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第一章 ウェーブ編
第八話
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シア「好きなもの?う~んそうだな。強いて言うなら平和だな。」
レックス「随分抽象的だね。」
シア「待て待て!冗談だよ。俺は本を読むのが好きだな。英雄譚にある誇りの描写。やっぱりかっこよくてな。父親が元々騎士だったんだよ。こんな前線にいるやつじゃなくて、街にいるやつな。母親は本が好きで、俺はそれを読んでた。まぁ母親はロマンス物ばっか読んでたみたいで、父親が英雄譚を買ってきた感じらしいが。教育のためって。」
レックス「水を差すようで悪いが前と理由が微妙に違うような。」
シア「…照れ隠しだよ。夢とか希望って言うの、小っ恥ずかしくてな。」
レックス「なら今言う理由…は。まぁそうか。」
シア「今取り繕っても仕方ないだろ。皆で戦うんだ。背中を預けるのに隠し事なんてするべきじゃない。」
隠し事…か。
転生の事なんて話してないな。
昔こっちの家族に話した時には気狂い扱いされて、それ以降は何も言っちゃいない。
レックス「俺…さ。」
シア「…何だ。」
レックス「……。バーザの遺書、少し読んだんだよ。」
隠してしまった。
何故か言えなかった。怖いのかな。こんなことを笑われたりするのが。
シア「それで。」
レックス「本当に怖かった。俺になんて、バーザみたいに残せるようなものがない。」
シア「それを作るために、それを残す為に戦うんだろ?ほら、挨拶ありがとう。明後日は頑張ろうな。」
レックス「あぁ。頑張ろう。」
少し後ろめたい気持ちだ。なんだか嘘をついた気分だ。
結局誠実になりきれない自分が嫌になる。
ほんの少しだけど、溶けずに残る罪悪感。この日のレックスの睡眠はとても浅かった。
朝日が照らした剣は、強く輝いている。
乾いた空気と、雲一つない空。
なのに、不安だけが残り続ける。
明日はついにコアウェーブの日。
今日は簡単な散策までは許されている。前線とは逆方向だけだが。
学校帰りにアニメを見て、友達とは馬鹿みたいな雑談をする。
血なんて鼻血と擦り剥き傷位しか見なかった人生が、こうも変わるなんて。
目的もなく草原を歩く。色々な記憶が思い出されていくのを感じる。
初めの頃は浮かれていたな。
こうして前線を背に立ったて感じるここに立つ重み。
この先にある帝国をウェーブから守る意味。
俺だって何年も暮らしてきた場所だ。
そこで帝国を生きる民を見た。
そして明日は過酷な戦いになるだろう。
…遺書を、書いておくか。
基地に戻り、ミラさんに聞いてみる。
レックス「紙とかありませんか。」
ミラ「紙…?あぁ。あまりネガティブにならないようにしろよ。紙ならある。」
ミラさんの差し出したのは、手と同じくらいの紙だった。少し端のほうが欠けていて年季を感じる。
ミラ「しっかり書けよ。」
レックス「はい。」
ミラさんに別れを告げ、テントの中で書き始める。
この世界での家族、友人に一言ずつ残す。
そうやっている内に前世の両親の顔をふと思い出す。
…ダメだ。これを書くと俺は剣を振れなくなりそうだ。
紙片の下の方にあるスペースはそのまま、折り曲げて鎧のポケットに入れた。
レックス「随分抽象的だね。」
シア「待て待て!冗談だよ。俺は本を読むのが好きだな。英雄譚にある誇りの描写。やっぱりかっこよくてな。父親が元々騎士だったんだよ。こんな前線にいるやつじゃなくて、街にいるやつな。母親は本が好きで、俺はそれを読んでた。まぁ母親はロマンス物ばっか読んでたみたいで、父親が英雄譚を買ってきた感じらしいが。教育のためって。」
レックス「水を差すようで悪いが前と理由が微妙に違うような。」
シア「…照れ隠しだよ。夢とか希望って言うの、小っ恥ずかしくてな。」
レックス「なら今言う理由…は。まぁそうか。」
シア「今取り繕っても仕方ないだろ。皆で戦うんだ。背中を預けるのに隠し事なんてするべきじゃない。」
隠し事…か。
転生の事なんて話してないな。
昔こっちの家族に話した時には気狂い扱いされて、それ以降は何も言っちゃいない。
レックス「俺…さ。」
シア「…何だ。」
レックス「……。バーザの遺書、少し読んだんだよ。」
隠してしまった。
何故か言えなかった。怖いのかな。こんなことを笑われたりするのが。
シア「それで。」
レックス「本当に怖かった。俺になんて、バーザみたいに残せるようなものがない。」
シア「それを作るために、それを残す為に戦うんだろ?ほら、挨拶ありがとう。明後日は頑張ろうな。」
レックス「あぁ。頑張ろう。」
少し後ろめたい気持ちだ。なんだか嘘をついた気分だ。
結局誠実になりきれない自分が嫌になる。
ほんの少しだけど、溶けずに残る罪悪感。この日のレックスの睡眠はとても浅かった。
朝日が照らした剣は、強く輝いている。
乾いた空気と、雲一つない空。
なのに、不安だけが残り続ける。
明日はついにコアウェーブの日。
今日は簡単な散策までは許されている。前線とは逆方向だけだが。
学校帰りにアニメを見て、友達とは馬鹿みたいな雑談をする。
血なんて鼻血と擦り剥き傷位しか見なかった人生が、こうも変わるなんて。
目的もなく草原を歩く。色々な記憶が思い出されていくのを感じる。
初めの頃は浮かれていたな。
こうして前線を背に立ったて感じるここに立つ重み。
この先にある帝国をウェーブから守る意味。
俺だって何年も暮らしてきた場所だ。
そこで帝国を生きる民を見た。
そして明日は過酷な戦いになるだろう。
…遺書を、書いておくか。
基地に戻り、ミラさんに聞いてみる。
レックス「紙とかありませんか。」
ミラ「紙…?あぁ。あまりネガティブにならないようにしろよ。紙ならある。」
ミラさんの差し出したのは、手と同じくらいの紙だった。少し端のほうが欠けていて年季を感じる。
ミラ「しっかり書けよ。」
レックス「はい。」
ミラさんに別れを告げ、テントの中で書き始める。
この世界での家族、友人に一言ずつ残す。
そうやっている内に前世の両親の顔をふと思い出す。
…ダメだ。これを書くと俺は剣を振れなくなりそうだ。
紙片の下の方にあるスペースはそのまま、折り曲げて鎧のポケットに入れた。
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