明ンク街13番地

きりしま つかさ

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第0257話「審判官の選択」

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隊長の首が捩れ、骨を鳴らす音が連続した。

十指は微かに震え、何年も囚われた凶獣のように自由を得たかのような動きだった。

次第に隊長の周囲から聖なる光輝が現れた。

彼は醜悪でありながらも神聖、怒りと安らぎ、歪みと優しさという対立する二つの姿を同時に備えている。

不調和だが存在そのものが真実である。

「帰還した時……暗月の血を飲む」

「咆哮した!」

隊長が叫びながらカレンとオフィーリアへ突進してきた。

オフィーリアは反射的にカレンを背後にし、手に巻物を取り出す。

腕を振ると瞬時に小型陣紋が形成され、その中から剣の柄が現れた。

この光景はカレンにとっても懐かしいものだった。

自宅にある古い冷蔵庫と同様の機能を持つからだ。

オフィーリアが暗月島のプリンセスであることは当然で、彼女のように召喚コストに心を痛めるようなことはない。

しかしカレンは知っていた。

オフィーリアが呼び出した陣紋の範囲はこの島と暗月島の距離に関係しており、さらに離れた場所では機能しないこと。

その点で自宅の冷蔵庫の方が優れているが、アップグレードには莫大な費用が必要だ。

オフィーリアは宝石を埋め込んだ紫水晶の大剣を引き抜いた。

彼女が贈ったアレウスの剣と比較しても劣らない一級品だが、プリンセスである以上武器不足などあり得ない。

剣身から暗月の力が溢れ出し、紫色の輝きを放ちながら隊長に向かって斬りつけた。

その瞬間、隊長の身体は突然消滅し、同時にオフィーリアの背後に姿を現した。

彼女は剣を振り下ろすと同時に反転させ、後方へ突き出した。

隊長が再び後退ると大剣から紫の網が伸びて彼の逃走経路を封じた。

「ズバ!」

剣先が隊長の胸に刺さり、オフィーリアはそのまま柄を叩いた。

恐怖の振動が剣を通じて隊長の体内へ伝わる。

「ドン!」

隊長の身体が爆発した。

彼が突進し始めてからオフィーリアが剣を抜き、双方が接触するまでの時間は極めて短く、カレンは海神の甲冑と暗月の刃を形成する間もなく戦闘は終結した。

そして、隊長はカレンの目の前で爆散した。



カルンは目を瞬いた。

戦闘中に個人感情に引きずられるのは愚かなことだとずっと信じていたが、理性が感性を制御できないこともまた事実だった。

リーダーの突然の混乱はカルンの心を大きく震撼させ、その体躯が爆発した瞬間には一時的に意識が途切れた。

「注意!彼はまだ生きているぞ!」

オフィーリアがカルンに叫んだ。

足元から現れた白い手が直ちにカルンの足首を掴みに向かう。

混乱状態のカルンは生命の危機を感じ、瞬時に意識を取り戻した。

「オーダー・ジャイアンティ!」

囚籠が彼自身と外界を隔てた。

その白い手が結界に猛然と引きちぎり始めた時、カルンは暗月の刃でその手を切り落とそうとしたが、何かが引っかかった。

「オーダー・ガードウォール!」

壁面が現れ自身と手を分断した。

手が拳を作り二本指を伸ばし白い光線を放ち、カルンの壁面と囚籠を貫いた。

海神の甲冑が始祖アルランの極限水属性力を解放し瞬時に凍結する。

胸に二つの衝撃を受け倒れ込むカルンは空中で体勢を変えようとしたが、その手が待ち構えていた。

黒い霧が彼を包み身体が霧化した時、強制的に方向転換させられた。

手が追いかける直前、紫の巨剣がその中央に刺し込まれオフィーリアが引き抜くと地面が爆発した。

剣先には布人形が取りついていた。

カルンはそれがルク判決官を殺した時の戦利品であることを思い出し、リーダーがそれを所有していたことに気づいた。

オフィーリアの巨剣が鳴り響き布人形は裂けた。

カルンはオフィーリアの横に現れ、彼女が主攻撃を担当し自分はサポートするよう合意した。

リーダーへの疑いが消えた瞬間、笑い声と共に暗闇からその姿が現れた。

オフィーリアは剣先を下げ準備を整え、カルンは暗月の刃を収納海神甲冑だけを残して防御に専念した。

彼の手には実体を持たない武器はないため、最大限の力を発揮できないからこそオフィーリアの補佐に徹するべきだった。

「神よ、光あれ。



リーダーの言葉と共に二人の足元に光輪が広がり急速に拡大し始めた。



カルンマが地面に膝をつき、両手で土を掴むと黒い闇がその場所を覆った。

封じ込めの術が完成した瞬間、暗闇の中に小さな膨らみが現れ始めた。

何かが再び這い出てくる気配があった。

カルンは首を上げて自身の霊性力を注ぎ込む:

「秩序暗幕隔絶!」

審判官級の術法だ。

通常この術は《秩序条項》を読み上げる際に用いるもので、神秘と厳粛さを演出するためのものだった。

しかし今やその術が有効に機能し始めた。

ようやく地面が静かになった。

隊長の術が発動する前にカルンはそれを無理やり封じた。

「彼は私たちを試していたわ」オフィーリアが言う。

「あなたを試していたのでしょう」

カルンはそう思った。

しかしすぐに気づいた。

元の隊長でさえその記憶を吸収するのに時間がかかるのだ。

今や隊長の体に宿っている「何か」は自身の存在すら完全には把握していないようだ。

「私が近接戦闘で引きつけておいて、あなたが伝送陣を起動させなさい」

オフィーリアが呼吸を整える間、カルンは後ろから立ち上がり彼女の体に浄化の黒い力場を施した。

続いて肩に手をかけた瞬間、オフィーリアの周囲に海神の甲冑が現れた。

「ありがとう」

「気をつけなさい」

「早く」

オフィーリアは大剣を振って光の花を咲かせた。

これは決闘への挑発だ。

隊長は首を右へ傾けながら白い光が夜空から降りてきて彼女の体に当たった。

甲冑と光明の大剣が浮き上がる。

全武装した隊長はオフィーリアに向かって歩み寄る。

その顔には真剣な表情があった。

カルンはオフィーリアとの距離を保ちながら、彼女の視界から外れた位置に陣法を探り始めた。

少しの時間が必要だった。

しかしカルンは重大な過失を犯していた。

隊長が守墓人継承者アンニータを打ち破った時、カルンはその現場に到着したものの、近接戦闘での隊長の凄まじさを目撃していなかったのだ。

もしも目撃していたならオフィーリアが近接で引きつけることを決断しなかったであろう。

隊長が光明の大剣を掲げると同時にオフィーリアも紫の大剣を構えた。

瞬間、二つの武器が激しく衝突した。

しかし実体を持つオフィーリアは術法の武器を持つ隊長に次第に押され、狼狽い様相を見せ始めた。



硬い力比べの戦いだった。

オフィーリアはその分野で優位に立てると思っていたが、今になって自分が間違っていたと悟った。

目の前の男は術法だけでは片付ける存在ではない。

彼の恐るべき光の力と強健な身体が近距離戦闘において絶対的な優位性を生み出していた。

この正面の力比べという状況下、どちらかが劣勢に陥ればそのまま押し切られるしかない。

後退すれば即座に相手の隙を見つけて最悪の打撃を受け入れる運命だった。

カレンは陣法を組み立てながら戦況を観察し、瞬時に状況を把握した。

彼がオフィーリアを助ける必要があると判断した次の瞬間、両手から『懲罰の槍』二本が形成され、隊長へ向けて投げられた。

隊長は右手で剣をオフィーリアに押し付け続けながら左手腕に古びた白い巨盾が現れた。

『ブーン!』という音と共に槍と光の盾が衝突したが爆発せず、代わりに黒点となって吸収されてしまった。

カレンは戦闘には加わらず陣法作成に集中せざるを得なかった。

オフィーリアは隊長と二十数回の往復を繰り返し、体力が限界に近づくにつれ意図的に防御を低下させ、互いに傷つけるような戦い方へ転じ始めた。

オフィーリアの意図を見抜いた隊長は完全に防衛を放棄し、彼女に向かって斬りつけた。

オフィーリアは回避せず紫の大剣で受け止めたが、これは双方が防御を捨てた一撃だった。

その瞬間、隊長の左腕にある光の盾が前に現れ、オフィーリアの紫大剣は盾に当たり紫色の輝きが消えた。

一方隊長の光剣はオフィーリアの頭部へと迫っていた。

オフィーリアの身体から赤い光が発せられ巨大な赤髪の人影が現れたが、光の力が暴走するにつれその人影は急速に消えていく。

これはオフィーリアの最終手段で、聖器から召喚した血色の守護者だった。

しかし状況は改善されず、オフィーリアは紫大剣を引き抜こうとしたが光の盾が溶け込み大剣に取り付いた。

赤髪の人影も消滅寸前で、彼女は後退した。

その瞬間隊長の剣は空を切りオフィーリアの身体を直接斬りつけた。

海神の甲冑と浄化の力が加わらなければ致命傷だったが、それでもオフィーリアは血を吐きながら這い上がろうとした。

しかし隊長は容赦なく前に現れ光剣を構えた。



オフィーリアが左手をひらりと翻すと、小鏡が床に落ちた。

その鏡面には虚幻の触手が現れ、隊長の全身を絡め取った。

重心を失い、隊長は膝まずいた。

オフィーリアが視線を鋭くするや、掌を開き別針を取り出した。

血で汚された別針は黒くなり、銀色の光に変化した。

彼女は右手を高く掲げ、隊長の頭部へと突きつけた。

だが隊長の頭にはヘルムが覆っていた。

「ドン!」

という音と共に光がヘルムを粉砕し、首から微かな音が響いたものの致命傷ではなかった。

この奇襲に反撃したオフィーリアは諦めた笑みを浮かべた——彼女は敵の相手にはならなかったのだ。

隊長が前に腕を伸ばすと、彼女の動きを封じる。

もう一方の手で剣を構えたその時、カレンの姿が後方から現れた。

彼の手中にあったのはオフィーリアが投げ捨てた紫の大剣だった。

暗月の力が再び注入されると、大剣は輝きを放った。

隊長が背後の襲撃に気付き巨盾を展開したが、この回り込みでは紫の大剣は盾を貫通し、さらに隊長の甲冑も突き抜けた。

大剣が刺さる際、カレンは光の力を包み込んだ。

同属性の力は相互に包含する性質があり、特に光の場合はその効果が顕著だった。

全ての事物には二面性がある——敵を変換できる能力を持つ以上、弱点も存在したのだ。

オフィーリアが目を開くと、自身の拘束が緩んでいた。

原因は分からないものの、彼女は希望を取り戻し暗月の刃で結界を切り裂いた。

「光の炎!」

という叫びと共に恐ろしい炎が隊長に襲いかかった。

海神の甲冑が大剣を通じてカレンの体に広がり、水の力も完全に解放された。

長期にわたる霊性の蓄積は彼の最大の強みであり、その全てをこの瞬間に発揮した。

「法陣あと一歩だ!」

火と水の衝突が激しくなり、オフィーリアが拘束から解放されると、カレンは剣で相手の体を貫いた。

二人は狂ったように抱き合いながら、その力の対決に身を委ねていた。



オフィーリアは唇を噛み切った。

迷いも口実もない。

体内に残された闇月の力で、彼女は可能な限り最速で陣法プラットフォームへと移動した。

確かにカレンが陣の準備作業をほぼ完了させていた。

最後の一歩はオフィーリアが自身の霊性力をその位置に注ぎ込むことで完成する。

白い光が現れた瞬間、彼女は向こう側を見やった。

灼熱の温度でカレンの肌は赤く染まった。

紫の大剣を握りしめた両手は震え、白煙が立ち上っている。

「!」

その男は陣の起動を感じ取ったのか、強制的に体を起こそうとした。

「!」

カレンが叫んだ。

霊性力の高速消費で意識が歪んでいくが、彼は紫の大剣を握りしめたまま隊長を押し戻した。

「オフィーリア……」

陣から姿を消すと同時にオフィーリアは転送された。

カレンは大きく息を吐いた。

ここまで耐え抜いてきたのだ。

隊長の強大さに呆然とする。

彼は夕方、隊長が自分に言った言葉を思い出した。

「自分で気づけないなら、俺と一緒に死ね」

だが隊長よ、こんな早くとは……

隊長の白熱はオフィーリアの水属性より純度が高い。

だからカレンはそれ以上の霊性力を注ぎ込む必要があった。

彼の霊性力が尽きる頃、海神の甲冑も持続できなくなり、その恐怖な灼熱も同時に消えた。

「人が去ったんだから早く剣を抜けよ」

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