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番外編
兄の寵愛弟の思惑114
「きっと国は私が生きていた頃よりも大きく豊かになる、そう信じてその仕組みを作りました。ですが私の想像を超えて国土が広がってしまい、王家の森の魔素を吸い込むだけでは足りなくなってしまいました。それで私は使う予定が無かった仕組みを使うことにしました。それが王家の血を継ぐ者達が魔力を魔法陣に注ぐというものです」
「そうか、占術師のお告げはそうして出されたものだったのだな」
「はい。ただその仕組みを使い始めてから、私は間違いに気が付いたのです」
「間違い、それが誤算?」
皇女の説明に納得してた様子のおじい様は、皇女に問う。
先程彼女が言っていた『誤算』は国土が広がりすぎて消費する魔力が増えたことではないのだろうか、一体何が間違いだというのだろう。
「誤算は魔力の消費量についてでしたが、それに伴い間違いに気が付いたということです。間違い、それはつまり私と魔法陣の魔石を紐づけて魔法陣を完成させてしまったため、後々魔石に魔力を補充するにはその時代の王妃を魔石に紐づけなければ注いだ魔力が上手く魔石に吸収されなくなってしまったことです」
「確かに、代々王と王妃は魔石に自分達を紐づけないといけないと言われているが……」
それこそが今問題になっている部分だ。
魔法陣に、今の王妃である母上ではなくエマニュエラが紐づいているため、魔法陣は父上から大量の魔力を吸収しているのだから。
「元々私は、魔法陣に魔力を注げるのは成人済みで王家の血を受け継ぐ者、王家の血が濃ければ濃い程注いだ魔力を効果的に吸収できると条件付けしていました。王家の血を受け継ぐ者と限定したのは、他国からの簒奪を警戒したからです。まだ帝国や他国からの侵略を警戒しなければならない時期でしたし、他国から嫁いで来た者が魔法陣を悪用しないとも限りませんから、用心に用心を重ねる必要があったのです」
「だがそうすると……」
「はい、私はその条件では魔法陣の核にはなれません。その為私を紐づけるための特例として、この国の王妃として魔法陣に紐づけした私も魔力を注げる条件に追加しました。ただ特例としてそうした筈の条件が、なぜか絶対に変わっていました。私が条件付けを誤ったのか、何かの組み合わせがおかしくてそうなってしまったのか今ではもう分かりませんが」
「今は王妃では無く、未成年のエマニュエラが王妃として紐づいている。魔法陣をあの者が書き変えたせいで息子から魔力が奪われているのではないのか?」
「それは違うともそうだとも言えません。私の仕組みでも魔法陣が魔力不足になれば紐づけた者から魔力を貰えるようになっていますから。ただ本人の持つ魔力量の半分を限度としていました。それを下回った場合は魔力を貰うのは止まります」
魔法陣に奪われる魔力が、自分の魔力量の半分までなら父上があんなに苦しむはずはない。
「つまり、魔法陣が書き変えられた時にその制限も削除されているのか?」
「彼女が書き変えた部分は、閲覧制限が掛けられていて魔法陣の製作者である私ですら見ることも触れることも出来ませんので結果から推測することしか出来ませんが、おそらくは」
閲覧制限、でも以前おじい様は魔法陣を書き変えようとしたと言っていなかっただろうか。
「魔法陣の条件は王家の血を受け継いでいる王と、王妃の両方を魔石に紐づけていなければ、魔石に注いだ魔力は上手く吸収されませんから、陛下と王妃殿下が幾ら魔力を注いでも、その他の王族が魔力を注いでも穴の開いた器に水を注ぎ続ける様なもので、注いだ魔力が器に溜まらず流れ出ているのです」
「それなのに、魔力不足を息子から魔力を制限なく奪う事で解消しようとしている?」
それでは父上が倒れるまで魔力を奪われている事も納得出来る。
「そうです。魔力を注いでも十分にその魔力が魔法陣に使われていない。それに加えて魔法陣が勝手に守りの壁を脆くし修復するのを繰り返しているせいで、魔力不足に拍車が掛かっています」
「なんのためにそんなことを」
「意図は分かりません。それが起き始めたのがここ数年のことですから、もしかすると無理矢理魔法陣を書き変えたせいで魔法陣が暴走し始めているのかもしれませんし、正式な王妃が紐づけされていないせいで矛盾が生じているのかもしれません」
「閲覧制限を解除する方法はないのだろうか」
おじい様の疑問は当然のことだ、皇女がもし書き変えた部分を見る事が出来れば修復も出来るかもしれないのだから。
「閲覧出来るのは、王家の血を継ぐ者でなおかつ魔法陣を書き変えた者より魔力量が多い者、王家の血を継いでいて光の属性を持つ者です。私自身の魔力量は彼女の魔力量を超えていますが、王家の血を継ぐという点で弾かれてしまうのです」
「光の属性、ボナクララか」
「現在の王妃殿下も光魔法は使えますが、光の属性を持っているわけではありません。でもボナクララはまだ成人前ですから魔法陣の間には入れません」
皇女の言う通り、成人前で魔法陣の間に入れるのは婚約の儀式の時だけだ。
「そうか、占術師のお告げはそうして出されたものだったのだな」
「はい。ただその仕組みを使い始めてから、私は間違いに気が付いたのです」
「間違い、それが誤算?」
皇女の説明に納得してた様子のおじい様は、皇女に問う。
先程彼女が言っていた『誤算』は国土が広がりすぎて消費する魔力が増えたことではないのだろうか、一体何が間違いだというのだろう。
「誤算は魔力の消費量についてでしたが、それに伴い間違いに気が付いたということです。間違い、それはつまり私と魔法陣の魔石を紐づけて魔法陣を完成させてしまったため、後々魔石に魔力を補充するにはその時代の王妃を魔石に紐づけなければ注いだ魔力が上手く魔石に吸収されなくなってしまったことです」
「確かに、代々王と王妃は魔石に自分達を紐づけないといけないと言われているが……」
それこそが今問題になっている部分だ。
魔法陣に、今の王妃である母上ではなくエマニュエラが紐づいているため、魔法陣は父上から大量の魔力を吸収しているのだから。
「元々私は、魔法陣に魔力を注げるのは成人済みで王家の血を受け継ぐ者、王家の血が濃ければ濃い程注いだ魔力を効果的に吸収できると条件付けしていました。王家の血を受け継ぐ者と限定したのは、他国からの簒奪を警戒したからです。まだ帝国や他国からの侵略を警戒しなければならない時期でしたし、他国から嫁いで来た者が魔法陣を悪用しないとも限りませんから、用心に用心を重ねる必要があったのです」
「だがそうすると……」
「はい、私はその条件では魔法陣の核にはなれません。その為私を紐づけるための特例として、この国の王妃として魔法陣に紐づけした私も魔力を注げる条件に追加しました。ただ特例としてそうした筈の条件が、なぜか絶対に変わっていました。私が条件付けを誤ったのか、何かの組み合わせがおかしくてそうなってしまったのか今ではもう分かりませんが」
「今は王妃では無く、未成年のエマニュエラが王妃として紐づいている。魔法陣をあの者が書き変えたせいで息子から魔力が奪われているのではないのか?」
「それは違うともそうだとも言えません。私の仕組みでも魔法陣が魔力不足になれば紐づけた者から魔力を貰えるようになっていますから。ただ本人の持つ魔力量の半分を限度としていました。それを下回った場合は魔力を貰うのは止まります」
魔法陣に奪われる魔力が、自分の魔力量の半分までなら父上があんなに苦しむはずはない。
「つまり、魔法陣が書き変えられた時にその制限も削除されているのか?」
「彼女が書き変えた部分は、閲覧制限が掛けられていて魔法陣の製作者である私ですら見ることも触れることも出来ませんので結果から推測することしか出来ませんが、おそらくは」
閲覧制限、でも以前おじい様は魔法陣を書き変えようとしたと言っていなかっただろうか。
「魔法陣の条件は王家の血を受け継いでいる王と、王妃の両方を魔石に紐づけていなければ、魔石に注いだ魔力は上手く吸収されませんから、陛下と王妃殿下が幾ら魔力を注いでも、その他の王族が魔力を注いでも穴の開いた器に水を注ぎ続ける様なもので、注いだ魔力が器に溜まらず流れ出ているのです」
「それなのに、魔力不足を息子から魔力を制限なく奪う事で解消しようとしている?」
それでは父上が倒れるまで魔力を奪われている事も納得出来る。
「そうです。魔力を注いでも十分にその魔力が魔法陣に使われていない。それに加えて魔法陣が勝手に守りの壁を脆くし修復するのを繰り返しているせいで、魔力不足に拍車が掛かっています」
「なんのためにそんなことを」
「意図は分かりません。それが起き始めたのがここ数年のことですから、もしかすると無理矢理魔法陣を書き変えたせいで魔法陣が暴走し始めているのかもしれませんし、正式な王妃が紐づけされていないせいで矛盾が生じているのかもしれません」
「閲覧制限を解除する方法はないのだろうか」
おじい様の疑問は当然のことだ、皇女がもし書き変えた部分を見る事が出来れば修復も出来るかもしれないのだから。
「閲覧出来るのは、王家の血を継ぐ者でなおかつ魔法陣を書き変えた者より魔力量が多い者、王家の血を継いでいて光の属性を持つ者です。私自身の魔力量は彼女の魔力量を超えていますが、王家の血を継ぐという点で弾かれてしまうのです」
「光の属性、ボナクララか」
「現在の王妃殿下も光魔法は使えますが、光の属性を持っているわけではありません。でもボナクララはまだ成人前ですから魔法陣の間には入れません」
皇女の言う通り、成人前で魔法陣の間に入れるのは婚約の儀式の時だけだ。
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