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第0462話 石投げ道探り
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宗教施設の事件はいつも複雑だ。
利益を目的とした宗教関係者なら捜査が進むが、特に特殊な宗派の人間となると伝統的な捜査手法では手詰まりになる。
柳景輝は程住職の性格や行動様式を観察していた。
推理に携わる者は必ず人物分析やFBIのようなプロファイリングが必要だ。
分かりやすく言うならアメリカ警察が手掛けられない事件でも、プロファイリングや推理で解決する。
柳景輝は自分が先進的なスキルを持っていると自負していた。
実際、彼の現行犯解決率は非常に高く、それが一省で名を知らしめた理由だった。
また、難易度の高い案件ばかりを扱うのも特徴で、県警や市警が苦手とするケースに限って依頼されることが多かった。
多くの場合、黄金24時間どころか玫瑰金72時間が過ぎていた。
江遠異常な積年の未解決事件解決能力と比較すれば柳景輝の(表面的な)積年未解決事件解決力も称賛に値する。
実際、真の殺人未解決事件にも取り組んだ経験がある。
近年各省が積年の未解決事件解明を推進している中、上級警部として具体的な数値目標は設定されていないものの、その方向性で動くのが自然だった。
警察官の日常は常に思考し、たまに解決し、頻繁に報告書を作成することだ。
柳景輝が曲安の荒野暴死者事件をどう見ているかというと、必ずしも困難とは思っていなかった。
20年前なら農村人口が多く治安が悪かった時代、雨季など自然環境の影響で捜査が難航するケースはあった。
しかし現代では荒野での事件の難易度は大幅に低下している。
まず人間関係が少ないことが有利だ。
特定の時間帯や場所の人間関係を固定できれば、最も単純な排除法でも多くの情報を得られる。
例えば携帯電話の位置情報を使えば、荒野の基地局が少ないので技術捜査課が調査すれば、その地域に誰が何時いたか一目で分かる。
柳景輝は寺をうろうろしながら思考と観察を続けた。
同行の韓大隊長は警部章をつけず、綿混紡ジャケットを着て手袋をしたまま近づき、笑顔で尋ねた。
「何か考えがあるか?」
「まだない。
貴方に何かヒントはあるか?」
柳景輝が反問する。
韓大隊長は笑って首を横に振った。
「ヒントがあれば事件は解決済みだ。
」
「この寺の信徒は調べ終えたのか?」
「聞き取り記録は多いし、来ていない人間にも調査した。
しかし手がかりが少なくて死体すら特定できないんだ。
」韓大隊長は手を広げて言った。
「一部の信徒は法号しか名乗らないから調べようがないんだよ。
」
「あとは出入りするだけだね。
」柳景輝が韓大隊長の言葉に同調した。
重い口を叩いて頷いた韓大隊長「まず死体の特定が急務だ」
柳景輝はちらりと見やった「貴方はまた白々しく駆けつけるつもりか?」
現場に来るのは柳景輝の提案だった。
推理するには可能な限り情報を集める必要があった
韓大隊長は笑い声を上げた「正直に言って俺も来ただけ損だぜ。
こんな時期になっても、あそこが普通に営業してるんだからな。
俺が李姐さんの肉まんでも食べられればいいけど」
「肉まんは確かにうまい」柳景輝がため息をついた「行こう、住職さんたちと会ってみよう」
「二人呼んで記録を取らせろ」韓大隊長にとって住職たちは嫌疑者同然で当然の手続きだった
数歩進んだところで五六十歳の女性住職に出会った。
麻布の長着を着て髪は木製の笄で留められていたが、髪型が良くないせいで映画『英雄本色』の低画質版みたいな印象だった
「その方……質問があるんですが」柳景輝が声をかけた
「黙ってもいいですか?」
彼女は柳景輝の外見に気を取られていたのか、少し甘えた口調で尋ねてきた
「ダメだ」柳景輝は眉をひそめた
「黙っていても構わないんですか?」
彼女の語気が皮肉になった
韓大隊長が横から説明した「おっしゃらないなら我々は貴方こそ関係者と疑わざるを得ない。
あとで詳しく訊きたい」
「つまらん」彼女は舌を出すように口を尖らせた「訊いてみろよ……」
韓大隊長と柳景輝が顔を見合わせた。
住職たちの難処理さは想像以上だった
小祠で修行する住職たちは皆温和な印象を受けたが、実際は非常に厄介な存在だった。
表面的には無料鑑賞を謳いながらも会費や継続課金、広告料金まで要求し、さらに視聴者から個別に課金するような輩
典型的な「得たいものは全て得たい」の典型だった
柳景輝が一回りして部屋に戻ると「この寺の住職は大きく二種類だ。
一つは長期滞在組で三人全員女性、50代前後。
非常に熱心な信者で年間半分を山に過ごし、奉仕と修行を両立させている」
「もう一つは短期訪問組だ。
頻繁に来れば住職の肩書を得るが、稀にしか来ない人もいる。
問題はこの二番目の方々にある」
「長期滞在組は数が少ないから失踪者が出たら特定しやすい。
短期組はリストもないため照合すらできない」
韓大隊長が嘆息した「つまりね、こんな小さな祠で何か起こったとは思えないんだよな」
「そうはいかない……」柳景輝は途中で言葉を切った。
「もう少し考えてみよう」
韓大隊長の目が丸くなった「言ってるだろ?探偵物語なら君みたいな中途半端な発言はまずいぜ。
夜中に死んでるのは貴方だぞ」
「そんなに大げさなもんかよ、はっきり言ってやるぜ」柳景輝が手を振ると、さらに続けた。
「このお寺には空き部屋があるから一晩泊まって様子を見てみよう」
「本当に必要なのか?」
韓大隊長は口では否定しながらも住職のところへと向かった
彼が柳景輝への信頼感は少しある。
少なくとも一緒に寝ることくらいは許してくれる程度には
江遠も反対しなかった
現場に来るのは苦手でもない。
最近やっている事件が暗いからだ。
特に頭蓋骨修復術というスキルは面白い部分もあるが、退屈な部分も本当に退屈だった。
ノートパソコンを持ってきて作業と休憩を繰り返すのも悪くない
このお寺の風景は良い。
四寧山とは比べものにならないが、緑豊かな山々と深い谷間があり、善男信女たちが寄進した茶室がある。
そこで茶を淹れながら景色を見たりパソコン画面を見たりするのも気楽だった
柳景輝らが忙しく筆記をしているのを江遠は見向きもしなかった。
伝統的な探偵ドラマなら犯人全員を集めて質問し、矛盾点を探るという方法ならまだしも…
問題はこのお寺ではそのようなことは不可能だということだ
伝統的な探偵ドラマがその手法を使うのは十九世紀のイギリス警察の手がかりが少なかったからだ。
指紋やDNAがない時代、最も確実な証拠は犯人が自白することだった。
つまり口供が王様だった
現代では口供の価値は崩壊した。
最強の刑事手法は無口供で、犯人が伝統的な探偵に「記憶にない」と答えるだけで九〇%を凌駕できるのだ
特に柳景輝のような…
高齢者ばかりのこのお寺の信徒たちとの違いは彼らが本当に退屈していることだ…
一人の老婆の筆記だけで数十ページにもなる。
凄いのは警察官が「何か追加はあるか?」
と聞くたびに「あるわ」と返す点だ
「くたくたくて死にそう」夜九時、街ではまだ早い時間だが柳景輝は頭が割れそうだった
四人部屋の高低ベッドで横になった彼はまるでおかゆのように縮こまっていた
「そんなに疲れたのか?」
韓大隊長は鼻をついたが…
柳景輝はうなずきもせずに体を反らせて江遠に尋ねた「江遠、進捗はどうだ?」
「頭蓋骨修復ならまあ普通。
午後二杯の茶を飲んでちょっと眠れないくらいかな」江遠が答えた
「だったら孟成標を呼べばよかったわ」柳景輝はぼそりと言った「彼の筆記は上手いんだよ」
「私も手伝いますか?」
牧志洋が小声で言った。
今日は江遠について回っただけで何もしてないから本当に退屈だった。
緑豊かな山々は良いが見飽きるほどだ
柳景輝は笑って返すと、その時韓大隊長の叫び声が響いた
「誰だ?」
ドン!ドンドン……
紙に包まれた石が窓を割り、地面に転がった。
窓が割れる音と同時に、石の落ちる音は異様に重々しく響いた。
先ほどまで笑っていた四人組が一瞬で固まった。
次の瞬間、牧志洋が「ウ」っと声を上げて段ボールベッドから飛び降り、ドアを開けた勢いで外へ飛び出し、駐車場の端っこに回ると既に誰もいなかった。
「現場保護!足跡は触れないように!他の人は近づかないで!」
柳景輝がまず江遠の足跡鑑定能力を連想した。
一瞬だけ、柳景輝の頭の中に浮かんだのは『この不気味な事件が簡単に解決するんじゃない』という考えだった。
隣室の四名の警官も次々と外に出た。
韓大隊長は「ハ」っと笑って雰囲気を和らげた。
「まあ手榴弾じゃなくて良かった」
冗談を言いながらも韓大隊長はすぐにスマホを取り出し、数枚写真を撮影し、刑事課の内線に電話をかけ始めた。
特に痕跡鑑定班には装備を持ってきてもらうよう指示した。
彼らが持ってきたのは基礎的な捜査セットだけだったため、目の前の重要な証拠に対応できるはずもなかった。
柳景輝は笑えず、緊張しながら起き上がり、地面の石を撮影し、江遠に尋ねた。
「見てみてくれない?」
「分かった」江遠も上段ベッドから降り、手袋を装着し、ピンセットを取り出した。
さらに「カメラ回す!执法记录仪も付けろ」と指示した。
これは重大な証拠であり、殺人犯の死命を握る可能性があるため、厳重に扱わなければならないのだ。
石は潮汕牛肉丸くらいの大きさで、外側の白紙が皺々と。
江遠がテーブルに何か敷き詰めながら包みを開くと、白紙には「殺人者張芬」という文字が三つに分かれて貼られていた。
「殺人者」、「張」、「芬」はそれぞれ雑誌から切り抜いたもので、字のサイズも小さく規則的にカットされていた。
「その女住職ね、55歳のやつだよ」柳景輝が眉をひそめた。
「彼女が殺せるのか?」
利益を目的とした宗教関係者なら捜査が進むが、特に特殊な宗派の人間となると伝統的な捜査手法では手詰まりになる。
柳景輝は程住職の性格や行動様式を観察していた。
推理に携わる者は必ず人物分析やFBIのようなプロファイリングが必要だ。
分かりやすく言うならアメリカ警察が手掛けられない事件でも、プロファイリングや推理で解決する。
柳景輝は自分が先進的なスキルを持っていると自負していた。
実際、彼の現行犯解決率は非常に高く、それが一省で名を知らしめた理由だった。
また、難易度の高い案件ばかりを扱うのも特徴で、県警や市警が苦手とするケースに限って依頼されることが多かった。
多くの場合、黄金24時間どころか玫瑰金72時間が過ぎていた。
江遠異常な積年の未解決事件解決能力と比較すれば柳景輝の(表面的な)積年未解決事件解決力も称賛に値する。
実際、真の殺人未解決事件にも取り組んだ経験がある。
近年各省が積年の未解決事件解明を推進している中、上級警部として具体的な数値目標は設定されていないものの、その方向性で動くのが自然だった。
警察官の日常は常に思考し、たまに解決し、頻繁に報告書を作成することだ。
柳景輝が曲安の荒野暴死者事件をどう見ているかというと、必ずしも困難とは思っていなかった。
20年前なら農村人口が多く治安が悪かった時代、雨季など自然環境の影響で捜査が難航するケースはあった。
しかし現代では荒野での事件の難易度は大幅に低下している。
まず人間関係が少ないことが有利だ。
特定の時間帯や場所の人間関係を固定できれば、最も単純な排除法でも多くの情報を得られる。
例えば携帯電話の位置情報を使えば、荒野の基地局が少ないので技術捜査課が調査すれば、その地域に誰が何時いたか一目で分かる。
柳景輝は寺をうろうろしながら思考と観察を続けた。
同行の韓大隊長は警部章をつけず、綿混紡ジャケットを着て手袋をしたまま近づき、笑顔で尋ねた。
「何か考えがあるか?」
「まだない。
貴方に何かヒントはあるか?」
柳景輝が反問する。
韓大隊長は笑って首を横に振った。
「ヒントがあれば事件は解決済みだ。
」
「この寺の信徒は調べ終えたのか?」
「聞き取り記録は多いし、来ていない人間にも調査した。
しかし手がかりが少なくて死体すら特定できないんだ。
」韓大隊長は手を広げて言った。
「一部の信徒は法号しか名乗らないから調べようがないんだよ。
」
「あとは出入りするだけだね。
」柳景輝が韓大隊長の言葉に同調した。
重い口を叩いて頷いた韓大隊長「まず死体の特定が急務だ」
柳景輝はちらりと見やった「貴方はまた白々しく駆けつけるつもりか?」
現場に来るのは柳景輝の提案だった。
推理するには可能な限り情報を集める必要があった
韓大隊長は笑い声を上げた「正直に言って俺も来ただけ損だぜ。
こんな時期になっても、あそこが普通に営業してるんだからな。
俺が李姐さんの肉まんでも食べられればいいけど」
「肉まんは確かにうまい」柳景輝がため息をついた「行こう、住職さんたちと会ってみよう」
「二人呼んで記録を取らせろ」韓大隊長にとって住職たちは嫌疑者同然で当然の手続きだった
数歩進んだところで五六十歳の女性住職に出会った。
麻布の長着を着て髪は木製の笄で留められていたが、髪型が良くないせいで映画『英雄本色』の低画質版みたいな印象だった
「その方……質問があるんですが」柳景輝が声をかけた
「黙ってもいいですか?」
彼女は柳景輝の外見に気を取られていたのか、少し甘えた口調で尋ねてきた
「ダメだ」柳景輝は眉をひそめた
「黙っていても構わないんですか?」
彼女の語気が皮肉になった
韓大隊長が横から説明した「おっしゃらないなら我々は貴方こそ関係者と疑わざるを得ない。
あとで詳しく訊きたい」
「つまらん」彼女は舌を出すように口を尖らせた「訊いてみろよ……」
韓大隊長と柳景輝が顔を見合わせた。
住職たちの難処理さは想像以上だった
小祠で修行する住職たちは皆温和な印象を受けたが、実際は非常に厄介な存在だった。
表面的には無料鑑賞を謳いながらも会費や継続課金、広告料金まで要求し、さらに視聴者から個別に課金するような輩
典型的な「得たいものは全て得たい」の典型だった
柳景輝が一回りして部屋に戻ると「この寺の住職は大きく二種類だ。
一つは長期滞在組で三人全員女性、50代前後。
非常に熱心な信者で年間半分を山に過ごし、奉仕と修行を両立させている」
「もう一つは短期訪問組だ。
頻繁に来れば住職の肩書を得るが、稀にしか来ない人もいる。
問題はこの二番目の方々にある」
「長期滞在組は数が少ないから失踪者が出たら特定しやすい。
短期組はリストもないため照合すらできない」
韓大隊長が嘆息した「つまりね、こんな小さな祠で何か起こったとは思えないんだよな」
「そうはいかない……」柳景輝は途中で言葉を切った。
「もう少し考えてみよう」
韓大隊長の目が丸くなった「言ってるだろ?探偵物語なら君みたいな中途半端な発言はまずいぜ。
夜中に死んでるのは貴方だぞ」
「そんなに大げさなもんかよ、はっきり言ってやるぜ」柳景輝が手を振ると、さらに続けた。
「このお寺には空き部屋があるから一晩泊まって様子を見てみよう」
「本当に必要なのか?」
韓大隊長は口では否定しながらも住職のところへと向かった
彼が柳景輝への信頼感は少しある。
少なくとも一緒に寝ることくらいは許してくれる程度には
江遠も反対しなかった
現場に来るのは苦手でもない。
最近やっている事件が暗いからだ。
特に頭蓋骨修復術というスキルは面白い部分もあるが、退屈な部分も本当に退屈だった。
ノートパソコンを持ってきて作業と休憩を繰り返すのも悪くない
このお寺の風景は良い。
四寧山とは比べものにならないが、緑豊かな山々と深い谷間があり、善男信女たちが寄進した茶室がある。
そこで茶を淹れながら景色を見たりパソコン画面を見たりするのも気楽だった
柳景輝らが忙しく筆記をしているのを江遠は見向きもしなかった。
伝統的な探偵ドラマなら犯人全員を集めて質問し、矛盾点を探るという方法ならまだしも…
問題はこのお寺ではそのようなことは不可能だということだ
伝統的な探偵ドラマがその手法を使うのは十九世紀のイギリス警察の手がかりが少なかったからだ。
指紋やDNAがない時代、最も確実な証拠は犯人が自白することだった。
つまり口供が王様だった
現代では口供の価値は崩壊した。
最強の刑事手法は無口供で、犯人が伝統的な探偵に「記憶にない」と答えるだけで九〇%を凌駕できるのだ
特に柳景輝のような…
高齢者ばかりのこのお寺の信徒たちとの違いは彼らが本当に退屈していることだ…
一人の老婆の筆記だけで数十ページにもなる。
凄いのは警察官が「何か追加はあるか?」
と聞くたびに「あるわ」と返す点だ
「くたくたくて死にそう」夜九時、街ではまだ早い時間だが柳景輝は頭が割れそうだった
四人部屋の高低ベッドで横になった彼はまるでおかゆのように縮こまっていた
「そんなに疲れたのか?」
韓大隊長は鼻をついたが…
柳景輝はうなずきもせずに体を反らせて江遠に尋ねた「江遠、進捗はどうだ?」
「頭蓋骨修復ならまあ普通。
午後二杯の茶を飲んでちょっと眠れないくらいかな」江遠が答えた
「だったら孟成標を呼べばよかったわ」柳景輝はぼそりと言った「彼の筆記は上手いんだよ」
「私も手伝いますか?」
牧志洋が小声で言った。
今日は江遠について回っただけで何もしてないから本当に退屈だった。
緑豊かな山々は良いが見飽きるほどだ
柳景輝は笑って返すと、その時韓大隊長の叫び声が響いた
「誰だ?」
ドン!ドンドン……
紙に包まれた石が窓を割り、地面に転がった。
窓が割れる音と同時に、石の落ちる音は異様に重々しく響いた。
先ほどまで笑っていた四人組が一瞬で固まった。
次の瞬間、牧志洋が「ウ」っと声を上げて段ボールベッドから飛び降り、ドアを開けた勢いで外へ飛び出し、駐車場の端っこに回ると既に誰もいなかった。
「現場保護!足跡は触れないように!他の人は近づかないで!」
柳景輝がまず江遠の足跡鑑定能力を連想した。
一瞬だけ、柳景輝の頭の中に浮かんだのは『この不気味な事件が簡単に解決するんじゃない』という考えだった。
隣室の四名の警官も次々と外に出た。
韓大隊長は「ハ」っと笑って雰囲気を和らげた。
「まあ手榴弾じゃなくて良かった」
冗談を言いながらも韓大隊長はすぐにスマホを取り出し、数枚写真を撮影し、刑事課の内線に電話をかけ始めた。
特に痕跡鑑定班には装備を持ってきてもらうよう指示した。
彼らが持ってきたのは基礎的な捜査セットだけだったため、目の前の重要な証拠に対応できるはずもなかった。
柳景輝は笑えず、緊張しながら起き上がり、地面の石を撮影し、江遠に尋ねた。
「見てみてくれない?」
「分かった」江遠も上段ベッドから降り、手袋を装着し、ピンセットを取り出した。
さらに「カメラ回す!执法记录仪も付けろ」と指示した。
これは重大な証拠であり、殺人犯の死命を握る可能性があるため、厳重に扱わなければならないのだ。
石は潮汕牛肉丸くらいの大きさで、外側の白紙が皺々と。
江遠がテーブルに何か敷き詰めながら包みを開くと、白紙には「殺人者張芬」という文字が三つに分かれて貼られていた。
「殺人者」、「張」、「芬」はそれぞれ雑誌から切り抜いたもので、字のサイズも小さく規則的にカットされていた。
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ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。
全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは「よろひこー」!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
追伸
まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。
(。-人-。)
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