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番外編
兄の寵愛弟の思惑128
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護衛二人とレモには、エマニュエラが闇の属性魔法である精神魔法を使い私に何か仕掛けていた。ということは話をしてあると兄上は言っていた。
勿論守りの魔法陣に王妃として紐づいているのがエマニュエラだということや、ボナクララとエマニュエラが双子ではなく母親違いの姉妹であることなどは話していないし、これはボナクララも知らないことだ。
ボナクララにはいつか本当のことを話さないといけないのかもしれないが、エマニュエラの母親の策略でそうなったのだという事実は衝撃が過ぎるだろう。
王子妃になるのだから国の守りについてすべて知っていなければならないということはないし、策略だったとはいえ、自分の父が他の女性と子供を授かったなんて聞かずにすむならその方がいいだろう。
そもそもボナクララが守りの魔法陣に関わるのは魔力を注ぐときくらいのものだ、だから魔法陣のことを知らなくても……あれ? 本当にそれだけだっただろうか。
私は何か大事なことを忘れている気がする。
「殿下、どうかなさいましたか」
「いや、精神攻撃の魔法は恐ろしいものだから、お前たちに魔の手が及ばずに本当に良かったと思ってな」
自分の考えに没頭していたのをごまかすように、そう告げると二人は握ったままの私の手を頭上に捧げ持ち「第二王子殿下をお守り出来なかった我らをお叱りになるどころか案じてくださるなんて」と目を潤ませる。
「お前達がいるから、私は安心して暮らせるのだ。心配するのは当然だろう」
これはごまかしではなく、事実だ。
護衛がもし二心あって私を害そうとするなら、簡単にできてしまう。
彼らの忠心を疑うことはないが、精神がおかしくなっていたら話は別だ。彼らの思惑と関係なしにエマニュエラが裏で操ろうとしていたらと思うと、背筋が寒くなる。
「殿下、宮の使用人達は神官がすべて確認しておりますので、どうぞご安心を」
「神官達には手数をかけたな」
私を安心させるように、レモが囁く。
私が呑気に寝ている間に、兄上は私の宮の使用人達全員と護衛とレモに私と同じように魔法が掛けられていないかどうか、神殿の神官達を総動員して確認してくれたらしい。
私が原因不明で倒れたため、念のため宮の穢れを祓うと理由づけたというのだから、なんというかだ。
私の宮だけで相当な人数がいるというのに、下働きまで含めすべてを確認したというのだから、どれだけ多方面に迷惑をかけたのかと情けなくなるが、エマニュエラが何を考えて私に魔法を仕掛けてきたのかわからないから念には念を入れておいた方がいいのは確かだ。
元々父上と母上は王位継承の際に、兄上は立太子の儀式で占術師から強い守りのまじないを掛けられていて、私に掛けられたような弱い魔法はすべて阻止するようになっているらしい。
強い魔法はいつも身に着けている魔道具が守っているから、そこまで神経質に心配する必要はないらしい。
ただ今回は用心のため、私の宮の使用人たちの確認が終わった後ですべての宮に特殊な聖具を用いて精神魔法攻撃を受けた者を見つけられるようにするらしい。
エマニュエラの行いに後手に回っている感じがするのが兄上は気になっているようだが、私は自分の不注意で大ごとになったのが申し訳ないし情けなくて気落ちしている。
それに馬車が襲われて恐ろしい目にあったボナクララの、彼女が大変な思いをした時に傍にいられなかったことも情けない。
あの日は私が倒れ、ボナクララが襲われ、なんていう日だったのだろう。
……まてよ、同じ日、私が倒れた日とボナクララが乗った馬車が襲われた日は同じ?
「第二王子殿下、何か気がかりなことがございますか」
二人に手を取られたまま黙り込んでしまった私を、レモが不安そうに見つめる。
「レモ、ボナクララが乗った馬車が襲われたのはどの辺りだ」
サデウス家は王宮からそれ程離れていないし、貴族街は定期的に騎士が巡回している。
そもそも馬車の前後は馬に乗った護衛騎士が守っている、その状態で襲ってくるなんて無謀すぎないだろうか。
勿論守りの魔法陣に王妃として紐づいているのがエマニュエラだということや、ボナクララとエマニュエラが双子ではなく母親違いの姉妹であることなどは話していないし、これはボナクララも知らないことだ。
ボナクララにはいつか本当のことを話さないといけないのかもしれないが、エマニュエラの母親の策略でそうなったのだという事実は衝撃が過ぎるだろう。
王子妃になるのだから国の守りについてすべて知っていなければならないということはないし、策略だったとはいえ、自分の父が他の女性と子供を授かったなんて聞かずにすむならその方がいいだろう。
そもそもボナクララが守りの魔法陣に関わるのは魔力を注ぐときくらいのものだ、だから魔法陣のことを知らなくても……あれ? 本当にそれだけだっただろうか。
私は何か大事なことを忘れている気がする。
「殿下、どうかなさいましたか」
「いや、精神攻撃の魔法は恐ろしいものだから、お前たちに魔の手が及ばずに本当に良かったと思ってな」
自分の考えに没頭していたのをごまかすように、そう告げると二人は握ったままの私の手を頭上に捧げ持ち「第二王子殿下をお守り出来なかった我らをお叱りになるどころか案じてくださるなんて」と目を潤ませる。
「お前達がいるから、私は安心して暮らせるのだ。心配するのは当然だろう」
これはごまかしではなく、事実だ。
護衛がもし二心あって私を害そうとするなら、簡単にできてしまう。
彼らの忠心を疑うことはないが、精神がおかしくなっていたら話は別だ。彼らの思惑と関係なしにエマニュエラが裏で操ろうとしていたらと思うと、背筋が寒くなる。
「殿下、宮の使用人達は神官がすべて確認しておりますので、どうぞご安心を」
「神官達には手数をかけたな」
私を安心させるように、レモが囁く。
私が呑気に寝ている間に、兄上は私の宮の使用人達全員と護衛とレモに私と同じように魔法が掛けられていないかどうか、神殿の神官達を総動員して確認してくれたらしい。
私が原因不明で倒れたため、念のため宮の穢れを祓うと理由づけたというのだから、なんというかだ。
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強い魔法はいつも身に着けている魔道具が守っているから、そこまで神経質に心配する必要はないらしい。
ただ今回は用心のため、私の宮の使用人たちの確認が終わった後ですべての宮に特殊な聖具を用いて精神魔法攻撃を受けた者を見つけられるようにするらしい。
エマニュエラの行いに後手に回っている感じがするのが兄上は気になっているようだが、私は自分の不注意で大ごとになったのが申し訳ないし情けなくて気落ちしている。
それに馬車が襲われて恐ろしい目にあったボナクララの、彼女が大変な思いをした時に傍にいられなかったことも情けない。
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……まてよ、同じ日、私が倒れた日とボナクララが乗った馬車が襲われた日は同じ?
「第二王子殿下、何か気がかりなことがございますか」
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「レモ、ボナクララが乗った馬車が襲われたのはどの辺りだ」
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