129 / 288
0100
第0135話「私の顔を、君に!」
しおりを挟む
パヴァロの遺体が激しく震える動きを始めると、カルンは顔を下げて足元の鎖を見つめた。
その鎖は黒から赤へと色を変え始めていた。
この光景はカルンがレカール伯爵を目覚めさせた時にも見られたものだった。
カルンはその後に続く他の色や能力があるはずだと考えていたが、今度も鎖は赤で止まり新たな変化を見せなかった。
神僕から神牧へと昇格した自分だが、鎖の色がさらに進まないのは境界の問題か、それとも問題が境界だけでは解決しない何か別の理由によるのか。
カルンは首を傾げた。
その時、パヴァロの遺体から霊性エネルギーが集まり始めた。
それは沸騰寸前まで煮詰まったお茶のように泡立っていた。
カルンの視界に虚影が広がり、その情景と洗面所内の光景がずれた。
彼はゆっくりと目を閉じた。
目の前の景色は瞬時に鮮明になった。
カルンが洗面所で目を閉じている間、ドアの外にいたパウール、ケビン、アルフレッドの三人から見れば、カルンの雰囲気が変わっていた。
それは少し神々しい信仰心のある信者や演技力の高い俳優なら真似できる程度の変化だった。
しかし今回はカルンが体勢も変えた。
彼は身を軽く揺らしながら手を前に上げ、音楽に聴き入るようにしていたか、あるいはオーケストラの指揮のように見えた。
これは今まで見たことのない光景だった。
アルフレッドは普洱とケビンに合わせてしゃがみ込みながら小声で尋ねた。
「お主は今何をなさっているのか?」
パウールは推測した。
「音楽を聴いているのか?」
アルフレッドは首を傾げた。
「でも私は何も聞こえない。
」
すると三人はケビンがバスタオルに寝そべっている姿を見やった。
普洱も認めざるを得なかった。
この愚かな犬は邪神として最も多くの世間話をしているのだから。
アルフレッドはケビンのためバスタオルを手に取り、優しく拭き始めた。
ケビンは洗面所のカルンを見て「ワン」と繰り返し鳴いた。
アルフレッドは普洱を見た。
以前の経験からアルフレッドは今回のケビンの発言が長かったと感じていた。
普洱は翻訳した。
「音楽を聴いているが、この世界には曲譜や歌詞を持たない『声』もあれば、人間が操作する楽器以外で美しい音色を奏でるものもある。
風が谷間を駆け抜ける音や雨が街の路面に打つ音など……カルンは今より高い次元の歌声を聴いている。
彼は『祈り』を聴いているのだ。
」
「なるほど」
アルフレッドは納得したが驚きの表情は見せなかった。
お主が祈りを聴くのはごく普通のことだと思っていたからだ。
普洱はケビンを見やりながら尋ねた。
「生まれつきなのか?」
ふと、生まれつきの神々であればカレンはかつて偉大だった存在の再来となるが、そのような事例は過去にも存在し、記録には数多く残っている。
正統的大教団はこれまでにも『神々』の降臨を受け入れた例が少なくない。
その高い地位にあった神々は自身の必要や他の理由から再び人間界で生まれ変わる必要があり、生まれ変わる前には「神託」や教会の神器の反応を通じて当該教団に予知を告げる。
基本的に産まれる前に産房外には父親以外にも一連の神教の高位長老が立っている。
子供が産まれた瞬間、その子は即座に引き取られ、元の家庭も世俗的・非世俗的な補償を得る。
社会的に見ればこれは名誉なことであるため、これらの物語では生まれたばかりの子を失った親が『悲しみ』や『別れへの執着』を感じることは稀であり、これは意図的に抹殺されたわけではなく、感情の方向性が異なるからだ。
ただし「降臨神」と呼ばれる存在はその教団の『主神』ではなく、支流の神々に当たる。
第一の壁画で主神の背後に並ぶ一連の人物たちのようなものだ。
真の『主神』の再来については記録にはなく、仮にあったとしても公表されないだろう。
なぜなら教団にとって最大の支柱が存在しない状態は存亡の危機を意味するからだ。
「ワン」とケビンが答えた。
「でも、もしかしたら模倣なのでは?」
とプールが疑問を投げかける。
「その模倣像とは誰の?」
ケビンの口からは笑みが漏れた。
アルフレッドによる体の拭き取りで快感を得たのか、それとも単にその瞬間に笑いたかは分からない。
「ワン」と答えるだけだった。
「でも、誰なの?」
プールは再びカレンを見つめた。
「今の姿は『秩序の神』を模倣しているのではないか?」
カレンは家の中のペットと男僕が話していることに気付いていない。
彼は天に浮かぶような感覚と同時に土の中に根ざしたような奇妙な状態に陥っていた。
これは非常に不思議で滑らかな視点の切り替えであり、非常に微細ながらも完全に包み込むようなものだった。
カレンはエヴァ・ケーキ店の小部屋でパヴァロ氏がアンニェ夫人に新しいメモを手渡している様子を見た。
その後パヴァロ氏はポケットから40レルを取出し、アンニェ夫人の前に置いた。
「20」
「いいえ、40」
「年を取ったものだから若い連中と同じ価格ではない」
「技術は歳月の積み重ねだ」
アンニェさんはパヴァロ氏に白い目を見せて言った。
「もうブルーブリッジ地区で見つかったとわかった。
近々終わると思うよ、貴方の死期が」
「そんな大げさなものはない。
今は停職調査中で次は逮捕されるだろう。
私の審判を下すのは訴訟法官だ。
その日を楽しみにしている」
「自分自身を騙すだけでは意味がないわ」アンニェさんは笑った。
「人間は『意義』のために生きているのではない。
もし『意義』がなければ生きていくことができないならこの世にはほとんど誰も残らないだろう。
『意義』は生活の一種の飾り付けに過ぎないのよ」
「パヴァロ、貴様は哀しいと思わないのか?秩序の教会の審判官としての貴様が今向かい立っているのも、同じく秩序の教会の人間だ」
「彼らが秩序から背を向けたその時から、既に秩序の教会の者ではなかったのだ」
「『もう一人』などと言うのは無駄だ。
神々しい秩序の神様に言われる必要があるんだ。
只残念なことに、神々の耳と目はあまり効き目がないようだ」
「私はその耳であり、その目なのだ」
パヴァロが真摯に告げた。
「秩序を賛美せよ!」
すると外から女声が調子よく響いた。
「アンニ姉さん、出てきたの?パヴァロ先生の仲介人が車で迎えに来たわよ」
「アンニは腕がいいから早く出たの。
それに余分に一回サービスしたわ」
パヴァロが笑って隔間のドアを開け外に出ると煙を吸いながら点心店のドアを開き外に出た。
地上に痰を吐いた。
「おやじさん」
「おやじさん、迎えに来たんだよ」
パヴァロは怒鳴った。
「まだ終わってないのに催促するな!」
カルンが視線を調整すると霊車の後ろに自分が借りたアレヤの青い中古ベンツが停まっているのが見えた。
カルンが自分の姿を見ようとしたその時、周囲の環境が変わった。
パヴァロが煙を吸いながら黒い中古ベンツの横で立っているのを見る。
カルンは自分が車内に座り手にタバコを挟んでいるのを目撃した。
パヴァロは半分吸ったタバコを地面に捨て唾を吐き足で踏みつけ両方の黒服の人間に向かって腕を上げた。
手錠が回されパヴァロの身体が震えながらも頬を上げ叫んだ。
「秩序を賛美せよ!」
画面が再び変わった。
カルンは目の前に闇を見た。
風の音と水の音は聞こえたが目を開くことはできなかった。
するとパヴァロの声が前方から響いた。
「我が絶対的忠誠を以て、貴方の偉大なる名を唱え奉り、今この時貴方の眼を開いてください。
貴方の視線がこの世に降り注ぐことを願います
禁じよ、秩序の目!」
カルンは目の前の闇が少しだけ拭き取られたと感じたが残りの黒い粘着質は依然として視界を遮っていた。
彼が目を開こうとしたが叶わなかった。
「パヴァロ、貴様は馬鹿だ!」
アンニの罵声が響いた。
「ただ奇跡に願うだけでも、そして後悔なく終わらせたいだけなんだ」
するとカルンはアンニの詠唱を聞き側面から水の音が激しくなり次いで恐ろしい破空音が周囲の雑音を圧倒した。
「ドォン」
「ドォン」
二つの身体が地面に倒れる音が響き
その後
橋桁を洗う川の流れの音が聞こえた。
……
「フッ……」
カルンは目を開け盥洗室に立っていた。
振り返るとアルフレッドとプール・ケビンが自分を見ていた。
パワローノ・セントラルの死体が目を開けた時、カルンを見やった。
「起きたのか、パワローノ様」
パワロは返事をせず、起き上がろうとしたが、その損傷度合いとトイレの床の滑り具合で無理だった。
彼はただ地面を這い回るしかなかった。
アルフレッドがそっと近づき、死体を抱え上げてバスタブに放った。
パワロは壁面に座りながら周囲を見回した。
最初は不審そうにあたりを見渡し、
次に自分の身体をじっくりと観察し、
最後に床に横たわる動かないアニーの死体に視線が止まった。
「これが……『再生』か?」
「ええ」カルンが答えた。
パワロはカルンを見つめた。
「普通の人じゃないことは知っている。
でもまさか、貴方も秩序を信じているとは……今なら『大人』と呼びかけるべきか?」
これはレカール伯爵と同じ既定概念の誤りだった。
当然、パワロが自身の実力評価をレカールより低く見るのは、彼の再生に必要な代償とレカールの再生の難易度が雲泥の差があったからだ。
「いいや、私はただの神牧です。
呼びかけたいなら貴方こそ『大人』と」
「冗談は止めてくれよ?」
「なぜ死人に嘘をつく必要があるかね」
「もっともな話だ」パワロはその説明に納得し、アニーの方へ指を向けた。
「彼女は……再生できないのか?」
「試みたが、損傷度と裁断の剣による傷で霊性が完全に消滅している。
再生不能よ」
「じゃあ私なら?」
「貴方には信仰問題があるから、裁断の剣が見逃してくれたんだろう。
だからこそ再生できたんだ」
「まあいいか」パワロは顔を向けた。
「彼女に葬儀をあげられるのは良かった」
「今はまだ条件が揃わない。
事件は終わってないんだ」
「貴方は調査を続けるのか、神牧?」
「そうだ」
「自信があるのか?」
「もしもあれば、暗やかに死体を持ち込んで再生させる必要はないだろう。
私はただ再生術に長けているだけだ。
他は普通の神牧さ。
あと、貴方のメモは読み終えたよ」
「アニーが『君は正義と責任感で説得された』と言ったのは?」
「それは中傷だ。
アニー様は私の正義と責任感に感銘を受けたんだ」
「ふん」
「タデル・セントラルの織物工場へ行くぞ。
彼は違法移民労働者の募集を担当している。
そこから手がかりを見つけるかもしれない」
「見つけたらどうする?」
パワロが尋ねた。
「報告できる手段はあるのか?」
「ない。
正直に言うと、私の身分も特殊で、最も避けたいのは秩序神教だよ」
「見つけたらどうする?貴方には手がかりを見つけた後の策があるのか?」
「まずは見つけてみよう。
見つかればその時考えるさ」
パワロは床のアニーを指差した
「アンニはそのことのために死んでいたんだよ、私も同じようにね。
この覚醒が続くのは三日かそこらだ。
たぶんそれより短いかもしれない」
「おれを諫めているのか?」
「まあそういうところだな」
「意外だったぜ、おまえがそんなことを言うなんて」
「おれは先ほど自分で言ったように、おれの身分は『秩序神教』に属さない存在なんだ。
なぜならおれは『秩序』を信仰しているからだ」
パヴァロは黙り込んだ
「確かに今は『秩序神教』に属していないが、私は『秩序』そのものに従っているんだ」
カレンはパヴァロの視線を感じた。
彼の言外の意味を悟ったようだった
「アンニ様の遺体を清める手伝いをしてやろうか?アルフレッド、ホーフェン先生のノートには防腐用の呪文があるかね?」
「ありますよ、ご主人様。
ベリーテスト教団の簡単な呪文で、身体の活性を保つ効果があります。
一般的にその教団の信者さんが美容のために使うものですね」
「まずはおれの体を拭いてくれないか?」
「承知しました」
「私は軽く拭き流し、少しゆったりとした服に着替えるだけだ。
この洗面所はアンニ様への敬意で、貴方とアンニ様に譲るべきだろう」
「分かりました。
うちも葬儀屋だからな、よくそういう手伝いをするからね。
アルフレッド、ゆったりした服を用意してくれ」
「はい、ご主人様」
ブルーとケビンが洗面所の外に戻りベッドルームに帰ってきた
「三日しか持たないんだぜ」
「ワン」
「パヴァロかカレンか?」
「ワン ワン」
「カレンだ。
そうだな、もしレカルドがずっとついてきてくれたら、多くのことが簡単になるだろう」
ケビンの顔に笑みが浮かんだ
「ワン」
「羽根の下の小さなヒナはいつまでも成長しないものさ。
いいや、私は貴方のその言葉を黒いノートに記すことを提案するよ」
ケビンは自分の犬小屋へ向かい尻尾を振ってから目を閉じた。
本当に疲れていたようだ
ブルーもベッドに飛び乗り横になった
反対側の洗面所ではカレンが浴槽の中のパヴァロ様の体を清めていた。
主に血痕と汚れを落としている
「これらの穴は見慣れないな、風で吹かれて笛のように音を出すんじゃないか?」
「そうなるにはもっと多くの穴が必要だ。
高低音域を作り出せるくらいならね」
「おれの祖父も貴方と同じく審判官だったんだぜ」
「そうなのか、それも納得がいく」
「ご主人様、服です」
「置いておけ」
「はい、ご主人様」
カレンはパヴァロ先生を浴槽から支え、隣の椅子に座らせた。
乾いたタオルで体を拭き終えると、服を着せる作業を始めた。
このプロセスには違和感がなかった。
マリーおばあさんが男客の遺体に化粧をするように、カレンが今やっていることも同じことだった。
「一つ気づいたことがありますが、メモには記載されていません」
「どうぞ」
「血霊粉の収益だけでは訴法官(ソフ・ファウ)までも関わるはずがない。
むしろルク裁決官(ルク・ゼーディア)ですら見向きもしないような規模でしょう。
その場所が存在する理由は、何かより特殊な要望を満たすためだと考えています」
「どのような要望でしょうか?」
「大量の女性を拘束し、ずっと苦痛を与える……血霊粉と経血(ケイブ)を使って何かを吸収したり精製したりするのではないか。
下級者たちが自分たちの利益のために勝手に付け加えたのでしょう」
「訴法官様ですか?」
「その訴法官様は、もう迷いきっていると思います」
「事件の性質が一変しましたね」
「ええ、もっと深刻になりました」パヴァロが言った。
「単なるポイント券の利害関係ではなくなっています。
あなたはまだ調査を続けますか?」
「当然です」カレンは笑った。
「凍死寸前でも雪崩に怯えるほどではないですから」
「秩序神教(オーダー・シンゴウ)に入会しますか?」
「入れるでしょうが、別の身分で。
私自身は直接入ることはできません」
「一つ提案があります」
「どうぞ」
「この事件が無事に終息すれば、私の地位をあなたに譲り渡します」
「冗談ですよね?」
「本気です。
なぜなら、あなたが秩序神教に入らないのは、秩序そのものへの損失だと感じているからです。
あなたの何らかの事情で身分が敏感になっているのかは分かりませんが、私は確信しています——あなたは秩序神教の道を歩むべきなのです。
いずれにせよ、私にはあと数日しか残りません。
この地位はあなたに譲るべきでしょう」
「その実現可能性はさておき、あなたは本当に私を善人だと思ってるんですか?」
「断言します」パヴァロが言った。
「私が目覚めた時、感じたもの——千言万語の説明や飾りよりずっと効果的だったものです」
「私は経験がないので分かりません」
「実現可能性はあります。
私の顔皮を切り取り、マスクを作ればいいのです」
「ふっ」カレンが笑った。
「ごめんなさい、意図的に笑っているわけではありません。
でも本当に我慢できません」
「あなたも秩序の道を行っています。
私の顔皮を被り、私の地位に就けば——家族以外は気づかないでしょう。
外では、私はあまり友達がいませんし、誰かと仲良くするのも嫌いです
さらに私にもプライドがあります。
私の二人の重症の娘のために——心臓病のエマと腎臓移植が必要なリサのために。
彼らに対してずっと後悔しているからです」
「分かりました」カレンはパヴァロ先生に服を着せ終えた。
「お付き合いしましょうか?」
「冗談は言ってない、完璧な偽装を作るなら皮一枚だけじゃ済まないんだよ。
約クシティにいる男が、息まで真似できるほどの皮を作れる。
俺も以前一件で接触したけど、性格が悪いし秩序神教を嫌ってるみたいだ。
外人用の審判官の皮を作ってもらうのは大リスクだけど、彼女なら頼む価値があるかもしれない」
「違います」カレンはパヴァロを見つめながら尋ねた。
「あなたが私に対して、あまりにも優しい気がします」
「目覚めた時、何か見たのか?」
パヴァロが訊いた
カレンは頷いた
「私も……いくつか見た。
神啓の瞬間と神牧の瞬間に」
カレンの表情が引き締まった
パヴァロが続けた
「あなたの考え方は認められないけど、秩序への誠実さと敬意は認めている。
昨晩出会った連中より、あなたこそ『秩序を賛美』と叫ぶに相応しい」
「ありがとうございます」カレンが言った
「感謝するのは私です」パヴァロは微笑んだ。
「死ぬ直前アニーが言っていたように、君らしくて希望を見た。
友人の贈り物だと思って受け取ってくれよ。
ありがたいことに私の顔も穴あきにならなかったわね、ほほえみ」
「あなたもそうでしょう」カレンが言った
「彼女は頑固だからな」パヴァロは笑った。
「二丁目の王様通りに陶芸館がある。
レーマル陶芸館だよ」
その鎖は黒から赤へと色を変え始めていた。
この光景はカルンがレカール伯爵を目覚めさせた時にも見られたものだった。
カルンはその後に続く他の色や能力があるはずだと考えていたが、今度も鎖は赤で止まり新たな変化を見せなかった。
神僕から神牧へと昇格した自分だが、鎖の色がさらに進まないのは境界の問題か、それとも問題が境界だけでは解決しない何か別の理由によるのか。
カルンは首を傾げた。
その時、パヴァロの遺体から霊性エネルギーが集まり始めた。
それは沸騰寸前まで煮詰まったお茶のように泡立っていた。
カルンの視界に虚影が広がり、その情景と洗面所内の光景がずれた。
彼はゆっくりと目を閉じた。
目の前の景色は瞬時に鮮明になった。
カルンが洗面所で目を閉じている間、ドアの外にいたパウール、ケビン、アルフレッドの三人から見れば、カルンの雰囲気が変わっていた。
それは少し神々しい信仰心のある信者や演技力の高い俳優なら真似できる程度の変化だった。
しかし今回はカルンが体勢も変えた。
彼は身を軽く揺らしながら手を前に上げ、音楽に聴き入るようにしていたか、あるいはオーケストラの指揮のように見えた。
これは今まで見たことのない光景だった。
アルフレッドは普洱とケビンに合わせてしゃがみ込みながら小声で尋ねた。
「お主は今何をなさっているのか?」
パウールは推測した。
「音楽を聴いているのか?」
アルフレッドは首を傾げた。
「でも私は何も聞こえない。
」
すると三人はケビンがバスタオルに寝そべっている姿を見やった。
普洱も認めざるを得なかった。
この愚かな犬は邪神として最も多くの世間話をしているのだから。
アルフレッドはケビンのためバスタオルを手に取り、優しく拭き始めた。
ケビンは洗面所のカルンを見て「ワン」と繰り返し鳴いた。
アルフレッドは普洱を見た。
以前の経験からアルフレッドは今回のケビンの発言が長かったと感じていた。
普洱は翻訳した。
「音楽を聴いているが、この世界には曲譜や歌詞を持たない『声』もあれば、人間が操作する楽器以外で美しい音色を奏でるものもある。
風が谷間を駆け抜ける音や雨が街の路面に打つ音など……カルンは今より高い次元の歌声を聴いている。
彼は『祈り』を聴いているのだ。
」
「なるほど」
アルフレッドは納得したが驚きの表情は見せなかった。
お主が祈りを聴くのはごく普通のことだと思っていたからだ。
普洱はケビンを見やりながら尋ねた。
「生まれつきなのか?」
ふと、生まれつきの神々であればカレンはかつて偉大だった存在の再来となるが、そのような事例は過去にも存在し、記録には数多く残っている。
正統的大教団はこれまでにも『神々』の降臨を受け入れた例が少なくない。
その高い地位にあった神々は自身の必要や他の理由から再び人間界で生まれ変わる必要があり、生まれ変わる前には「神託」や教会の神器の反応を通じて当該教団に予知を告げる。
基本的に産まれる前に産房外には父親以外にも一連の神教の高位長老が立っている。
子供が産まれた瞬間、その子は即座に引き取られ、元の家庭も世俗的・非世俗的な補償を得る。
社会的に見ればこれは名誉なことであるため、これらの物語では生まれたばかりの子を失った親が『悲しみ』や『別れへの執着』を感じることは稀であり、これは意図的に抹殺されたわけではなく、感情の方向性が異なるからだ。
ただし「降臨神」と呼ばれる存在はその教団の『主神』ではなく、支流の神々に当たる。
第一の壁画で主神の背後に並ぶ一連の人物たちのようなものだ。
真の『主神』の再来については記録にはなく、仮にあったとしても公表されないだろう。
なぜなら教団にとって最大の支柱が存在しない状態は存亡の危機を意味するからだ。
「ワン」とケビンが答えた。
「でも、もしかしたら模倣なのでは?」
とプールが疑問を投げかける。
「その模倣像とは誰の?」
ケビンの口からは笑みが漏れた。
アルフレッドによる体の拭き取りで快感を得たのか、それとも単にその瞬間に笑いたかは分からない。
「ワン」と答えるだけだった。
「でも、誰なの?」
プールは再びカレンを見つめた。
「今の姿は『秩序の神』を模倣しているのではないか?」
カレンは家の中のペットと男僕が話していることに気付いていない。
彼は天に浮かぶような感覚と同時に土の中に根ざしたような奇妙な状態に陥っていた。
これは非常に不思議で滑らかな視点の切り替えであり、非常に微細ながらも完全に包み込むようなものだった。
カレンはエヴァ・ケーキ店の小部屋でパヴァロ氏がアンニェ夫人に新しいメモを手渡している様子を見た。
その後パヴァロ氏はポケットから40レルを取出し、アンニェ夫人の前に置いた。
「20」
「いいえ、40」
「年を取ったものだから若い連中と同じ価格ではない」
「技術は歳月の積み重ねだ」
アンニェさんはパヴァロ氏に白い目を見せて言った。
「もうブルーブリッジ地区で見つかったとわかった。
近々終わると思うよ、貴方の死期が」
「そんな大げさなものはない。
今は停職調査中で次は逮捕されるだろう。
私の審判を下すのは訴訟法官だ。
その日を楽しみにしている」
「自分自身を騙すだけでは意味がないわ」アンニェさんは笑った。
「人間は『意義』のために生きているのではない。
もし『意義』がなければ生きていくことができないならこの世にはほとんど誰も残らないだろう。
『意義』は生活の一種の飾り付けに過ぎないのよ」
「パヴァロ、貴様は哀しいと思わないのか?秩序の教会の審判官としての貴様が今向かい立っているのも、同じく秩序の教会の人間だ」
「彼らが秩序から背を向けたその時から、既に秩序の教会の者ではなかったのだ」
「『もう一人』などと言うのは無駄だ。
神々しい秩序の神様に言われる必要があるんだ。
只残念なことに、神々の耳と目はあまり効き目がないようだ」
「私はその耳であり、その目なのだ」
パヴァロが真摯に告げた。
「秩序を賛美せよ!」
すると外から女声が調子よく響いた。
「アンニ姉さん、出てきたの?パヴァロ先生の仲介人が車で迎えに来たわよ」
「アンニは腕がいいから早く出たの。
それに余分に一回サービスしたわ」
パヴァロが笑って隔間のドアを開け外に出ると煙を吸いながら点心店のドアを開き外に出た。
地上に痰を吐いた。
「おやじさん」
「おやじさん、迎えに来たんだよ」
パヴァロは怒鳴った。
「まだ終わってないのに催促するな!」
カルンが視線を調整すると霊車の後ろに自分が借りたアレヤの青い中古ベンツが停まっているのが見えた。
カルンが自分の姿を見ようとしたその時、周囲の環境が変わった。
パヴァロが煙を吸いながら黒い中古ベンツの横で立っているのを見る。
カルンは自分が車内に座り手にタバコを挟んでいるのを目撃した。
パヴァロは半分吸ったタバコを地面に捨て唾を吐き足で踏みつけ両方の黒服の人間に向かって腕を上げた。
手錠が回されパヴァロの身体が震えながらも頬を上げ叫んだ。
「秩序を賛美せよ!」
画面が再び変わった。
カルンは目の前に闇を見た。
風の音と水の音は聞こえたが目を開くことはできなかった。
するとパヴァロの声が前方から響いた。
「我が絶対的忠誠を以て、貴方の偉大なる名を唱え奉り、今この時貴方の眼を開いてください。
貴方の視線がこの世に降り注ぐことを願います
禁じよ、秩序の目!」
カルンは目の前の闇が少しだけ拭き取られたと感じたが残りの黒い粘着質は依然として視界を遮っていた。
彼が目を開こうとしたが叶わなかった。
「パヴァロ、貴様は馬鹿だ!」
アンニの罵声が響いた。
「ただ奇跡に願うだけでも、そして後悔なく終わらせたいだけなんだ」
するとカルンはアンニの詠唱を聞き側面から水の音が激しくなり次いで恐ろしい破空音が周囲の雑音を圧倒した。
「ドォン」
「ドォン」
二つの身体が地面に倒れる音が響き
その後
橋桁を洗う川の流れの音が聞こえた。
……
「フッ……」
カルンは目を開け盥洗室に立っていた。
振り返るとアルフレッドとプール・ケビンが自分を見ていた。
パワローノ・セントラルの死体が目を開けた時、カルンを見やった。
「起きたのか、パワローノ様」
パワロは返事をせず、起き上がろうとしたが、その損傷度合いとトイレの床の滑り具合で無理だった。
彼はただ地面を這い回るしかなかった。
アルフレッドがそっと近づき、死体を抱え上げてバスタブに放った。
パワロは壁面に座りながら周囲を見回した。
最初は不審そうにあたりを見渡し、
次に自分の身体をじっくりと観察し、
最後に床に横たわる動かないアニーの死体に視線が止まった。
「これが……『再生』か?」
「ええ」カルンが答えた。
パワロはカルンを見つめた。
「普通の人じゃないことは知っている。
でもまさか、貴方も秩序を信じているとは……今なら『大人』と呼びかけるべきか?」
これはレカール伯爵と同じ既定概念の誤りだった。
当然、パワロが自身の実力評価をレカールより低く見るのは、彼の再生に必要な代償とレカールの再生の難易度が雲泥の差があったからだ。
「いいや、私はただの神牧です。
呼びかけたいなら貴方こそ『大人』と」
「冗談は止めてくれよ?」
「なぜ死人に嘘をつく必要があるかね」
「もっともな話だ」パワロはその説明に納得し、アニーの方へ指を向けた。
「彼女は……再生できないのか?」
「試みたが、損傷度と裁断の剣による傷で霊性が完全に消滅している。
再生不能よ」
「じゃあ私なら?」
「貴方には信仰問題があるから、裁断の剣が見逃してくれたんだろう。
だからこそ再生できたんだ」
「まあいいか」パワロは顔を向けた。
「彼女に葬儀をあげられるのは良かった」
「今はまだ条件が揃わない。
事件は終わってないんだ」
「貴方は調査を続けるのか、神牧?」
「そうだ」
「自信があるのか?」
「もしもあれば、暗やかに死体を持ち込んで再生させる必要はないだろう。
私はただ再生術に長けているだけだ。
他は普通の神牧さ。
あと、貴方のメモは読み終えたよ」
「アニーが『君は正義と責任感で説得された』と言ったのは?」
「それは中傷だ。
アニー様は私の正義と責任感に感銘を受けたんだ」
「ふん」
「タデル・セントラルの織物工場へ行くぞ。
彼は違法移民労働者の募集を担当している。
そこから手がかりを見つけるかもしれない」
「見つけたらどうする?」
パワロが尋ねた。
「報告できる手段はあるのか?」
「ない。
正直に言うと、私の身分も特殊で、最も避けたいのは秩序神教だよ」
「見つけたらどうする?貴方には手がかりを見つけた後の策があるのか?」
「まずは見つけてみよう。
見つかればその時考えるさ」
パワロは床のアニーを指差した
「アンニはそのことのために死んでいたんだよ、私も同じようにね。
この覚醒が続くのは三日かそこらだ。
たぶんそれより短いかもしれない」
「おれを諫めているのか?」
「まあそういうところだな」
「意外だったぜ、おまえがそんなことを言うなんて」
「おれは先ほど自分で言ったように、おれの身分は『秩序神教』に属さない存在なんだ。
なぜならおれは『秩序』を信仰しているからだ」
パヴァロは黙り込んだ
「確かに今は『秩序神教』に属していないが、私は『秩序』そのものに従っているんだ」
カレンはパヴァロの視線を感じた。
彼の言外の意味を悟ったようだった
「アンニ様の遺体を清める手伝いをしてやろうか?アルフレッド、ホーフェン先生のノートには防腐用の呪文があるかね?」
「ありますよ、ご主人様。
ベリーテスト教団の簡単な呪文で、身体の活性を保つ効果があります。
一般的にその教団の信者さんが美容のために使うものですね」
「まずはおれの体を拭いてくれないか?」
「承知しました」
「私は軽く拭き流し、少しゆったりとした服に着替えるだけだ。
この洗面所はアンニ様への敬意で、貴方とアンニ様に譲るべきだろう」
「分かりました。
うちも葬儀屋だからな、よくそういう手伝いをするからね。
アルフレッド、ゆったりした服を用意してくれ」
「はい、ご主人様」
ブルーとケビンが洗面所の外に戻りベッドルームに帰ってきた
「三日しか持たないんだぜ」
「ワン」
「パヴァロかカレンか?」
「ワン ワン」
「カレンだ。
そうだな、もしレカルドがずっとついてきてくれたら、多くのことが簡単になるだろう」
ケビンの顔に笑みが浮かんだ
「ワン」
「羽根の下の小さなヒナはいつまでも成長しないものさ。
いいや、私は貴方のその言葉を黒いノートに記すことを提案するよ」
ケビンは自分の犬小屋へ向かい尻尾を振ってから目を閉じた。
本当に疲れていたようだ
ブルーもベッドに飛び乗り横になった
反対側の洗面所ではカレンが浴槽の中のパヴァロ様の体を清めていた。
主に血痕と汚れを落としている
「これらの穴は見慣れないな、風で吹かれて笛のように音を出すんじゃないか?」
「そうなるにはもっと多くの穴が必要だ。
高低音域を作り出せるくらいならね」
「おれの祖父も貴方と同じく審判官だったんだぜ」
「そうなのか、それも納得がいく」
「ご主人様、服です」
「置いておけ」
「はい、ご主人様」
カレンはパヴァロ先生を浴槽から支え、隣の椅子に座らせた。
乾いたタオルで体を拭き終えると、服を着せる作業を始めた。
このプロセスには違和感がなかった。
マリーおばあさんが男客の遺体に化粧をするように、カレンが今やっていることも同じことだった。
「一つ気づいたことがありますが、メモには記載されていません」
「どうぞ」
「血霊粉の収益だけでは訴法官(ソフ・ファウ)までも関わるはずがない。
むしろルク裁決官(ルク・ゼーディア)ですら見向きもしないような規模でしょう。
その場所が存在する理由は、何かより特殊な要望を満たすためだと考えています」
「どのような要望でしょうか?」
「大量の女性を拘束し、ずっと苦痛を与える……血霊粉と経血(ケイブ)を使って何かを吸収したり精製したりするのではないか。
下級者たちが自分たちの利益のために勝手に付け加えたのでしょう」
「訴法官様ですか?」
「その訴法官様は、もう迷いきっていると思います」
「事件の性質が一変しましたね」
「ええ、もっと深刻になりました」パヴァロが言った。
「単なるポイント券の利害関係ではなくなっています。
あなたはまだ調査を続けますか?」
「当然です」カレンは笑った。
「凍死寸前でも雪崩に怯えるほどではないですから」
「秩序神教(オーダー・シンゴウ)に入会しますか?」
「入れるでしょうが、別の身分で。
私自身は直接入ることはできません」
「一つ提案があります」
「どうぞ」
「この事件が無事に終息すれば、私の地位をあなたに譲り渡します」
「冗談ですよね?」
「本気です。
なぜなら、あなたが秩序神教に入らないのは、秩序そのものへの損失だと感じているからです。
あなたの何らかの事情で身分が敏感になっているのかは分かりませんが、私は確信しています——あなたは秩序神教の道を歩むべきなのです。
いずれにせよ、私にはあと数日しか残りません。
この地位はあなたに譲るべきでしょう」
「その実現可能性はさておき、あなたは本当に私を善人だと思ってるんですか?」
「断言します」パヴァロが言った。
「私が目覚めた時、感じたもの——千言万語の説明や飾りよりずっと効果的だったものです」
「私は経験がないので分かりません」
「実現可能性はあります。
私の顔皮を切り取り、マスクを作ればいいのです」
「ふっ」カレンが笑った。
「ごめんなさい、意図的に笑っているわけではありません。
でも本当に我慢できません」
「あなたも秩序の道を行っています。
私の顔皮を被り、私の地位に就けば——家族以外は気づかないでしょう。
外では、私はあまり友達がいませんし、誰かと仲良くするのも嫌いです
さらに私にもプライドがあります。
私の二人の重症の娘のために——心臓病のエマと腎臓移植が必要なリサのために。
彼らに対してずっと後悔しているからです」
「分かりました」カレンはパヴァロ先生に服を着せ終えた。
「お付き合いしましょうか?」
「冗談は言ってない、完璧な偽装を作るなら皮一枚だけじゃ済まないんだよ。
約クシティにいる男が、息まで真似できるほどの皮を作れる。
俺も以前一件で接触したけど、性格が悪いし秩序神教を嫌ってるみたいだ。
外人用の審判官の皮を作ってもらうのは大リスクだけど、彼女なら頼む価値があるかもしれない」
「違います」カレンはパヴァロを見つめながら尋ねた。
「あなたが私に対して、あまりにも優しい気がします」
「目覚めた時、何か見たのか?」
パヴァロが訊いた
カレンは頷いた
「私も……いくつか見た。
神啓の瞬間と神牧の瞬間に」
カレンの表情が引き締まった
パヴァロが続けた
「あなたの考え方は認められないけど、秩序への誠実さと敬意は認めている。
昨晩出会った連中より、あなたこそ『秩序を賛美』と叫ぶに相応しい」
「ありがとうございます」カレンが言った
「感謝するのは私です」パヴァロは微笑んだ。
「死ぬ直前アニーが言っていたように、君らしくて希望を見た。
友人の贈り物だと思って受け取ってくれよ。
ありがたいことに私の顔も穴あきにならなかったわね、ほほえみ」
「あなたもそうでしょう」カレンが言った
「彼女は頑固だからな」パヴァロは笑った。
「二丁目の王様通りに陶芸館がある。
レーマル陶芸館だよ」
1
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
まず、後宮に入れませんっ! ~悪役令嬢として他の国に嫁がされましたが、何故か荷物から勇者の剣が出てきたので、魔王を倒しに行くことになりました
菱沼あゆ
ファンタジー
妹の婚約者を狙う悪女だと罵られ、国を追い出された王女フェリシア。
残忍で好色だと評判のトレラント王のもとに嫁ぐことになるが。
何故か、輿入れの荷物の中には、勇者の剣が入っていた。
後宮にも入れず、魔王を倒しに行くことになったフェリシアは――。
(小説家になろうでも掲載しています)
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる