明ンク街13番地

きりしま つかさ

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第0134話「目覚め」

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もう遅い時間だ、カレンはベッドの背もたれに新聞を抱えながら見ていた。

アルフレッドには先に休ませて普洱とケビンが戻ってくると言ったが、帰る前にカレンは眠れない。

普通の人なら猫や犬が家から消えたと焦り出すだろうが、自分たちの猫と犬はペットの域を超えていた。

時計を見上げると三時半を回っていた。

俯き見てため息をつくと、新聞をめくった。

ようやく天台階段に音がした。

カレンが毛布を蹴って起き上がり、普洱を見た。

全身ずぶ濡れの普洱は床で体を振りながら水滴を跳ねさせている。

「ケビンは?」

「何か見てるみたいだ」

カレンが洗面所からタオルを持ってきて膝を下ろし、普洱に拭き始めた。

「何を見てるんだ?」

「二つの死体さ。

パヴァロ判官とミアーズ教の信者で、予想通りあのメモ書きのアンニだ」

カレンの手が止まった。

普洱は自分で体を擦り始める。

「死んだのか?」

「うん、秩序神教に殺されたんだ。

パヴァロさんが最初に鞭撃小隊に襲われて、アンニが助け出したんだけど、二人逃げた先で裁断官に遭遇して、裁断の剣で蜂の巣みたいに刺し貫かれたんだ」

カレンは手を動かしながら普洱の体を拭き続けた。

その時アルフレッドの足音が階段から聞こえた。

「ラジオ妖精、熱いコーヒーを淹れてくれないかな」

「了解です」

アルフレッドが下りてコーヒーを淹れる間、普洱は続ける。

「二つの死体は河に流されていて、俺とバカ犬が水に入れて隣の排水溝に隠したんだ。

でも鞭撃小隊はまだ探しているはずだから、今すぐ回収に行こう」

「危険な場所や発見されたらバカ犬が知らせてくれるさ。

往復で疲れたわね、バカ犬が喋らないなら帰って来て『ワンワン』連打させてみんなを混乱させるより、俺は死体を見張っていたんだ」

「ケビンは書くよ」

「犬の文字よりも直接『ワンワン』の方が早いだろ」

「じゃあ行こう」カレンがタオルを投げ捨てて立ち上がった。

アルフレッドがコーヒーを持って階段に上がる。

「コーヒーを一息に飲むのは危険だ、熱いんだからゆっくり味わうべきだよ」

アルフレッドは笑って「氷を入れたから冷たいのをどうぞ」と言いながらカップを手渡した。

……

アルフレッドが運転し、カレンは普洱を抱いて助手席に座っていた。

普洱が大まかな場所を示し、近づいたら正確な指示をすると言った。

「車はゆっくり走らせないで」カレンが注意した。

「何か見つかるように見えないように」

「はい、おやじさん」

「そこだ、その斜面の下」

「了解。

斜面に駐車するよ」



車が停まった直後、斜面を上る金毛が現れた。

カレンはドアを開けて降り、「安全か?」

と尋ねた。

ケビンが頷いた。

周囲を見回したカレンが「早めに動こう」と言い出した。

「お主は車のままにして、俺が遺体を運ぶ。

搬送したらすぐ帰る。

これが最速だ」

「よし」

アルフレッドとケビンが斜面を下りた後、カレンは運転席に座り、プーアルが膝に乗った。

カレンが車内ラジオを点けた。

哀愁のバラードが流れている。

メロディーも歌詞も平凡で特徴がない曲だった。

次にカレンはタバコを取り出し、火をつけ手に持つとシートを下ろし右足を組み、窓を開いた。

雨が降り込み、顔と上半身を濡らす。

煙は車のドア下部で消えない。

「どうしたんだ?」

プーアルが尋ねた。

「カモフラージュだ」

「君は本当に用心深いわ」

「良い習慣だよ」

カレンは手に持った燃えるタバコを何度か振り回し、失恋したように雨夜の路肩で車を停め、胸中で哀愁を表現していた。

煙がほとんどなくなったところで捨て、また一本取り出して挟む。

プーアルは「君をからかいようと思ったけど」と言いかけた瞬間、カレンの膝に顔を向けながら口を開けて彼の大腿を嚙み付けた。

カレンが首を上げてラジオの歌詞に合わせて大きな声で歌い始めた。

調子はずれていたが、その声は大きかった。

車外の反光鏡には黒影が一瞬映り、傘を差した黒衣の男が通り過ぎた。

速足だった。

しばらくするとプーアルが体をひっくり返し「本当に会えるのか?」

と驚いたように言った。

「秩序神教の人か?」

「分からないけど、司祭は確かだ。

近くに深淵神教の礼堂がある」

その頃金毛が路上に出た。

左右を見回してから下に戻り、アルフレッドが二つの遺体を運んでくると同時にカレンは後部ドアを開けた。

アルフレッドが遺体を全て後席に置き、そのまま車の屋根から飛び降りて副驾驶席に座った。

ケビンは窓から跳び込みアルフレッドが受け止めた。

カレンがすぐに車を発進させた。

帰路ではカレンが頻繁にミラーを見ながら速く走行し、アルフレッドはラジオのボリューム調整を続け赤い目をしていて、金毛は窓から外を観察していた。

車内は静かで皆が警戒しながら周囲を探っていた。

アパートマンションに到着後、アルフレッド一人で遺体を階段で運び上げた。

カレンはタオルで後席の血痕を拭き取り、家に入り二階へ向かった。

アルフレッドはパヴァロとアンヌの遺体を洗面所に安置した。



カレンがようやく二人の死体をじっくり観察する機会を得たのは、その時からだった。

パヴァロ先生は最も惨憺な状態で、全身に無数の傷跡があった。

あれらは最初の戦闘時にできたものだろう。

一方アニー・レディーには一つだけの傷口があり、裁決の剣が貫いた痕跡だった。

さらに彼女の額には眉心を貫く穴が存在し、その白いタイルにまで光を通すほど深かった。

パヴァロ先生にも多くの傷口はあったが、頭部には欠損はなかった。

金毛はバスマットを引きずり出して地面に敷き、横たわって自分で拭き始めていた。

アルフレッドが尋ねる。

「主人様、『蘇醒』できるでしょうか?」

カレンは首を横に振った。

「傷の深刻さからすれば、成功する可能性は低いです」

「ワン!」

(二人の死体は保管用素材として価値がある)

ブルーが金毛を見つめて訳した。

「彼は残念だと言っている」

カレンが頷いた。

「でも試してみる価値はあるわ」

アルフレッドは洗面所のドアに退き、ブルーも同じ位置へ移動。

金毛はバスマットを口にくわえてドア脇まで運んだ。

カレンはまずアニー・レディーから『蘇醒』を試すことにした。

頭部の傷を除けば、彼女の損傷度はパヴァロ先生より軽かったからだ。

『蘇醒』の原理は死体に残る霊性エネルギーを覚醒させることで、記憶はその中に保存されている。

脳とはほとんど関係ない。

カレンは目を閉じ、過去の試みを思い出し始めた。

瞬く間に彼女の足元に黒い鎖が現れ、彼女を中心に回転し始めた。

前回のレカルド伯爵との時と違い、今回はより活性化した動きで、洗面所の地形に応じて自動調整していた。

カレンは目を開け、アニー・レディーを見つめながら指を向けた。

「偉大なる秩序の神よ、ここに貴方の力を借りて、この存在を目覚めさせます!」

鎖が彼女の遺体へ伸びていき、しばらくすると再びカレンの足元に戻ってきた。

カレンは言った。

「残っている霊性エネルギーは私の予想より遥かに少ないわ」

ブルーが口を開いた。

「それは裁決の剣のせいでしょう。

その剣は殺すだけでなく、体内の他の残留物も消去します。

ある意味で浄化を完了させるのです」

アルフレッドが続けた。

「つまりこれは高品質な浄化後の肉体ですね?」

(異魔にとっては重要な素材です。

モリー・レディーのように自分の身体を再構築するのに使います)

アルフレッドはさらに言った。

「パヴァロ先生の場合はもっと酷い状態で、裁決の剣も貫いていたでしょう」

カレンが頷きながら、パヴァロ先生の遺体に向かって呪文を唱えた。

「偉大なる秩序の神よ、ここに貴方の力を借りて、この存在を目覚めさせます!」

足元の鎖は彼の遺体へ伸びていき、これはカレンにとって一種の完結形だった。

成功率は低いと分かっていても、儀式を執るだけでも意義があったのだ。

しかし驚くべきことに、黒い鎖が彼の体内に没入すると、その遺体が軽く震え始めた。

『蘇醒』への兆候が明確に現れていた!

ブルーが疑問を投げた。

「どうして彼の霊性エネルギーは完全に消去されなかったのでしょう?」

カレンはその光景を見つめながら答えた。

「それは、彼がまだ生きていたからです」

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