国民の監察医（こくみんのかんさつい）

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第0469話 後日談

進行度：335/x

江遠の目の前に、システムからのタスク通知が青みがかった色をさらに黒ずませていた。

寧台県警の刑事たちの協力ぶりは本当に驚異的だった。

江遠も本部で多額を費やしすぎないように、焼き鳥焼き野菜焼き肉類を持参した。

中国産の銘柄酒二ケースを添えて、まるで県民を一網打尽したようにタスク進行度が表示されていた。

寧台に数日滞在した江遠は刑事課全員を招き、技術捜査部や各部署の警官たちも招待した。

しかし刑務所から離れた後は効果が急降下。

同じ中華煙を配ったのに、刑事課時代の十分の一にもならない称賛しか得られなかった。

「明らかに皮笑骨踊りだ」

月曜日。

自宅で満腹になり、車も運転せず江永新率いるチームを再召集し、遠征地として石庭県へ向かった。

黄強民がエルファの外装を撫でながら懐かしそうに語る。

「若い頃は原チャリンコが好きだったんだよ。

最近また乗ってみたけど、曲がり角で転倒寸前だったな…」

「えむちゅう解体が遅れたからだろ」後席の牧志洋が笑いながら付け足す。

黄強民の顔が引き締まった。

「確かに最近は予算も潤沢だからね。

お前も無駄遣いしない方がいいよ」

「あいつらと仲良くしたいんだよ」と江遠が率直に答える。

「曲安で接待した時や刑事課でやった時は効果的だったんだ」

「まあ、みんなお前を信用してるからだ」黄強民は隠し事しない性格だ。

法医の視点で考えると黄強民の言葉には真実味を感じた。

しかし科学は仮説と検証が基本だから、石庭県警の幹部と会談後江遠は牧志洋に指示した。

「皆さんにお土産として中華煙を」

貧しい石庭県の仮設の部屋では警官3人が待機していた。

牧志洋が3本の煙草を配り、各人に一本ずつ渡すと警官たちは喜びながら言った。

「江課長は大変だね、この程度の贈答品で」

「えむちゅう産です」と江遠は以前と同じように返した。

警官たちが感心し続けている間に江遠はシステム画面を凝視していた。

タスク進行度は依然として335/xのまま動いていなかった。



人民警察という言葉が「人民の子息」という意味を持つのは、中国語特有の表現です。

石庭県警の職員たちが内輪で交わす会話には、地方公務員ならではの諦めとプライドが滲み出ています。

「清河市内の県庁舎は寧台県と石庭県が最も近い距離にある」という地理的関係を背景に、黄強民が隆利県との比較で示す「非隣接県同士の相互警戒」心理は、日本の地方警察署間でも共通する現象です。

白大佐の「交通検査もままならない」という発言には、地方官庁ならではの予算不足への不満が表れています。

江遠が「少年時代に『解体業者の子』という烙印を押された」という過去を回想する部分は、「システム」を持つ主人公としての成長物語の核心です。

無頭事件（**）という難題を提示される場面では、地方警察署の情報閉鎖性と都市部との格差が浮き彫りになります。

「少年時代に『解体業者の子』という烙印を押された」という表現は、中国語特有の社会的烙印概念を反映しています。

白大佐の「交通検査もままならない」という発言には、地方官庁ならではの予算不足への不満が表れています。

江遠が提示される無頭事件（**）という難題は、地方警察署の情報閉鎖性と都市部との格差を象徴しています。

黄強民が「非隣接県同士の相互警戒」心理を示す比較は、日本の地方警察署間でも共通する現象です。



六年前、馬家荘の村馬軍（ばくん）一家三口が殺害され、唯一の生存者は外出中の息子だった。

一命三屍の大事件ゆえに石庭県警全员が出動し市局も支援したが、結局未解決。

問題は犯行現場を発見したのが隣人であり、彼女の大声で全村が集まったことだ。

物証の散乱や他人の勝手な物品再整理により、指紋鑑定にほとんど活路がなかった。

三人殺害という状況から仇殺の可能性も考慮されれば、村民への疑いを排除するのは困難だった。

捜査ファイルには膨大な聴取録と証言記載があり江遠は目を通した。

調べ役が証人の前後矛盾点を探ろうとしていることに気づく。

「これじゃあ馬鹿みたいだよ」江遠はファイルを柳景輝に渡し写真を見た。

「こういうのこそ推理派向きだ」

柳景輝は受け取り興味深げに見た。

山南省の名探偵である彼は、推理愛好家の記述には少々鼻つまみ声だった。

臨時事務所が静かになった。

黄強民がお茶を注ぎながら江遠の煙草パッケージを開けた。

「最近こういう事件ばっかりだな」

白大隊長もタバコに火をつけた。

「これくらいの規模なら専門チームで半年はかかるだろう」

「再開したこともあったのか？」

「二回くらいね」

「江遠は最近似たような事件を何件かやったみたいだよ」

白大隊長が胸中でため息をついた。

「解決できたら話すさ」

黄強民も煙を吐きながら笑った。

「指定案件と自主案件では違うから、眉目が出たら必ず報告するさ」