精一杯だったはずなのに、この人物は一言で……。
「尊姓大名は?」
柳隊長も驚きを隠せず、突然膝をついて声を上げた。
「彼らには『蕭炎が命令した』とだけ言えばいいんだ」
遠くから軽い笑い声が風に乗って漂ってきた。
「蕭……炎……」
仲間たちが急に顔を上げて、虚空中の薄れゆく影を見つめた。
しばらくしてようやく感情の揺らめきを抑えながら震える声で言った。
「彼は……少盟主様だ…………」
突然の変化に場を包む緊張が一瞬で凍り付いた。
魂殿の爪牙たちは血まみれの無頭の屍体を見つめ、その鮮血が空中を散らす様子に目を奪われていた。
地面を転がる首は死後も険しい表情を保ち、見る者に背筋を凍りつかせる。
彼らは声もなく「あなたたち……一体何者ですか?ここは魂殿の領地です」と叫びたがった。
その中で明らかに地位の高い男は震える声で空高く現れた二つの影を見上げ、「なんだ、この二人は……?」
と絶叫した。
彼の恐怖を吐き出すように叫ぶその声は、周囲の緊張をさらに高める。
「魂殿の手がここまで伸びていたのか……」
空中に現れた男と女は妖火空間から飛び出した蕭炎と薰香だった。
彼らの視線は数十人の黒服の魂殿爪牙を見下ろし、漆黒の瞳孔には殺意が渦巻いていた。
蕭炎の目の中の寒さがその男を凍えさせる。
彼は体中の斗気まで固まる気がした。
莫護法という五星斗宗級の強者を簡単に斬り捨てた相手に、彼らなど容易く殺されるだろうと悟ったのだ。
「頑固な奴め……撤退だ」
その男は即座に決断し、百歩も離れずに叫んだ。
「逃げろ!」
他の連中も慌てて柳隊長らを置いて走り出した。
見ていた柳隊長たちは安堵の息を吐いたが、「こんなに多くの人間を殺したくせに簡単に逃げるのか?ここは天府の地だぞ」という言葉と共に、蕭炎の足音が響く。
彼の軽い一歩で空間に広がる波動が瞬時に伝わった。
その影響を受けた数十人の影は突然動きを止めた。
「プッ」と血柱が噴き上がり、無数の首が空中高く飛び、地面に落ちて赤く染まった。
柳隊長らは震える手で礼を述べ、「外盟第三大隊の玄隊です。
この命は貴方のおかげです」と頭を下げた。
二人は若いようだが、斗宗級を一撃で斬るという圧倒的な実力に畏敬の念が湧く。
「外盟……」
その言葉に蕭炎は驚きを隠せなかった。
この数年間、天府の勢いは想像以上だったのだ。
「これらの丹薬を配りなさい、息さえ残っていれば死ぬことはないだろう」
蕭炎が指先で玉瓶を弾くと柳隊長の手に当たった。
その瞬間彼は反射的に掴み取り目を見開いた。
玉瓶の中の丹薬は個々に濃密な霊気が溢れ薬香が立ち上り六品丹薬すら比肩する類いではなかった。
「この方は一体何者でしょう?こんな広大な手を振るうとは我々全員を売り飛ばしてもまだ残る」
柳隊長が震える指で玉瓶を握ると慌てて丹薬を取り出し負傷した仲間に分配し始めた。
そしてようやく気を取り直して空中から降り立った一男一女の視線に怯えていた。
「妖火空間が閉鎖された後の出来事を教えてくれ」
二人が地面に着地すると蕭炎は適当に尋ねた。
「まず……」
柳隊長は慌てて礼を述べた。
彼は聡明な人物で何を訊ねるべきか何を避けるべきかを心得ていた。
そこで一息ついて中州でこの二年間に起こった大事件を簡潔に説明し始めた。
話しながらも仲間たちの視線が青年へと向けられていた。
なぜか彼らは彼の顔にどこか懐かしさを感じていた。
「石族が消滅した?」
柳隊長が石族が霊族と同じように突然姿を消したと言った時蕭炎と熏の表情が同時に険しくなった。
「はい、石族の消失も霊族と同様です。
しかし今年一年間にはそのような事態は起こりませんでした。
遠古三族連合との関係があるかもしれません」
柳隊長が丁寧に答えた。
「まさか……」
蕭炎は険しい表情でつぶやいた。
短い二年間で天府と魂殿が完全に戦争状態になり石族が消滅し三族が連合したという驚くべき出来事が同時に起こったのだ。
これら全てが一つに集まっているとはまさに大変盛り上がりである。
「この方……」
沈思黙考する蕭炎を見た柳隊長は周囲の視線をちらりと見た上で慎重に口を開いた。
「ここから少し離れた場所に魂殿の一画がある。
護法が死んだ場合彼らは必ず気配を感じ取るので我々は早く移動した方が良いでしょう。
妖火平原の魂殿分殿は実力が強くその中には魂族の斗聖級の強者が一人います。
この二年間の戦闘で我々天府連合も多くの強者がその斗聖級の人物に討たれています」
「一星?」
柳隊長の言葉を聞いた蕭炎は眉根を寄せ尋ねた。
「一星です」
柳隊長は相手がなぜ詳細を訊くのか分からないものの正確に答えた。
そのレベルの強者は彼らにとっては伝説の存在だった。
「一星か……」
萧炎が頬を撫でながらうなずき、それを目にして柳隊長たちもほっと息を吐いたが次の言葉で固まった。
「道は知っているか?その分殿へ案内してくれないか?」
目の前の青年の笑みを見たとき、皆は一瞬沈黙に包まれた。
柳隊長も唇が震え始めた。
魂殿の分殿は彼らにとって最も恐ろしい禁地であり、普段から遠く離れていた区域だった。
誰もその場所に入るなどと考えたことがなかった。
「行こう……」
皆の沈黙を前に、蕭炎は笑みを浮かべた。
彼の手が柳隊長の肩にかかると同時に空間がゆらりと揺らいだ。
瞬間、三人の姿は消えてしまった。
他の仲間たちがその光景を見たとき、顔色が一変した。
「魂殿分殿へ行くなんて自殺じゃないか」
「今回は終わりだ……」
一人が悲しげに言った。
命を拾い戻したばかりなのに、今度こそ自分から死を選んだのだ。
「どうしよう?」
「落ち着け、その方は尋常ではない人物だ」
「でも分殿には斗聖級の強者がいるはず。
あの若造ではあの老悪魔の相手になれるわけないだろう」
「…………」
皆が顔を見合わせながら議論を交わし、結局は肩を落とすばかりだった。
「嗤い笑うような声が響いたその瞬間、空間が再びゆらりと揺らいだ。
すると十数分前に去ったばかりの蕭炎たち三人の姿が現れた。
「隊長」
生き返ってきた三人を見た仲間たちが大喜びで群がり始めた。
しかし柳隊長は呆然としているだけだった。
彼らの目には伝説級の斗聖老悪魔が存在したはずなのに、目の前の青年の一撃で肉片に変えられていたのだ。
「隊長、あの老悪魔は分殿にいなかったのか?」
周囲から小さな声が漏れた瞬間、柳隊長もようやく我に返った。
彼は首を横に振り、渇き切ったような声で言った。
「今後、妖火平原には魂殿の分殿もなく、その名高い『魂清聖者』も存在しなくなる」
それを聞いた仲間たちは一瞬固まったが、すぐに我に返り驚愕の表情になった。
短時間で魂殿分殿が消滅したとは……。
「行こう」
彼らの滑稽な表情を見ながら蕭炎は笑みを浮かべ、背を向けて遠くへと虚空を歩き始めた。
「区域責任者を探せ。
今後貴方は内盟地級メンバーだ」
その淡々とした声が風に乗って聞こえてきたとき、場の仲間たちは身体を震わせた。
内盟は天・地・玄・黄に分かれており、彼らの今回の貢献では黄級メンバーになるのが精一杯だったはずなのに、この人物は一言で……。
「尊姓大名は?」
柳隊長も驚きを隠せず、突然膝をついて声を上げた。
「彼らには『蕭炎が命令した』とだけ言えばいいんだ」
遠くから軽い笑い声が風に乗って漂ってきた。
「蕭……炎……」
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