国民の監察医（こくみんのかんさつい）

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第0677話 取調べ

犯人韓旭は五花大束で審問椅子に縛り付けられ、手足と背中が固く固定されていた。

彼の背後には時計があり、正面には三名の正座した警官とカメラ、その間に鉄柵がある。

窓のない密室は地下室のような湿っぽい匂いを放っていた。

韓旭はここが地下室だと推測し、映画のように窓を開けて逃げ出すかドアから飛び出るなどは不可能だと悟った。

彼は三人の警官と鉄柵、錠を破り、外部の地下室に進む必要があるが、外側の状況も分からない。

韓旭が数秒間胡乱な考えを巡らせた後、「人、確かに俺が殺した。

単独犯で同謀者はいない」と告白した。

審問警官は無表情に「では隠匿場所を話してくれ」と尋ねた。

「池塘に捨てたものと埋めたものがある。

お前たちも見つけていたはずだ」

「見つかったのは事実だが、万一間違っていたら確認が必要だ」警官は会話を続けるように優しく言ったが、本質的には韓旭をリラックスさせようとしていた。

彼は韓旭の供述を信じていなかった。

通常、韓旭のような殺人犯は容易に取り調べられるはずだった。

人は話したくなる欲求があり、殺人は「勝利」であるからだ。

少年・青年・中年・老年男性が相手を打ち負かした場合、その喜びは口に出すだけでなく何度も誇示するものだ。

連続殺人犯の場合、最初の殺害時は緊張や利益絡みがあるかもしれないが、その後は心理的な要素が伴う。

これは犯罪心理学の基礎の一つである。

韓旭のような殺人犯は以前は罰を避けるために黙っていたが、今捕まったからには何を言っても逃れられないと思い、感情を吐露する傾向があるはずだった。

しかし韓旭は冷静に警官を見やり、「お前たちが見つけていたならそれでいい。

俺の確認が必要とは思わない」

「冗談は止めてくれ！真面目に答えろ！」

隣の警官が厳しく責した。

韓旭は影響を受けず、笑いながら背中を椅子に預けた。

「お前らが横暴な態度取っても、俺はタオルで首を絞められて『ギャ』と」

韓旭は二本の歯を見せて笑った。

空港で客引きする黒塗りのワゴン車運転手のような表情だった。

「協力しないなら取り調べ室に連行するぞ」警官は内心焦っていたが、顔には表さなかった。

よく逮捕される人たちは看守所にいるより提訴の方が面白いと知っている。

準備や移動の煩わしさが看守所の規律を乱し、まるでゴールデンウィークのような気分になるからだ。

疲れる？とても疲れる。

楽しい？楽しくない。

また行く？行こう！

看守所には規律を保つための制度があり、小売店のスナック類は以前は金額で購入できたが、現在はポイント制での取引となり、一定のポイントが必要な商品のみ購入可能。

ポイント獲得方法は規則正しく振る舞うこと（取り調べ時の態度や表現も含む）。

韓旭の笑みは自然と引き締まった。

普段は誠実そうな顔で生計を立てていたが、3.2トンの荷台車で市内を走り回るのは決して楽なものではなく、時折荷物運搬にも手伝いながら、血のにじむような労働収入を得ている。

顧客と会う際には笑顔が必要だった。

凶暴な性格はほとんど見せない。

実際、殺害時は背後から絞め殺すことが多かった。

正面での対決は容易ではなかった。

「先ほど『池塘に遺体を捨てた』と言ったが、誰の遺体か？どの池塘か？」

取り調べ警官が詳細を尋ねる。

韓旭の曖昧な返答は全く効果を持たない。

警官たちにとって最も基本的な取り調べ技術は細部への質問であり、その編造は困難だった。

監視室では李浩辰が韓旭の取り調べを黙々と見守り、自身のプロファイリングと比較していた。

彼は犯人が単独行動であることを前提としていたが、実は共犯者が存在する可能性も考慮したことがある。

しかし墓穴に分けて埋葬された3具の遺体や、汚水溜池に放棄された遺体などは、組織犯罪には合わない性質だった。

例えば、複数人で坑を掘る作業はそれほど大変ではないはずだ。

李浩辰は共犯者が別々の行動を取っていることに気付いた。

具体的な手口については陶鹿を見つめ「韓旭の師匠、あの料理人の行方は？」

と尋ねた。

「見つかっていますよ。

店で働いています。

昼時は大勢客が来てます」陶鹿は腕時計を見て答えた。

彼は韓旭の師匠・梅鋼奏を監視しているが、逮捕には反対していた。

外見では梅鋼奏はただの普通の料理人で、韓旭との接点もほとんどない。

簡単な調査でも有力な証拠は出ていない。

二人の間のメッセージは短い文面のみで、共犯関係を立証するには不十分だった。

単に知り合いだからといって逮捕することはできない。

陶鹿の考えは韓旭が逮捕されたことを梅鋼奏に伝えた後に、その反応から証拠を得ることだった。

この方法には重大なリスクがあった。

もし梅鋼奏が逃亡に成功すれば、功罪どちらも問われる。

また自殺した場合でも責任を負わなければならなかった。



現在最も妥当な対応は逮捕後に審問を行うことだ。

審問が失敗しても梅鋼奏を起訴できない場合、陶鹿も手続き通りにやっている。

しかし正広署が近年解決した人命に関わる事件のうち、最も多くの容疑者を逮捕した事件に対し、陶鹿は単なる形骸対応にはしないつもりだった。

彼は上層部の意向を押し切って梅鋼奏の動きを待っていた。

『韓旭が逮捕されたことを知っているはずだな』と李浩辰が眉をひそめて言った。

『我々が韓旭を逮捕した際、隠すこともしなかったんだからね』

『彼は韓旭が自分を売り飛ばさないことを確信しているのかもしれない』陶鹿が監視室を見やった。

李浩辰は『確かに売り飛ばしてない。

牛刀の問題以外では我々もこの連続殺人事件に他人の関与があるとは気付かなかったんだ。

正直、この案件を自分が担当したとしても単独犯で良かったと思う。

梅鋼奏という師匠……彼が何を教えているのか分からないし、どこから来た教育法なのか』と続けた。

場内の数人の表情は重かった。

李浩辰の推測だが多くの人が同じように考えていた。

殺人経験がないのにどうして師匠になるんだ

梅鋼奏は今年47歳だ。

彼が殺人を始めた時期や止めることなく続けているのかどうか分からない。

あるいは……ずっと続けていたのか。

陶鹿の表情はさらに複雑だった。

彼は黄強民と10具の遺体を更新し、韓旭という弟子が6件もの命を奪ったのだ。