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番外編
兄の寵愛弟の思惑125 (王太子視点)
「馬車が襲われて数日はサデウス家で休養していたそうだが、今は学校にも通っていると言っていたからそう心配するな」
自分の心の痛みを、デルロイに悟らせるような無様な真似は絶対にしない。
そうは言ってもデルロイが愛する自分の婚約者を心配しないわけがない、実際ボナクララは心労からなのか少し痩せてしまったように見えた。それなのに私の失言でボナクララを追いつめてしまった。
『そなたを妻に出来るデルロイは幸せだな』
あの時、デルロイを心配するボナクララに無意識にそう口にしていた。
好きだとか愛おしいだとか、そんなことは言っていないのにボナクララの表情は瞬時に警戒の色に変わり『王太子殿下はエマニュエラを、出会ったその日に望まれたのですよね』と正解を求めるように言った。
止まらねばならぬと分かっていた、その通りだと笑って言えばいいのだと、それなのに止まれなかった。
『……私がエマニュエラを選んだのは、そうするしかなかったからだ』
あの時の、ボナクララの顔を私は生涯忘れられないだろう。
恐ろしいものでも見た様な、逃げだしたいと恐怖を感じている顔をしていたくせに、気丈にもそれ以上は感情を表に出すまいとしていた。
出会ったあの日からずっと愛おしく思っていた少女、彼女を望んだのがデルロイでなければと何度思ったか分からない。エマニュエラを選ばなくてはいけない自分の運命を恨んだことだって、本当はある。
私は王になる人間だから、自分の幸せえより国と民の未来を考えなければならない人間だから。
魔法陣が告げた恐ろしい未来を、現実にするわけにはいかないから、私はエマニュエラを選んだ。
国のため、民のため、何より大切な弟デルロイのため、魔法陣の言う通りエマニュエラを婚約者に選び彼女を王妃にすると決めたのに、誰を本当は思っているか、同じ人を選んだデルロイには絶対に悟らせないと自分自身に誓っていたのに、私は愚かにも気持ちを告げてしまったのだ。
ただでさえ心労でやつれた顔をしていたボナクララは、私の失言で今にも倒れそうな顔色になった。
デルロイがあの顔を見たら、彼女がいくら大丈夫だと言っても信じないと分かっていたからボナクララをデルロイに会わせずに帰したのだ。
「ボナクララが学校に通えているなら良かったですが、それでも……」
「デルロイは、ボナクララの心配よりもまず自分の体の回復を考えるべきだ。お前が目を覚まさない間、父上と母上がどれほど心配されていたか」
自分に会わずに帰ってしまったのが納得できないのだろう、デルロイの表情を見なくても分かる。
そんなデルロイを見ているのが辛くて話題を父上達のことに変えると、デルロイは途端にしょんぼりと「至らない私のせいで父上達にご心配をかけてしまったのですね」と俯いた。
デルロイを悲しませたくはないが、父上達が心配していたのは事実だ。
「自分を責めるな、無事に目を覚ましたのだし。エマニュエラにつけさせている魔道具の欠点が今の段階で見つけられたのだからある意味お前の功績だ」
「兄上、それは喜べません」
「だが、エマニュエラの闇の属性魔法が完全に防ぐことが出来ていないと、婚姻前に気が付かなければ私が精神攻撃の魔法の餌食になって、解除すら出来なくなっていたかもしれない」
「まさか、愚かな私と違って兄上ならまんまと精神攻撃を受けるなんてありえません」
デルロイは私を信じているからこそ、こう言ってくれるが私だって完璧ではない。
弱りもするし間違いも起こしてしまう。
「誰でも寝所では無防備になるだろう? デルロイ、夫婦になったら王子を授かるまでは最低でも閨事をエマニュエラ相手に行わなければならない」
淡々と、何でもない事の様に告げるが、内心ではうんざりとしているのは隠しようが無かった。
自分の心の痛みを、デルロイに悟らせるような無様な真似は絶対にしない。
そうは言ってもデルロイが愛する自分の婚約者を心配しないわけがない、実際ボナクララは心労からなのか少し痩せてしまったように見えた。それなのに私の失言でボナクララを追いつめてしまった。
『そなたを妻に出来るデルロイは幸せだな』
あの時、デルロイを心配するボナクララに無意識にそう口にしていた。
好きだとか愛おしいだとか、そんなことは言っていないのにボナクララの表情は瞬時に警戒の色に変わり『王太子殿下はエマニュエラを、出会ったその日に望まれたのですよね』と正解を求めるように言った。
止まらねばならぬと分かっていた、その通りだと笑って言えばいいのだと、それなのに止まれなかった。
『……私がエマニュエラを選んだのは、そうするしかなかったからだ』
あの時の、ボナクララの顔を私は生涯忘れられないだろう。
恐ろしいものでも見た様な、逃げだしたいと恐怖を感じている顔をしていたくせに、気丈にもそれ以上は感情を表に出すまいとしていた。
出会ったあの日からずっと愛おしく思っていた少女、彼女を望んだのがデルロイでなければと何度思ったか分からない。エマニュエラを選ばなくてはいけない自分の運命を恨んだことだって、本当はある。
私は王になる人間だから、自分の幸せえより国と民の未来を考えなければならない人間だから。
魔法陣が告げた恐ろしい未来を、現実にするわけにはいかないから、私はエマニュエラを選んだ。
国のため、民のため、何より大切な弟デルロイのため、魔法陣の言う通りエマニュエラを婚約者に選び彼女を王妃にすると決めたのに、誰を本当は思っているか、同じ人を選んだデルロイには絶対に悟らせないと自分自身に誓っていたのに、私は愚かにも気持ちを告げてしまったのだ。
ただでさえ心労でやつれた顔をしていたボナクララは、私の失言で今にも倒れそうな顔色になった。
デルロイがあの顔を見たら、彼女がいくら大丈夫だと言っても信じないと分かっていたからボナクララをデルロイに会わせずに帰したのだ。
「ボナクララが学校に通えているなら良かったですが、それでも……」
「デルロイは、ボナクララの心配よりもまず自分の体の回復を考えるべきだ。お前が目を覚まさない間、父上と母上がどれほど心配されていたか」
自分に会わずに帰ってしまったのが納得できないのだろう、デルロイの表情を見なくても分かる。
そんなデルロイを見ているのが辛くて話題を父上達のことに変えると、デルロイは途端にしょんぼりと「至らない私のせいで父上達にご心配をかけてしまったのですね」と俯いた。
デルロイを悲しませたくはないが、父上達が心配していたのは事実だ。
「自分を責めるな、無事に目を覚ましたのだし。エマニュエラにつけさせている魔道具の欠点が今の段階で見つけられたのだからある意味お前の功績だ」
「兄上、それは喜べません」
「だが、エマニュエラの闇の属性魔法が完全に防ぐことが出来ていないと、婚姻前に気が付かなければ私が精神攻撃の魔法の餌食になって、解除すら出来なくなっていたかもしれない」
「まさか、愚かな私と違って兄上ならまんまと精神攻撃を受けるなんてありえません」
デルロイは私を信じているからこそ、こう言ってくれるが私だって完璧ではない。
弱りもするし間違いも起こしてしまう。
「誰でも寝所では無防備になるだろう? デルロイ、夫婦になったら王子を授かるまでは最低でも閨事をエマニュエラ相手に行わなければならない」
淡々と、何でもない事の様に告げるが、内心ではうんざりとしているのは隠しようが無かった。
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