国民の監察医（こくみんのかんさつい）

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第0382話 春節

夜明け前。

江村の宴会専用広場では、大皿に盛られた牛肉の大きな塊、半頭ずつ並べられた羊肉、調理済みの卤鹅一羽、鶏と鸭のスープが次々とテーブルに運ばれていく。

江村人は明らかに暴発族であり、そのことを隠そうともしない。

宴席では地庫から盗まれた酒に関する話題が最も盛り上がっていた。

七叔のスマホは席を跨ぎながら手渡され続け、皆が王雷の写真を見ようと画策していた。

彼は単なる普通のブルーカラー労働者の風貌だが、窃盗という事実から一種の悪徳な雰囲気が漂っている。

被害者である七叔はスターのように数卓にまたがりながら笑顔で語る。

「この格好は私が十数年前に現場に出していた頃と似ている。

彼が正直に謝ってくれれば、二本の酒をあげても構わないんだ。

ところが盗み取ろうとするから……」

隣席の六婆さんが箸を置きながら即座に反論する。

「どうして正直に言えばいいんだ？ 今日一日中言い続けたわよ！」

「六婆さん！」

七叔は叫び声を上げる。

「私は確かに被害者なのさ。

」

「あなたは怠惰そのものよ、車庫の酒を家に運ばないのは、二十万クラスの車が停まっているから貧乏を演じているんだわ。

昔のことを忘れたのか？ あなたはかつて本当に貧しかったのよ！」

七叔は黙って耳を傾けつつ、小声で弁解する。

「私は貧乏じゃない……」

「貧乏じゃなければなぜ日本車を買ったの？ まさかギャンブルに手を出しているんじゃないでしょうね。

賭博……」

「六婆さん！」

七叔が呼びかけると、「私の車はトヨタ・ランドクルーザーで、実際には一千万円もしたんだ。

江富町にも同じ車があるのよ。

」

「江富町の人たちは控えめにしているわ。

あなたはその車を買うなんて馬鹿ね！」

三叔が加勢して説明する。

「この王雷は作業班の一時参加者で、帰る際に老七の車庫から酒一箱を持ち出したのは自分のために飲むためだったんだ。

しかし翌日来てみると車庫のドアが開いていたのでまた二箱盗み出し、三度目にはさらに二箱を盗んで売却した。

その金額は約一万円で、多すぎると気づき、やめてしまった運が良かったのよ。

」

「彼はこの年は過ごせないわね」七叔は三叔の説明に納得し、笑いながら続けた。

「でも建築関係は村長主催だから仕方ないわね。

ところでなぜ自首したのかしら？」

三叔が咳払いして答える。

「多くの人がSNSで拡散したんだよ。

命案のような騒ぎを演出するように……王雷は怖じて自首したのさ。

彼が前科がないなら、執行猶予になるかもしれないわね。

」

七叔は大笑いしながら「命案？ 一体誰が死んだっていうの？」

と尋ねた。

全員が七叔を見つめる。

宴席は終了した。



江遠は柳景輝らを自宅の客室に配置した。

警察署の宿舎は四人部屋や八人部屋が主流で、柳景輝も300円の個室ホテルに収まる程度の簡素さだった。

決して劣悪とは言えないが、数百平方メートルの大広間での快適さには及ばない。

出張時の苦労はともかく、最近は事件さえ起こらず、むしろ宿泊や生活環境へのこだわりが強まっていたようだ。

次の日、江遠は警察署にも行かず自宅でバーベキューを始めた。

王伝星らは躊躇なく**を選んだ。

夜にはまた宴席が開かれ、江遠は20名以上の警官と共に祝賀に駆けつけた。

江富町は喜々しく二重の現金を持って参上し、礼金として渡した後、若者数人と肉を切る準備に向かった。

この日の宴席の赤肉担当はやはり江富町で、実際には年越しまで毎日誰かが宴を開き、その度に江富町が赤肉の責任者となるのであった。

幸福な日々では食事を楽しむだけで良い——これが中国式の人間味ある日常である。

数日後、全員は寧台県警の年度末報告会に参加した。

積案班のメンバーの大半は寧台県警には所属していなかったが、賞状を受ける際の授与先は多少変わっただけのことだった。

寧台県警の年度末報告会終了後、各自が帰宅し再び報告会を開くという二重構造も存在した。

席長・関席は意気軒昂に司会を務めた。

積案班にとって最も重要なのは賞状授与だ。

江遠は二等功を受賞し、積案班全体として三等功が贈られた。

王伝星と唐佳らの半数は三等功、残りは褒賞で、柳景輝以外（省庁からの異動でまだ実績がない）はほぼ全員に何かしらの栄誉が与えられ、皆満足げだった。

江遠はその場で新しく得た二等功を「法医物証学（LV4）」に変換した。

この分野とは、血液・精液・陰道分泌液・乳汁・唾液・鼻水・尿・羊水とその痕跡、髪の毛・爪・骨格・歯や人体各組織器官の断片など、あらゆる人体由来物質を証拠とする学問である。

特にDNA技術は現在最も発展した分野と言える。

江遠の考えでは、次に骨片のようなものが出た際には法医人類学だけでなくこの能力も活用できるようになればと願っていた。

現状では類似ケースしか扱えず、未然に対策を講じる必要があったのだ。

賞状が全て配り終えた後は県警内の戦力ランキング発表となった。

刑事課のスコア2470点は他の平行組織の三倍という圧倒的な数字だった。

誰も不服を唱えることはできなかった——ランキングの大部分の項目には上限設定があるからだ（例：重大犯罪解決数300点満点、未解決で減点）。

しかし積案解決分は無制限に加算されるため、ここでは刑事課が突出していたのである。



江遠が昨年一年で未解決事件を解決した数は非常に多く、また外部での捜査成績も点数を反映させる。

この点数は県警にとって重要な評価材料となる。

式典終了後、閉会の挨拶をするタイミングで局長・関席がマイクを握りしめていた。

「えーと……」と前置きした関席は数秒間黙ったあとに続けた。

「来年になったら、そろそろ異動になるんだ」

江遠を含む多くの人々は眉根を寄せた。

局長という組織の頂点が移動するというのは生態系そのものを変える大事件だが、政治的な人事異動は現場警官にはどうしようもない事実だ。

関席自身も感情込めて3分ほど話し続けた。

寧台県で育ち、一線から離れていたものの、最終的にはこの地で終始するつもりだったという。

しかし寧台県が最近一年間の浮揚（※ここは「浮上」か「浮説」か原文の**を補う必要あり）により関席も波に乗って上層部の目に留まったのだ。

式典終了後、関席は江遠を呼び出して親しく交流した。

旧正月七日間のほとんどが勤務で占められるため、初五・六になってようやく警署が通常運転に戻った。

新局長・柴通が就任し、部門ごとに視察を開始した。

最初に訪れたのは江遠積案班だった。