国民の監察医(こくみんのかんさつい)

きりしま つかさ

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第0017話「ボーナスポイント」

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十七章 加点

廊下に革靴が床を叩く音が響いた。

皆は多少の予測はしていたものの、黄強民大隊長が数人引き連れて部屋に入ってきたことに驚きを隠せない。

彼は愉快そうに口を開いた。

「おや、集まっていたのか」

江遠と厳革が立ち上がった瞬間、黄大隊長の手が虚しく下ろされた。

「黄隊長」

「大隊長様」

「江遠、今回は指紋採取が見事だったな。

二十年前の積年の事件だぞ。

本当に難しいものだった……当時はまだ派出所勤務で師匠と現場を廻って捜査していた頃のことだ。

今も鮮明に覚えている」

厳革の血は首元まで上り詰めた。

年齢も黄大隊長とは変わらぬし、思い出話も同じようなものだった。

二十年前、彼も派出所勤務で師匠と現場を廻っていたのだ。

しかし現在の境遇は雲泥の差があった。

「この事件が完璧に解決したのは皆目撃しているだろう」黄大隊長は江遠に向かって重々しく言った。

「だが今日はそれより別の話を聞きたいんだ。

これからどうするつもりか? 指紋鑑定を志すなら適材適所だ」

厳革の視線がわずかに動いた瞬間、何かが鋭く飛び出した。

しかし誰もその存在に気付かない。

黄大隊長という刑務警察大隊長の頭上には複数の刀剣が下がっている。

その中でも最も太いのは「戦力ランキング」だ。

重厚で無敵だが、振り下ろされれば痛烈な一撃を与える。

江遠が指紋で解決したという事実は、黄大隊長がずっと憧れていた高級戦力だった。

数値計算だけなら、この事件の解決は寧台県刑務警察大隊のスコアを現在の565点から600点に引き上げる。

これは「戦力ランキング」というビッグデータ方式の積分制によるものだ。

その計算方法は複雑で、年月日ごとに変動するが──

しかし最も凄いのは即時フィードバック機能だ。

若い頃のゲームのように、犯人を逮捕したり事件を解決するとすぐにポイントが入る。

各刑務警察隊や機関部局、県警本部乃至は市警までが瞬時に反映される。

例えば「劉宇傷害事件」の場合、刑務警察大隊が捜査終了し検察側が受理すれば積分を得られる。

二十年前の未解決事件でかつ何度も重点案件に指定されていたため、30点程度の増加は当然のことだった。

また犯人を逮捕した場合も同様にポイントが付与される。

長年の重傷事件で容疑者が捕まったなら10-15点は妥当だ。

つまりこの一件で二兎を得たことになる。

これは刑務警察大隊にとって大きな利益となる。

さらに県警全体のスコアにも数点上昇するだろう。

そして刑務警察大隊が現在の565点から600点を超えるのは、大学受験の試験で成績を上げるようなものだ。

年末を最終目標とすれば、現在は模擬試験の結果と言えるかもしれない。

黄大隊長の顔に笑みが広がるのは当然のことだった。

往年、寧台県警の刑事課も積年の未解決事件を数件解決できたが、奇跡的な類はなく、類似した事件を解決するには、通常は一つの警察署分隊(約10人)が一ヶ月間動員され、さらに別の分隊が加わって一ヶ月間かけて解決するのが速やかな方だった。

しかし、現行犯が連続して発生していることを考慮すると、一つの警察署分隊に相当する三ヶ月分の労力を投入し、消費される捜査資源は相当なものだ。

刑事課の元々の565点中には減点もあるため、常に現行犯を解決することでこの565点を維持しなければならない。

余力を持つことは本当に難しい。

これは受験生が自分の弱い科目を補強するのに必要な時間と精力を捻出できない状況に似ている。

他の科目の成績を落とさないようにしつつ、弱点を克服するのは容易ではない。

江遠がほぼ一人で積年の未解決事件を解決したことは、黄強民から見ればオリンピックレベルの加点に相当する。

「痕検に異動させるべきだ」という提案は、黄強民が名門大学への推薦を望む内面の具現化だった。

しかし江遠は迷わず首を横に振り、「私は法医として働きたい。

痕跡鑑定については指紋くらいしか詳しくない。

時間があればいつでもできるよ」と応じた。

「構わないさ」黄強民が江遠の意思を受け入れると、吴軍に向かって笑いながら言った。

「老吳、この若い後輩はみんなのものだぞ、一人で独占するな」

吴軍も大笑いし、江遠の肩を叩いて、「必要ならいつでも使ってくれ。

ただし死体を運ぶ手伝いが必要だ」

黄強民がさらに冗談を交わした後、立ち上がりながら「江遠、しっかり働けよ。

何か問題があれば師匠が解決できない場合は私に来なさい」と指示した。

「了解です」江遠は快諾した。

「それから……」黄強民が他の三人を見やり、江遠に向かって続けた。

「この事件は当時懸賞金が出されていたんだ。

ただ、その額は数年前に更新されたもので、確認してみると1万元だった。

……いずれ手続きを進めさせよう」

江遠は満足そうに頷いた。

黄強民が江遠の失望の表情を見せず安心して去ると、小王が一気に肩の力を抜き、胸を撫でながらため息をついた。

「黄隊長の笑顔って意外と優しいんだね。

残念ながら左の酒窪は目立たないけど」

皆の頭の中にその情景が浮かび上がり、たちまち会話が途絶えた。

小王は江遠に向き合い、「次に指紋を採取してみる?高額懸賞金の案件があるかどうか調べてみようか?」

と提案した。

「まずは解決できれば面白いよ」と江遠が同意すると、小王はまた忙しく動き出した。

その直後、江遠の頭の中でシステムからの通知が響いた:

【任務完了:劉宇傷害事件の捜査協力】

【報酬:犯罪現場検証(LV4)】

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