吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

文字の大きさ
89 / 251
0000

第0089話 この馬鹿げたコスプレは誰の提案だよ!?

しおりを挟む
この悪趣味なコスプレの企画は誰が提案したんだよ!?

暴风雨の中で木製蒸気船が波に揉まれながらも頑張っている。

周元は船が沈没する前に乗組員が逃げ出せないことを心配していた。

そこで皆が甲板に出るように提案した。

すると甲板にはこんな光景が広がった:

周元が艦橋のガラスに這い寄り、阿梓が欄干を掴んでいる。

大叔は煙突を抱き、阿強ら十数人が甲板で泳いでいるような有様だった。

しかし周元の提案は正しい判断だった——

現在甲板には大量の海水が流れ込み、船室もほぼ浸水していた。

室内にいれば溺死するしかない状況だ。

当時、怪人男爵が全村民を怪物に食べさせたため、秘密港は無人になっていた。

周元たちが到着した際には停泊場所に何艘かの木製船が残されていた。

周元が誰もいないことに困っていると——

突然大叔が現れた。

「私は船で働いた経験のある男だ!開くなんて簡単さ、大丈夫、萌え大胸!」

彼は最大の船を選び、全員乗せた。

エンジンを始動させ、ハンドルを回して出航した。

——そして何も起こらなかった!

木製船が大叔の運転でどこへ向かったのか分からないまま暴风雨の中に突入したのだ。

やられた!大惨事だ!!

しかし始末屋の大叔は全く反省していない。

彼の胸に頑丈な赤い点が現れた——

遠くから見えたその光景に皆驚いた。

「?!」

これは何か特殊技能か?救済の秘技なのか?

その瞬間、希望が湧き上がった。

次の瞬間、大叔の位置から煙が阿梓の顔に漂ってきた。

それは——タバコの匂いだった!

阿梓は突然怒りで欄干を引きちぎりそうになりながら叫んだ。

「この変態!暴風雨中に何してたのよ!?」

皆がその言葉に驚き、強風で吹き飛ばされそうになった。

「死ぬ前に一服吸いたかったんだよ」

「いやいや——」

大叔はまだ自慢話を続けようとしたが、激しい雨でタバコを消し飛ばされた。

「どうしてだ!?」

「おいお前、何か方法はないか!?」

周元は艦橋のガラスに這いながら声を張り上げた。

「自然の前に人は——無力なんだよ!各自運命を受けてろ!」

彼の言葉が終わると海竜巻が船の前方に現れた。

木製船が吸い込まれそうになった瞬間、皆は叫んだ。

「おっかねえ!?」

晴天の下、南洋某島にある黄金色のビーチ。

細かい砂が優しく波打ち、海風がそよぐ——

金色の浜辺に様々なものが打ち上げられ、異彩を添えていた。

時折海鳥が翼を羽ばたかせながら空を舞い、『オウ』と鳴き声を響かせる。

砂浜を駆け回るカニたちが数限りない足跡を残す一方、潮が引くとその穴はたちまち消えていた。

突然、走り出すカニたちが四方八方に逃げ散った——

その時、浜辺に大量のゴミが打ち上げられた。

木片や金属部品、破れた布切れなどが無数に並び、最後にはカニにとっては巨大な物体が現れた。

それは人間だった——少女だった——肩までの短髪を持つ少女だった。

彼女はぴったりとした服を着て全身水浸しで浜辺に横たわっていた。

眩しい日差しが照らすその顔面に海鳥が降りてきて頬をつついた。

しばらく経った後——

「アッ、コッ、コッ!」

彼女は勢いよく起き上がり、大量の海水を吐き出した。

「まだ生きているのか……?!」

少女の背後に浅瀬には、カニたちが見逃した巨大な物体があった。

それは浜辺に乗り上げた木造の蒸気船だった。

雨林の近くに村があり、その村口には二人の男が縛り付けられた大木杭に立っていた。

村民たちは集まって囲みながら議論していた。

そのうち一人の目尻が跳ねた瞬間——

「?!」

と彼は目を開けたが、眼前の光景に違和感を感じて直ちにまた閉じ、呼吸を止めてふり返った。

漁師風の男は背中向けて二人に向かって言った。

「海上から帰ってきたら釣り上げたんだ」

「この白髪の奴は全身傷だらけで血だらけだったが——渔港に帰ると——」

「完全に回復していた!」

「傷の治癒速度が異常に速い!」

「間違いなく吸血鬼だ!!!」

「悪魔のような貪欲な吸血鬼!」

「どうする?」

村民たちは憤りを込めて叫んだ。

「そうだ、焼いてやる——!」

「そうよ、早く焼いてやる——!!」

「そうだ、すぐに焼いてやる——!!!」

その騒動に気付いた目尻が跳ねた人物は足元を見た——

『篝火大会用の薪みたいだな』

二人を縛った木杭の上には山積みされた木材があり、人間が乗せられていた。

木杭に縛られている白髪は周元、もう一人は大叔だった。

敵が強く自分たちより弱い——無理をしないように慎重に対処する必要がある。

「カッ、カッ!」

「?!」

「一体何をしているんだ?」

大叔は目を開けて呆然と尋ねた。

「ワァーワァー、彼が起き上がったぞ!」

ある村民が大叔を指さした。

皆の視線が大叔に集中する中——

まだ周元を指差す人々もいた。

大叔はその隙に質問を投げかけた。

「彼が吸血鬼ならなぜ俺を縛っているんだ?」

「知らないよ」

「冗談じゃない!」

「お前こそ奴の走狗だろ!」

漁師風男が罵った。

「おいおい、何言ってるんだ。

根拠はどこだ?」

大叔は木杭に頭を擦りながら尋ねた。

「『オウ』と鳴き声を響かせる海鳥たちや、駆け回るカニたちの描写から、浜辺の情景が浮かび上がる。

村民たちの騒動では吸血鬼説が飛び交い、緊迫感が伝わる。

大叔の冷静な対応と周元の存在が物語に深みを加えている。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

過労死した俺、異世界で最強農業チートに目覚める。神農具で荒野を楽園に変えたら、エルフや獣人が集まって最高の国ができました

黒崎隼人
ファンタジー
「君、死んじゃったから、異世界で国、作らない?」 ブラック企業で過労死した俺、相川大地。 女神様から授かったのは、一振りで大地を耕し、一瞬で作物を育てる**最強の『神農具』**だった!? 右も左もわからない荒野でのサバイバル。 だけど、腹ペコのエルフ美少女を助け、頼れるドワーフ、元気な猫耳娘、モフモフ神狼が仲間になって、開拓生活は一気に賑やかに! 美味しいご飯とチート農具で、荒野はあっという間に**「奇跡の村」**へ。 これは、ただの農民志望だった俺が、最高の仲間たちと世界を救い、種族の壁を越えた理想の国『アグリトピア』を築き上げる物語。 農業は、世界を救う! さあ、今日も元気に、畑、耕しますか!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

処理中です...