明ンク街13番地

きりしま つかさ

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第0217話「カレン、審判の座へ」

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地下室内、ニオは眼前の映像を見つめながら壁角にいるパウラを振り返り、

「『秩序之光』の神話叙述に、秩序神と輪廻神の関係について記載はあるか?」

と尋ねた。

パウラは驚いたようにニオを見上げ、

「あなたが『秩序之光』の内容をご存知ですか?」

と返す。

「貴方こそ秩序神教に潜入しているのか、それとも私がその逆なのか?」

ニオは平静に続けた。

「私はそういうものは読まないし、暗記するわけでもない」

パウラが唾を飲み込みながら答える。

「『秩序之光』の神話叙述には秩序神と輪廻神に関する個別の記述はない。

『輪廻全書』にも同様に両者の関係は単独で記載されていない」

ニオが聞き返す。

「本当に?」

「ええ、この二冊は暗記しています」

「あー、怪しからん。

貴方の業務能力がこんなにも低いのは、そういう無意味なことに時間を費やしているからだ」

パウラが黙り込んだ。

ニオは腕を組み指先で脛に軽く弾ませた。

「しかし、秩序神と輪廻神は前紀元で非常に活発だった主神たちではないか。

なぜ『秩序之光』や『輪廻全書』に彼らの接触記録が一切ないのか?」

パウラが答える。

「彼らの関係は良好ではありません」

「ほー、どういうことだ?」

「『光明紀元』にその一件に関する記述があります」

ここでパウラが一瞬言葉を詰まらせた。

「続けろ」とニオが促す。

これで眼前の光系強者であることがパウラにも明らかになったようだ。

「『光明紀元』の神話叙述には、次のような記載がある:

輪廻神が輪廻門を作り、世間の亡霊を輪廻へ導き往生の幸福を与える

秩序神は我らの主に告げた。

輪廻門は光の照臨を遮断し同時に秩序の延伸も阻むと」

パウラが唇を嚙みながら続ける。

「この一節だけです」

「いつ頃のことですか?」

ニオが尋ねる。

「その記述について」

「前紀元の中葉期」

「あー」とニオはうなずいた、「それで『秩序之光』と『輪廻全書』に両神の交流記録がない理由は、彼らの関係が良好でないからだ」

『光明紀元』のその記述をこう解釈できる:

輪廻神が輪廻門を作ったため、秩序神が我らの主に訴えた。

輪廻門は光の照臨を遮断し同時に秩序の延伸も阻むと

暗黙の了解として、秩序神は我らの主に輪廻神討伐を賛成させようとした。

前紀元の前期から中期にかけては、我らの主が最も崇敬され、当時の秩序神は主神位の資格はあるものの、多くは我らの主の意思で動いていた

しかし我らの主は拒んだ

前紀元の多くの神戦において、輪廻神は参加しなかったか、参加した場合はほぼ光陣営に立って秩序神と同一陣線を組んでいた

光の神としてこの陣営の盟主である彼は己方の陣営に内輪揉みが起きることを望まないのは当然のことだった。

しかしニオはその事態が単純ではないと感じていた。

もし光の神が輪廻の神を守護する行為が陣営の結束維持という目的だけではなかったなら?

「亡き者により良い終焉を与える」

ニオはその言葉を咀嚼した。

問題は前紀元の下葉から秩序の神が光の神の統制から離脱し、最初は属する関係だったものが同等関係となり、秩序の神も「秩序」の名で多くの神々と戦い始めたことだ。

言ってみれば前紀元終盤に秩序の神が自ら手を下した鎮圧や滅亡させた神々は数知れず多かった。

この紀元では多くの邪教が邪教である理由は、前紀元末期に彼らが崇拝する神が秩序の神によって異端と判定されたからだった。

そしてこの紀元以来秩序神教が成長しついに消滅した光の神教を凌駕する教会圏の新たな覇主となったため、秩序の信者たちは当然ながら自らの主神による判断を覆すことはせず、その邪教……は依然として邪教と呼ばれるだけだった。

しかしなぜ秩序の神が輪廻の神を放っておいたのか?

もし討伐するならなぜ前紀元末期に秩序の神が自ら輪廻の神に手を下し輪廻の門を破壊しなかったのか?

秩序の神が輪廻の神に勝てなかったからか?

ニオは首を横に振った。

紀元の神話記録を読み込んだ人間なら誰もそんな考えを持たない。

なぜならこれは『秩序の光』が自らの主神を美談にするためではなく、ほぼ全ての神教の神話叙述において前紀元末期の秩序の神の狂気と恐ろしさが記録されているからだ。

『秩序の光』の記述ではその経験に追加する描写はなくむしろ控えめにしている部分もある。

なぜなら自らの主神を当時の暴虐さが狂魔のように映るようになることを避けたいからだ。

秩序の神がその時期に輪廻の手を下さなかった根本的な理由とは?

輪廻の門はどのような秘密を担っているのか?

ニオは深い沈思黙考に陥った。

しばらく経って彼は嘆息した。

なぜなら秩序神教が輪廻と戦うことが決まった場合、至多で輪廻を破壊する程度の被害が出るだけで、騎士団大軍が輪廻谷に侵攻すれば輪廻谷深くに潜む輪廻の門の秘密は真実の姿として明らかになるはずだったからだ。

惜しや惜しやと彼は思った。

ニオは視線を再び眼前の情景に戻し、先ほどカルンがタルリナに言った言葉を繰り返し始めた。

「輪廻神教の存在は生と死の間にあるべき……秩序そのものを破壊している」

……

三体の白い鎖で縛られた亡霊たちが次第に静かになり、彼らの「感情」がカルンの心に伝わるようになり、彼の頭蓋内に断片的な記憶の映像が浮かび始めた。



カレンの瞳は少し赤みを帯びていたが、意識を失う前に記憶断片を読むリスクを冒すことはせず、強制的に眩暈感を抑えた。

三つの亡霊のタリーナへの憎悪と怒りは彼が明確に感知していた。

輪廻神教は亡霊と輪廻契約を結び、自身に取り憑かせる能力を持っていたが、秩序神教の第一騎士団のように自らの軍団を編成することはできなかった。

輪廻契約を結ぶ資格のある亡霊は生前何か特別な存在であり、死後の奴隷となることを拒む傾向があった。

弱い敵相手では契約が有効でも、互角以上の相手には「主人」の気配を感じない限り意図的に力を抜く。

例えば術を用いた女性亡霊は青蛇に「後ろを見ないこと」と指示し、カレンの奇襲を許容した。

軍隊が奴隷を駆使するような感覚だった。

その奴隷たちはいつか反旗を翻す日を待っていた。

タリーナは膝をつき、苦痛に顔を歪めていた。

白い鎖で三つの亡霊が切り離されると、それは魂の引きちぎりのようなものだった。

カレンはアレウスの剣を持ち、塔に向かって歩き始めた。

タリーナはその足音を感じ取り、予期していた結末を悟ったにもかかわらず痛みを無視し顔を上げてカレンを見詰めた。

「お前は名前があるのか? お前は名前があるのか!」

カレンは答えず歩み続けた。

「なぜその名前も教えてくれないのか。

お前が私を殺す勇気はあるのに、私の死の前に名乗る勇気がないのか?」

「私は……ラネダルだ」

「ラネダルか。

よし、ラネダルよ。

信じてみてくれ。

貴方のような存在は輪廻に許されない。

貴方の全てが輪廻から除外されるだろう!

私は貴方を呪う。

無限の堕落の輪廻に苦しめよ! 我が家族も輪廻谷で魂曝け出し、永遠に安息させぬぞ! 我が子孫……我は……」

カレンは歩みを止め、塔を見上げた。

「私は貴方を殺さない」

「私の……? 本当か?」

タリーナは驚きの表情を見せた。

カレンは頷き、アレウスの剣を肩に担ぎ直した。

そして目を閉じると白い鎖が消えて彼の足元に没入した。



「あ!!!」

『あ!!!』

「あ!!!」

塔リナの魂から切り離され、白い鎖で縛られていた三体の亡霊が激しく憤怒を叫びながら集団的にタリーナに襲いかかった。

彼らは復讐を果たすためだった。

「……」タリーナ。

三つの亡霊がタリーナの身体に入り込み、彼女とこの肉体の支配権を争い始めた。

タリーナは絶叫しながら体を捩らせ続け、無数の術法が彼女の全身に炸裂する。

やっと絶叫が止まった。

カルンの目がゆっくりと開き、三つの亡霊が前に立っている。

地面には既に死んだタリーナの遺体があった。

三人の亡霊はそれぞれの宗教儀礼でカルンに感謝を述べた。

カルンは首を横に振った。

彼はタリーナを助けるために手を出したのではないからだ。

実際、彼はタリーナに安らかに死んでほしかったが、タリーナの最後の呪いがその考えを変えさせたのだ。

カルンは背後の写真館を見やった。

彼はそこに一組の目にずっと監視されていると感じていた。

おそらく、それがタリーナをこの場所で出会わせた人物なのだろう。

「隊長……」

お前は私を観察しているのか?

三つの亡霊が消滅し、たちまち虚無に帰した。

彼らの存続はタリーナの珠の中の生命エネルギーに依存していたため、それが失われれば存在しなくなるのが本来の目的だった。

カルンは腰を屈め、暗赤色の珠を拾い上げた。

その珠は普通のガラス玉と見分けがつかないようだった。

カルンはすぐに霊力で中身を試すこともしなかった。

「これは輪廻神教の契約珠だ。

彼女が持っていたのは高級品だろう、相当な価値がある」

ネオがカルンの隣に現れた。

カルンはその珠を隊長に差し出した。

「上納するべきか?」

「今回は小隊が出動しただけだから、戦利品は我々二人で戦闘順位に応じて分け合う。

この珠を君が欲しいなら許す」

「使い方はどうするんだ?」

「輪廻神教の術法と組み合わせて、輪廻の門から亡霊を引き出し、その中に拘禁することで契約を成立させる」

「これほど制限があるのか……」

「この珠を買えるほどの者はそもそも少ないし、買い手がいれば使う方法は教えればいいだけだ」

「隊長に処分してもらおうか」

「よし」

ネオは手を伸ばし珠を受け取り、カルンに向かって言った。

「欲しいものがあれば選んでくれ」

カルンは顔を下げると、隊長の足元に積まれている革製甲冑・短刀・ブーツを見た。

彼はそれらがどこから来たのか一目でわかった。

甲冑とブーツは女性用だったため興味を持たず、短刀だけ取り上げて重量を測った。

カルンはアレウスの剣を持っているので、この双剣は実用性に欠ける。

ユニークが使えるようになるまで待つべきか?彼女なら点数で新品を買う方がいいし、普洱も人間に戻れば同様だ。

「私は使わない」



「了解。

それなら私が処理してポイントを渡すから」

「ありがとうございます、隊長様」

「お礼はいらない。

私は何もしていない」ニオがタリーナの遺体に近づき手を上げた。

「光——炎滅!」

掌から飛び出した炎がタリーナの遺体を灰燼と化した。

カルンは隊長の背中を見つめながら思った:貴方は演技をやめたのか?

しかしカルンも理解していた。

これはおそらく、先日タリーナに光の術を見せた時の隊長への反応だった。

「隊長様、次はどうしますか?月見を続けますか?」

「空を見上げてみろ」

カルンが顔を上げると、空中を一群の影が横切っていた。

「駐軍が教務本部に到着し包囲網を張っている。

秩序神教が降伏しないなら強攻撃を開始する。

明け方には多くの『秩序鞭』小隊がヨーク城地区やウィーン地方にある宣教師所と産業施設の掃討任務を受け取ることになるだろう。

しかし我々は明日もパミレース教神子様の護衛を続ける」

「つまり今夜の月見は終了するのか?」

「そうだ。

あと一つある」ニオが指で額を叩いた。

「最近私の頭に問題が発生している」

カルンが笑った。

「心理学の本を読んだことがあるので、心理療法を試してみましょう」

ニオが尋ねた。

「本当に効果があるのか?」

「少なくとも私のレベルでは有害な結果は出ないでしょう」

「それならカフェでコーヒーを飲みながら治療を続けよう」

「隊長様、私に一つ確認したいことがあります」

「どうぞ」

「先日ヴァニーが私に手枪の改造をした際、費用を請求していた」

ニオとカルンが互いの目を見交わした。

闇夜の街路で二人は対峙し続けた。

やっとニオが深呼吸して言った。

「私は貴方が冗談だと返すと思っていた。

その言葉を撤回するつもりだと思っていた」

「私も撤回しようと思ったが、隊長様が先に口を開いた」

「了解。

本当に効果があるなら、今借りているポイントは返済しなくていい。

治療費として使うことにする。

ただし本当に有効な場合のみ」

駐軍が教務本部前まで到着し包囲を完了した。

秩序王座の維持と交渉が進行中だった。

秩序神教が提示した条件は一つ。

「無条件降伏か、この建物は都市計画から抹殺される」

内部の首席司祭サコは武力を使用しないと宣言していたが、宣戦布告の神旨を待つまで行動できないと述べていた。

つまり降伏する準備はあるが、名目としての投降が必要なのだ。

捕虜として解放されれば再び回路教に復帰できるからだ。

この手続きは些細にも思えるが、サコや本部内の回路神官にとっては極めて重要だった。

戦後回路教が存続すれば彼らは解放された捕虜として再加入できるのだ。



エイセンは負傷した妻を膝に乗せ、教務棟と整列した駐屯軍の前で座っていた。

「理チャの仲間ってこんなに強いんだね」カイセイが言った。

「うん」エイセンが頷いた。

「もし彼がいなかったら、うちのリチャは今晩から孤児になっちゃうんじゃない?」

カイセイが尋ねた。

「でも祖父や姑もいるし、私たちがいなくても孤児じゃないよ」

カイセイの傷がまた痛み出した。

彼女は哀れみを込めて夫を見つめた。

エイセンは自分が平臥位に置かれたコンクリート床と、自分の頭を彼の膝に乗せないことに憤りを感じていた。

「エイセン、心理医に診てもらおうよ」

「いやだ」

「行かないなら離婚して、リチャに後父を作らせてやるわ」

「いいけど……」

すると巨大な鷲が空を舞い、黒い巻物となって教務棟の前に降りた。

ドロンが受け取り、結界の端である教務棟の門前まで歩いてきた。

向かいにはループス・シンク教ヴェイン地区首席大主教サコが立っていた。

彼の後ろには整然と着物を合わせた一列のループス・シンク神官たちが待機しており、捕虜になる最後の一歩を踏み出しつつあった。

ドロンは中で待つ人々の前で巻物を開いた。

「秩序の名において、元老院の神旨:なぜなら……」

読み上げた途端、ドロンが驚きの表情を見せた。

宣戦布告に想定される理由を予測していたが、今回は既成事実だったという話は聞いていたものの、まさかこんなものとは思っていなかったからだ。

しかし本当の戦争理由は正教会内で通じる正式な形で使うべきものであり、神旨にはもっと堂々としたものが書かれているはずだった。

だがドロンはこの理由に不満を感じなかった。

むしろ大喜びした。

皺だらけの顔が異様な赤みを帯びた。

これが秩序シンク教の風体、これが秩序神の威厳そのものだからこそ!

彼は大声で読み上げ続けた。

「なぜならループス・シンク教が生と死の間にあるべき秩序を破壊したからだ。

我ら秩序シンク教はループス・シンクに宣戦する!」



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